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| 歌舞伎座 昼の部 三階A中央の席 |
*寿矢車三番叟 清元連中 囃子連中 *雪傾城 長唄囃子連中 *歌舞伎十八番の内 勧進帳 長唄囃子連中 |
寿矢車三番叟 三番叟:歌昇 千歳:錦之助 後見:種之助 後見:隼人 国家安穏、天下泰平を祈る語りから 五穀豊穣を祈る三番叟の揉み出しの踊り、続いて千歳のしっとりとしたクドキとなり 再び三番叟の賑やかな踊りで鈴の段を踊り、季節の花々を綴った踊り地で舞い納めます。 雪傾城 傾城:芝翫 禿:愛子 舞台は雪景色 禿が雪達磨を転がしたり追羽根をしたり、可愛く遊びます。 するとそこへ傾城が現れ吉原の様子を艶やかに踊ります。 数え歌に合わせた禿の軽快な踊りから、踊り地で廓遊びの風情を見せ舞い納めます。 歌舞伎十八番の内 勧進帳 武蔵坊弁慶:富十郎 源義経:鷹之資 亀井六郎:染五郎 片岡八郎:松緑 駿河次郎:尾上右近 常陸坊海尊:段四郎 富樫左衛門:吉右衛門 後見:錦之助 あらすじはこちらでどうぞ |
2009年5月27日に観劇いたしました富十郎丈主宰の傘寿記念「第九回矢車会」昼の部の感想などを書かせていただきます。 よく行く歌舞伎座ですけれど やはり一度だけの舞台ということもあるのか 場内にも良い雰囲気の緊張感がございまして、久しぶりに開演前にドキドキ感がございました。(笑) 25日間の興行ではございませんので とりあえず、その折に思った事などを書かせていただきます。 ☆「寿矢車三番叟」はチラシの方には「寿三番叟」と書いてございました演目です。 翁の出はございませんで 三番叟と千歳の踊りで、お勤めになる歌昇丈と錦之助丈ともに素で踊られます。 「式三番叟」は長唄ですが 今回は清元の「四季三葉草」をもとにした舞台です。 柝が入って幕開き 上手に清元四挺三枚と囃子連中 下手から歌昇丈と錦之助丈の出になります。 大まかな流れは(細かい事がよく分かりません) 歌昇丈の舞台での所作から花道七三に出て、再び舞台に戻ったところで曲が早間になります。 たぶん、もみの段だと思うのですが ここの歌昇丈のキビキビした踊りが見ておりまして気分が良いです。 歌昇丈が決まったところで錦之助丈の柔らかな踊りになります。 ここまでとは雰囲気も異なり 曲もしっとりと品良く艶がございます。 この後 やはり曲調が変り、下座の鐘が入ったところからお二人の所作になります。 再び、歌昇丈お一人になり ここから鈴の段になります。 小気味の良い所作で、理屈抜きで見惚れてしまいました。(^^ゞ 歌昇丈のキレが良くすっきりとした線の所作と錦之助丈のしっとりとして品のある雰囲気が良く 何と申しましょうか、全体に‘礼儀正しい‘‘お行儀の良い‘そのような感じの舞台でした。 また、ワタクシは清元はとてもしっとりとした風情という印象があるのですが 今回の舞台は長唄のような雰囲気の舞台でした。(^^ゞ ☆「雪傾城」は三変化「月雪花名歌姿絵(つきゆきはなめいかのすがたえ)」という舞踊の「雪」を独立させた舞踊で 成駒屋ゆかりの舞踊だそうです。 ですけれど・・・このような細かいことは抜きで(笑) とても印象に残る舞台でございました。 柝が入り雪音の太鼓で幕開き 舞台は雪景色で上手に長唄囃子の雛壇、五挺五枚 オキから愛子ちゃんが下手から出ます。 ちっさくって可愛いんですね。 花簪がすごく大きく見えて、重そうな感じです。(笑) 2005年06月の初お目見えの時は舞台をチョコチョコ歩いていただけでしたのに 今回は頑張って踊っているのですね。 