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| 歌舞伎座 夜の部 三階B中央・三階B上手の席 |
*倭仮名在原系図 蘭平物狂(らんぺいものぐるい) (やまとがなありわらけいず) 一幕 *歌舞伎十八番の内 勧進帳 長唄囃子連中 *三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場 一幕 |
倭仮名在原系図 蘭平物狂 奴蘭平 実は 伴義雄:三津五郎 在原行平:翫雀 水無瀬御前:秀調 一子繁蔵:宜生 与茂作 実は 大江音人:橋之助 女房おりく 実は 妻明石:福助 第一場 在原行平館の場 舞台は行平の館 病に臥せる行平を元気付けるため 水無瀬御前の命により、奴蘭平は松風に似たおりくと、夫の与茂作を連れてやって来ます。 蘭平が水無瀬御前におりくと与茂作を引き合わせているところへ 行平が現れ、おりくを松風と思い込み傍らへ呼び寄せます。 折りしもここへ、捕らえた曲者が逃げ出したという知らせがあり 行平は蘭平の子・繁蔵に曲者を捕らえるよう命じます。 我が子を案じる蘭平は、自らが代わって曲者を捕らえると言うのですが 蘭平には刃物を見ると乱心するという奇病があることから 行平は蘭平の申し出を聞き入れず 繁蔵が曲者を捕らえに行きます。 与茂作と水無瀬御前がこの場から去ると 行平はおりくを側近くに呼び、蘭平に松風に与えた形見の烏帽子と狩衣を持って来るように命じます。 しかし繁蔵を案じる蘭平は、行平の言葉も耳に入りません。 蘭平の不忠に怒った行平は、太刀を抜いて蘭平に斬りかかろうとするのですが 刃物を見た蘭平は、奇病が現れ乱心して烏帽子と狩衣を手に踊り始めます。 しばらくして正気を取り戻した蘭平は行平に詫び 行平は奇病の蘭平を不憫に思い許し、この場を下がらせます。 二人きりになった行平が、おりくに琴の演奏を所望するところへ 蘭平がみごと曲者を討った繁蔵を連れて戻って来ます。 行平は繁蔵の働きを褒め、繁蔵を武士に取り立てます。 蘭平は我が子が武士に取り立てられたことを喜び 繁蔵は休息のためこの場を去ります。 すると様子を窺っていた与茂作が行平に討ちかかってきますが 蘭平がこれを捕らえます。 与茂作は行平に父親を討たれた遺恨を晴らすために討ちかかったと明かしますが 行平は覚えが無いと言い、自らは禁裏の重宝探索の役目があるゆえ蘭平に代わって与茂作と勝負するよう命じ おりくと共にこの場を去ります。 一度は奇病を理由に勝負を辞退した蘭平でしたが、行平の命とあって与茂作と勝負します。 しかし奇病は起こりません。 さらに与茂作が天国の名刀を持つと知ると 自らは、御位争いで行平に討たれた伴実澄(ばんのさねずみ)の子・伴義雄で 父の敵を討つため在原家に奉公していると話します。 天国の名刀は、父・伴実澄が形見として我が子に残した物で それを所持する与茂作は生き別れた弟で 蘭平は再会できた事を喜びます。 蘭平と与茂作は 父の敵、行平を討とうとこの場を去ります。 第二場 在原行平館奥庭の場 舞台は行平館の奥庭 行平を討とうと企てた蘭平でしたが、捕手に囲まれてしまいます。 蘭平が捕手を振り払いながら繁蔵を案じて行方を捜すところへ、行平一行がやって来ます。 行平の病は仮病で また、与茂作も実は禁裏の重宝を探す大江音人で 弟と偽ったのは蘭平の本心を探るためでした。 事実を知った蘭平は、なおも争いますが ここへ繁蔵が蘭平を捕らえるために現れます。 