2009年04月05日・19日       もくじへ戻る トップページへ戻る 
    歌舞伎座 夜の部   三階B上手よりの席

  *彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち) 毛谷村
    一幕

  *夕霧伊左衛門 廓文章 吉田屋
    竹本連中
    常磐津連中

  *曽根崎心中
    一幕三場




彦山権現誓助剱 毛谷村
 毛谷村六助:吉右衛門
 お園:福助
 お幸:吉之丞
 微塵弾正 実は 京極内匠:歌昇
 杣斧右衛門:東蔵


  あらすじはこちらでどうぞ







夕霧伊左衛門 廓文章 吉田屋
 藤屋伊左衛門:仁左衛門
 扇屋夕霧:玉三郎
 太鼓持豊作:巳之助
 番頭清七:桂三
 阿波の大尽:由次郎
 吉田屋女房おきさ:秀太郎
 吉田屋喜左衛門:我當


  あらすじはこちらでどうぞ







曽根崎心中
 天満屋お初:藤十郎
 平野屋徳兵衛:翫雀
 天満屋惣兵衛:竹三郎
 手代茂兵衛:亀鶴
 油屋九平次:橋之助
 平野屋久右衛門:我當


  あらすじはこちらでどうぞ






☆「毛谷村」は1786年初演の人形浄瑠璃「彦山権現誓助剣」・全11段の9段目です。
全体のおおまかな流れがコチラの感想欄に書いてございますのでよろしければご参考くださいませ。





○5日の感想など


修羅囃子の下座で幕開き 舞台は六助の住居 六助と微塵弾正の剣術の試合から舞台は始まります。

吉右衛門丈・六助は、優しくて人の良い雰囲気がわざとらしくなく見えて さらに、チョッとチャメッケがあるところが良いと思います。
山賤と言いつつ粋な感じもある六助です。
わざと試合に負けた後 額を割られたにもかかわらず、弾正を見送る姿に人柄の暖かさがあり また、母親を想う心情がしみじみと伝わります。

お幸を招き入れた後の緩急のあるやり取りも より六助の懐の大きさを感じさせます。
で、鶯に聞き入る姿に風情がございまして 六助の穏やかな人柄が伝わるようです。

弥三松との件もほのぼのとしていますし 段取りも良いと思いました。
可愛い子役ちゃんですが(笑) 安心して見ていられました。(^^ゞ
はじめのところで 六助のキャラクターを見せて、それが始終しっかりと定着しているところなどは やはり練れているのだろうな〜 っと、思います。

お園が舞台に出てから 二重で子供を抱えたお園と床の六助、上下の見得も大きく決まります。
ここも、決まるまでにいろいろ段取りがございますが チャメッケがあり流れもスムースでリズミカル 見ていておもしろいです。

後半になり お園との件は、暖かみの感じられる楽しげなところですが 実は弾正が敵の京極内匠であったことが知れたところ「ふかいところにはめおったな」あたりから 京極内匠に対して、もっと迫力のある怖さが見えても良いような気がいたします。
あくまでも‘人の良い、優しい‘六助が続きまして それはそれで良いのですが 庭石を踏込む(踏み潰す)ほどの怒りなわけですので 見せ方として、もっとゴッツイ怖さが爆発するように見えるとお話の流れにより緩急がつくと思います。
とても良い六助ですが 舞台が一色に見えました。
幕切れ前 与三松・子役ちゃんを抱きかかえての決まりはすごく大きかったです。



