2008年04月06日・20日       もくじへ戻る トップページへ戻る 
    歌舞伎座 夜の部   三階B中央の席

  *将軍江戸を去る
    一幕三場

  *歌舞伎十八番の内 勧進帳
    長唄囃子連中

  *浮かれ心中
    二幕


将軍江戸を去る
 徳川慶喜:三津五郎
 高橋伊勢守:彌十郎
 天野八郎:亀蔵
 山岡鉄太郎:橋之助

第一場 上野の彰義隊の場
舞台は上野寛永寺 江戸城無血開城の後、徳川慶喜は寛永寺の子院・大慈院に蟄居しています。
しかし江戸城の明渡しに対して 主戦論を唱える彰義隊の隊士が一戦を交える覚悟で寛永寺に集まっています。
ここへ幕臣の山岡鉄太郎が慶喜と面会するためにやって来ますが 門前を警護する者たちが鉄太郎を通そうとしません。
騒ぎを聞きつけた彰義隊の新頭取・天野八郎が現れますが やはり、慶喜との面会はできないと言い 鉄太郎と睨み合いになります。
しかしここへ高橋伊勢守が現れ 睨み合う二人の間に入ると 鉄太郎は義弟で信用できるゆえこの場を通すよう言います。
伊勢守の命とあっては逆らう事もできず 天野八郎は鉄太郎と伊勢守を通します。



第二場 上野大慈院の場
舞台は慶喜が蟄居している大慈院 憔悴した様子の慶喜のもとへ伊勢守が参上します。
伊勢守は明朝の水戸への退隠について尋ねますが 慶喜ははっきりとした事を何も言いません。
折りしも、詰所の方から鉄太郎の面会を望む声が聞こえ 警護の者がこれを断ると 今度は慶喜のために医者を呼べと言う鉄太郎の声が聞こえます。
これを聞いた慶喜は、なぜ鉄太郎が医者を呼べと言っているのか疑問に思います。
すると伊勢守は 明朝の慶喜の水戸退隠が延期になると聞き、慶喜が急病になったと思い気遣ってのことだと言います。
さらに伊勢守は 慶喜が主戦論者の話を聞き、退隠を取り止めたことを嘆きます。
しかし慶喜は 今まで勤王のために薩長の横暴に耐えてきたが 大政奉還し将軍職も退いた今は薩長と戦うと言うのでした。
するとまた、鉄太郎の‘水戸家は幽霊勤皇の家柄ゆえ慶喜の病も仮病だ‘と言う声が聞こえます。
これを聞いて怒った慶喜は鉄太郎を連れて来るよう命じます。


ほどなくして慶喜の前に現れた鉄太郎は、先刻の‘幽霊勤皇‘の話しは慶喜に会うために言ったことだと言います。
鉄太郎の一命を賭けた覚悟を察する慶喜でしたが それでもなお、水戸家の勤皇の精神がどれほど深いものであるか話すのでした。
しかし鉄太郎は 政権を奉還しただけで、国土と人民を皇室に差し出していないのであれば、それは尊王であり勤王にはなっていないと言い さらに、幕府制度を打ち砕いてこそ維新の精神になるのであって 官軍と争い江戸を戦火に巻き込む事は慎むべきだと訴えます。



第三場 千住大橋の場
舞台は千住大橋 旗本や江戸の人々が見守る中 伊勢守や鉄太郎の説得で江戸を戦火に巻き込むことを避けた慶喜が、水戸への退隠を決意し 僅かな供を連れてやって来ます。
折りしもここへ鉄太郎が駆けつけると 慶喜は水戸へ退隠しても勤王の大義は忘れないと声をかけ これからの日本の未来を祝い、江戸を去るのでした。






歌舞伎十八番の内 勧進帳
 武蔵坊弁慶:仁左衛門
 富樫左衛門:勘三郎
 源義経:玉三郎


  あらすじはこちらでどうぞ





浮かれ心中
 栄次郎:勘三郎
 おすず:時蔵
 大工清六:橋之助
 三浦屋帚木:七之助
 お琴:梅枝
 番頭吾平:亀蔵
 佐野準之助:彌十郎
 太助:三津五郎
 伊勢屋太右衛門:彦三郎

