2008年06月15日           もくじへ戻る トップページへ戻る 
    シアターコクーン 12:00開演   2階下手サイド後方の席

  *夏祭浪花鑑


夏祭浪花鑑
 団七九郎兵衛:勘三郎
 一寸徳兵衛:橋之助
 徳兵衛女房お辰、玉島磯之丞:勘太郎
 傾城琴浦、徳兵衛女房お辰:七之助
 三河屋義平次:笹野高史
 大鳥佐賀右衛門:亀蔵
 釣船三婦:彌十郎
 団七女房お梶:扇雀


祭りの日 団七九郎兵衛は大鳥佐賀右衛門の中間と喧嘩沙汰となり牢に入れられてしまいます。

お鯛茶屋の場
舞台はお鯛茶屋 玉島兵太夫の子息・玉島磯之丞は傾城琴浦と良い仲で 毎日、遊興にふけっています。
折りしもここへ 玉島兵太夫の家に奉公していた団七女房・お梶が現れ 磯之丞に家に帰るよう説得します。
お梶は、団七を牢から出してもらう口添えを玉島家に頼んだので 代わりに磯之丞を家に帰るように説得しに来たのです。
しかし琴浦と離れたくない磯之丞は なかなか家に戻ろうとしません。


するとここへ物乞いが現れ 放蕩の末に身を持ち崩したと話します。
磯之丞は我が身と重なる物乞いの話を聞いて家に帰ることにします。
物乞いたちは お梶が磯之丞を家に戻すために頼んだ者たちでした。




住吉鳥居前の場
舞台は住吉神社の鳥居前 釣船三婦が団七の女房・お梶と倅・市松を連れて団七の出牢を迎えに来ています。
三婦は、お梶と市松が参詣している間 ならず者にからまれている磯之丞を助けます。
三婦の計らいで磯之丞がこの場を去り 三婦も傍らの髪結床で休むところへ 役人に連れられた団七がやって来て釈放されます。
団七は三婦に迎えられ 着替えのため傍らの髪結床に入ります。


磯之丞を捜しに来た琴浦が、横恋慕する大鳥佐賀右衛門に連れ去られそうになるところを 髪結床ですっかり身なりを整えた団七が助けるのですが 大鳥佐賀右衛門の手下に絡まれてしまいます。
団七は手下を難なく追い払うのですが 腕に覚えのある一寸徳兵衛とは勝負がなかなかつきません。


二人が争うところへ 参詣から戻って来たお梶が止めに入りますが 団七の相手の一寸徳兵衛を見て驚きます。
実は一寸徳兵衛は 以前、お梶が磯之丞を家に戻すために頼んだ物乞いでした。
互いに驚く二人でしたが 話を聞けば徳兵衛も玉島家に縁があることが分かり 団七と徳兵衛は片袖を取り交わして義兄弟になると 共に磯之丞を守る事になります。




釣船三婦内の場
舞台は三婦の家 外は高津神社の夏祭の宵宮で賑やかな様子ですが 三婦と女房・おつぎは磯之丞の事で思案しています。
磯之丞は道具屋へ奉公に出たのですが そこの娘と恋仲になり、あげく人を殺め 心中しようとするところを三婦に助けられ 今は琴浦と共に匿われているのです。


折りしもここへ徳兵衛の女房・お辰が玉島へ帰るので挨拶に来ます。
おつぎはお辰の話を聞いて いつ捕らえられるか分からない磯之丞をお辰に預けて玉島へ落ち延びさせようとします。
事情を聞いたお辰は磯之丞を預かると言うのですが 三婦はお辰が若くて美しいゆえ 途中、間違いが無いとも限らない と、同道する事に良い返事をしません。
これを聞いたお辰は 傍らにある、祭りのための魚を焼く鉄弓を自らの頬にあて顔に傷を付けます。
主筋の磯之丞のために何もできないのでは義理が立たないゆえ顔に傷を付けたと言うお辰に三婦は感じ入り、磯之丞を預ける事にします。


磯之丞を預かったお辰が玉島へ向かうと ここへ大鳥佐賀右衛門の手下がやって来て三婦とやり合います。
手下を追い払った三婦は、大鳥佐賀右衛門を懲らしめてやらねば気がすまないと出かけて行きます。


三婦が留守となり 家に女房・おつぎと琴浦だけが残るのですが ここへ大鳥佐賀右衛門に金で頼まれた団七の舅・義平次が、駕籠を連れて訪ねて来ます。
義平次は団七に頼まれたと言うと 偽の手紙をおつぎに見せ、琴浦を連れ出します。


義平次が琴浦を駕籠に乗せこの場を去ると 入れ替わって団七がやって来るのですが おつぎから話を聞き、先の手紙を見せられて 義平次の企みに気付き、慌てて後を追いかけます。



