2009年06月07日            もくじへ戻る トップページへ戻る
    歌舞伎座 夜の部   三階B上手よりの席

  *門出祝寿連獅子(かどんでいおうことぶきれんじし)
    四代目 松本金太郎 初舞台
    長唄囃子連中

  *極付 幡随長兵衛
    「公平法問諍」
    三幕
    大薩摩連中

  *梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう) 髪結新三
    三幕






門出祝寿連獅子(かどんでいおうことぶきれんじし)

童 後に 孫獅子の精:金太郎
右近 後に 仔獅子の精:染五郎
左近 後に 親獅子の精:幸四郎
里の女:芝雀
右近の妻:福助
里の男:松緑
樵人:高麗蔵
修行僧:友右衛門
左近の妻:魁春
大名某:梅玉
村の長:吉右衛門


舞台は清涼山の麓 このあたりを治める大名が、文殊菩薩に仕える獅子に孫獅子が誕生したというお告げにより 様子を聞きに行かせた家臣の左近と妻、右近と妻子を呼び寄せます。
皆で勇壮な獅子の様子を語るところへ 村の長、里の女や男も駆けつけ 吉祥を祝います。


所は変わり、舞台は清涼山 石橋を渡り獅子の様子をひと目見ようとやって来た修行僧が樵人に案内を頼みます。
樵人は、獅子は気性が荒いというので 修行僧は獅子を鎮めようと祈祷を始めます。
すると俄に風がおこり山が鳴動し始めるので 修行僧と樵人は怖気づいてこの場を去ります。


やがて石橋の上に 親獅子、仔獅子、孫獅子が姿を現し 三代の獅子は勇ましく戯れ遊ぶと獅子の座に直るのでした。











極付 幡随長兵衛

幡随院長兵衛:吉右衛門
水野十郎左衛門:仁左衛門
坂田公平:歌昇
御台柏の前:福助
子分極楽十三:染五郎
子分雷重五郎:松緑
子分神田弥吉:松江
子分小仏小平:男女蔵
子分閻魔大助:亀寿
子分瘡森団六:亀鶴
子分地蔵三吉:種太郎
倅長松:玉太郎
伊予守頼義:児太郎
坂田金左衛門:由次郎
慢容上人:家橘
渡辺綱九郎:友右衛門
出尻清兵衛:歌六
近藤登之助:東蔵
唐犬権兵衛:梅玉
女房・お時:芝翫



  あらすじはこちらでどうぞ









梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう) 髪結新三

髪結新三:幸四郎
弥太五郎源七:歌六
手代忠七:福助
下剃勝奴:染五郎
娘お熊:高麗蔵
下女お菊:宗之助
車力善八:錦吾
後家お常:家橘
家主女房おかく:萬次郎
家主長兵衛:彌十郎
加賀屋藤兵衛:彦三郎



  あらすじはこちらでどうぞ






今回の観劇、昼夜通しでございまして 昼の部にリキが入ったせいか、夜の部はサックリ軽く観劇してしまいました。
ですので、感想もサクッと書かせていただきます。(^^ゞ
ちなみに・・・ 今月の夜の部は 全部、黙阿弥の舞台なのですね。
見やすいですけれどね・・・。(^_^;)





☆「門出祝寿連獅子」は 染五郎丈のご長男、齋くんが四代目松本金太郎を名乗っての初舞台の演目でございます。
舞台の内容も「連獅子」をもとにした、今回の初舞台バージョンになっています。
途中、口上がございまして 金太郎丈が可愛いご挨拶をいたします。
上手側の幸四郎丈、下手側の染五郎丈の暖かい表情が印象的でした。

並び順は客席から見まして、↓このような順だったと思います。

下手                                     上手
梅玉、魁春、福助、染五郎、金太郎、幸四郎、芝雀、松緑、吉右衛門


片しゃぎりを打上げて幕開き 舞台は松羽目風(四ツ花菱をあしらった背景などございまして、松羽目の舞台より華やかになっています) 正面に長唄囃子のひな壇、長唄八挺八枚 下手御幕から梅玉丈・大名某が名乗座に出て前置き、この後に花道から幸四郎丈、染五郎丈、金太郎丈、魁春丈、福助丈が出ます。
獅子の話をしているところに やはり花道から、吉右衛門丈、芝雀丈、松緑丈が出て皆様揃ったところで口上となります。
口上の後 皆様、大セリでの引っ込みになります。
この時、後に下がる時に足を踏んで決まる金太郎丈 チョッと滑ってヨロッとなったのですが 両脇のお父様、お爺様がサッと手を添えていらっしゃいました。
金太郎くん可愛いし、見守る染五郎丈と幸四郎丈の優しい感じが微笑ましくて暖かでした。
口上までが前シテになります。
友右衛門丈・修行僧と高麗蔵丈・樵人の間狂言の後 後シテの獅子の精になります。
大薩摩から一声の笛 セリでお三人の出になります。
並んで毛振りになりますが 真ん中で金太郎丈が頑張っていて ちゃんと巴に振れているのは偉い!っと思いました。(^^ゞ
後見の錦吾丈がぴったり付いていて 獅子の毛を直してあげたりしていました。
お三人で並びますと 染五郎丈の勢い、幸四郎丈の大きさがすばらしくて 今は小さい金太郎丈もいづれはお父様やお爺様のようになるのだろうな〜 っと、これからが楽しみになりました。











