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| 歌舞伎座 昼の部 三階B中央の席 |
*義経千本桜 渡海屋・大物浦 一幕 *六歌仙容彩 喜撰 長唄囃子連中 清元連中 *極付 幡随長兵衛 「公平法問諍」 大薩摩連中 三幕 |
義経千本桜 渡海屋・大物浦 渡海屋銀平 実は 新中納言知盛:海老蔵 源義経:友右衛門 相模五郎:権十郎 入江丹蔵:市蔵 武蔵坊弁慶:團蔵 典侍の局:魁春 あらすじはこちらでどうぞ 六歌仙容彩 喜撰 喜撰法師:三津五郎 祗園のお梶:時蔵 あらすじはこちらでどうぞ 極付 幡随長兵衛 幡随院長兵衛:團十郎 水野十郎左衛門:菊五郎 出尻清兵衛:三津五郎 極楽十三:権十郎 雷重五郎:松緑 神田弥吉:海老蔵 坂田公平:市蔵 渡辺綱九郎:家橘 伊予守頼義:萬次郎 近藤登之助:彦三郎 唐犬権兵衛:梅玉 長兵衛女房お時:藤十郎 あらすじはこちらでどうぞ |
☆「渡海屋・大物浦」は1747年初演の「義経千本桜」の二段目にあたります。 「義経千本桜」の大まかな流れがこちらの感想欄に書いてございますのでよろしければご覧くださいませ。 で、「渡海屋・大物浦」は「義経千本桜」の中で語られる主人公の中の知盛にまつわるお話です。 今回、その知盛を海老蔵丈が初役でお勤めです。 筋書きを読みますとお父様の團十郎丈に教えていただいたと書いてございます。 とにかく全体としては、余計な事をせずに一生懸命お勤めであることが伝わる舞台で 千本桜の知盛を初役でこれだけシッカリ見せることができるのは凄いと思います。 舞台は渡海屋 まず、雰囲気のございますのは團蔵丈の弁慶です。 弁慶はいろいろな舞台に登場するキャラクターですが「渡海屋」「大物浦」の弁慶は團蔵丈が一番好きです。(^^ゞ この弁慶は特別デフォルメされた弁慶ではございませんで 弁慶というキャラクターにしては普通な感じです。 ですが、それでもこの場の團蔵丈の弁慶は大きさがありす。 それと 物静かな雰囲気がございまして これが、後半の大物浦(特に幕外で)でも活きていてとても良いのです。 また、安徳帝を跨ごうとして‘足がつくばる‘ところも違和感なく見ていられます。 簾内の竹本で道太夫の呼びから相模五郎・権十郎丈と入江丹蔵・市蔵丈が花道からの出になり 舞台の方は銀平女房お柳・魁春丈が出ます。 このお三人の雰囲気がとても良いです。 「義経千本桜」は時代浄瑠璃ですけれど「渡海屋」は船問屋が舞台という事もあり、多少世話風な感じになります。 相模五郎も入江丹蔵も武士ですが台詞の感じに角がなく また、魁春丈もサクサクと軽めで 共に武ばった時代浄瑠璃の中でさりげなく世話の雰囲気を見せていると思います。 で、いよいよ知盛・海老蔵丈の出になります。 ビジュアルがとても良いです。 スックとした厚司姿が大きくて、魁春丈に対して銀平に見えます。 弟に見えない事が まずはじめに良いと思いました。 多少声が裏返るところもございますが、それほど気になることもございません。 「町人の家は武士の城郭」からの台詞も大きく重みがあります。 ‘実は平家の武将、知盛‘の部分が良く伝わります。 ですが、この場の銀平は伊達男で世話風の雰囲気もあるお役ですので このあたりは少しもの足りないかもしれません。 相模五郎や入江丹蔵を追い出すところも世話物の雰囲気と申しますより 荒事風な感じで一本調子に見えます。 