02 今様の始まりについて          もくじへ戻る トップページへ戻る

 用明天皇の御時代、難波の宿館に 土師(はじ)の連(むらじ) と言う人
がおりました。
 この人、声の良い歌の上手な人でありました。
 ある夜 家で歌っていましたら、屋根の上で声を添えて歌うものがいるの
です。
 土師の連が変だと思い歌うのを止めると その声も止まるのです。
 また土師の連が歌いだすと 声を添えて歌いはじめるので 驚いて外に
出てみれば 逃げていくものがいます。
 追って行くと 住吉社のあたりの海岸まで来て水中に飛び込んで消えて
しまいました。
 これは、宙より降りた火星が 歌を愛し 人に姿を変えて現れたのだと 
聖徳太子の伝えるところにもあることです。
 今様の始まりは・・・


・土師(はじ)
  土器を作り祭礼や陵墓などを管理した氏族の名です。
・連(むらじ)
  ‘姓‘の一つです。
・住吉社
  和歌の神様としても有名なのだそうです。
  (源氏絵に描かれている住吉社なのでしょうか?)
・なんで突然火星が出てくるかと言うと、「聖徳太子伝暦」という書に
  「此星降下シテ人ト為リ、童子ノ間ニ遊ブ。好ンデ謡歌ヲ作シ、未然ノ
  事ヲ歌ウ」
  (火星は宙から降りてきて人になり、子供たちと遊んでおります。
  歌が好きで、よく歌うのです。)
  とある事に由来しています。
・最後の‘今様の始まりは・・・‘の所は原本が「今様と申す事の起り」以下が
 なくなってしまっていて わからないのです。
 きっとこの後が、はじめのたとえ話から引いて 今様はこう始まったのだよ
 と続くのでしょうが・・・。



 「巻一」は以上です。
 この後、残りの「巻一」から「巻九」に今様の歌い方の口伝が書かれて
 いたと思われているようです。
 次からの「巻十」は全文が残っていて、全体の付録の様なものらしいの
 ですが 今様大好き後白河院の自叙伝として けっこうおもしろいかと思
 います。






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