対する福助丈・お園は 舞台上手竹本の出語り、葵太夫のオキから花道の出になります。
出のところから木戸口を入るあたりまで意識したような太い声での台詞ですが、ここはそれほど気になりませんでした。
気を張っている様子も伝わり、余計な事もなくしっかりしていて 後の展開と上手く緩急をつけていると思いました。
ですが、山賊と思いこんでいた相手が六助と知れてからがイマヒトツに感じました。
糸に乗っての動きになるのですが どうしてあのようにクネクネしてしまうのでしょうね?(^_^;)
出だしとの違いを出し、可愛らしく恥らう様子を見せる っと、いう事なのかもしれませんけれど どうもそのようには見えません。
はじめがきっちりとしておりましたので、無理にネチネチクネクネしなくてもいいような気がいたします。
吉右衛門丈の六助と雰囲気が合いませんし、ぶりっ子過ぎるので もう少し加減があってもいいように思いました。(^_^;)

今回はお園のクドキに絡みのある演出でした。
見た目は派手になるのですがバタついてしまいまして マッタク私の好みですが(^^ゞ 絡みの無い方がイキが詰まっていて好きだったりいたします。(笑)

後半、物着の合方(毛谷村の場合は特に‘毛谷村物着‘というそうです)で着替える六助を手伝うところや 幕切れ前に紅梅を渡すあたりは しっかり者で気遣いのある雰囲気で良いと思いました。
途中のナヨッとするところ以外は良いお園だと思います。



東蔵丈・杣斧右衛門はさらっと軽めで 滑稽味がありますが、加減が良く品がございます。
所作が綺麗で これだけではもったいない感じです。
また、ここまで続いた舞台のおおらかな雰囲気を途切れさすことなく上手く後半に繋げていると思いました。

歌昇丈・弾正はガッシリと骨太で それが違和感なく自然です。
お話の始まりですので すんなり入れて良いのですが これだけなのはもったいないような気もいたします。(^_^;)

吉之丞丈・お幸は少し足元が弱くなっていらっしゃるようにも見えましたが 品格十分で武芸者の後室としても存在感があります。





○19日の感想など


夜の部はこの舞台が5日と比べて一番変化があったように感じました。
まず、吉右衛門丈・六助 後半の盛り上がりが大きくなっています。
「深いところにはめおったな〜」から「覚えておれ〜!」の台詞がグ〜っと大きく深くなっておりました。
で、ここでクレッシェンドして そこから庭石を踏込んで決まりますが ここも押しのある感じで舞台が盛り上がります。
また、幕切れ前のノリの台詞もグンっと大きくなっています。
吉右衛門丈・六助が台詞に押しがあり、決まりが大きいので 特に後半の舞台がひときわ大きく感じました。

福助丈・お園も5日より良かったと思います。
六助が許婚と知れた時の糸に乗っての動きも加減が出て可愛らしくなりクネクネが減っていました。
絡みのあるクドキもそれほどドタバタでなく 動きの柔らかい、決まり決まりに艶がある可愛い感じに見えました。
あと、尺八と火吹き竹を間違えた時の笑いがクドイと思いましたので ここの加減が良くなると良いように感じました。

東蔵丈・斧右衛門、5日より情があると思いました。
沈みすぎず、軽すぎず 品があって情があるようでした。











☆「廓文章」は 近松門左衛門作、1712年初演の人形浄瑠璃「夕霧阿波鳴渡」の上の巻「吉田屋」を脚色した舞台で 「九軒吉田屋の段」と「扇屋内の段」を繋ぎ合わせて子供抜きで軽めにした様な舞台です。

「夕霧阿波鳴渡」のあらすじがコチラの感想欄に書いてございますのでよろしければご参考くださいませ。





○5日の感想など


幕開き舞台は吉田屋の見世先 お大尽の餅つきの件の後、上手に竹本3挺3枚 花道から面明かりで仁左衛門丈・伊左衛門の出になります。
相変わらず3B席では、花道は七三でようやく上半身が見える程度ですが、線の細い艶のある風情が良く 舞台に上がってからは扇で暖簾を開ける様子にハンナリとした艶があり それでいて、顔を見せて扇を開く時のパッとしたキレの良さがとても良いです。
底抜けにあっけらかんとしたボンな感じです。

