2010年04月04日・25日     もくじへ戻る トップページへ戻る
    歌舞伎座 第三部   三階B中央の席・1階後方上手の席


  *実録先代萩
    一幕

  *歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
    河東節十寸見会御連中
    一幕





実録先代萩

浅岡:芝翫
松前鉄之助:橋之助
局錦木:萬次郎
局松島:孝太郎
腰元梅香:児太郎
亀千代:千之助
千代松:宜生
局呉竹:扇雀
局沢田:芝雀
片倉小十郎:幸四郎


お家騒動が起こり幼君亀千代の命が狙われ 重臣・伊達安芸はお家乗っ取りを企てる原田甲斐の悪事を阻止しようと努めています。
そのような状況の中 安芸の娘で亀千代の乳人である浅岡は忠臣・松前鉄之助と共に亀千代を守護しています。


舞台は江戸伊達家の奥御殿 奥御殿に籠りきりの亀千代を慰めるために局たちが名所の桜の枝を持参したところへ、腰元が家老・片倉小十郎の到着を知らせます。
小十郎は、お家乗っ取りを企てる一味の連判状を手に入れたのでした。
さっそく鉄之助が悪事の証拠となる連判状を安芸に届けるため出かけます。


鉄之助がこの場を去ると小十郎は国元から連れてきた千代松を亀千代にお目見得させたいと言います。
千代松は、かつて主君に手討ちになった白川主殿と浅岡の子で これまで小十郎が国元で養育していました。
我が子に逢いたいと思う浅岡ですが 亀千代への忠義から千代松に逢うことことはできないと、お目見得を断ります。
しかし、亀千代が浅岡の子ならば逢いたいと言うので、千代松は呼び出されることとなります。


お目見得が許され亀千代の前に座る千代松に、浅岡は辛い気持を抑えて親子の縁を切ったと告げます。
様子を見ていた亀千代は、遠く国元から来て母親に冷たくされ涙する千代松に優しい言葉をかけ 千代松は心優しい亀千代に忠義を尽くしたいと申し出ます。
これを聞いた浅岡は千代松の忠臣を褒めますが 今はお家騒動の最中ゆえ、聞き分けて国元へ帰るよう諭します。
事情を聞き入れた千代松は国元に帰ることにしますが、母親との別れは悲しく涙します。
別れがたい千代松と千代松を側に置きたいと言う亀千代の二人に縋られ 浅岡は辛い気持を抑えるのでした。
そして、小十郎が千代松を連れてこの場を去ると、堪えきれずに泣き崩れてしまいます。


しかし、ここへ毒味の御前番が死んだと知らせが入ります。
浅岡は改めて亀千代を守る覚悟をするのでした。












歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜

花川戸助六:團十郎
三浦屋揚巻:玉三郎
通人里暁:勘三郎
福山かつぎ寿吉:三津五郎
三浦屋白玉:福助
朝顔仙平:歌六
曽我満江:東蔵
三浦屋女房お松:秀太郎
髭の意休:左團次
くわんぺら門兵衛:仁左衛門
白酒売新兵衛:菊五郎
口上:海老蔵


  あらすじはこちらでどうぞ








☆「実録先代萩」は1876年(M9)に「早苗鳥伊達聞書(ほととぎすだてのききがき)」という外題で初演された黙阿弥作の舞台で 1893年(M26)「実録先代萩」と名を改めました。
”実録”というのは江戸時代に書かれた作品を明治の時代的な流れから写実的に見直そうとしたもので「実録先代萩」は「伽羅先代萩」を実録化した舞台です。
ですので‘もとになった時代物の舞台を写実にした‘っと、いうことで、‘全くの真実が語られている‘っと、いうことではございません。
時代物のガッツリした舞台を、サラッと分かりやくすした っと、いう感じです。
見やすい舞台ですが、命がけの政岡と千松ほどのインパクトは無いかもしれません。




・琴歌の下座で幕開き 舞台は江戸、伊達家の奥御殿 腰元の台詞で状況説明 御簾が上がって芝翫丈・浅岡、橋之助丈・松前鉄之助、千之助丈・亀千代の出 ‘実録‘と申しましても、幕開きは時代物の大きさが感じられます。