第一幕
第一場 鳥越之場「真間屋」
舞台は絵草紙屋・真間屋 子供の頃から人を笑わす事が好きな伊勢屋の若旦那・栄次郎は 絵草紙作者になろうと、辰巳山人と名乗り‘百々謎化物名鑑‘という絵草紙を自費出版し さらに、一年の期限付きで親から勘当され 今日はこれから、話題作りのために一年で別れる約束で婿入りの婚礼をするところです。
伊勢屋の番頭・吾平が案じているところへ、紋服姿の栄次郎がやって来ます。
吾平が栄次郎に一年で別れるのだから花嫁に手を出してはいけないと話していると そこへ仲人をする事になっている戯作者仲間の太助が吉原から付き馬と共にやって来ます。
いよいよ太助と付き馬の仲人で栄次郎は婚礼を始めることになるのですが 初めて会った花嫁・おすずの美しさに一目惚れしてしまいます。



第二場 吉原之場「仲の町」
舞台は吉原 栄次郎の‘百々謎化物名鑑‘を読み売りたちが売り歩いていますが、まったく売れないので絵草紙を処分してしまおうと話しながらこの場を去ります。
するとここへ 読み売りたちが絵草紙を売った後に作者が姿を見せれば話題になるだろうと、栄次郎が太助と共にやって来ます。
二人が絵草紙の評判を確かめにこの場を去ると 三浦屋・帚木の花魁道中が通りかかるのですが 以前に客になったことのある大工・清六が文を渡そうと現れ、若い衆に追い払われます。
しかし帚木は、自分の客であるからと 清六から文を受け取ります。
文を受取った帚木の花魁道中が進み始めたところへ 太助と栄次郎が戻って来るのですが 偶然、帚木にぶつかってしまった太助は帚木に一目惚れしてしまいます。
これを見た栄次郎は 自分の名を上げるために帚木を身請けすると言い 太助に身請けの話をまとめてくれたら 身請けの後に帚木を太助に譲ると約束します。



第三場 鳥越之場「真間屋」
舞台は真間屋 近所の子供に‘百々謎化物名鑑‘の売れ行きが良いので栄次郎とおすずが喜んでいるところへ 栄次郎の妹・お琴と伊勢屋番頭・吾平がやって来ます。
実は‘百々謎化物名鑑‘の売れ行きが良いのは吾平が子供たちに金を与えて買わせていたのでした。
これを知ってがっかりする栄次郎をおすずが励ましますが おすずとの婚礼も名を上げるためであったと知り嘆きます。
しかしおすずに一目惚れしてしまった栄次郎は、おすずを宥め仲良く手を取り合うのでした。
これを見た吾平は 婚礼の折に花嫁に手を出してはいけないと言ったことを守っていないと知り嘆きます。
折からここへ太助がやって来て、早く栄次郎におすずと喧嘩をするように言います。
太助は 栄次郎が世間で話題になるように、婚礼を挙げて間もない栄次郎が花魁の帚木を身請けすることになり おすずと栄次郎が派手に喧嘩をするという筋書きを考えたのでした。
これを聞いたおすずは栄次郎のためと 派手に喧嘩を始めるのでした。



第二幕
第一場 深川之場「帚木の家」
舞台は栄次郎に身請けされた帚木の家 帚木は大工の清六を従兄弟だと偽って棚作りを口実にして妾宅へ引き入れています。
栄次郎との約束どおり帚木を妻にすることができた太助でしたが 清六の事が気になってしかたありません。
折からここへ栄次郎がやって来て 二作目の絵草紙を出そうと思ったのだが 版元の蔦屋重三郎に、お上の取り締まりが厳しくなったゆえ出版できないと断らたと言います。
がっかりした栄次郎が なんとか、絵草紙大家の京伝の様になりたいと話すところへ 番頭・吾平がやって来て、版元・蔦屋重三郎と京伝が役人に捕らえられ取調べを受けているので これ以上、栄次郎に絵草紙を書かせることはできないゆえ迎えに来たと言います。
しかし この話を聞いた栄次郎は、何か思いついたようです。



第二場 亀戸之場「梅屋敷」
舞台は亀戸の梅林 栄次郎は名を上げるため、政治を風刺した絵草紙を出版し 牢へ入れてもらおうと考え おすずと太助が、堅物の町奉行所役人・佐野準之助に頼みにやって来ます。
しかし佐野準之助は、その様な事はできないと言い さらに栄次郎の絵草紙を読んで もっと風刺しなければ取り締まりの対象にはならないと教えます。
これを聞いたおすずと太助は喜んで栄次郎のもとへ向かいます。



