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| 国立大劇場 11:30開演 三階上手よりの席 |
*歌舞伎十八番の内 象引(ぞうひき) 一幕 *十返りの松(とかえりのまつ) 筝曲連中 囃子連中 *ヲ競艶仲町(いきじくらべはでななかちょう) 四幕六場 |
歌舞伎十八番の内 象引(ぞうひき) 箕田源二猛:團十郎 豊島家息女弥生姫:福助 豊島家後室愛宕の前:家橘 豊島家一子葵丸:巳之助 大宮隼人:亀寿 松原段平:亀三郎 堀河勘解由:市蔵 生津我善坊:橋之助 大伴大臣褐麿:三津五郎 舞台は武蔵国、豊島家の館 嫡子・葵丸の家督相続を前にして、相続に必要な八雲の御鏡が怪しい獣に奪われてしまいます。 どうやら、御鏡を奪ったのは 帝に献上され、逃げ出した象のようです。 折りしも、ここへ 勅使・大伴大臣褐麿(かちまろ)が、堀河勘解由らを供に現れると 勅定を出し 関東守護の役目にある豊島家が、逃げ出した象を野放しにしていると責め立て 豊島家息女・弥生姫の輿入れを条件に 褐麿自ら象を退治してやると言います。 褐麿を葵丸と共に出迎えた後室愛宕の前は返答に窮しますが 弥生姫は、豊島家や逃げ出した象に困る人々のために 褐麿の申し出を受ける事にします。 しかし、ここで 関東一の荒武者、箕田源二猛(たける)が 待てと声をかけ 褐麿の計略から弥生姫を助けるため 逃げ出した象は自分が捕らえると言います。 そうして弥生姫は 猛と褐麿のうち、象を退治した者に嫁ぐ事になります。 折りしもここへ、生津我善坊(なまづがぜんぼう)が現れ 像の乱入を告げます。 これを聞いた 猛と褐麿は象退治に出かけ 残った弥生姫は、豊島家安泰のため葵丸の相続が叶うよう剃髪し祈るのでした。 舞台は奥庭 猛と褐麿が逃げ出した象を捕まえ、互いに引き合っています。 なかなかおとなしくならず暴れる象でしたが 猛が象を押さえようとすると、八雲の御鏡が飛び出し 象はおとなしくなります。 実は、象が八雲の御鏡を奪ったのは 象を秘術で操る、褐麿の計略だったのです。 猛の金剛力と弥生姫の祈祷によって計略が失敗した褐麿は なおも猛と争おうとしますが 葵丸が間に入り二人を仲裁し、事なきを得ます。 こうして 葵丸は家督相続の綸旨が与えられ また、猛は豊島家の後見人として像が与えられます。 めでたく、全て事が納まり 猛は勇ましくこの場を去るのでした。 十返りの松(とかえりのまつ) 松の精:芝翫 梅の精:福助 竹の精:橋之助 松の童:国生 松の童:宗生 松の童:宜生 舞台は 庭に植えられた松が、十返りを迎えた新年に 賑やかな宴が催されている大家 ここへ、若松や姫小松の精が現れ舞はじめ 続いて松の童も現れます。 松の童たちが可愛く踊り、この場を去ると 松に所縁の深い梅の精と竹の精が現れ華やかに踊ります。 この後、当主の松の精が厳かに現れ典雅な舞を舞うと 再び、梅の精と竹の精 松の童 若松や姫小松の精が現れ 五節の舞を舞い、長寿と繁栄を祝い華やかに舞い納めます。 ヲ競艶仲町(いきじくらべはでななかちょう) 下総八幡村郷士南方与兵衛:三津五郎 鳶頭山崎町の与五郎:橋之助 吾妻屋女房おさと:秀調 丸屋仁右衛門:権十郎 丸屋番頭権九郎:市蔵 丸屋惣領長吉:巳之助 深川仲町の遊女お照:新悟 千葉家家中平岡郷左衛門:團蔵 深川仲町の遊女都・娘お早:福助 序幕 第一場 永代橋高尾茶屋の場 舞台は永代橋の袂 高尾茶屋の前 折りしもここへ、下総八幡の郷士・南方与兵衛の中間・才助がやって来ます。 才助は、先ほどまで説法をしていた坊主が善光寺に鐘の緒を奉納すると知って 八幡の隣家に暮らす娘・お早から預かった願い書きと守袋を鐘の緒に結んでこの場を去ります。 しばらくすると 深川仲町の遊女の都とお照が、店の者と一緒にやって来ますが 後を追ってきた、都の姉・お関が声をかけてきたので お照たちは、都とお関を残してこの場を去ります。 お関は金儲けのために、父親の面倒を見ている苦労を言い立てて、気の進まない都に千葉家家中の平岡郷左衛門に身請けされるよう催促に来たのです。 