2008年05月17日           もくじへ戻る トップページへ戻る 
    新橋演舞場 昼の部   三階中央の席

  *彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち) 毛谷村
    一幕

  *上、藤娘    長唄囃子連中
    中、三社祭  清元連中
    下、勢獅子  常磐津連中

  *一本刀土俵入
    二幕五場


彦山権現誓助剱 毛谷村
 毛谷村六助:染五郎
 お園:亀治郎
 杣斧右衛門:吉之助
 一味斎後室お幸:吉之丞
 微塵弾正 実は 京極内匠:錦之助


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藤娘
 藤の精:福助


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三社祭
 悪玉:染五郎
 善玉:亀治郎


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勢獅子
 鳶頭:歌昇
 鳶頭:錦之助

舞台は日枝神社 山王祭に鳶の者や芸者たちが賑やかに踊り 二人の鳶頭鶴吉と亀吉が、曾我兄弟の仇討の様子など踊り また、‘ぼうふら踊り‘を見せます。
やがて獅子舞が来ると、賑やかに獅子の狂いを見せ おかめ・ひょっとこの面を付けての踊りとなり 祭りの気分はさらに盛り上がります。






一本刀土俵入
 駒形茂兵衛:吉右衛門
 お蔦:芝雀
 船印彫師辰三郎:錦之助
 老船頭:由次郎
 若船頭:種太郎
 清大工:桂三
 堀下根吉:染五郎
 船戸の弥八:歌昇
 波一里儀十:歌六

序幕
第一場 取手の宿・安孫子屋の場
舞台は取手宿にある茶屋旅籠・安孫子屋の店先 安孫子屋の奉公人や酌婦たちが道向こうの喧嘩を見ていると 若い夫婦と、これを追って三太郎というやくざの子分・船戸の弥八がやって来ます。
暴れ者の弥八が若い夫婦に難癖をつけて脅しているので 見かねた博労の久太郎が仲裁に入るのですが 弥八は乱暴を止めません。
そればかりか 久太郎に叩かれた事に腹を立てて、安孫子屋から持ち出した包丁を振り回すしまつです。
この騒ぎに、安孫子屋の二階の障子が開き 酌婦・お蔦が外の様子を覗きます。
暴れている隙に若夫婦に逃げられてしまった弥八は 二階のお蔦に悪態をつくのですが 折りしもここへ、空腹でふらついた取的・駒形茂兵衛が通りかかります。
腹の虫が治まらない弥八は、来合わせた茂兵衛に言いがかりをつけるのですが お蔦が二階から水をかけて気をそらしてくれます。
しかしなおさら腹を立てた弥八は、茂兵衛を足蹴にするのですが 怒った茂兵衛に頭突きを喰らわされて逃げて行きます。


騒ぎが収まり皆がいなくなると、茂兵衛もこの場を去ろうとしますが 茂兵衛のふらふらした足取りを気にして、お蔦が声をかけます。
両親を亡くして一人きりの茂兵衛は、関取になろうと相撲部屋に入門したのですが 見込みが無いと言われ部屋を追い出されてしまい、金も無く空腹でふらふらしています。
それでも、立派な関取になって母親の墓の前で土俵入りを見せたいと思い 親方のおかみさんを頼り もう一度、入門させてもらおうと 江戸に向かう途中なのでした。


何気なく声をかけたお蔦でしたが 茂兵衛の様子を聞いて、自分の故郷に居る母親を思い出し小原節を唄います。
茂兵衛は唄を聴きながらこの場を去ろうとするのですが お蔦は茂兵衛を呼び止めると 持っていた金や櫛、簪を茂兵衛に与え、立派な関取になるよう言います。
茂兵衛はお蔦の情けに感謝して 横綱になるまで駒形茂兵衛の名で頑張り、必ず土俵入りを見てもらうと約束し この場を去るのでした。



第二場 利根の渡し
舞台は利根の渡し場 お蔦から貰った金で腹いっぱい食べる事ができた茂兵衛でしたが、渡し船には乗り遅れてしまいます。
しかたなく、この場で次の渡し船を待つことにしたのですが ここへ茂兵衛を追って先刻の弥八が仲間を連れてやって来ます。
腹の具合が良くなった茂兵衛は 打ちかかってくる無法者を難なく打ち払ってしまいますが お蔦の事が気にかかり、お蔦に手出ししなかったか弥八を問い詰めます。
茂兵衛に打ち据えられてしまった弥八は、傍らの茂みに隠れて様子を見ていた子守を見つけて お蔦は父無し子を産んだ女だと言い逃げて行きます。
弥八が逃げた後、茂兵衛が子守に尋ねると 子守の背負う子は、弥八の言うとおりお蔦の子でした。
茂兵衛は子守を見送ると 渡し船を待ちながら、手にした食べ物を頬張りはじめるのでした。