・四人の局は萬次郎丈、孝太郎丈、扇雀丈、芝雀丈 ‘さよなら公演‘もラストの四月公演ならではの配役ですが なんだかもったいない感じです。(^^ゞ

・骨太な橋之助丈・鉄之助が良いです。

・児太郎丈・梅香が片倉小十郎の到着を知らせます。
児太郎丈・梅香 それほど長い台詞ではございませんが まだ、声が落ち着いていらっしゃらないのでしょう、台詞が女方の声になっていませんでした。
拵えは腰元ですが、声が男の子のままで無理があるな〜 っと、思いました。

・幸四郎丈・片倉小十郎は花道からの出 継ぎ裃の拵え どっしり感がございます。

・対する芝翫丈・浅岡も片外しの大きさがあり、写実の舞台ですが篤みがあります。

・小十郎が千代松を迎えに行くところで竹本が出語りになります。

・今回の亀千代、とても良いので 誰がお勤めなのかな?、子役ちゃんかな? っと、思っておりましたが 千之助丈が亀千代をお勤めで‘これは後々すごく楽しみ‘っと、嬉しくなりました。
千之助丈、台詞が良いですね〜。
声はこれから変わるでしょうけれど 今回の舞台では声が通っておりましたし、間がとても良いと思いました。
「片倉、早よう」っと、言うところなど 間がとても良かったです。

・宜生丈・千代松が花道からの出になります。

・子供二人を相手に、大きくて存在感のある芝翫丈・浅岡ですが この舞台は千之助丈・亀千代と宜生丈・千代松に持って行かれた感じです。(笑)
10歳の千之助丈と9歳の宜生丈 どちらも先が楽しみです。

・千代松がこの場を去った後、亀千代の「可愛がってやりやいのう」っという台詞を受けた後の芝翫丈・浅岡 ‘実録‘とはいえ、竹本の舞台ですので「ごめんあそばせ」で、もっとガッツリ、こってりして欲しかったです。



・全体に 芝翫丈、幸四郎丈、橋之助丈と存在感のある役者さんが並び、それなりに大きな舞台だと思いました。
ですが写実の舞台ですので 竹本で進みますが、するするっと軽めに展開する舞台です。
見やすいですが、ガッツリしなくて中途な感じもいたします。
この舞台には‘良い人‘しか出てこないので、あまり緊張感が無く子役ばかりが目立つ‘ぬるい‘舞台に見えるような気がいたしました。

芝翫丈の浅岡は強さより優しをを感じます。
優しさとか悲しさとかが伝わり これが‘実録‘の写実、乳人としてより母親としての情を見せるということなのかな〜 っと、思いました。
子供二人が目立つ舞台でしたが 芝翫丈の存在感や大きさで舞台を締めていたと思います。
幸四郎丈・小十郎も温かみを感じます。
お二人とも年齢を重ねた大きさ丸みが活きている感じです。
他、役者さんが揃った豪華な舞台でした。











☆「助六由縁江戸桜」は1713年初演の舞台で歌舞伎十八番の一つです。
初演したのは(二)團十郎で、実際にあった上方の心中事件を取り入れ「花館愛護桜(はなやかたあいごのさくら)」という外題で上演されました。
後に曽我物と結ぶ付き(七)團十郎の頃に現行に近いやり方になりました。
今回の舞台は成田屋の舞台ですので 外題が「助六由縁江戸桜」、出端は河東節です。




・幕開き舞台は三浦屋見世先 口上は海老蔵丈で”助六”についての解説という感じ 「春霞たてるやいづこ三芳野の・・・」河東節で始まります。
二回目の観劇は1階後方席でしたが、やはり幕が開いただけで舞台が豪華に感じられました。(笑)

・金棒引は萬屋の若手さん すごく緊張した雰囲気が、今回の大舞台を象徴しているようでした。

・並び傾城は松也丈、梅枝丈、巳之助丈、新悟丈、菊史朗丈  松也丈はこの中ではチョッと貫禄がある感じ、梅枝丈がスッとしてとても綺麗、もっと筋っぽいかと思ったのですが(笑)巳之助丈も線が細くて綺麗でした。