道具代わりで舞台が座敷に変ります。
上手よりに座した仁左衛門丈・伊左衛門、はじめは大きな動きもございませんが 台詞も含めて風情が良く存在感がございます。
「七百貫目の借銭負うて」のところ ボンだけれど、しみじみとして格があり ただの脳天気ではない篤みがございます。
たぶん、この品格と篤みがあるゆえ ボンな雰囲気が活きてくるのでしょうね。

また、今回この場は松嶋屋のご兄弟お三人が舞台に並びまして なんだかとても得したような気分になりました。(笑)
それぞれのお役が三兄弟にぴったりな感じなのですね〜。(爆笑)
我當丈・喜左衛門の情のある優しい感じ 秀太郎丈・おきさの洒脱な感じ 共にお二人ならではの舞台だと思います。

それにいたしましても・・・あの襖を使ったチョコチョコ歩きの遠近法、一番はじめに思いついた人は天才ですね。(笑)
ああいう演出がOK.な歌舞伎って大好きです。

この後、上手竹本から下手下座で「>可愛い男に逢い坂の」、地歌「所縁の月」になります。
舞台に一人残る伊左衛門が艶っぽくて風情が良く 歌詞どおり‘可愛い男‘です。


下手奥、常磐津が出て上手の竹本と掛け合いになるところから玉三郎丈・夕霧の出になります。
懐紙で顔を隠して舞台前面に スッと顔を見せた時の綺麗なこと! さらに、‘雪持ちの梅‘の衣装がスゴク良いです。
夕霧は控えめで前に出るようなお役ではございませんけれど 玉三郎丈の夕霧は風情がり、特別何をするのでは無く存在感がございます。
とてもいじらしいと申しましょうか そんなにいじめちゃかわいそうと申しましょうか そのような感じです。
お役の心情に‘雪持ちの梅‘がぴったりです。

で、しばらく伊左衛門と夕霧のだけの舞台になるのですが 仁左衛門丈の可愛いボンの伊左衛門と玉三郎丈のまったりな夕霧で甘い空気の舞台です。
香り立つような舞台なのです。
舞台中央で上手側に伊左衛門、下手側に夕霧 向き合って常磐津に乗っての所作などとても艶っぽくて良いです。
絵になる伊左衛門と夕霧です。
お二人の雰囲気がとても良いので このまま夕霧のクドキもお二人のまま見たいのですが 松嶋屋の型はここで太鼓持が出ます。
巳之助丈の太鼓持で もう、仁左衛門丈と玉三郎丈の間でメイッパイ頑張っていらっしゃるのが分かり 一人、ぴりぴりした雰囲気が伝わります。(笑)
三人並んで文を持ったり、全体の所作は派手で面白く 仁左衛門丈と玉三郎丈のイキも合っているので、間に太鼓持が入っても違和感はございませんけれど 夕霧が玉三郎丈なので そのまま玉三郎丈のクドキで見たいと思ってしまいます。(^^ゞ


幕切れは、伊左衛門の勘当が許されて賑やかに終わるわけですが ここの玉三郎丈・夕霧の衣装が素晴らしいです。
‘赤地に鳳凰と牡丹‘の衣装なのですが これが、ライトに照らされてキラキラ光ってすごく美しいです。
夕霧の想いをそのままイメージとして視覚的に見るようです。
夕霧はキャラクター的に控えめなのですが 玉三郎丈の場合は衣装によるインパクトが大きく、舞台を見終わっても強く印象に残ります。
今回の衣装、‘雪持ちの梅‘と‘赤地に鳳凰と牡丹‘は先ごろ発売になった‘和楽ムック「すべては舞台の美のために」‘に写真が掲載されておりますが 実際に舞台で拝見いたしますと、さらに美しく素晴らしいです。
特に、‘赤地に鳳凰と牡丹‘の衣装はライトに映えて 刺繍の金糸だけでなく、地色も光っているように見えます。
この一幕、舞台で活きる衣装を見るだけでも価値があるような気がいたします。