この後 相模五郎・権十郎丈と入江丹蔵・市蔵丈の魚尽くしの台詞(こちらに台詞の一部がUPしております)がございますが 権十郎丈の魚尽くしの台詞がとても楽しいです。(笑) 一度舞台から人が居なくなり 簾内の竹本が東太夫に代わりまして、義経・友右衛門丈が舞台に出ます。 ここから魁春丈のお柳とのやり取りになります。 ワタクシ、今回の舞台で友右衛門丈の義経にかなり期待していたのですが・・・どうも、思っていた感じとは違っておりました。(^_^;) 品のある義経なのですが 感触が柔らかすぎるようで 御大将の格、芯、大きさが見えてきません。 公卿ではなく武将ですから もっと重圧感が欲しいです。 チョッと予想外でした。 魁春丈の洗濯のしゃべりは流暢で かつ、世話女房の雰囲気もあり良いと思いました。 ただ、話しながら 銀平と自分の台詞に合わせて体を左右に振るのが見ていて多少うるさく感じました。 動作が大きいのかもしれません。 義経がのこ場を去り 銀平、実は知盛が上手奥の間から白緞子(しろどんす)の衣装で舞台に出ます。 白地の衣装がスッキリとして ここのビジュアルもとても良いです。 この場面も一生懸命お勤めで 客席で見ておりまして、大きさ感じます。 ですが、能ががりな幽玄さはイマヒトツです。 義経、あるいは源に対しての恨みの念を見せようとしていることはとてもよく分かります。 ですが、それが念として内側に凝る様に見えず 外側に見える様に発散されるので 恨みの念を見せようとしていることは伝わるのですが ゾクッとする様な感触が伝わりません。 勢いを感じる分 荒事風に見えてしまいます。 ここまで、全体には 海老蔵丈の頑張りがよく分かり、大きく立派な知盛です。 ですが・・・時代浄瑠璃の中にあって 世話風とか幽玄とかの微妙な色合いは少ないかもしれません。 魁春丈がとても良いと思いました。 洗濯のしゃべりなどは流暢なのに 実は典侍の局である品が感じられ 踏み外さない上手さを感じました。 他、粋な権十郎丈・相模五郎が良いです。(^^ゞ 舞台は大物浦に換わり 上手床の御簾が上がり竹本・葵太夫のオキからはじまります。 魁春丈の典侍の局が若くて美しくて良いです。 時代物の重圧感は少ないように感じましたが 品、格ともに十分で かつ、十二単の姿がとても綺麗です。 十二単の衣装で安徳帝の子役さんを抱きかかえて階を降りるところなど あ〜、お若い典侍の局だな〜 っと、思いました。(^^ゞ ですので幕切れ間近も 舞台中央で安徳帝を抱きかかえ下手に行きます。 「いかに八大竜王恒河の鱗・・・」の台詞は、ドッシリとした大きい感じはあまり無いように思いましたが 安徳帝を想う母性の様な強さがあると思いました。 大きな強さよりも、想いやる優しさを感じる典侍の局なので 幼い安徳帝と二人残されたところは哀れを感じます。 しっかり、たっぷりしていて さらに、綺麗で哀れを感じ かつ、品のある はかなさを感じさせる典侍の局です。 注進の相模五郎・権十郎丈と入江丹蔵・市蔵丈は 市蔵丈が義太夫にのって、たっぷりした感じで良いと思いました。 権十郎丈はきっちりした綺麗な所作なのですが 義太夫の大きくこってりした感じではなくて舞踊の決まりを思わせる感じでした。 安徳帝が捕らえられたところで海幕が下りて これを振落として‘碇知盛‘と続きます。 竹本が清太夫に代わり 舞台は大物浦の磯端 知盛・海老蔵丈の出になります。 大きな力強さを感じる知盛ですが 血まみれドロドロスプラッタ状態で すみません、これは私には辛かったです。