しかし繁蔵は父・蘭平に縄をかけることができません。 蘭平もまた繁蔵を斬ることができず ついに隠し持っていた禁裏の重宝を繁蔵に渡し、手柄にするよう言います。 行平は禁裏の重宝を取り戻した繁蔵を褒め、伴家再興を約束します。 蘭平は行平の情けに感謝し、後日の再会を約束するのでした。 歌舞伎十八番の内 勧進帳 武蔵坊弁慶:吉右衛門 源義経:梅玉 亀井六郎:染五郎 片岡八郎:松緑 駿河次郎:菊之助 常陸坊海尊:段四郎 富樫左衛門:菊五郎 あらすじはこちらでどうぞ 三人吉三巴白浪 大川端庚申塚の場 お嬢吉三:玉三郎 和尚吉三:松緑 夜鷹おとせ:新悟 お坊吉三:染五郎 あらすじはこちらでどうぞ |
☆「蘭平物狂」は 浅田一鳥、浪岡鯨児ほかの合作、1752年初演、全五段の時代浄瑠璃「倭仮名在原系図(やまとがなありわらけいず)」の四段目にあたります。 文楽での上演は途絶えてしまい 四段目の「行平館」(通称「蘭平物狂」)だけが歌舞伎に残りました。 1953年(S28)、(二)松緑が新たに構成しなおし、立ち回りに工夫を加えた演出が現行の舞台になっています。 全体のお話は 在原行平と松風、村雨の恋物語 惟喬(これたか)親王と惟仁(これひと)親王の御位争いの後日談 この二つを織り交ぜた流れになっています。 恋物語は蘭平の真意を探るための策略として描かれ 蘭平は実は、御位争いで行平に討たれた伴実澄(ばんのさねずみ)の子息・伴義雄(ばんのよしお)として描かれています。 また、与茂作も実は、小野篁(たかむら)の家臣・大江音人です。 (惟喬親王は、惟仁親王を推す藤原氏のために朝廷を追われます。行平兄弟や小野篁は惟喬親王側です。) 通しで上演されるのではなく また、‘実は○○‘という設定が多いので 舞台だけを見ていても全体の流れが分かり辛い内容かもしれません。 鼓の入った下座で幕開きで第一場、行平館 上手は竹本二挺二枚、板付きで奴の台詞から状況が分かります。 何気ない台詞に、どことなく古風な雰囲気が感じられるのは菊十郎丈です。 竹本のオキで舞台二重中央奥から秀調丈・水無瀬御前の出 三津五郎丈・蘭平は竹本のヨビで花道から出ます。 三津五郎丈は黒地に菖蒲の繻子奴の衣装(菊畑の知恵内と同じです)です。 この後、花道から福助丈・おりくと橋之助丈・与茂作 翫雀丈・行平が舞台二重奥から出て千畳敷になります。 舞台に皆様が出そろったところで 捕らえた曲者が逃げたと近習の知らせがあり、蘭平の子・繁蔵が追手に差し向けられます。 宜生丈・繁蔵が、元気で可愛いので(^^ゞ 場内の雰囲気が和んだところで 宜生丈・繁蔵は花道から引っ込みます。 ここの宜生丈 お父さん蘭平と主の行平の間に挟まれて困った感じが可愛くて また、蘭平と仲の良い親子の雰囲気があり(あかんべ〜、のいたずら坊主っぽい雰囲気が可愛いです) 頑張れ〜 っと、応援しながら見てしまいました。(笑) で、鳥屋に向かう宜生丈を見る舞台のお三人 三津五郎丈、福助丈、橋之助丈の視線がどことなく心配そうで優しいです。(^^ゞ 三津五郎丈・蘭平は、この場を立ち去った繁蔵を案じて花道付けに座し 翫雀丈・行平と福助丈・おりくお二人が舞台二重に残ります。 ここで、蘭平が繁蔵を案じるあまり行平の命に従わず 怒った行平が刀を抜いたところから 刃物を見ると乱心する奇病を持つ蘭平の踊りになります。 初日はここで意識朦朧状態になりまして(^_^;) 眼目の踊が途切れ途切れしか記憶にございませんでした。 ですので、ここは22日の観劇から感想など書かせていただきます。