☆「極付 幡随長兵衛」は 黙阿弥作、1881年(M14)初演の舞台で 「村山座」の場面が入った現行の舞台になりましたのが1891年(M24)です。



幕開き舞台は村山座、「公平法問諍」の上演中です。
今回、この劇中劇の舞台がすごく良くて このままずっと「公平法問諍」で良いかも とか、思ってしまいました。(笑)
歌昇丈が、大きくてスカッと抜けるように気分の良い公平で 出のところの「しばらくお待ちくださりましょう〜」っと声をかけるところなどワクワクするくらいの大きさがございます。
また、家橘丈・慢容上人は真面目ですけれど、どことなくおかし味がございます。
歌昇丈・公平と家橘丈・慢容上人のやり取りに見応えがありおもしろく ここだけ見ましても十分に楽しめる舞台です。(笑)
それと福助丈・柏の前も、この舞台を大きく見せていると思います。
児太郎丈・頼義は声がお辛そうで、台詞がイマヒトツでした。

っと、いうことで 充実した「公平法問諍」の上演中に花道から蝶十郎・中間が騒ぎながら出てきます。
がらっぱちな雰囲気の中間ですが、この場には合っているように思います。
この場を抑えるのは吉之助丈・舞台番 あの「お座りを」っという台詞、違和感がなくて良いです。
3Bから見ておりますと、1階の皆様が村山座のお客に見えたりするので(笑) 雰囲気があるのだと思います。

次に舞台進行を妨げて花道から出てきた由次郎丈・坂田金左衛門を抑えるところで吉右衛門丈・長兵衛の出になります。
こってりした台詞でハラが太くてとても大きい長兵衛です。
時代物のような重圧感なのですが 世話の粋があり、男気を感じ、とてもカッコイイです。

一幕目の幕切れ近くになって、上手の上、御簾が上がり仁左衛門丈・水野が出ます。
座っているだけなのですけれど、旗本に見えるところがスゴイです。
時間的にも短いのですが ほんの少しの間で ここに居る人が、それなりの格のある人物だと伝わります。



二幕目、舞台は長兵衛の内 長兵衛の内の様子から、花道の出で芝翫丈・お時の一行が戻ってきます。

ワタクシ、時代物の芝翫丈も好きですけれど 世話の芝翫丈の自然な温かい優しい雰囲気がケッコウ好きだったりいたします。
情のあるお時で、動きの一つひとつに優しさがございまして なにより吉右衛門丈・長兵衛の女房に見える具合が上手いと思いました。
上手く書けませんけれど 侠客なのは長兵衛で、お時は女房というあたりまえが自然に見えてきます。

吉右衛門丈・長兵衛は 水野からの使いが来たところで舞台に出ます。
大きくてハラのある長兵衛で 独白する台詞に、背景の女房や子への情が感じられ 引くに引けない板挟みの辛さが見え 覚悟が知れます。
なので、後に「人参牛蒡を売ればとて」の台詞が これからの覚悟を決め、女房や子に同じ轍を踏まないよう残す言葉(遺言?)として活きてきます。

吉右衛門丈・長兵衛と芝翫丈・お時、お二人の舞台になりまして 竹本で舞台が進み、ほとんど台詞がなく竹本に心情を乗せて見せていきます。
特に、芝翫丈の気遣いはあるけれど、それ以上の余計が無い進め方が、さっくりと江戸世話物らしくて良いと思いました。
足袋を渡す芝翫丈・お時、渡す時に足袋に手を入れて履きやすくする気遣い 受取った足袋を履きながら、フッと女房を見る吉右衛門丈・長兵衛の想い なにも返さず、そのまま受ける芝翫丈・お時 袴を履く時も特別な思い入れは見せず  仕付け糸をとる時も、仕付け糸を取る気遣いは見せてもそれ以上の事はせず、顔を見合す思い入れも無し いつもの女房としての気遣いはしっかり見せるけれど、思い入れはハラだけで伝える 見たところはさりげなくさっくりですが 平常を装うお時に、平常でない心情が見えてきます。
どちらかと申しますと、こってり見せる吉右衛門丈も ここは、思い入れらしく見せたのは足袋を履く時くらいでしたが 独白でハラが伝わっているので、心情はよく分かります。
今回の舞台を見まして 長兵衛とお時は 長い間、夫婦なのだと改めて感じました。

幕切れ前は ここまで、抑えた分 芝翫丈・お時の訴えが、より切なく思え 女房の可愛さも見えてきます。
長松を抱えて長兵衛を見送るところに思い入れがあり、印象に残る存在感です。
また、吉右衛門丈・長兵衛は覚悟が分かり 竹本の語りと合間って、大きさ重圧さがグッと伝わります。