しかし、都は金を渡し とりあえず、お関はこの場を去ります。 お関がこの場を去ると お照たちが、米問屋丸屋の惣領長吉と一緒に戻ってきます。 ところが、ここへ 郷左衛門と丸屋の番頭権九郎が来合わせ お照に横恋慕する権九郎は、長吉を罵倒し 郷左衛門は無理やり都を連れて行こうとします。 都が郷左衛門を意地を見せて突っぱねるところへ 丸屋出入の鳶頭・山崎町の与五郎が通りかかり、二人の間に威勢良く割って入ると 郷左衛門を抑え、都たちを連れて行ってしまいます。 与五郎は、勘当されている長吉の身元を引き受けていて また、都とは子までなした仲でした。 悔しがる郷左衛門と権九郎でしたが 実は、二人は丸屋が預かった千葉家の瑠璃雀の香炉を盗み出していて 長吉は香炉を紛失した落度から勘当されたのでした。 香炉を金に替え 都とお照を身請けしようと企む二人でしたが 先刻、才助が鐘の緒に結びつけた守袋に目が留まります。 守袋を奪い、中を見れば 丸屋主人・二右衛門の筆跡で、行方の分からなくなった娘・お早の名が記されていました。 郷左衛門とお早は許婚でした。 折りしもここへ、様子を窺っていたお関が現れ 都は腹違いの妹で、幼名はお早というのだが 幼い頃の事は覚えていないゆえ 守袋を都に渡し、丸屋の娘に仕立てれば お早と許婚の郷左衛門は思いを遂げられると話します。 この話を聞いた郷左衛門は 守袋をお関に託すのでした。 第二場 深川仲町吾妻屋の場 舞台は深川、吾妻屋の座敷 吾妻屋女房おさとが、下総八幡の郷士・南方与兵衛を連れてきますが 同じ座敷に屏風で隔てて鳶頭・与五郎の床もありました。 しばらく、与兵衛が待つところへ 都がやって来ます。 与兵衛は都に一緒になって欲しいと言いますが 都は、与兵衛の申し出を断ります。 すると、与兵衛は 主筋の千葉家当主に都を見初めた事を話したところ、当主が仲人になると言い出し 腕に‘都命‘と入れ黒子を入れられてしまい 武士の意地で後に引けない状態になってしまったので どうしても都に女房になって欲しいと頼みます。 屏風で隔てただけの同室で、この話を聞いていた与五郎は 都に与兵衛の頼みを聞いてやるよう言います。 しかし、与五郎との間に子が産まれてから客をとらずにいた都は 添わねば男が立たないという与兵衛に対し 自ら命を絶って意地を通そうとします。 与兵衛は、都の意気地に感じ入り 都と添うことをあきらめると 入れ黒子に刀を突き立てます。 こうして 与兵衛、与五郎、都の三人は、互いの意気地に感じ入り認め合います。 与兵衛は、与五郎と都の仲を祝うと 何かある時は、必ず訪ねて来るようにと月宮殿の印籠を与えます。 二幕目 第一場 浅草駒形米屋の場 舞台は米問屋丸屋 行方の分からなくなっていた娘・お早が帰宅し、許婚と結納するということで賑やかです。 折りしもここへ お関に連れられて都がやって来ます。 お関は、先だって手に入れた守袋を利用し 都を仁右衛門の娘・お早と偽って連れてきたのです。 育ての親に拾われる前の記憶が無い都は、合点のいかないまま同行して来ました。 丸屋に出入りしていた与五郎は都の姿に驚き 都は許婚が平岡郷左衛門だと知って驚きます。 郷左衛門が都を連れて奥座敷へ入ってしまい 他の人たちも、この場を去り 与五郎一人が残るところへ 勘当されている長吉が現れます。 千葉家の瑠璃雀の香炉が郷左衛門と権九郎によって盗まれ その責任から勘当された長吉ですが 姉・お早が帰宅したのを機に勘当を許してもらおうと思い 店までやって来ました。 長吉が与五郎に仲立ちを頼むので 与五郎は人目につかないよう、長吉を床下の穴蔵に匿います。 するとここへ長吉に想いを寄せるお照が後を追ってきて、権九郎に見つかってしまいます。 お照に横恋慕する権九郎は 長吉が居るとも知らずに、お照を穴蔵に閉じ込め 給仕をしてやるのでした。 与五郎は権九郎の隙を見て二人を穴蔵から逃がしますが これを見ていたお関が権九郎に告口します。 