第三場 鳥越之場「真間屋」
舞台は真間屋 伊勢屋太右衛門が一年の勘当の期限が来たので栄次郎を迎えに来ています。
そこへおすずが現れ 舅の太右衛門に、初めて挨拶をするのですが 太右衛門は、栄次郎の勘当は一年限りであるので離縁して伊勢屋に連れ帰ると言います。
折りしもここへ 新作の絵草紙が幕府の取り締まりの対象となり、手鎖三日の刑に処せられた事を祝いながら賑やかに栄次郎一行が戻ってきます。
おすずは、戻って来た栄次郎に離縁の事を尋ねますが 栄次郎はおすずと別れるつもりは無いと言い 太助が、栄次郎とおすずは本当の夫婦になっていると太右衛門に告げます。
これを聞いた太右衛門は怒って、勘当をもう一年延ばすと言うとこの場を去ります。


望みどおり処罰を受けた栄次郎は太助に最後の大茶番の企てを相談します。
それは、帚木と心中するというものでした。
これを聞いた太助は、自分の女房を殺されては大変だと慌てますが 本当に心中するのではなく茶番だと聞き この茶番が終わったらおすずを連れて伊勢屋の本宅に行き、おすずを大事にすると約束するなら帚木を貸すと言います。
栄次郎は、おすずを大事にすると約束し 二人は心中の茶番の相談を始めるのでした。



第四場 向島之場「墨堤」
舞台は向島 いよいよ大茶番の心中が始まろうとしています。
太助がいろいろと段取りを確認し 栄次郎と帚木がやって来ます。
打ち合わせをして鐘の音と共に栄次郎と帚木が二人揃って川に入ろうとした時 見物の陰から清六が飛び出し 栄次郎と帚木に斬りかかるのでした。
清六は栄次郎の茶番を本当の心中だと思い込んだのでした。


舞台は換わってあの世の途中 帚木は呼ぶ声に導かれ現世に戻ってしまいます。
一人残った栄次郎は、あの世でも戯作を書こうと鼠と共にあの世に向かうことにします。
折りしも下界を見れば、太助の姿が見るので声をかけます。
太助は栄次郎の呼ぶ声に気が付き 自分も今回の心中騒ぎで手鎖をもらったと見せるのでした。
栄次郎はこれからあの世に行って戯作を書くと言い 太助も名を改め、やはり戯作を書き続けると言うのでした。




○6日の感想
☆「将軍江戸を去る」は1934年(S9)初演の真山青果作の新作歌舞伎です。
一幕三場の舞台で、それほど長い上演時間ではございませんが 見応えのある舞台です。
ですが、とにかく台詞が難しい〜。(^_^;)
難解な漢字がイッパイっという感じで(笑) 台詞を意識してよく聞いていないと、何を言っているのか分からなくなってしまいます。
たぶん・・・学生時代に真面目に歴史を勉強しなかったからだと思うのですが、聞き慣れない言葉が多くて辞書を見たいくらいでした。(笑)
尊皇と勤皇に拘っていましたが 違いがよく分かりませんで 帰宅してYahoo!の辞書検索で調べてしまいました。

尊皇:朝廷を尊ぶこと。
勤皇:天子のために忠義(真心を尽くして仕えること)を尽くすこと。

っと、いう事だそうで やっぱり、よく分かりませんでした。(^_^;)
まあ、勝手に解釈して 尊皇<勤皇、という事で より行動として示す範疇が大きいという事なのでしょうか・・・。
見ていてフット思ったのですが この舞台は昭和9年に初演されていて この時期に真山青果は舞台上で山岡鉄太郎に「戦争は残酷でござりまする。」っと、叫ばせているのですね。
舞台を見ておりまして どこかの誰かに聞かせてあげたい っと、思ってしまいました。

三津五郎丈の慶喜は 無念さと、それでもなおかつ事態をのみ込む器の大きさが伝わり とても懐の深い感じです。
橋之助丈の山岡鉄太郎は、とても真っすぐで芯があり 思いの伝わる台詞も良いと思います。
彌十郎丈・高橋伊勢守が脇をしっかり抑える感じです。
特に、第二場の初め 慶喜と二人で対面しているところなどは 彌十郎丈・高橋伊勢守ゆえに慶喜の無念な気持ちが、よりはっきり見えるようです。
また、第一場の橋之助丈・山岡鉄太郎に対する天野八郎・亀蔵丈が強すぎず弱すぎず 必要以上に出ることなく 良いバランスだと思います。