○19日の感想など


この舞台は もう、言う事ないです。(笑)
仁左衛門丈・伊左衛門はハンナリした艶があり、明るく可愛い男です。
一つ違うとあざとく見えるような可愛さですが それが少しもヘンに見えません。
基礎にある品格がしっかりしているからだと思います。

松嶋屋のお三人、それぞれの風情がぴったり合っています。

玉三郎丈・夕霧のしっとりした風情が良く なにより可愛いです。(^^ゞ
仁左衛門丈・伊左衛門と絵になります。
また、昨日も幕切れ前の‘鳳凰と牡丹‘の衣装に客席からジワがあがっておりました。











☆「曽根崎心中」は 近松門左衛門作、1703年初演の世話浄瑠璃ですが、上演が途絶えておりまして 現行の舞台は1953年(S28)に宇野信夫脚色・演出で復活上演された舞台です。
今回の舞台も復活上演時と同じく藤十郎丈がお初をお勤めです。





○5日の感想など


で、今月は好きな演目が並びますが 昼夜通しでこれだけ見応えのある舞台が続きますと、さすがに疲れまして(^_^;) この一幕はさっくり見てしまいました。


藤十郎丈・お初は可愛らしく初々しささえ感じられます。
3B席から見ておりますので、細かいところが気にならないという事もございましょうけれど ‘生玉神社の場‘でのお初などは、まったく実年齢を感じさせません。(^^ゞ
さらに、‘天満屋の場‘では 一途な想いゆえの強さがとてもよく伝わります。
いろいろと言い立てる九平次と徳兵衛の間に入って 命がけの一途な強さが、少しもあざとくなく見えてきます。
舞台面の動きは大きくはございませんが この場のお初の激情がよく分かり 後の展開に活きてきます。
階段から落ちる様に、‘これじゃぁ見つかるだろう〜‘ っと、思いつつ(笑) それでも‘早く逃げ出せ〜‘ などと、すっかり引き込まれてしまいます。
舞台のテンポが良く、転げ落ちるようなお初と徳兵衛のなりゆきに引き込まれるのだと思います。
この勢いは‘曽根崎の森‘まで続くのですが 幕切れ間近、少し長く感じました。
しみじみと二人の心情を見せるところなのですが すみません、私が疲れてしまいました。(^_^;)
次回、もう一度 夜の部だけ見にまいりますので その折はもう少しゆっくり見てまいりたいと思っております。


対する翫雀丈・徳兵衛は真面目でまっすぐな優しい好青年の感じで これが一貫して幕切れまで活きていると思います。
っと、申しますか それゆえ行き着く先が‘曽根崎の森‘なのでしょう。
ですが、新劇風で歌舞伎味は薄いかもしれません。
この舞台に関しては そのことに違和感を感じませんでしたので これはこれで良いのだと思うのですが もっとハンナリとした風情の徳兵衛も・・・私は(二)鴈治郎の舞台を見ることができませんでした・・・見てみたいと思いました。


ほか、我當丈・久右衛門の懐の深い暖かい雰囲気 橋之助丈・九平次の小骨のあるような小ずるく悪い感じ 竹三郎丈・惣兵衛のさりげない思いやりのある風情などが良いと思いました。





○19日の感想など


藤十郎丈・お初は お役の年齢らしく オキャンで可愛く見えます。
翫雀丈・徳兵衛は、歌舞伎味は薄いですが このお役の真面目な感じはよく伝わります。
で、‘生玉神社境内の場‘での野次馬 どこかで似たような舞台を見たな〜 っと、思ったのですが 雰囲気が‘野田版 研ぎ辰‘に似ているのですね。(^^ゞ
そうか〜、あれは目新しい事ではなかったんだな〜 っと、思ってしまいました。
それと、もしできれば 違う配役で、この舞台を見てみたいと思いました。








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