第二場 駒形堂うしろ河岸の場 舞台は駒形堂うしろ河岸 丸屋から逃げた長吉とお照を追って来た権九郎とお関は、二人に追いつくと長吉を足蹴にして笑います。 笑われた長吉は、悔しさから権九郎の脇差を奪うと斬りつけてしまいます。 ここへ 長吉を心配した与五郎が駆けつけ、自ら罪を被ると 権九郎に止めを刺し、お関も斬りつけます。 折りしもここへ 郷左衛門の企みで、許婚にされてしまった都が身投げしようとやって来ます。 与五郎は都を止めると、事情を話し 吾妻屋で与兵衛にもらった月宮殿の模様の印籠を頼りに、二人でこの場を落ち延びることにします。 三幕目 下総八幡村与兵衛町宅の場 舞台は与兵衛の家 与兵衛の妹・お虎は、隣家の娘・お早が与兵衛に想いを寄せているのに気付いていて 二人の仲を取り持とうとします。 しかし、中間・才蔵は 与兵衛は深川の遊女・都を想っていると話します。 折りしもここへ与兵衛が帰宅します。 お虎は与兵衛の着替えを世話しながら 腕の傷のことを尋ねます。 すると与兵衛は、都のことを話し 生涯、腕の傷を女房と思い続けると話します。 これを見た、お早は 簪で腕を突き 自らも一生ひとりでいると言うのでした。 一方、権九郎とお関を手にかけた与五郎が 都と共に落ち延びてきます。 与五郎は、これまでの経緯を与兵衛に話すと 都を預けて瑠璃雀の香炉を捜しに行こうとします。 これを聞いた与兵衛は、一人身で都を匿う事はできないと断るのですが 考え直して、自らを慕うお早と祝言を挙げて後 都を匿う事にします。 さっそく、祝言を始めるのですが 与五郎の懐から都が預けた守袋が落ちたことから、お早が丸屋の娘であることが分かります。 郷左衛門らの企てが明らかとなり 与五郎は瑠璃雀の香炉を捜しにこの場を去ります。 大詰 行徳船場の場 舞台は行徳の船場 与五郎は郷左衛門を追い詰めますが、漁師たちに阻まれ立ち回りになります。 しかしここへ与兵衛が駆けつけ、郷左衛門から瑠璃雀の香炉を取り返します。 全ての企みが明らかとなり 与五郎の罪も格別の計らいが約束されます。 二人を案じて駆けつけた都も加わり 喜ぶ三人でした。 |
☆「象引(ぞうひき)」は歌舞伎十八番の一つですが初演などについては詳しいことがわからない舞台だそうです。 明治以降に復活されて、今までに3度 1913年(T2)、1933年(S8)、1958年(S33)に それぞれ異なる台本が作られ 今回の舞台は1913年(T2)の台本を基にしたのだそうです。 さらに、この舞台は團十郎丈が以前から考えていらっしゃった舞台で かつ、團十郎丈復帰の舞台ですので 場内の期待も大きく、とても盛り上がりました。 「象引」と申しますのは 力のある人が、何か一つの物を引き合う‘引合事‘のぶたいで この演出は「正札附根元草摺」などと同様の趣向で荒事の演出の一つです。 幕開き舞台は豊島家の館 舞台上手に「歌舞伎十八番の内 象引 一幕」 下手に「市川團十郎 相勤め申し候」っと書いてございます。 さらに、上方には 役者さんのお名前が書かれた提灯が飾られています。 チョッと古風で、趣のある雰囲気が良いです。 舞台には板付きで、腰元と御伽衆が並び 台詞で状況説明となり この後に八雲の御鏡が何者かに奪われてしまいます。 怪しげな大太鼓のドロドロドロの他にドスンという効果音も入ります。 象の姿は見えませんので なにやら怪しげな雰囲気が漂います。(^^ゞ もちろん、象だというのは暗黙の了解なのですが。(笑) ここで、舞台正面奥 簾内から「えい、かしましい 静まれいや〜」っと、声が聞こえます。 スグに三津五郎丈の声だとわかるのですが 台詞の感じがすでに大きいです。 管弦の下座で御簾が上がりますと 舞台には三津五郎丈・大伴褐麿(かちまろ)が居ます。 公家悪ですが 大きさはあっても、それほどニクニクな雰囲気ではございません。 隈取も藍隈ですが キツイ感じには見えませんでした。 (コチラで三津五郎丈・大伴褐麿の隈取を見ることができます。