大詰
第一場 布施の川べり
舞台は十年余り後、布施の川べり 船の修理をしている船頭に、今では博徒になっている駒形茂兵衛が安孫子屋の様子を聞いています。
若船頭は安孫子屋の事を知りませんでしたが 老船頭は覚えていて、やくざの三太郎が店を買い取ったが 既に店は畳んでしまい 今では、死んだ三太郎の縄張りを弥八が継いでいると話します。
これを聞いた茂兵衛は お蔦の事を尋ねてみるのですが これは老船頭も清大工も記憶に無いようでした。


茂兵衛があきらめてこの場を去ろうとすると 突然、博労・波一里儀十の子分たち数人が打ちかかってきます。
子分の堀下根吉ら数人は いかさま賽を使った男を捜しており、茂兵衛をいかさま師と間違えたのでした。
茂兵衛は根吉らの無礼を窘めるとこの場を去ります。


茂兵衛が去ると いかさま師の立ち寄り先を突き止めた儀十が現れ、皆を引き連れてこの場を去ります。

人気の無くなった川べりに 人目を忍ぶように船印彫師・辰三郎が姿を現します。
儀十が捜しているいかさま師は辰三郎でした。



第二場 お蔦の家
舞台はお蔦の家 お蔦は、今では飴売りをして一人娘のお君と共に暮らしています。
折りしもここへ 儀十たちが辰三郎を追ってやって来ます。
辰三郎はお蔦の亭主で お君の父親でした。
事情を知らないお蔦は 儀十から辰三郎が生きていること、いかさまをして追われている事を聞き驚きます。
お蔦の様子を見て 辰三郎が立ち寄った様子が無い事を知ると、儀十たちはとりあえずこの場を引き揚げます。


儀十たちが居なくなったところへ 辰三郎が帰ってきます。
再会を喜ぶお蔦に 辰三郎は 働いて金を貯めて帰るつもりであったが、病で金を使ってしまったので 少しでも金を稼ごうと、博打でいかさまをしてしまったと話します。
そうして、詫状と金を残し お蔦とお君と共に逃げる事にします。
お君が聞き覚えた小原節を唄うなか お蔦と辰三郎は急いで旅支度を始めます。


折りしもここへ お蔦を捜していた茂兵衛が通りかかり 聞き覚えのある小原節を耳にして訪ねて来ます。
お蔦は茂兵衛の事を覚えていないのですが 茂兵衛は十年前に受けた恩返しだと言って 金を渡してこの場を去ります。
お蔦が昔の事を思い出そうとしていると 立ち去った茂兵衛が儀十たちがやって来た事を告げに戻ってきます。
家の中に入ってこようとする儀十たちを頭突きで追い払う茂兵衛の姿を見たお蔦は以前の事を思い出します。



第三場 軒の山桜
儀十の子分たちを打ち倒し 儀十と相撲の技で組み合う茂兵衛は、儀十も打ち負かすと お蔦たちを逃がします。
満開に軒に咲く山桜の下 茂兵衛はお蔦たちを見送るのでした。






☆「毛谷村」は1786年初演の全十一段の人形浄瑠璃「彦山権現誓助剱」の九段目にあたる舞台です。
全体のおおまかな流れがこちらの感想欄に書いてございますのでよろしければご覧くださいませ。

で、今回の演舞場の昼の部ですが 実は「毛谷村」にあまり期待していなかったのですね。(^^ゞ
ですが この舞台がケッコウ良くて それで、全体として今月の昼の部は演舞場が良いかな っと、思ったのです。(笑)
後半になって心情の見え方が単調になり、多少ダレル感じがして‘長い‘と思うところもありましたが 義太夫狂言のたっぷりした感じ、お話の内容からくるコミカルな感じ、役者さんのアンサンブルなど 総じて篤みがあり見応えのある舞台だと思います。