歌六丈・出尻清兵衛は、人が良さそうで真面目そうですが、愛嬌はイマヒトツに感じました。
梅玉丈・唐犬権兵衛は、今までに何回か拝見しておりましたが 見ているうちに馴染んできました。(^^ゞ
NO.2の大きさ、雰囲気があると思います。
他、玉太郎丈・長松も頑張っていらっしゃいましたし 染五郎丈、松緑丈、松江丈、男女蔵丈、亀寿丈、亀鶴丈、種太郎丈と子分の皆様も揃った大きな舞台だと思います。



三幕目 舞台は水野の屋敷 黒い羽織の仁左衛門丈・水野、遺恨があるようには見えませんで すっきりとしてカッコ良いです。(^^ゞ
吉右衛門丈・長兵衛は、ここもじっくりとハラの座ったやり取りで大きいです。
ですが・・・いつも、この場面になりますと意識が遠のきます。(^_^;)
酒をわざとこぼし 挙句、風呂を勧めるという展開が ワタクシには馴染めませんで、興を削がれるのですね。
幕切れ前の湯殿の場は 吉右衛門丈・長兵衛と仁左衛門丈・水野が決まって幕になります。
この場のお二人は理屈抜きでカッコイイと思いました。(笑)











☆「梅雨小袖昔八丈 髪結新三」は1873年(M6)初演、黙阿弥作の世話物の舞台です。
以前、調べました事がこちらの感想欄に少しだけ書いてございますのでよろしければご参考くださいませ。



幕開き舞台は白子屋の見世先から始まります。
家橘丈・お常は、切羽詰った辛い気持ちの母親の思いももちろんですが 台詞のしっかりした感じ(どちらかと申しますと、誘導すような強い感じ)からも、店の行く末を案じる後家の立場が強く感じられました。
この場に至るまでに、借金ゆえに主を亡くしている経緯がございますから 店を守ろうとする強さが見えるのは良いと思います。

錦吾丈・善八の実直そうな雰囲気 宗之助丈・お菊の健気で可愛らしい感じ それぞれ‘らしさ‘があると思います。

高麗蔵丈・お熊は、嫁入り前の御店の娘にはチョッと辛いかもしれないと思いました。
思っておりましたよりは娘に見えましたけれど 多少きつさが見えてしまい可愛い感じではないような気がいたしました。
それと、福助丈と並びますと老けて見えてしまいます。(^_^;)

福助丈・忠七は、柔らか過ぎるとか、作っている感じが出てしまうとかいう事も無く、思っておりましたよりすっきりしていて良いと思います。

幸四郎丈・新三は下手からの出で、木戸口で忠七とお熊の話を立ち聞き お熊が奥に入って忠七が一人になったところで店に顔を出します。
一度、下手に移動して木戸口に出るところなどは 愛嬌がございまして柄の大きさを感じさせず良いのですが 木戸を開けたところの挨拶から、どうもオヤジ臭い新三です。
一癖も二癖もあるのは伝わるのですが 粋ですっきりきっぱりした雰囲気がイマヒトツです。
若い勢いが見えてこないので、駆け出しのワルには見えませんでした。
ですけれど、忠七の髪を結いながらの芝居はさすがだと思いました。
髪をなで付ける様子や櫛を使う様子など、わざとらしさがなくなめらかで 髪結の動きと台詞のバランスが良く、雰囲気がございます。

他、劇中で錦政くんが錦成と名を改め幸四郎丈の部屋子になるご挨拶がございました。
2008年2月に見ました胡蝶の精の折は、細くて可愛い感じでしたが 今年、中学生だそうで しっかりとして元気で力強く、これからが楽しみです。



舞台は雨の永代橋川端 幸四郎丈・新三、やはりオジサン臭くて 江戸世話物の粋が見えてきません。
大きくて凄みが効いて、十分に悪いのですが オヤジで粋で無いので 悪くは見えるのですがチャキッとカッコ良くないのです。
どう見ましても、これから売り出そうという駆け出しのワルには見えません。
どちらかと申しますと、源七の雰囲気かもしれません。(^_^;)

福助丈・忠七の真っすぐな雰囲気 歌六丈・源七のどっしりした感じ 共に良いと思います。



舞台は新三内 お話の展開はおもしろいです。
ですが舞台全体に粋でチャキッとしたキレの良いさっぱり感はイマヒトツです。
幸四郎丈・新三はこれまでと同じです。
染五郎丈・勝奴の身軽な感じと歌六丈・源七の渋さが良いです。
「指を咥えて帰ろうか」の台詞、歌六丈のグッと抑えたところに より腹立たしさが伝わります。

一度舞台が回りまして家主内になります。
ここは、萬次郎丈・おかくの世話な雰囲気が良いです。

再び舞台は新三内 彌十郎丈・長兵衛のイキやタイミングが良いと思います。
世話の洒脱な感じは少ないかもしれませんが 笑いで舞台を運ぶという事では間合いは良かったと思います。



舞台は閻魔堂橋 按摩と蕎麦屋で舞台の雰囲気も良く、歌六丈・源七に覚悟を決めたハラが感じられます。
渋さと暗さが良いバランスで見えてきます。
で、すみません 幸四郎丈は、月代が伸びた姿が、強面過ぎて新三には見えませんでした。






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