これを読みますと2日目−私が観劇した日です−から痩せ隈だけになさったようです。) お正月の舞台ですし また、團十郎丈復帰の舞台ですので キツサを加減したのかもしれないと思いました。 (上記のリンク先を読みますと 幕切れ近くに、事を収めるために‘融通を利かす‘ので 完全な‘悪‘にならないので 隈取も考慮したらしいです。) かえって、ニクニクという事では 市蔵丈・堀河勘解由の方が雰囲気がございました。(笑) ハラがあって、いかにもイジワルそうな感じでした。 大伴褐麿は勅使ですので これを迎えるために豊島家嫡子の巳之助丈・葵丸と後室愛宕の前・家橘丈が上手から出ます。 巳之助丈・葵丸は 出だしは台詞がイマヒトツに思いましたが お話が進むに連れて、どんどん馴染んできているようで 思っておりましたより良かったです。 見た目もすっきりとしていて素敵でした。 また、二重中央の褐麿を挟むように 平舞台の左右に並ぶ亀三郎丈と亀寿丈のガッシリとした台詞が良いです。 特に、亀三郎丈が 大きくシッカリとした台詞で良かったです。 勅使の三津五郎丈・褐麿は 象が暴れているのは、関東守護の任を疎かにしてる豊島家がいけないと言い立て 自らが象を退治してやるから、換わりに息女・弥生姫を差し出せと言います。 この舞台 荒事の舞台で 流れと申しましょうか、大まかな型が「暫」と同じでして ただ、今回の「象引」の方が 格キャラクターの性格がきっちり前面に出ているところが多少異なります。 儀式性強く、通称で性格を見せるというより 通称に対象するキャラクターがしっかり見えてくるようにできている舞台です。 桂の前に相当するのが この場面で上手屋台から登場する福助丈・弥生姫ですが はやり、よりキャラクター性が前面に出ています。 拵えは、楚々として可愛い赤姫ですが しっかりとした意思表示があり、芯がございます。 暴れる象を取り押さえるため 弥生姫が褐麿の望みを聞き入れようとするところへ 鳥屋から、これを止める声が聞こえてきます。 今回・・・って、毎度の事ですが(^^ゞ・・・ワタクシ、3等席でしたので一番初めの声がはっきり聞き取れませんでした。 (2回目の声は「まぁ〜てぇ〜」っと聞こえたような気がしたのですが・・・) が、なにはともあれ アレは、團十郎丈の声だ! っと、いうのは気付くわけで なんだか、とても嬉しくなりました。 気負いの無い、力まない感じが 團十郎丈のおおらかな荒事らしくて好きだと思いました。 舞台上手に大薩摩2挺2枚が出て、花道から團十郎丈・箕田源二猛の出になります。 山吹色と緑色の大きな格子模様の衣装、力紙の鬘、大太刀の拵え 花道七三で‘つらね‘になります。 本家、市川家の荒事の舞台なのだということが きっちり入った台詞になっておりまして 聞いておりまして、やはり‘團十郎‘という名は歌舞伎にとって大きい名なのだな〜 っと、改めて感じ ウルッときました。(^^ゞ で、ここで気付いたのですが 猛は武蔵国の浪人なのですね。 この後、團十郎丈・猛は舞台に上がり 中央で元禄見得で決まります。 もう、場内からは大きな拍手でした。 この後、橋之助丈・生津我善坊が 象が暴れていると伝え 猛と褐麿の象退治になります。 橋之助丈・生津我善坊は注進のお役で 下手よりに居て、上手の大薩摩と掛け合いで状況を伝えるのですが 大薩摩の勢いとよく合っていて良いと思いました。 緑色の衣装の背中に居たナマズが可愛かったです。(^^ゞ 暴れる象が来たというので、皆がこの場を去り 猛と褐麿も簾内に入ります。 舞台に残ったのは、福助丈・弥生姫です。 この舞台、弥生姫を除いては とってもおおらかな舞台なのですが 何で、弥生姫は象を退治した者に嫁がなくちゃいけないんだ〜 って・・・すみません、妙なところに引っかかってしまいました。(^_^;) そういうところでは、猛も褐麿と同じかい? とか、思っちゃったんですよ。(笑) 歌舞伎見ていて こういのって、超無粋なのですけれどね〜。 でも、気になっちゃったんです。 結局、弥生姫は剃髪してしまうのですね。