○20日の感想
第一場の亀蔵丈が良いです。
台詞の太い感じが、天野八郎の真っすぐな気質を見るようで良いです。
鉄太郎・橋之助丈と対するお役ですが 嫌な感じがいたしません。
彌十郎丈を含めまして 鉄太郎、伊勢守、八郎のそれぞれの硬質感が伝わり 舞台が重圧になるように感じました。

第二場は三津五郎丈の気迫が3階席で見ておりましても怖いくらいに伝わります。
橋之助丈・鉄太郎のような外に向けて発散される気迫ではございませんが 内側に向かう想いであるにもかかわらず、怖いくらいの迫力があり 橋之助丈・鉄太郎との間に火花が散るようでした。

第三場は三津五郎丈・慶喜の懐の深さが見えて良いです。
第二場で見た深い無念の想いを飲み込んで江戸を去る 慶喜の大きさが見えるようです。
で、台詞を聞いていると 賑やかな江戸の街の風景がイメージに思い浮かぶような気がしてきます。
映画のワンシーンの様に、台詞に画面が被って見える感じで 一つの時代の区切を見た様な気になりました。





○6日の感想
☆「勧進帳」は歌舞伎十八番の一つで1840年初演の能を本にした松羽目物の舞踊劇です。
で、今回の舞台は 弁慶・仁左衛門丈、富樫・勘三郎丈、義経・玉三郎丈 このお三人ならではの舞台だと思いました。

「勧進帳」と申しますと 私は、どちらかと言えば 骨太な硬派なイメージがあるのですが 今回の「勧進帳」は、それぞれの立場でそれぞれが互いに相手を想いやるような雰囲気が感じられる舞台で 視覚的に見えるのは骨太な動きなのですが、伝わるのは優しい雰囲気なのです。
これは、やっぱり こういう「勧進帳」もアリなのだという事で嬉しくなってしまいました。(^^ゞ