舞台は「六助住家の場」のみの上演で いきなり六助と微塵弾正の試合場面から始まります。
まあ、通しではございませんので 唐突な始まりなのですが、これは今の歌舞伎の上演方法ではしかたないのでしょう。
鼓の音が入った修羅囃子で幕開きになります。

染五郎丈・六助が出だしからとても良いです。
カラッとしていてチャメッケがあり 六助のホンワカした優しさ、暖かさがとてもよく伝わります。
それでいて 少しもわざとらしさを感じません。
試合に負けて微塵弾正を見送るところ、弥三松に涙するところ また、許婚と気付いたお園が下手の釜に火を入れる時の舞台中央での様子など とても雰囲気があります。
ともするとわざとらしくなり、軽い感じに見えてしまう場面ですが 実があり篤みを感じるので、見ていて六助の優しい人柄がそのまま伝わります。
また、全てが明らかになって 京極内匠に騙された事に気付いた時の竹本に乗っての決まり決まりもとても大きくてキッパリ気持ちよく決まります。
ここの流れもとても良いです。
染五郎丈、お父様に似て 器用な役者さんだな〜 っと、いう印象があるのですが(ブログの方に ‘お父様も染五郎丈も 器用な役者さんではありませんよ〜‘ っと、いうことで 貴重なエピソードをお寄せいただきました。よろしければ、こちらのコメント蘭をご覧くださいませ。) 今月は夜の部も含めまして、今までより大きくなった様に感じました。
ところどころ、吉右衛門丈に台詞の感じが似ておりまして これもなんとなく嬉しいところでございました。(^^ゞ

亀治郎丈・お園は竹本が出語りになったところで、花道からの出になります。
はじめ、花道で山賊と共に出てくるのですが 虚無僧姿で男装をしている設定で編笠を被っているわけですが 声がそのまま男です。(^_^;)
一瞬、仰け反ってしまいました。(笑)
ドスの聞いた声で、怖いくらいです。
女が男装して虚無僧姿になっている っと、申しますより そのまま男の虚無僧にしか見えません。
それが編笠を取ると、イキナリ女なのですね。(^_^;)
見ておりまして この先、大丈夫? っと、思ったのですが ここから先がダンゼン良いのです。
編笠を取ってからの亀治郎丈・お園は、とても可愛らしくて また、武芸者としての大きさも感じられます。
竹本に乗ってのクドキもたっぷりとしていて見応えがございます。
それと 染五郎丈・六助とのバランスも良いです。
また 飯炊きの時の姉さん被りの甲斐甲斐しい様子、火吹き竹を取り違える時の可愛い感じ、大きな動きがあるわけではございませんが目を引きます。
途中のカラミは無く 京屋型のお園でしたが 教わった通りだからでしょうか 化粧の雰囲気も含めて、雀右衛門丈に形が似ている時がございまして、びっくりいたしました。
以前、芝雀丈のお園を見ているのですが その時よりも形が似ているような気がいたします。(笑)

吉之丞丈・お幸が大きくて なにより品格がございます。
一味斎の後室としての厳しさがあり かつ、孫や娘に対しての優しさもあり 奥行、篤みを感じます。
錦之助丈・京極内匠は可もなく不可もなくと言う感じでした。
根っからのストレートにただ悪い奴というのはニンでは無いのかも知れません。
吉之助丈・斧右衛門は真面目です。







☆「藤娘」は1826年初演の「歌へすがえす余波大津画」の中の一場面です。
「藤娘」について少しだけ調べた事がこちらの感想欄に書いてございますのでよろしければご覧くださいませ。

今回の舞台ですが 久しぶりに女形さんの「藤娘」を見まして(^^ゞ 艶っぽい感じが良いな〜 っと、思いました。
まずは舞台の美しいこと、何回見ても飽きません。
暗転でパッと目に映った福助丈はとても綺麗で素敵なのですが ここは、舞台の美しさに見とれてしまいました。(笑)
で、踊りですが(^^ゞ 一度、松の陰に入って笠を手にして舞台に出てからの 「>男心の憎いのは」 から、クドキの艶のある柔らかな雰囲気がとても良いです。
また ここのところは それほど表現過多になっておりませんので気になること無く見ていられます。
さらに 再び松の陰に入って藤色の衣装になり舞台に出た後‘藤音頭‘になったところの一番はじめ、 「>藤の花房色よく長く」 からのところ ここまでの長唄の調子が軽快なこともあるのですが すっと替わってしっとりした雰囲気になり 可愛らしく、またとても色っぽい感じがいたしまして それが、見た目に柔らかな線に乗って見えてくるので 目に残るような姿です。
出だしの‘藤の花房色よく長く‘のところで体を反らす時に、とても柔らかなので 客席から拍手がきておりましたが 私の目に残りましたのは、もう少し後の‘十返りという名の憎や‘のところで 松に向かって3つほど歩を進める時の背中から肩の線の艶のある柔らかな感じがスゴク良いと思いました。
ここから先は ‘酒‘が入って‘娘‘から年齢が上がっていくので、より表現過多な感じになりますが 私はそれほど気にならずに‘可愛い藤娘‘だと思いつつ見ておりました。