(^_^;) 舞台に誰も居なくなって、花道から組子(四天です)が出て象尽くしになります。 深緑地の唐草模様で裾が紅の衣装でした。 道具代わりで、舞台は館の奥庭 大薩摩になります。 (「天象、日に感じて・・・(てんしょう、ひにかんじて・・・)」っと、出だしが聞こえたのですが?) 下座の鳴物とツケで大セリが上がって 團十郎丈・猛と三津五郎丈・褐麿、それとひっくり返った象さんの出になります。 裃後見4人と黒子2人が支えるほどの灰色で強面の象さんです。(笑) いよいよ‘象引‘になるのですが 直接、象さんを猛と褐麿が引くわけではございませんで(S57年上演時の写真を見ますと 猛と褐麿が直接、白い象さんを抱えて引き合っています。)後見の人が大きな象さんを左右に動かしていました。 面白いのですが 荒事の力強さはイマヒトツかもしれません。 ここで上手に大薩摩が引っ込みまして 團十郎丈・猛と組子との立ち回りになります。 強面の象さんですが、可愛くてですね(笑) 團十郎丈と象さんの見得もなかなか良かったです。 で、上下で三津五郎丈・褐麿と團十郎丈・猛が決まります。 ここで、巳之助丈・葵丸が二人の間に入り 「ねぇ、おとっつぁん・・・」っと褐麿を説得いたしまして(笑) 争いは収まります。 猛は象さんを貰うことになるのですが ‘象に畑仕事をさせる‘などと、スゴイ事を言っていました。 手拭巻きの後、團十郎丈と象さんが花道に出て幕外になります。 團十郎丈と象さんが決まって(象さんは鼻で決まっておりました) 「やっとことっちゃ. うんとこな 」で、引っ込みになります。 ここ、手拍子になりましたが 今回はOKだと思いました。 とにかく ‘復帰おめでとうございます。良かったですね‘ っと、いう気持ちでイッパイでした。 全体には 最後まで悪いままの人がいない舞台で お正月らしい舞台だと思います。 新年と復帰の重なるおめでたさに、客席も盛り上がった舞台です。 何より、團十郎丈の舞台復帰が嬉しく思われました。 ただ、始まって2日目ということもあったのかもしれませんが 力強さ、タメ、押しのある感じは少なめで 立ち回りなども、わりとサラッと受け流すような感じに見えたのが気になりました。 まあ、気負いの無い舞台という事なのかもしれません。 ウケの三津五郎丈・褐麿が大きくしっかりしていて良いです。 お正月でおめでたい舞台という事もあり、加減のある公家悪ですが けして中途半端にならず存在感のある褐麿だと思います。 福助丈・弥生姫は、荒事のおおらかさという事からは少し外れる存在で よりストーリー性を生み出すキャラクターに思えました。 福助丈の弥生姫自体は 関東守護の豊島家の息女としての品格があり 楚々として可愛く、芯があって良いと思います。 ですが・・・先にも書きましたが、設定にチョッと引っかかるものがございました。(^_^;) ☆「十返りの松(とかえりのまつ)」は天皇陛下御即位二十年の記念として上演される舞台だそうです。 ‘十返り‘というのは‘松は百年に一度花が咲き、十回繰り返すと実をつける‘っということに由来し、長寿のお祝いの意味があるのだそうです。 (六)菊五郎が1928年(S3)に上演した筝曲による舞踊です。 笛から太鼓で幕開き 舞台中央に箏、三味線、長唄 下手に鳴物(傳左衛門さん、確か歌舞伎座・夜の部「鏡獅子」の舞台にいらっしゃったような・・・ご苦労様でございます。) 薄暗い舞台に明かりが入って 上下から姫小松の精と若松の精8人が出ます。 やはり芝のぶ丈が綺麗で目を引きます。 が・・・この8人の皆様、舞台を見ているだけでは‘松の精‘とは気付かないかもしれないな〜 などと思ってしまいました。(^_^;) 8人の皆様が上手に引っ込むと 下手から松の童、国生丈と宗生丈と宜生丈のお三人が出ます。 仕抜きでの踊りもございまして まあ、可愛いからOK.っと、いうことで 和やかに見てしまいました。 小さいお3人が上手に入ると 次は花道すっぽんからの出で福助丈・梅の精と橋之助丈・竹の精の出になります。 