長町裏の場
舞台は長町裏 団七は、琴浦を駕籠に乗せた義平次に追いつき なかなか話を聞いてくれない義平次を何とか言い包めようとします。
側に落ちていた石ころを懐に入れ 三十両の金があるから、これと引き換えに琴浦の駕籠を帰して欲しいと頼みます。
はじめは話も聞かなかった義平次でしたが 三十両と聞いて、琴浦の駕籠を帰す事にします。


ところが、駕籠がこの場を去った後 三十両の金が嘘であったと知った義平次は怒って駕籠を呼戻そうとします。
団七は、これを懸命に止めるのですが 怒りの収まらない義平次は雪駄で団七の額を割ります。


額を割られても我慢する団七に、さらに罵声をあびせる義平次でしたが 偶然に団七の刀を義平次が抜いてしまい それを取り返そうともみ合ううちに、団七は誤って義平次を斬ってしまいます。
斬られた事に驚いた義平次が叫び声をあげるので 団七は心ならずも義平次を殺してしまうのでした。


団七は己のした事の大変さに後悔しますが もう、どうする事もできず 賑やかな祭りの踊りの中にまぎれて、この場を逃げるのでした。



二幕目
九郎兵衛内の場
舞台は団七の家 家に閉じこもったままの団七のところへ徳兵衛がやって来ます。
徳兵衛は、これから玉島へ帰るので共に行こうと誘いますが 団七は断ってしまいます。
しかたがないので 徳兵衛はそれとなく、先の殺しの現場で拾った団七の雪駄を見せるのですが 団七は自分の物では無いと言って奥の部屋に入ってしまいます。


団七が話を聞かないので、徳兵衛が帰ろうとすると お梶が徳兵衛の着物が解れているのに気付き、繕うことにします。
着物を脱いだ徳兵衛は 突然、お梶に言い寄ります。
奥の部屋で様子を窺っていた団七は 徳兵衛に怒り、義兄弟の契りを結んだ折の片袖を投げつけます。
二人が大喧嘩をしているところへ三婦がやって来て間に入り 二人を静めると、団七に離縁状を書かせます。


離縁状を書いた団七は奥の部屋に入ってしまい 三婦はお梶と倅・市松を連れ、徳兵衛と共に家を出ます。
実は、皆 団七が義平次を殺めてしまったことを知っていて 親殺しにならぬよう離縁するように仕向けたのでした。




屋根の場
なんとか団七を逃がそうとした徳兵衛でしたが 既に役人の手が回っていて、家の周りは捕手に囲まれています。
そこで、徳兵衛は自ら団七を捕らえると申し出て 屋根の上に逃げた団七を逃がしてやるのでした。




「夏祭浪花鑑」は1745年初演 並木千柳、竹田小出雲、三好松洛、合作の全九段の世話浄瑠璃です。
現在の歌舞伎の舞台では「住吉」「三婦内」「長町裏」の上演が多いそうですが 串田演出の舞台では 序幕「茶屋」から始まり、「住吉」「三婦内」「長町裏」と続き、幕間を入れて「団七内」から 「屋根」の大立ち回りとなります。

今回の舞台は このお話を1996年に串田和美演出、シアターコクーンで初演した舞台の再演になります。
再演と申しましても2回目ではなく コクーン以外に海外での上演もあり、かなりシッカリと練りあがった舞台での再演です。
また、今回は お辰、琴浦、礒之丞、の三役を 勘太郎丈、七之助丈、芝のぶ丈 三人で交代で演じます。
私が観劇いたしました15日は前半の配役で お辰:勘太郎丈、琴浦:七之助丈、礒之丞:芝のぶ丈 での上演でございました。

シアターコクーンの入口には‘くいだおれ太郎‘くんが太鼓を叩きながら お客を迎えておりまして(笑) ‘浪花‘からのメッチャ安易な発想のわりに(違うのかな?) これが人気なようで、私を含めまして(爆笑) 皆様、写真を撮っていらっしゃいました。(^^ゞ
また、場内はいつもの様に舞台に近い側が座布団桟敷席で 水がかかっても大丈夫なように前席と下手通路席にビニールが用意されております。
開演も一般の歌舞伎の上演の様に直しの柝で‘さて!これから始まりです‘っという感じではなく 開演数分前から客席内を役者さんが何気に歩き始め それとなく(笑)開演になります。
コクーンらしいと申しましょうか 串田氏得意の演出での始まりです。(^^ゞ
夏祭りの雰囲気の中で開演になりますと 祭りの衣装の‘若い者‘の役者さんが客席に混じって声をかけたり手拍子をしてイッキに場内を取り込みます。
この辺りも‘いかにも‘コクーン歌舞伎なのですが ‘若い者‘の皆様、3階席にもたくさんいらっしゃっておりまして 私の席のスグ隣で大きな声がしたので驚きました。(笑)