m(__)m 上手竹本から下手下座に代り、ここから烏帽子と狩衣を持って三津五郎丈・蘭平の踊りになります。 狂言の中での踊りですから、時間的には短いですが 所作のキッパリしたところももちろん、メリハリのある踊が良いと思いました。 ふわっとした狩衣の袖を上手く捌く所作の綺麗なところ、福助丈・おりくの手拭を被ったところのワリ身の艶と面白味(これなど、時間的にはとても短いですが すっと見える面白味がとても良いのです)、チョッと滑稽味のある奴らしい軽妙な感じ、竹本と下座に合わせて時代にゆったりきっぱりしたところ(「ぞいな、ぞいな」と合の手のような歌詞の前後です)、扇を手にした時の腰の決まった感じ などなどが良いと思いました。 とにかく、踊りわけが上手いです。(^^ゞ この後、繁蔵が武士に取り立てられる件と 蘭平と与茂作が兄弟と知れる件の後 網代幕で繋いで次の奥庭の場になります。 で、ここが長いです。(^_^;) 初日に見ました時は 何かあったのかしら? っと、思うほど長く感じれ 22日に見ました時は、意識が遠のきそうになりました。(笑) 網代幕を振り落とすと 板附で三津五郎丈と絡みの捕手 ここから後半の立ち回りになります。 大きくて迫力のある立ち回りですが アクロバティックな感じではなく 一つひとつがきっちり決まって見せてから次に進むような、歌舞伎らしい立ち回りです。 テンポとしては遅めかもしれませんが たぶん、これが時代物の立ち回りのリズムなのだと思います。 前半は梯子、後半が棒をお使いでしたが 梯子は、それ自体が大きいので これを大人数で振り回しているだけでも 大丈夫かしら? などと思ってしまいます。(^^ゞ 8人返り越し 屋根、燈籠、舞台への返り落ち 花道梯子のテッペンでのギバ すみません、お名前がわかりませんがカッコよかったです。 三津五郎丈は立ち回りの決まり決まりをしっかり見せていくところももちろん良かったのですが 心情的にも中身の濃い、篤みのある蘭平でした。 繁蔵の身を案じて名を呼ぶ蘭平が切なく思えます。 ‘実は‘の重なる展開に 息子・繁蔵と敵討ちとの間に挟まれて あまりにも、真面目で一生懸命で なんだか可愛そうに思えてくるのです。 様式的で 一見、見た目の立ち回りが目を引くように思えますが それ以上に、父親としての繁蔵への想いがとてもよく伝わりました。 で、幕切れ前は 宜生丈・繁蔵を見る橋之助丈の視線が暖かでした。(^。^) 全体には ‘実は‘の多いややこしいお話ですが、時代浄瑠璃らしい形式的でゆっくりとした舞台運びで さらに、大きさ迫力のある舞台でした。 後半の立ち回りは、生の舞台ならではの緊張感や迫力を感じます。 22日の観劇の時は初日よりグッと流れが良くなり、立ち回りは迫力倍増という感じでした。 三津五郎丈は前半の軽妙さと後半のしっかり感のバランスが良く かつ、決まりがキッチリと綺麗です。 立ち回りは 一つひとつ丁寧に決めて見せていく感じで 時代物らしい大きさのある立ち回りです。 また、争いの最中に息子を案じながら名を呼ぶところは 父親の情を感じます。 宜生丈の頑張りも良いと思いました。 ☆「勧進帳」は1840年初演、能の「安宅」をもとにした松羽目物舞台で歌舞伎十八番の一つです。 片しゃぎりで幕開き 舞台は松羽目、長唄囃子のひな壇に八挺八枚 安宅の関 下手お幕から菊五郎丈・富樫が名乗り座に出ます。 これからの舞台の格を見せる大きさがあり 物静かな感じですが品格のある富樫です。 