国立は3階席からでも花道が見えるので嬉しいです。(^^ゞ 福助丈の踊りは楚々として綺麗で柔らか 橋之助丈は、どことなく福助丈をサポートするような風情で このお二人ならではの雰囲気で良いと思いました。 お二人が舞台上手に入りますと 大太鼓が入って、箏と三味線と長唄の台が上手に移動 舞台正面奥から芝翫丈、福助丈、橋之助丈の出になります。 が、舞台前面まで出るのは芝翫丈のみでございました。 白地に松の模様の衣装が上品で素敵です。 踊りは、箏と長唄での踊りですが チョッと意識が遠のきかけました。(^_^;) 鳴物が入って、気が変わり 再び8人の松の精も出て、14人全員(8+3+2+1です)舞台に上がり 幕切れは芝翫丈が二畳台に上がり扇を持って決まります。 舞台面も美しく 華やかで、お正月らしい舞台だと思います。 全体には、成駒屋の舞踊会のような舞台でしたが(^^ゞ お正月ですので、新年を寿ぎ、ゆっくりと見てまいりました。 ☆「ヲ競艶仲町(いきじくらべはでななかちょう)」は 1802年、四世鶴屋南北らにより書かれた舞台で 「双蝶々曲輪日記」の書き替え狂言になっています。 ですが、あまり「双蝶々曲輪日記」を気にしなくても十分面白さは伝わるように思いました。 かえって、意識しすぎると そちらに気を取られてしまって 「ヲ競艶仲町」の面白さが見えてこない気がいたします。 似たような役名や、似たような境遇が見られますが お話の芯になる部分はずいぶん異なります。 「双蝶々曲輪日記」を頭の隅に置きつつ この舞台そのものを楽しめれば一番良いのだと思いました。 私は、南北の作品と申しますと「東海道四谷怪談」「盟三五大切」「桜姫東文章」など 人物関係が複雑で かつ、‘実は‘っというような展開があり ドロドロした感触もある舞台を思い浮かべてしまうのですが 今回の「ヲ競艶仲町」は、人物関係が複雑とか、‘実は‘という展開とか こういうことは変わらないのですが それほどドロドロな感じはいたしませんでした。 人の持つ‘業‘とか‘念‘を感じさせる舞台ではなく もっと粋で一本気を感じる舞台です。 江戸の世話のカッコよさを感じる 確かに‘ヲ競‘な舞台だと思います。 序幕・第一場「高尾茶屋」では 福助丈・都をめぐる、橋之助丈・与五郎と團蔵丈・郷左衛門 新悟丈・お照をめぐる、巳之助丈・長吉と市蔵丈・権九郎 これに、芝喜松丈・濡れ髪のお関と三津之助丈・才助が加わり 事の発端と、後への複線が展開していきます。 幕開き、舞台は永代橋の袂 三津之助丈・才助が守り袋を鐘の緒に結びつける件からお話が展開し始めます。 何気ない一場面なのですが、これが後に効いてくるところで 三津之助丈・才助が人の良い雰囲気で、すんなり舞台に入り込める感じです。 福助丈・都は粋で艶っぽく、とても綺麗 余計な事もなく良いです。 で、ふっと思ったのですが 都というのは深川仲町の遊女という設定なのですが 江戸の頃の深川仲町の遊女というのは、どれほどの遊女なのでしょう? 仲町界隈と申しますと、私などは‘辰巳芸者‘を連想いたしまして ‘梅ごよみ‘とか‘八幡祭小望月賑(はちまんまつりよみやのにぎわい)‘を思い出してしまうのですが 都は芸者ではなく遊女なので、境遇は違うわけです。 また、大括りで‘遊女‘と言っても吉原に対して深川は非公認の場所です。 さくっと調べたところでは 仲町は岡場所の中では格上と申しましょうか、高級であったらしいですが 次の「吾妻屋」で屏風を使うところなどを見ますと 高級と申しましても それなりなのだろうなっと思われます。 高級と言っても吉原以上に‘わけアリ‘な遊女が居る場所なので 福助丈・都の粋で艶があり、一本何かを通す芯があっても どことなく陰を感じ、弱さが見える雰囲気に納得できました。 長らく上演されていない舞台を復活上演したということもございまして、舞台の都の雰囲気に‘らしさ‘を感じるよりどころが無かったのですが・・・私が予習していないのがいけないのですが(^_^;)・・・たぶん、このような雰囲気なのだろうな〜 っと、思います。