全体に、やはり表情豊かと申しますか 表現過多な感じのする舞台でございます。
ですが、福助丈の藤娘らしい(あるいはonly Fukusukeな)舞台であるように思えました。
どうしても気になりましたのは ‘藤音頭‘になる前のご挨拶の時、‘藤に巻かれて寝とござる‘のところの2ヶ所ほどでした。
どちらかと申しますと‘楚々とした可愛らし娘‘と言うより‘マルキューあたりに居そうな娘‘ではあるかもしれません。(^_^;)
演目にもよるのでしょうが 私は、それが嫌だとも良くないとも思いませんでた。(笑)






☆「三社祭」、観劇日が17日でしたので お祭の最中でしたね。(^^ゞ
この舞台は1832年初演の四変化舞踊「弥生の花浅草祭」の中の巻です。
舞台は隅田川で、浅草寺の観音像を見つけた漁師が 山車人形風な振りで踊り始めます。

今回は染五郎丈と亀治郎丈のお二人の舞台でしたが 胸のすくような舞台で、元気でとても楽しい踊りでした。
特に、悪玉善玉になってからの踊が元気で お面を付けているので、酸欠にならないかと余計な事を思いつつ見ておりました。(^^ゞ
この踊りは ヤッパリお若い方の元気な舞台が良いのですね。(笑)
ワタクシ、清元の舞台と申しますと しっとりした雰囲気を思い浮かべるのですが そういう事では、この舞台は私のイメージとは異なり賑やかで好きな舞台です。
それにいたしましても 体力勝負なのだな〜 っと、改めて思ってしまいました。(^^ゞ





☆「勢獅子」、こちらは山王祭りを題材にした常磐津の舞台で、1851年初演です。
以前「勢獅子」を見た時に調べた事がこちらの感想欄に少し書いてございますのでよろしければご覧くださいませ。

今回は前の舞台から浅葱幕を振落として 下手に常磐津で、皆様は板附の出になります。
華やかな舞台で、手締めの後に手古舞姿の芸者と若い者の踊りになります。
ツケ打ちさんが上手に出て 歌昇丈と錦之助丈の曾我の踊りになり 間に吉之助丈の踊りを挟んで 歌昇丈と錦之助丈の‘ぼうふら踊り‘ それから獅子舞が出て若い者とチョッと絡んで 幕切れ間近は、おかめとひょっとこの面を付けての踊りになり舞い納めになります。
前に見た舞台では 獅子の前足を鳶頭の方がお勤めになったように記憶しているのですが(この時は 鳶頭が梅玉丈と松緑丈で、お若い松緑丈だけが(笑)獅子の前足をお勤めだったと思います。) 今回、歌昇丈と錦之助丈は お面を付けての踊りだけでした。

まずははじめの手古舞姿の芸者が並んだところ、京妙丈が粋で綺麗です。
歌昇丈と錦之助丈の鳶頭ですが お二人とも真面目なきっちりとした感じの踊りなのですが 粋と申しますより、どうもどちらも武ばった感じでございまして 歌昇丈にいたっては‘怒ってるでしょ?‘っと、いう感じに見えてしまいます。(^_^;)
‘ぼうふら踊り‘も ちゃんと踊っているというのは伝わるのですが 楽しく踊っているようには見えません。
山王祭を背景に鳶頭の踊りですから 粋に楽しく踊って欲しいな〜 っと、思いました。(笑)
途中の吉之助丈の踊りを見る事ができまして チョッと嬉しかったです。(^^ゞ
後半の獅子舞は良かったです。
絡む若い者も獅子も元気でキッパリしていて とても楽しいです。
最後に獅子の中から姿を見せたカッコイイお二人は 錦弥丈と又之助丈だそうです。(ブログのコメントで桜子様よりお教えいただきました。ありがとうございます。m(__)m)
この舞台で一番粋で素敵な表情をなさっていらっしゃいました。(笑)