太刀持は梅丸丈 少し前まで、丸っこい感じでしたが 輪郭がすっきりとして背も高くなりました。(^^ゞ 寄せの合方の後 「>これやこれ 行くも返るも」っと、なって 花道から義経一行の出になります。 梅玉丈・義経「いかに弁慶」の台詞に 一見、線の細そうな感じが そうではなく、一本骨太な芯のある御大将な品格と大きさを感じさせます。 ワタクシ、最近の義経では一番好きな義経でございます。(^^ゞ これを受けて吉右衛門丈・弁慶の「は〜」っと、いう一言 これが、もう鳥肌物の深さ大きさです。 また、ここから続く台詞ですが 22日観劇の折には、「この関ひと〜つ」っと始まる台詞が 深くて説得力があり、とても良かったです。 大きくて頼もしい雰囲気が伝わりまして これだから、義経は弁慶に先を託すのだろうな〜 っと、思わせます。 ここ、3B席からでは姿が見えないのですね。 なので こういう雰囲気はハラ一つで伝わるのだと思います。 で、ここから舞台に上がる吉右衛門丈・弁慶ですが 気迫と申しましょうか、確固たる意思の表れでしょうか とても大きく また、富樫を見る視線に 怖いくらいの迫力がございます。 富樫に呼び止められた後 「最後の勤めをなさん」の台詞の後 菊五郎丈・富樫を見る時の視線の怖いことったら 3階で見ておりましても、スゴイ迫力です。 ですが、菊五郎丈の富樫は この弁慶を冷静に受け止めます。 良い対照だと思いました。 弁慶が勧進帳を読む時も 上手よりに位置したままで、弁慶に近付いて覗き込むような事はございません。 実際に距離を移動するのではなく ハラで意識を弁慶の持つ勧進帳に向ける感じなので お二人の距離があります。 なので 義経を意識したそれぞれの立ち位置が決まり 居所が良いと思いました。 これは初日も22日も同じ様でしたが 22日の方が吉右衛門丈の立ち位置が、幾分下手よりで より義経に近い感じでした。 弁慶と富樫の距離が近くなることなく バランスの良い舞台面だと思います。 これが、「勧進帳」の舞台面なのですね。(^^ゞ ですけれど初日に見ました時には 富樫が弁慶に詰め寄るように勧進帳を覗き込まず、距離があるので 勧進帳を覗かれそうになったところで決まる「天地人の見得」が、わりとさりげなくあっさりと感じました。 ですが、22日に見た時に 舞台全体の流れの中では この場の決まりは、これでピッタリなのだと思いました。 後に書きますが この舞台は、これまで私が思い込んでおりました「勧進帳」の雰囲気とは違っておりまして 初日には、それに気付かなかったのでした。(^_^;) 吉右衛門丈・弁慶が勧進帳を読み上げる時の 富樫を意識した怖いくらいの緊張感と迫力のある台詞がとても良いです。 読み終えて勧進帳を右手に決まる「不動の見得」は大きくて豪快です。 勧進帳読上げに続いて問答になるのですが 初日も22日も共に、ここで吉右衛門丈・弁慶が富樫に背を向けます。 勢いでもっていく舞台ですと、あまり気付かないのですが 今回のように冷静な舞台ですと 富樫が関を通って良いと言っていないにもかかわらず、なぜ弁慶はこの場を去ろうとするのか不自然に見えました。 で、背を向けた弁慶に富樫が「事のついでに問い申さん」っと、問いかけの台詞になります。 この時、弁慶が背を向けているので ‘え!?まだ、あるの?‘ っと、いうような雰囲気になるのですね。(笑) 初日に見ました時には 吉右衛門丈・弁慶の硬質感を受け止めるのに 菊五郎丈の富樫は柔らか過ぎるかもしれないと思いました。 