(笑) 橋之助丈・与五郎はきっぱりとして大きさがあり、鳶頭の頼れる感もあります。 團蔵丈・郷左衛門の意地悪な感じと市蔵丈・権九郎のズルっぽい感じが 意気地を通す都と与五郎に対比してより際立ちます。(^_^;) 郷左衛門と権九郎が、米問屋・丸屋から盗み出した香炉が後のお話に繋がります。 また、芝喜松丈・お関の擦れたいい加減な小ズルイ雰囲気が良いと思いました。 序幕・第二場「吾妻屋」で 三津五郎丈・与兵衛、福助丈・都、橋之助丈・与五郎が顔を合わせます。 舞台は吾妻屋の座敷なのですが 吾妻屋は深川の茶屋ですので割床(わりどこ)を使います。 割床というのは 一つの座敷を廻し屏風で仕切って数人で使用することです。 どうも、吉原でも それほど格のある遊女でない場合は割床であったようです。(っと、申しますより 部屋をあたえられるほどの格がなければ割床ということなのでしょう。) 昔の人って おおらかと申しますか、スゴイと申しますか・・・・・。(^_^;) で、舞台を見ますと 与兵衛と与五郎の床を屏風で仕切り ここへ来た遊女は都だけなので お正月早々ケッコウすごいじゃん(^_^;) などと思ってしまうのでした。(爆笑) ところで(^^ゞ お話の展開ですが ここから、三津五郎丈・与兵衛が登場いたします。 ですが、やはり初めて見た舞台ということもございまして いきなりの都との話に少し違和感を感じました。 三年も前に見初めて入れ黒子まであるのに 今まで何もなかったのがヘンかもしれないと思ってしまいました。 あるいは それでも良かった相手に、今になって急にどおして? っとも思えます。 ですが、これはお話の展開に対して思ったことで 事を分けて真面目に話をする与兵衛には共感できましたし 武士である立場を使って無理強いすることなく、経緯を話してなお‘三日なりとも‘と言うところに与兵衛のきっぱりとした心情が見えて良いと思います。 また、都の意気地に 自らの想いを断ち切る与兵衛ですが 与五郎と都への気遣いを持ち、辛さを見せない姿に懐の大きさを感じさせます。 三津五郎丈の気骨のある真面目な雰囲気が活きているところだと思います。 橋之助丈・与五郎も粋で気風の良い男の感じが出ています。 本来なら与兵衛と争ってもおかしくないところですが そのようにせず、与兵衛の心情を受け入れる形で、都へ与兵衛の助言をするところ 与五郎の懐の大きさや、落着きを感じます。 福助丈・都は、二人の間に入って それでも自分の意地を通す芯がしっかり見えています。 与五郎との間に子供が生まれてから客に肌を触れさせていない っと、いう台詞に 深川の遊女で、それはどうなの? っと、思いましたが まあ、心情としては許容できますし 福助丈・都の様子に、男二人を相手に自分の意志をしっかり伝えようとする懸命さが見えて良いと思います。 何より、三津五郎丈・与兵衛と橋之助丈・与五郎の間で 十分に存在感があるのが良いです。(^^ゞ 二幕目・第一場「米屋」は お関の企みで都が米問屋・丸屋の娘・お早として十五年ぶりに帰宅するところから始まります。 権十郎丈・仁右衛門は大きな商いをする店の主人‘らしく‘ また娘可愛さの父親‘らしく‘見えます。 娘が福助丈・都ですが、見た目のバランスに違和感はないと思いました。 この場の團蔵丈・郷左衛門も‘いかにも敵役‘っという雰囲気が良いです。 で、この場は市蔵丈・権九郎が良いです。 無理に笑いを取るのではなく、真面目におかしい様子なので 権九郎がお照のために甲斐甲斐しく動けば動くほど、それがユーモラスに見えてきます。 展開として狙っているのでしょうけれど あざとく見えないので、素直に笑える感じです。 また、橋之助丈が この場の市蔵丈の運びに上手く合っていて バランスの良い展開になっていると思いました。 二幕目・第二場「駒形堂うしろ河岸」は 長吉とお照を庇った与五郎が、権九郎とお関を殺し 都と共に与兵衛のもとへ落ち延びていくまでのお話しになります。 市蔵丈・権九郎のチョロクて悪い感じ(笑)と 芝喜松丈・お関の擦れた悪い感じが良いです。 