・玉三郎丈・揚巻は花道からの出 4日は七三まで見えませんでしたが25日は出のところかしっかり見えました。(^^ゞ
とにかく大きい、場内を圧倒する存在感です。
で、衣装がスゴイ! もともと揚巻の衣装は豪華なのですが 玉三郎丈の衣装はさらに豪華 金色の糸が1.5倍ほど多いような(笑) あるいは糸が違うのかキラキラがより美しく見え 背後の海老のところ、注連縄から下がる糸も多いように感じました。
で、この豪華な衣装を余裕で着こなす大きさのある揚巻です。
酔った体でフッと下を向いたところなどすごく可愛くて艶っぽいです。
あの・・・ねっとりするような色気と申しますより 可愛さを感じる艶っぽさで、どことなくフッと冷めたところがいかにも玉三郎丈の揚巻という感じです。
ワタクシ的には、こういう突き放した雰囲気 ケッコウ好きだったりいたします。(笑)

・番新の歌女之丞丈 振袖新造の京妙丈と京蔵丈 さりげなく周りがしっかりしています。
このお三人、確か3月の「道明寺」の時にも腰元で玉三郎丈の脇を固めていらっしゃったと記憶しております。(^^ゞ

・舞台に上がってから、さらに大きさが増したように感じられる玉三郎丈・揚巻 舞台で見せる海老を背負った打掛、鯉の帯 もう最高にカッコイイです。
玉三郎丈、立女方の格と揚巻の格がしっかり伝わります。

・福助丈・白玉と左團次丈・意休が花道から出ます。
左團次丈・意休、渋さが出て良い感じです。
ですが顔の拵え、こめかみのところですが ツノがはえているみたいで、違和感がございました。
決まりの隈ですが、色合いが強すぎるのでしょうか?
もう少し落ち着いた格が欲しいと思いました。

・舞台で意休、揚巻、白玉、っと、並んでも やっぱり玉三郎丈・揚巻が場内を圧倒すると思えるのはワタクシだけでしょうか〜?(^^ゞ
「慮外ながら揚巻でござんす」っと、きりだして「揚巻の悪態の初音」っと、決まったところの大きさ、押し、格 たっぷりとして艶っぽくてカッコイイことって もう最高です。
で、「闇の中でも助六さんと意休さん、取り違えてなるものかえ」っと、突っぱねる玉三郎丈・揚幕 高く張った台詞の通ることったら、抜けるような大きさ 見ていてスカッとする面白さで、思わずニヤッとしてしまいます。(笑)
押しも押されぬ当代の立女方の揚巻 とにかくカッコ良くて 今、これ以上の揚巻は無いとワタクシは思います。

・揚巻一行が奥に入ったところで、「思い染めたる五つところ」河東節の演奏で團十郎丈・助六が花道からの出、出端になります。
揚幕から出て七三に来るまで まず、柔らかです。
七三で見せる練れた風情の所作 たっぷりとして柔らか、ケンケンとしていなくて決まる姿の大きいこと 内蔵助を勤める役者さんの助六と申しますか、懐が大きく粋と艶があり歌舞伎の品格を感じます。
回数を重ねているということだけでなく、当代成田屋の助六の品格を見るようでした。
この当代成田屋の圧倒的な大きさそのものがカッコ良くて粋です。
粋がっている軽い粋ではなくて、一本芯の通った粋だと思いました。
丹前六法で舞台に出ます。

・仁左衛門丈・くわんぺら門兵衛 やっぱり、カッコイイ。(笑)
大親分の雰囲気が感じられる門兵衛ですが(^_^;) でも、こんなに面白い(笑えるということではなくて、芝居として面白いということです)門兵衛もなかなか見られるものではないと思いました。

・右之助丈・遣手お辰 客あしらいが上手そうで雰囲気がございます。(笑)

・三津五郎丈・福山かつぎ寿吉、キッパリしていて骨太な感じで勢いがあって江戸っぽいです。

・仁左衛門丈、團十郎丈、三津五郎丈 舞台に並ぶお三人、これだけでもなかなか見ることのできない舞台です。
で、團十郎丈と仁左衛門丈 やっぱり仁左衛門丈がカッコ良く見えてしまいます。(^_^;)
仁左衛門丈の門兵衛 可愛気があって嫌な奴に見えません。
そこが良かったりいたします。