幕開き、舞台正面に長唄囃子のひな壇で 下手お幕から富樫・勘三郎丈の出になります。
ワタクシ、勘三郎丈の富樫って もっとソフトな雰囲気をイメージしていたのですが いえいえ、とても大きくてガッシリした雰囲気でビックリいたしました。(^^ゞ
太刀持は鶴松丈ですが 初め誰だか分かりませんでした。
毎回、見るたびに大きくなっているような気がいたします。
ヨセの合方から 花道に義経一行が出ます。
ここは3階席からですとほとんど見えません。(^_^;)
ですが、「いかに弁慶」「は〜」というところ 義経の声も良く聞き取れましたし、弁慶の第一声の呂の声もはっきり聞こえました。
これ、3階席で聞いておりますと 良く聞き取れない事が多いのです。
仁左衛門丈・弁慶の低い声を聞いただけで嬉しくなってしまいました。(笑)
で、この後の「や〜れ、しばらくお待ちそうらえ」からの台詞の感じがとても分かりやすくて説得力があり 逸る気持ちの人たちを押止めようとする気持ちが良く伝わります。
声はキモのある呂の声なのですが スゴク聞きやすいのです。
なぜだか?なのですが 言っていることがよく分かる感じなのです。
口跡が良いからでしょうか?
ようやく義経一行が舞台に上がって 仁左衛門丈・弁慶の姿がはっきり見えます。(笑)
ここからしばらくは玉三郎丈・義経は舞台下手前面にジットしています。
視線は舞台中央と上手よりの弁慶と富樫なのですが 弁慶が頑張るほど義経を意識して見てしまいます。
このあたりが、私の想い入れでございまして(笑) 他の弁慶と義経では無い雰囲気だったりいたします。
ノットから勧進の読み上げ、山伏問答と続きます。
勧進の読み上げの最後の天地人の見得は、ピットした緊張感があり 不動の見得はグッと抑えた感じです。
骨太さはございませんが とても大きな弁慶です。
ノットから山伏問答の間は 弁慶と富樫のやり取りに見応えがあるのですが ここの勘三郎丈は仕掛ける時が良いです。
ノットの前の富樫の「問答無益」の突っぱねる強さとか、勧進を読み上げる弁慶に近づく時の緊張とか、山伏問答で問いかける時の勢いとか、弁慶に対して働きかけのある時の勘三郎丈は強さ勢い大きさがあると思います。
なので、できれば弁慶を受ける時の大きさ重圧さがさらにあるとより舞台が大きくなる様な気がいたしました。
で・・・「布施物ども、布施物持て」って、「番卒ども」ですよね。
すみません、聞き逃しませんでした。(^^ゞ
仁左衛門丈・弁慶は硬派な骨太の感じは少ないですが すっきりとした姿が素敵で 何より義経を守ろうとする想いが伝わる弁慶です。
ここで、一つアレッと思いましたのが 勧進帳の巻物ですが、これって中身が真っ黒なのですね。
初めて気がつきました。(^_^;)
何で今まで気付かなかったのかな〜?
この後、番卒が義経を見咎めて 弁慶が義経を打擲するという事になるのですが 仁左衛門丈の弁慶は ここも、結構はっきりとクッとする感じで どうしようも無いのだろうな〜 っと、いうのが良く分かります。
双方の寄せ合いは 見ていて迫力があるのですが 何となく・・・そんなに押したら弁慶が折れちゃうよ〜 とか思ってしまいました。(^_^;)
この時の詰寄りで 金剛杖を左手は順手、右は逆手に持つというのは‘和戦両様の形‘なのだそうで もし、何か事が起こればいつでも応戦する心構えという事なのですね。
これは上村以和於氏のPHで見つけた事なのですが 渡辺保氏のHPでは、この持ち方が正しい持ち方だと書いてあります。
富樫の上手への引っ込みは 弁慶の義経に対する想いに心打たれた事がはっきりと感じ取れ また、富樫自身の覚悟が見える様にキッパリしています。
見た目に分かりやすいという事もございますが 弁慶と義経に対しての心情の位置関係がとても良いと思いました。
上手く書けませんが 「勧進帳」を見ていると 弁慶と富樫に義経というバランスで見ることが多かったのですが 今回の舞台は、弁慶と義経に富樫のバランスで見ることができました。
富樫が上手に入って 舞台が安宅の関を離れた所に替わり ここから義経が上手に来ます。
笠を取った玉三郎丈・義経がスゴク素敵です。
ズット以前、一度だけ玉三郎丈の義経を見た事があったのですが その時よりダンゼン篤みがあり、弁慶への優しさが感じられ 御大将の格があると思います。
それと、玉三郎丈の義経は‘守ってあげたい‘っと、思える義経です。(^^ゞ
上手に義経、下手に弁慶で 弁慶が舞台中央よりに出てきても、お二人の間はかなり離れているのですが 距離感を感じさせないような雰囲気があり これが、仁左衛門丈と玉三郎丈ですと とても良いのです。
義経を守ろうとする弁慶と 弁慶に感謝しつつ気遣う義経と スゴク良い感じのツーショットなのです。(^^ゞ
また、玉三郎丈・義経は 「判官御手」のところ 手を差し伸べた時に、かなり体を低く前に倒しているように見えました。
弁慶を気遣う心情がとてもよく伝わる優しい義経です。
再び富樫が舞台に出て、酒宴から延年の舞になります。
仁左衛門丈の弁慶は とてもきっちり丁寧な感じで テンポ良く進むような気がしました。
番卒から取り上げた瓢箪を転がすところなども わりと、しっかり転がしていて 早く番卒の手元に瓢箪が戻ります。
この後、義経が花道から引っ込みます。
ここの玉三郎丈・義経は、笠に手をかけたままいっきに鳥屋に引っ込みます。
幕切れ前の富樫は 弁慶と義経への気遣いを思わせ、大きく決まります。
幕外になりまして 花道七三で弁慶が舞台の方・富樫の方に向かって一礼するのですが この時のお辞儀の角度が幾分深いです。
ですが、いかにも仁左衛門丈の弁慶らしくて 富樫への感謝の想いが強く伝わります。
さらに、天に向かって一礼するわけですが ここも、場内を見渡すようにするのではなく スッと天を仰いで一礼です。
すごくスマートな弁慶です。
これはマッタク私の好みですが 場内を見渡すより、スッと天を仰いだほうが 本来の意味が良く分かるような気がいたします。
飛六方で花道の引っ込みになるのですが 花道七三で一番はじめ、打ち上げの大見得のところ ツケが入って大きく右腕を斜めに上げて決まった時のスラッと伸びた指先の美しいこと! 弁慶を見て体の線が美しいと思ったのは初めてです。(^^ゞ