吉右衛門丈・弁慶のハラのある重圧な応えを受けとめる菊五郎丈・富樫の大きさはさすがだと思いましたし 品格、深みのある富樫なのですが 問答の時のお互いにたたみ掛けるような、コンコンコンっと硬質感のある緊張感はイマヒトツでした。 っと、申しますか そういう問答が「勧進帳」の問答なのだと思っていたのでございます。 ですが、違うのですね。 22日に舞台を見まして 感激してしまいました。(笑) 目から鱗 見ておりまして、あ〜!そうか〜 っと、思いました。(^_^;) 菊五郎丈の富樫は、たたみ掛けるような聴き方では無く、じっくりと聴いて 吉右衛門丈・弁慶は、それに重圧に応えているのです。 落ち着いた大人の富樫と弁慶で 勢いでコンコンコンっとリズミカルに持っていくのではなく 一つひとつをじっくり重く、しっかり確認するような問答で 菊五郎丈・富樫は理性のある問いかけをしているのです。 慌てず騒がず冷静に相手を見きわる富樫なのですね。 対する弁慶も重みがあり 一つひとつ丁寧に答え説明し 感情や勢いではなく、義経への忠義から駆け引きで富樫に対するのがよく分かります。 このような雰囲気、流れの舞台なので 勧進帳読上げの時も覗き込むように富樫が弁慶に近付くこともなく それゆえ‘これでもか‘のような「天地人の見得」にもならなかったのだと思いました。 舞台全体に品格のある大人な「勧進帳」です。(^^ゞ 一難さってまた一難 っと、いう感じで 富樫に呼び止められた強力、義経を逃がすために金剛杖での打擲となります。 今回の舞台では この場面に至るまで、立ち位置を含め、富樫の「判官に似たりと申す者の候ほどに」の台詞を聞いた時のハッとしたところから「なに、判官殿に似たる強力めは」っと、間近まで 吉右衛門丈・弁慶の思い入れがしっかり伝わるので 金剛杖を振り上げてから視覚に訴える所作が無くても、十分に心情が伝わります。 さらに、この場の梅玉丈・義経が ただ座っているだけなのですが とても存在感がございまして 今の状況に対する悲哀のようなものを感じます。 上手いと思いました。 詰め寄りの時の金剛杖の持ち方は 四人を抑える時は逆手 その後の富樫と対する時は片手のみ逆手でした。 今回は四天王が良いですし・・・っと、申しますか 四天王はこれから後に弁慶をお勤めになるような役者さんがお勤めになるお役という事らしいので 今回のようなメンバーが本来の四天王なのかもしれません・・・舞台が一気に盛り上がるのはもちろんなのですが それでも、外さない品格がある舞台でした。 勢いがあるのに浮き足立ったようなザワザワしさがない舞台・・・上手く書けませんが、そういう感じです。(^_^;) 今回の「勧進帳」は四天王、番卒、太刀持にいたるまで 大きな舞台だと思います。 で、この後の吉右衛門丈・弁慶の開き直りのような台詞「但し、これにて打ち殺し見せ申さんや。 」から「只今疑いありしはいかに」の迫力のスゴイこと。 菊五郎丈・富樫のチョッと高音の台詞「士卒のものがわれへの訴え」 これが、‘そんなに言わなくっても〜‘っと言う感じで(笑) 「早まり給うな」のところは完全に弁慶の心情、大きさに動かされたとこが分かります。 富樫が上手に入る前の思い入れは、良い形でクッと上向いてそのまま臆病口に入ります。 大袈裟な感じではないのですが 姿の粋な感じが菊五郎丈らしい富樫です。 場面が変わって義経が上手に出ます。 梅玉丈・義経、御大将の品格があり さらに、哀れさのようなものを感じます。 それと吉右衛門丈の弁慶と主従としてのバランスが良いと思いました。 