・「へっ、ざま〜みやがれ」って、ニヤッとなるところの三津五郎丈、すごく良い顔していました。

・歌六丈・朝顔仙平 今回の大舞台での仙平ということでは加減があって(悪目立ちせず)良かったのかもしれませんが イマヒトツ突き抜けきれていないと申しましょうか、仙平にしては普通過ぎな感じでした。

・門兵衛らを相手にして助六の悪態 勢いだけで言いたてるというのではなく もっと練れていて大きさを感じます。
他意を感じさせない、邪気の無い、突き抜けた感じの助六は團十郎丈ならではかと思います。

・意休が三浦屋へ、門兵衛と仙平が下手へ それぞれ入ったところで絡みに混じって下手から花道七三へ菊五郎丈・新兵衛が出ます。
艶っぽく柔らか味があるけれど芯のある感じ さらに、加減のある面白味がございます。
やはりこちらも当代の新兵衛で いい顔合わせのお二人です。

・「大どぶへ浚いこんで鼻の穴へ屋形船蹴込むぞ」っと、言う悪態 團十郎丈の助六はどことなく可愛気があり茶目っ気があり抜けるような大きさがございます。

・市蔵丈・国侍利金太、亀蔵丈・奴奈良平 お二人とも加減が良いです。

・続いて勘三郎丈・通人里暁の出 栄次郎のような通人でした。(笑)
笑わせ上手な勘三郎丈で(笑) 25日、1階での観劇では 團十郎丈・助六のさりげない笑顔を拝見いたしました。(^^ゞ
楽しく笑えましたが 引っ込み、花道七三での台詞は、さよなら公演バージョンで 改めて‘あ〜もうこれでおしまいなんだな〜‘っと思いました。

・東蔵丈・満江 観劇前は、どのような雰囲気なのかしら?っと、思っておりましたが 十分な大きさと品があり、武家の芯の強さがあり 團十郎丈・助六と菊五郎丈・新兵衛の母親に見えました。

・このところの玉三郎丈・揚巻 満江に対しての気づかいも良いですが、助六に対してのきっぱり感も良いと思いました。

・新兵衛と満江が花道から引っ込むと、意休の出になります。
海老錦の衣装に変わります。
臙脂のような(海老色?)地色の衣装になりますが 色合いがとても良いです。
ワタクシ、前の出の時の金色地の衣装より好きだったりいたします。

・禿は玉太郎丈と吉太郎丈 ぽっちゃりふっくらした方が吉太郎丈ですね。(^^ゞ

・意休が助六に気づいたところの玉三郎丈・揚巻 助六を打掛の裾に匿っての決まり、間に入っての決まり サスガに大きく決まってカッコイイです。
で、どことなく優しげな感じがいたしました。
できればもっとガッツリと決まってもよかったかもしれません。
助六は世話の舞台ですが、この場の決まりのような大きな決まりはグッと押しの利いた時代の大きさが欲しいと思いました。
最近・・・玉三郎丈の舞台を拝見いたしまして、もっと大きくたっぷり決まって欲しいと思う時がケッコウあったりいたします。
‘何に遠慮しているんだろう?‘っと、感じる時があります。
今回の揚巻も大きさは十分ですが もっと押しがあってもよかったのではないかしら とか、思うところもございました。

・いつものことですが、ここも玉三郎丈の衣装がとても素敵です。
八頭身に七夕の俎板帯がスッキリとして豪華です。
墨絵に金糸の花模様(菊?牡丹?)の打掛、白黒と金のバランスが良く落ち着きの中に豪華さがあり絶妙です。
それから打掛の合わせの裏側と着付けの模様が細かくてとても綺麗です。
ケバケバしていないけれど光の加減で繊細に輝く糸が品良く美しいです。

・幕切れ、舞台中央で背を向けて決まる玉三郎丈・揚巻 歌舞伎座ラストの舞台にふさわしい大きさでした。

・閉場までに一度、玉三郎丈の揚巻が見たいと思ったおりましたので 今回は玉三郎丈メインで舞台を見てしまいました。(^_^;)







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