(^_^;) これを壮絶と見るか、ドロドロスプラッタと見るかは 見た人の感覚、好みかと思うのですが 私は、舞台上に血糊の赤い点ができるのはカンベンして欲しいと思いました。 また、強い恨みの念を伝えようと頑張っていらっしゃるのは良く分かるのですが 決まるたびに長刀を震わせ、口を開けて‘ファー‘っと唸るのは これもカンベンして欲しいと思いました。 凝って内に深く根ざす憎しみが感じられてこそ この場の知盛に人の哀れを感じるのだと思うので 見た目だけではない心情の深さが見えると良いと思いました。 ですが碇と共に海に沈むところの後ろ向きでのダイブは、凄く大きく迫力がございました。 今回は初役ですので これから先・・・二五年くらい後の海老蔵丈の知盛、ぜひ!見たいです。 ここでも、義経・友右衛門丈 イマヒトツ大きさが感じられません。 それと 岩の上に居る知盛に向かって言う台詞が‘さらわ〜‘っと聞こえます。 これ、きっかけになる台詞だと思うので スカな感じがいたしました。 幕外での引っ込みは安徳帝を抱きかかえない形でした。 この後、弁慶・團蔵丈が知盛に向けて法螺貝を吹きます。 とても物静かな感じで、法螺貝の低い音が哀れな寂しさを残し とても良いラストです。 この時の團蔵丈・弁慶の静かな雰囲気が 幕開き間近の弁慶と対になっているようで この舞台全体に流れる‘哀れ感‘を、より感じる事ができるように思います。 で、そのようにしみじみとした場面ですのに ど〜して客席の皆様は立ち上がってしまうのでしょうね〜。(T_T) この幕間がお昼なのは分かりますけれどね・・・。 ☆「喜撰」は1831年初演の「六歌仙容彩」の一場面です。 こちらの感想欄に少しですが「六歌仙容彩」のあらすじや調べました事 また、「喜撰」の大まかな流れなどが書いてございますので、よろしければご覧くださいませ。 幕が開きますと舞台は桜、正面に長唄囃子のひな壇、下手に清元が並んでいます。 >わが庵は 芝居の辰巳 常盤町 しかも浮世を離れ里 オキから 喜撰・三津五郎丈が花道の出になります。 チャキットした粋な坊さん っと、いう感じで(笑) 楽しい雰囲気です。 が・・・3階からでは上半身しか見えません。(^_^;) 七三での所作がケッコウ長いのですよね〜。 ようやく舞台に出て、よく見える様になるわけですが(笑) 全体に三津五郎丈の喜撰は さっぱりと粋で、かわいい男の艶っぽさがあり てとても楽しく見ていられます。 お梶・時蔵丈は >もしやと簾をよそながら 喜撰の花香茶の給仕 から、被衣を被って上手からの出になります。 全体に時蔵丈のお梶は 艶はございますが、さっぱりした雰囲気で 三津五郎丈の喜撰とバランスがとても良いです。 三津五郎丈も時蔵丈も世話風な粋な艶を感じさせて、お二人のバランスも良く 楽しい舞台になっていると思います。 後半の所化に、お二人ほどチョッと小さい所化が並んでおりましたので どなたかしら? っと、思いましたら 小吉丈と梅丸丈でした。 途中 衣装の裾の上げ下ろしや、肩肌脱ぎになったり戻したりする時に左右にいらっしゃった大人の所化さんに手伝ってもらったりして 何となく、可愛いな〜ガンバレ〜 っと、思いつつ見てしまいました。(^^ゞ ☆現行の「幡随長兵衛」は 1881年(M14)に初演された黙阿弥作の舞台を 1891年(M24)に河竹新七が改訂したものです。 はじめの黙阿弥の舞台は 序幕の部分が、長兵衛と水野の争いに相撲取りの争いを絡めたお話になっているそうです。 