また、巳之助丈・長吉と新悟丈・お照のお二人は とにかく、頑張って一生懸命にお勤めなのが伝わりますので それで良いかな〜 っと、思いました。(^^ゞ 特に、巳之助丈は舞台を拝見するたびに台詞なども良くなっているよに感じます 幕切れ前に 都の手を引く与五郎が 前の「吾妻屋」で与兵衛から受け取った印籠を出すところで あ〜、そういうふうに繋がるのね っと、思いました。 今までに見たことのない舞台は 先が分かりませんので、こういうところもおもしろかったりいたします。(笑) 三幕目「与兵衛町宅」は、これまでの複線が全て結びついて 目の前が一気に開けたような、すっきりするような展開です。(笑) 三津之助丈・才助の姿が見えたところで、‘あれ‘っと思い 福助丈の二役目の名前が‘お早‘と知れば、‘あ〜、そういうことなんだ‘っとなります。 福助丈・お早はお光の雰囲気で、田舎の娘な感じです。 可愛いですが、パッと見‘ぶりっ子‘に見えてしまうかもしれません。 ですが、私は福助丈らしくて良いと思いました。 与兵衛を想う一途な気持ちがよく伝わります。 三津五郎丈・与兵衛は 思慮分別があり物静かですが 気骨のある、優しい雰囲気です。 いまだに都の事を想う気持ちが、与兵衛の真面目な心情を感じさせ それでいて、お早の気持ちも察する大きさを見せます。 まあ・・・都を匿うためにお早と一緒になるという展開は、‘ふ〜ん‘っと思ったのですが(^_^;) 都を匿う事が、お早の想いを知った与兵衛の気持ちを後押ししたとも受取れるので 私は後の方の解釈で見る事にいたしました。 橋之助丈・与五郎は 三津五郎丈・与兵衛に対して‘動‘な感じ 勢いがあり、気風が良いです。 与兵衛と与五郎 タイプは異なるのですが、どちらも芯のある‘いい男‘だと思いました。 大詰・「船場」は 幕開き、浅葱幕で漁師の状況説明の台詞の後 浅葱幕を振り落として橋之助丈・与五郎の立ち回り ここへ三津五郎丈・与兵衛が助っ人に駆けつけ 團蔵丈・郷左衛門が丸屋から奪った香炉を取り返します。 橋之助丈が漁師との立ち回りで使っていた藁の蛇(に、見えたのですが)、おめめギョロギョロで可愛かったです。(笑) とりあえず事が収まり 三津五郎丈、福助丈、橋之助丈が舞台で決まり 後に、口上で幕切れになります。 この舞台、実はあまり期待していなかったのですが(^_^;) 思っておりましたよりゼンゼン良くて感激してしまいました。(笑) 三津五郎丈、福助丈、橋之助丈のお三人ももちろんですが、周りもとても良く 世話物の雰囲気がよく伝わる舞台だと思います。 復活狂言で、今まで見たことのない舞台で さらに、千葉家秘蔵の香炉とか守り袋とかが複線になり お話が込み入っているので おもしろいのですが、二幕目あたりまではお話がグチャグチャしています。 また、「吾妻屋」のはじめのところ 与兵衛の登場が唐突に見えました。 ですが、この場の後半あたりから 与兵衛の都への想い入れ、与兵衛と与五郎の心情、都の与五郎への想いなどが見えてきました。 後半になり それまでの複線が活きてきて お話の展開が一気に開けて先が見える楽しさもございました。 これは見慣れた舞台や、お話の展開が一筋な舞台では味わえないおもしろさだと思います。 役者さんでは 三津五郎丈に大きさがあり、真面目さが活きていると思います。 橋之助丈は三津五郎丈と共に舞台を引っ張り、芯になって十分な大きさがあると思いました。 福助丈の二役も、それぞれの個性が見えて良いと思いました。 團蔵丈、権十郎丈、市蔵丈はニンのお役で 世話の舞台を盛り上げています。 芝喜松丈の擦れて、がめついお関も良いです。 お若い巳之助丈と新悟丈も頑張っていらっしゃって好感が持てます。 他、三津之助丈の愛嬌のある才助 芝のぶ丈のしっかり者の妹・お虎も良いと思いました。 復活狂言で、2日目の観劇でしたので これからもっと流れも良くなると思います。 全体に違和感の無い舞台でしたので 今後、ぜひまた再演して欲しい舞台です。 |