よそ様のお子は大きくなるのが早いです。(^^ゞ >降るも積るも・・・ で、ドロドロドロの太鼓で(何で、この音なのか?です)セリで上がって芝翫丈・傾城の出になります。 舞台に上がるとスグに花道七三に出てしまいまして 舞台に戻るまでしばらく何も見えませんでした。(^_^;) 仕抜きで芝翫丈お一人で踊られるのは、ここだけだったのですが 今回はワタクシの前方で前のめりの方がすごく多くて、上半身も見えない状態でした。 なので、はっきり確認できましたのは 再び舞台に戻っていらっしゃってからです。 白地に銀の模様の衣装がとても美しく また、芝翫丈の存在感の大きさに感激してしまいました。 そこにいらっしゃるだけで大きくて とてもカッコ良かったです。(笑) 一緒に舞台に居るのが小さい子供だからなのか とにかく、包み込むような気遣うような暖かい眼差しでいらっしゃるのが分かるのですね。 愛子ちゃんが踊るのを見ていらっしゃる芝翫丈の優しくて心配そうな表情がとても印象的でした。 踊りそのものより 芝翫丈の包み込むような大きさが嬉しかったです。(^^ゞ お二人で踊る時も、芝翫丈が愛子ちゃんを気遣いながらタイミングを合わせていらっしゃるのが分かります。 とてもほのぼのとした舞台でした。 で、この舞台も大向の声がたくさんかかっておりまして 中に「姫天王」というかけ声がございまして 可愛くて良いな〜 っと、思いました。 それと、芝翫丈の後見は芝のぶ丈でした。(^^ゞ ☆「勧進帳」は能の「安宅」をもとにした松羽目物の舞台で歌舞伎十八番の一つです。 今回の舞台は富十郎丈の弁慶、鷹之資丈の義経という事で よく見る現行の舞台とは少し違ったところもあるやり方でした。 どのようなところが異なるかと申しますと 義経を能の子方の要素を取り入れたやり方にした とか 弁慶の衣装を翁格子に弁慶縞の水衣にした とか 勧進帳の読上げの時の富樫との対峙の仕方が少し違う とか 布施物の件が違う とか 酒宴の時のやり方が少し違う とか 見た目に分かること、細かいところ少しずつ違っておりました。 筋書きを読みますと、以前に武智歌舞伎のやり方で弁慶をお勤めになったこともおありなので その折のやり方も加味しているように感じました。 全体に感じました事は 富十郎丈・弁慶は、台詞などはサクサクとあっさり軽めに聞こえますが 言っていることが良く分かり、その台詞に思慮や情というような篤みを感じます。 力で見せるという感じではなく練れた芸で見せる弁慶という感じでした。 また、 決まった型で見せると申しますより 心情を掴んで見せていくやり方かと思いました。 今回一度きりの舞台ですから バランスも何も、今回限りなわけですけれど 富十郎丈・弁慶のサックリしたやり方と、吉右衛門丈・富樫の重圧でこってりしたやり方のバランスはどうなのかと ちょっと思いました。 おそらく、25日間の興行でしたら徐々に馴染んでくるのでしょうね。 片しゃぎりを打上げて幕開き 舞台は松羽目、正面に長唄囃子の雛壇 安宅の関 下手お幕から吉右衛門丈・富樫が名乗り座に出ます。 今まで見たどの富樫より手強い感じで この関を越えるのは、巨大な壁を打ち破るような覚悟が要りそうだと思いました。 こう言ってはなんですが・・・弁慶のような骨太で大きい富樫です。(^_^;) 番卒も揃っておりますし 最強の安宅の関です。 詰寄りがどのようになるのか チョッと期待してしまいました。(笑) で、太刀持は梅丸丈でした。(すっかり大きくなって パッと見、誰だか分かりませんでした。) 寄せの合方の後 義経一行が花道から出ます。 