☆「一本刀土俵入」は長谷川伸作、1931年(S6)初演の新作歌舞伎です。
20年近く前ですが 当時の勘三郎丈と玉三郎丈でこの舞台を見た事がございました。
なんだか良く分からないけれど 玉三郎丈がお蔦をお勤めでしたので見た舞台です。
何となく土臭い印象が残りました。
次に見ましたのは わりと最近TVで見た、雀右衛門丈と吉右衛門丈の舞台で 自分が歳を取ったからでしょう、お蔦や茂兵衛の境遇と申しましょうか 成り行きと申しましょうか そういうものを拒絶しないで見ている事ができました。
で、今回の舞台なのですが ようやく、お話しそのものに必要以上の暗さを感じることなく見る事ができました。
自分の加齢を感じる舞台でございます。(笑)

吉右衛門丈・茂兵衛が良いです。
序幕のもっさりしているけれど気の良い茂兵衛の 分かっているのに‘なあに、そこはお墓さ‘という台詞に泣けます。
このあたりから 内容としてはケッコウ‘これでもかと‘涙を誘うような台詞が続くのですが それが少しもわざとらしく聞こえないので 余計なことを思い浮かべることなく見ていられます。
で、序幕の第二場幕切れ前ですが 子守の京妙丈が上手に向かうと、舞台中央で何か食べ始めまして ビヨ〜ンっと伸びるマシュマロのようにも見えたのですが 定式幕が上手から引かれる時に、食べ物を持った手を‘ほら!‘っという感じで客席の方に挙げるのですね。
チョッと客席から笑いが起きるのですが この時の吉右衛門丈のオチャメなことったら これだから吉右衛門丈、好きなんです。(^^ゞ
それにいたしましても・・・毎日、この‘ ビヨ〜ンっと伸びるマシュマロのようなもの‘を食べていらっしゃるのですよね・・・楽日には、もう見たくないでしょうね。(笑)
続いて大詰・第一場 十年後になるのですが キッパリした茂兵衛がスゴク良いです。
十年前と同じ人?っと思えるくらいなのですが これが、時の経過と 茂兵衛の歩んできた道のりを感じさせます。
舞台に出て、下手に立った時の大きさに嬉しくなります。
また 堅気の人に対して、腰の低い雰囲気に潔さを感じます。
渋いカッコ良さがあり 博徒の暗さを残さない感じで、歌舞伎の舞台ならではの雰囲気だと思いました。
第三場では歌六丈・儀十と相撲の勝負をして息の合ったところを見せてくれます。
吉右衛門丈も歌六丈もガシット硬派ですが どことなくホンワカした感じでもありました。
幕切れ前の腕組みをして花道の方を見つめる吉右衛門丈は大きくてカッコイイです。

芝雀丈・お蔦は初役とは思えないほどです。
序幕の捨て鉢だけれど、優しい感じが やはりわざとらしさなく見えてきます。
篤みのある吉右衛門丈の茂兵衛に対して お蔦に見えます。
舞台を見るまでは 吉右衛門丈の茂兵衛に対して、小さく見えるのではないかと思ったのですが そのようなことは全くございませんで、十分にシッカリとした篤みを感じるお蔦だと思いました。
大詰のお蔦の家では優しい母親で 安孫子屋ではあれほど突っ張って生きていたのに 十年前と同じ人?っと思えるくらい普通の母親で 子守におぶさっていた赤ん坊が大きくなっている事もさることながら、お蔦の雰囲気からも年月の経過を感じる事ができます。
茂兵衛の事を思い出した瞬間 ‘あ〜良かった‘っと、ホッとして嬉しくなりました。(^^ゞ

歌昇丈の弥八が良いです。
小者の雰囲気が伝わりまして それでいて、嫌味が無くて適度な軽さがあり この手のお話のジメッとした暗さを軽減していると思います。

他、歌六丈・儀十の骨太い感じ 由次郎丈・老船頭の土着な雰囲気が良いと思いました。
それと、種太郎丈が頑張っていらっしゃいます。






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