また、弁慶の石投げの見得が豪快です。 再び富樫が舞台に出て酒宴となりますが この場の弁慶は吉右衛門丈ならではの愛嬌のあるオチャメな(笑)弁慶です。 それでいて気の張りが感じられ緊迫感は持続します。 延年の舞もこの状況下で緊張感の中に踊られる舞という事では十分に見応えがあると思いました。 弁慶の合図で義経一行が花道からの引っ込みになります。 このところは梅玉丈・義経の花道付けでの一瞬が良いです。 付けで立ち止まって笠に手をやる瞬間、弁慶と富樫への感謝の想いがサッと伝わります。 ここに至ってもなお格の大きさを感じさせられる義経です。 吉右衛門丈・弁慶は花道へ、富樫は舞台中央で決まって幕になります。 ここの菊五郎丈・富樫 初日に見ました時には、大きく決まりますが、とても静かで柔らかな雰囲気に感じました。 ですがそうではなくて 22日に見ました時に感じたのですが 現状も、これからも全て覚悟した心情と申しましょうが 悟ってしまった故の覚悟の落着きと申しましょうか 決意と申しましょうか そのような心情を持った富樫なのだと思いました。 吉右衛門丈・弁慶は幕外になります。 舞台、富樫への一礼の後 場内を見渡すようにして一礼となります。 富樫への一礼 22日は素晴らしい思い入れで 富樫への感謝が伝わりました。 で、場内を向いての一礼は 私は、ここで場内を見渡すやり方はあまり好きではないのですが 今回は‘さよなら公演‘という事もございましてOK.だと思いました。 天に向かって っと、申しますより 歌舞伎座に向かって っと、いう感じに思えました。 六法は豪快で、感傷的な想いを吹き飛ばすようです。(^^ゞ 初日は中央の席でしたが22日はオモイッキリ上手でしたので幕外の六法が見えました。(^^ゞ 骨太で迫力があり力強く大きいです。 見終わって、とても良い気分になれる六法でした。 ☆「三人吉三巴白浪」は 黙阿弥作、「三人吉三廓初買」の外題で1860年に初演された舞台です。 しばらく上演が途絶えていたそうで 現行の「三人吉三巴白浪」は明治後期の再演以降使われている外題だそうです。 今回は三人吉三が出会う「大川端」のみの上演になります。 通しでの流れはこちらにございますのでよろしければご参考くださいませ。 っと、いう事で ほんのサワリの部分のみの上演ですので それほどシッカリした感想はございません。(^^ゞ とりあえず、大好きな玉三郎丈のお嬢吉三が可愛いな〜 っと、思いつつ見ておりました。 初日は玉三郎丈・お嬢吉三のチョッと甘ったれな台詞が嬉しかったです。 22日は普通でした。(笑) 特に、花道でのおとせとの会話をニヤニヤ笑いで聞いてしまいました。(^^ゞ 厄払いの台詞は、玉三郎丈ならではの言い方でございまして 粋でキッパリを望むとダメかもしれません。(笑) ですが、ワタクシは玉三郎丈・お嬢吉三の‘無理に大人ぶっているだろ〜‘、みたいな 今時の高校生風な感じが好きでございまして これはこれで良いと思いました。(^^ゞ 完全に好みの問題かと思います。 染五郎丈・お坊吉三はスッキリしていて良いと思いましたが 艶っぽさが足りないかもしれません。 松緑丈・和尚吉三が一番世話な感じです。 台詞のキッチリとした感じ、七五調の流れの良さ それと、何と申しましょうか・・・雰囲気が良いと思いました。 実年齢の若さから 和尚吉三にしてはまだ軽いかもしれませんけれど これからが楽しみだと思います。 それと、新悟丈・おとせが頑張っていたと思います。 |