四天王も 段四郎丈、染五郎丈、松緑丈、右近丈 と、とても良いメンバーです。 鷹之資丈・義経 ワタクシが思っておりました以上で、とても良いと思いました。 3A席からですと花道の鷹之資丈は、まだ見えないのですが 台詞がしっかりしていて力強いです。 思わず応援してしまいました。(^^ゞ 皆が出そろったところで富十郎丈・弁慶が花道に出ます。 やはり舞台に上がるまで姿は見えません。 義経の「いかに弁慶」の後の「はー」っという第一声、呂の声は重圧 その後「やーれしばらくお待ちそうらえ」からグッと大きさを感じ 「この関ひとーつ」からは、状況を十分に分かった上での覚悟があり 「主を剛力といたして候」の切ない想い ここの台詞がこれほどしっかりと心情を伝えて聞こえたのははじめてです。 台詞そのものはサックリしておりますが 覚悟と説得力、ハラのある大きな弁慶だと思いました。 ようやく義経一行が舞台に上がって ここでようやく弁慶の衣装がいつもの黒地に金の梵字ではないことが分かりました。(^_^;) 富十郎丈・弁慶と吉右衛門丈・富樫が並びますと 富樫の方がメチャクチャ大きく見えまして これじゃぁ絶対に力ずくでは安宅の関は通れっこないよね っと、思ってしまいます。(笑) 吉右衛門丈の富樫、迫力あり過ぎて怖いんですもん。 弁慶と富樫の対峙は はじめの出だしはわりと穏やかで、‘関のことなど関係ない‘というようなそぶりから始まり 関を通さないと言われてからクレッシェンドしてグッと押しが強くなる感じです。 どちらかと申しますとサクサクと進みますが 「言語道断」あたりから「最後の勤めをなさん」まで しっかり押しが強く、思い入れするところの深さはすごいです。 また、祝詞のところで グーッと吉右衛門丈・富樫を見る時の凄み 見た目でなく視線に心情が乗っているような凄みで これだから、富樫が‘もしかしたら‘と思い勧進帳の読上げを要求したように思えました。 勧進帳の読上げは 読みはじめのところで弁慶と富樫が対峙してガッと決まるやり方で 読上げの最中に富樫が覗き込んで、それに気付いた弁慶が勧進帳を引き寄せて決まるやり方ではございません。 内容が伝わるようなサックリした読上げですが 気迫が充実していて重さがあり 吉右衛門丈・富樫との間合に磁石のS極とN極のように反発した力を感じます。 で、ここまでとても良い弁慶なのですが やはり勧進帳の読上げの後で富樫に背中を見せてしまいます。 富樫はまだ通行を許可してはいないのですけれどね。(^_^;) それと 読上げの時に富樫は立ち位置を変えることなく上手に居るので 弁慶はもう少し義経より、下手に居ても良いように思いました。 ここまで、吉右衛門丈・富樫はこってりと重圧な感じですが 出過ぎることなく、引き気味なところが良いと思いました。 ですが、問答の後半 前に出て詰寄り過ぎで 途中で一度、後方(上手)に下がります。 ビジュアル的にもはっきり見えてしまうのですが 今回の舞台は吉右衛門丈・富樫がとにかく大きいので この場をのりきることができたのは 唯一、弁慶の義経への忠臣が富樫に通じたゆえであるということがより鮮明に見えてきます。 実際、舞台も 弁慶の力や勢いではなく、一途に義経を守ろうとする心情が伝わるもので この想いを懐の大きな富樫が受け止めたというように見えます。 鷹之資丈・義経は、偉かったです。 下手よりの居所で しっかりと気を張っていらっしゃったように見えました。 布施物の件は省略で、やれやれという思いで安宅の関を通ろうとするところへ番卒の訴えがあり 再び舞台は緊張いたします。 