現在では改訂版の村山座のお話しでの上演ばかりですが 二幕目・長兵衛内の場に登場する唐犬権兵衛が 改訂前の黙阿弥作の舞台では重要な役どころになっているようです。 「村山座舞台の場」は劇中劇の「公平法問諍」から舞台が始まります。 実はワタクシ、毎回「幡随長兵衛」を見ます時 この「公平法問諍」がとても楽しみでございまして 今回、市蔵丈の坂田公平もとても良かったのですが 権一丈がなんとも味のある慢容上人で良かったです。(^^ゞ 舞台番は名題昇進なさった新十郎丈、キッパリとした気持ちの良い舞台番です。 昨年8月の国立小劇場での合同公演で拝見いたしました「今様須磨の写絵」の船頭此兵衛が印象に残っておりまして これからも頑張っていただきたいと思いました。 水野の家臣、坂田金左衛門と舞台番の新吉が花道でもめるところへ 團十郎丈・長兵衛が客席から舞台に上がります。 團十郎丈の長兵衛は 大きくておおらか、懐の深さを感じさます。 さらに、人柄の明るい長兵衛に見えるのは 團十郎丈ならではの事だと思います。 事を納めて長兵衛が引き返そうとする所を桟敷から引き止めるのが菊五郎丈・水野十郎左衛門です。 3階席から見ますと 菊五郎丈のいらっしゃる舞台下手の特設桟敷がとても良く見えました。 3階でもたまには良い事があるのですね。(笑) ここでの菊五郎丈・水野十郎左衛門は クールな敵キャラ路線の雰囲気がございまして(笑) ドカンとおおらかに大きい團十郎丈・長兵衛と、とてもバランスの良い水野十郎左衛門です。(^^ゞ 二幕目、「長兵衛内の場」は まず、藤十郎丈・お時の情のある風情が良いです。 江戸、侠客の女房ですので どのような感じになるのかしらと思いましたが 長松を連れて戻って来た時の子分に対しての大きい感じ、どうしても水野の屋敷に出かけると言う長兵衛に対しての不安な心情 出かける長兵衛を引き止めようとする時の思い入れ 一つひとつが丁寧で また、江戸歌舞伎に合うようにお勤めなのが良く分かります。 さらに、この幕は竹本の語りが入りまして 序幕や三幕目よりたっぷりした流れもございますので 長兵衛が裃に着替えるところの情の深いしみじみした感じがとても良いです。 團十郎丈・長兵衛は 子分たちに対する大きさ、お時に対する情、侠客の腹の座った雰囲気など とても良いと思いますが さらに、長松に対して暖かみを感じる長兵衛です。 男気のある硬派な雰囲気と申しますより 大きくて暖かみのある‘おとうさん‘な雰囲気を感じまして それゆえ、幕切れ間近の長松とのやり取りに泣けてきます。 三津五郎丈・出尻清兵衛の適度な軽さ、梅玉丈・唐犬権兵衛のキッチリ締めた感じ、子分の顔合わせも大きく どこを見ても楽しめる一幕だと思いました。 それと 長松・玉太郎丈が頑張っています。(^。^) 三幕目、「座敷の場」は いつも見るたびに感じる事ですが、何となく説明っぽいですね〜。(笑) ですが 長兵衛・團十郎丈、水野十郎左衛門・菊五郎丈、近藤登之助・彦三郎丈と お三人が大きくてドッシリした感じで良かったです。 「湯殿の場」は 確か、辰巳丈が長兵衛の髪を解くのだったな〜 っと、そんなところに注目してしまいました。(^^ゞ 少し手間取ったようでしたが 髪がさばけたので良かったです。 ワタクシ的に(笑) このお話し、出だしは劇中劇でワクワクする始まりなのですが 最後が騙まし討ちで どうも、すっきりしないのです。 ‘敵ながら天晴れ‘とか‘殺すのは惜しい‘とか言うくらいなら、騙まし討ちになんかするな〜 とか思いつつ幕になりました。(^_^;) |