まず、勘三郎丈・団七九郎兵衛ですが もう手の内でございます。(^^ゞ
さらに 串田演出でチョット見には真新しい感触がある舞台ですが 勘三郎丈の団七を見ておりますと 周りの状況に左右されることなく、コッテリとした歌舞伎の団七が見えてきます。
ここだけの話ですが(^_^;) 逆に、歌舞伎座で特別な演出の無い 古典としての勘三郎丈の団七が見たいと思ってしまいました。(笑)
っと、申しますのは 20分の幕間までの勘三郎丈・団七の尖った雰囲気とか情、律儀さなど 内面、篤みがとても充実していて存在感があり 決まり決まりも大きく 幕開きすぐの喧嘩の勢いの良さ、「住吉」での義理堅い雰囲気と情、「長町裏」で義父・義平次を斬ってしまった時の「しまった」っという窮まった感じ など、演出では無い部分 役者さんの地力、芸の大きさがスゴク良いと思ったからです。
ですが、ここまでの充実した感触に比べまして 幕間後の大立ち回りは、演出はとても素敵でワクワクしてスゴイと思いますし 実際、私も含めまして客席は盛り上がり拍手も多いのですが 勘三郎丈は見た感じ、ケッコウ体力的にシンドイ様に見えました。
初演が1996年で この時の勘三郎丈に合わせた演出ですから 体力的にシンドクなってもしかたないのかもしれません。

橋之助丈・徳兵衛は大きさが増したような気がいたします。
時の経過の中でいろいろなお役をお勤めになられて 地力が付き幅ができたので、より篤みが感じられる徳兵衛になったように思います。
良い悪いは別として(笑) 物乞いをしていたにしては貫禄がございます。(^^ゞ

扇雀丈・お梶、彌十郎丈・三婦もやはり手の内で かつ、大きさが増したように感じました。
安心して見ていられる感じです。

で、笹野氏・義平次が やはり良いです。
ムチャクチャ暑苦しい貧欲な感触がなんとも言えず良いです。(笑)
ですが、歌舞伎に無いリアルさが それゆえ良いのですが、周りと違った雰囲気を感じさせてしまいます。
これは、しかたのないことなのでしょう・・・。

今回、私が前半のチケットを購入いたしましたのは 勘太郎丈のお辰が見たかったからでございます。
多少、大きく見えてしまうところもございましたが 全体には世話物の‘軽妙な粋‘を感じさせるお辰で キッパリと決まったところは、気持ちのしっかりした強さがあり良いと思いました。
ですが、色気がイマヒトツかもしれません。

七之助丈・琴浦は無難な感じです。
ほか、芝のぶ丈が珍しい立役で磯之丞をお勤めです。
和の雰囲気があるのですが、思ったよりシッカリした(笑)磯之丞で良いと思います。
ですが、「三婦内」の芝のぶ丈・磯之丞は 前の「道具屋」で人を殺めている様にはチョッと見えませんでした。
このあたり 実際の上演は無いわけですが 経緯として、それゆえに玉島に逃れるわけなので 役の篤みとして感じられると良いと思います。



全体にはコクーン歌舞伎ならではの客席一体感のある舞台で 舞台と客席が共有する時間を生で体感する楽しさがございます。
これもコクーン歌舞伎おなじみですが(笑) 水しぶき避けのビニールなど、当事者の方も楽しいのでしょうが 周りで見ている方も、他人事ですので(爆笑)帰宅時の危うさなど思い巡らしケッコウ楽しかったりいたします。m(__)m
「長屋裏」になる前に 一度、定式幕が引かれ 下座で繋いで、その間に客席の該当者の方がビニールの用意をするのですが ここの下座の繋ぎがとても素晴らしいです。
歌舞伎座でも同様に下座で繋いで舞台転換をすることもございますが 迫力、臨場感がまるで違います。
お話の流れに間があくことなく、気持ちが途切れません。
また、劇場がそれほど大きくないこともあり 音的に下座や太鼓、笛 また、竹本などに迫力があります。
幕切れ後はスタオベで これも、いつもの盛り上がり っというところでございました。(^^ゞ
スゴク盛り上がって楽しいのですが 土着の臭いと申しましょうか、‘貧‘と申しましょうか、小ズルイ感触と申しましょうか もともとのお話の底にある粘っこい感じはあまり無いかもしれません。
今時の渋谷発の「夏祭浪花鑑」でございます。
ちなみに・・・12:00開演で、1:40頃から幕間になり 20分の幕間の後、2:00頃から「団七内」が始まり 2:30頃に舞台後方の搬入口が開きます。(笑)
パトカーが入口に飛び込んでくる演出なのですが 搬入口外には見物の方が大勢いらっしゃっておりました。
該当時間に搬入口に居れば 最後の幕切れを見る事ができるかも知れません・・・。(爆笑)






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