ここのところ、太刀に手をかけて腰を低くして決まった吉右衛門丈・富樫が超カッコイイです。(@^▽^@) 舞台写真が欲しいくらいです。(笑) 富十郎丈・弁慶は「何、人が人に似たり」から「憎し憎し」のあたりまで 必死さと義経への忠臣と さらに、今回は義経が鷹之資丈という事もあり、包み込むような大きさ暖かささえある思い入れがとても良く伝わります。 ですので この後、余計なことなくそのまま金剛杖を振り下ろしても この場のどうしようもない辛い心情がしっかり見えてきます。 この後の詰寄りは ‘そのように見せる‘っと、いうようなやり方でした。 あの・・・四天王の皆様、とても力がありそうな方ばかりでございまして この四人が詰め寄ったら弁慶は前に倒れてしまいそうな感じでして ここは、そのような感じ っと、いう事で見ました。 金剛杖は順手と逆手の持ち方でしたので 弁慶の心情は‘応戦もあり‘ っと、いうことはしっかり見えます。 吉右衛門丈・富樫に対して力でなく心情で真っ向勝負の弁慶で さすが、これが芸の地力なのだろうな〜 っと、チョッと鳥肌ものでございました。 力強さでは吉右衛門丈・富樫でしょうけれど そこを埋めて余りあるのは心情の篤さなのだと思います。 場が変りまして、‘ついに泣かぬ弁慶も‘のあたり 富十郎丈、足腰がかなり辛そうに見えました。 途中で合引(箱合引でしょうか?)をお使いになられたようでしたが 前のめりに倒れそうで別のところでハラハラいたしました。(^_^;) ですけれど それでも思い入れは十分で 「判官御手を」の後、後退って平伏す弁慶に泣けてきます。 義経への情がとにかく凄いです。 石投げの見得はすっきりと決まる感じで 力みがございません。 酒宴になっても豪快な弁慶と申しますより 品格を感じる弁慶です。 蔓桶の蓋で酒を飲むところはございますが 横に控える番卒を脅す(?)ことはございません。 勧進帳の弁慶を見て品格を感じたのははじめてでございます。 それと、すごいと思いましたのは この場に至っても、富十郎丈の弁慶は富樫に視線を向けて、その様子を気にしているのですね。 気を抜いていないということがしっかり伝わるのです。 あたりまえと言えば、そうなのですが ワタクシなどはともすると、豪快に酒を飲む弁慶に気を取られてしまいまして 勢いで舞台を見てしまいがちなのです。(^_^;) 延年の舞は、‘舞‘でした。 鳥肌ものでございまして 気迫がありグングン押していく感じで、渾身の力を込めているのですが 少しも力み無く、とても綺麗な所作で しっかり踊っていらっしゃるのが分かります。 勢いで乗り切って義経を先に行かせるための延年の舞ではなく 延年の舞として丁寧で品格のある踊りでした。 こういうところ 練れた弁慶だな〜 っと、思いました。 幕切れ前 鷹之資丈・義経は花道七三あたりでほんの少し止まって笠に手をやるやり方でした。 10歳、小学校4年生とは思えないほどしっかりとしていて これからがとても楽しみです。 富十郎丈の花道引っ込み、飛び六法ははじめのところだけしか見えませんでしたが もうめいっぱいという感じでした。 でも、それだからよけいに‘頑張れ〜‘ っと、思いつつ見てしまいました。 (後日、いろいろな方のブログやHPでの感想などを拝見いたしましたら 六方は‘すり足六方‘だったそうです。) 花道引っ込みを見るために、3階では席を立って上手に走って行く人がいらっしゃいました。 また、大向で「まだまだできる」っと、かけ声がかかっておりました。(^_^;) 今回限りの大舞台、これもありだと思ってしまいました。 |