今回の仁左衛門丈の弁慶は 大きく、分かりやすく、それでいて余計な事が無く 始終、義経への想いが感じられ かつ、どこに対しても向けられる気遣いの様なものがございます。
骨太な硬派ではございませんが 優しさのある男気を感じる弁慶で、たぶん仁左衛門丈ならではの弁慶だと思います。

全体には 今回の「勧進帳」は、弁慶・富樫・義経のバランスが独特な感じがいたしました。
っと・・・申しますか これが「勧進帳」のバランスなのかもしれないと思いました。
弁慶は富樫と対するために安宅の関にいるわけではなく、義経を無事に通すために富樫と対している っと、いう事が良く分かります。
弁慶と義経がとっても仲良しに見えるからなのかな〜 っと、何となくニヤニヤしながら見てしまうのでした。(^^ゞ



○20日の感想
やっぱり、私の夜の部の一番は「勧進帳」です。
仁左衛門丈の弁慶が とにかく、カッコ良くて 決まり決まりの時の体の線がスゴク綺麗です。
それでいて 弁慶の心情がとてもよく伝わります。
分かりやすいという事もございますけれど 何と申しましょうか 等身大の弁慶が、そこに居るような感じなのです。
富樫とのやり取りの後 一度、富樫が上手に入りますが 舞台の弁慶は、この場を去った富樫の後姿を確認するように上手を見た後に ふ〜っと、息をついて金剛杖を後方にカタンと音を立てて落とします。
また、義経を前にした弁慶の主従を意識した感じ。
義経がこの場を去って 一人残った弁慶が幕外で舞台の富樫に一礼するところ。
とりわけこの三ヶ所の仁左衛門丈の弁慶がとても好きです。
一生懸命と情と感謝を感じる弁慶で 見終わった時にとても暖かいものが残ります。
緊張の中にも思わず応援したくなるような弁慶です。(^^ゞ

勘三郎丈は少し声がかれているようでチョッと気になりましたが 前回の観劇の時より、全体に落ち着いた感じになっていて 特に、弁慶に対して仕掛ける時の感じがガンガンと前に出るのではなく 重みが出て、より重心の低い重圧な感じになっていたと思います。

玉三郎丈の義経は やはり‘守ってあげたい‘義経です。
筋書きに能の義経は子方なので、これも考えて演じたい っと、いう様な事が書かれておりますが そういう意味では少年っぽさを感じる義経かもしれないと思いました。
弁慶も富樫も この義経ゆえに命がけなわけで 何とな〜く、舞台を見ておりまして 楽しい三角模様が見えたりするのは・・・私がヨコシマだからでございましょね〜。(^^ゞ





○6日の感想
「浮かれ心中」は井上ひさし作「手鎖心中」を1996年(H8)に勘三郎丈により新作歌舞伎として上演したものです。
平成の歌舞伎ですので新作歌舞伎っと、いう事ですが 昭和の新作歌舞伎より、歌舞伎っぽい舞台です。(笑)

で、今回の舞台ですが 客席との距離も短い感じですし、楽しんでもらおう!っという思いも伝わりますし、勘三郎丈も三津五郎丈もノリが良いですし、とても面白くて笑えます・・・が、イマヒトツ後に余韻として残る物が少ないです。
以前見た時はラストで驚きましたが、いろいろと残る物がございました。
ですが 今回は、面白いけれど どうも深みがイマヒトツな気がして もの足りません。
どうしてなのかは?です。
あっさりして、軽く じっくりと人物をとらえていないからでしょうか?
面白いとか笑えるとかは 回数を重ねるとネタばれしますし、なれてくると笑いの先読みもできるようになるので 面白いけれどインパクトは薄れます。
やはり残るものは地力を見ることのできる部分だと思うのですが どうも、スラスラっとあっさりな感じなので 思わずニヤっとするような深い部分が少ないのかもしれません。
ですが、新たな客層をGETしよう! っと、いう事では大成功ではないかと思います。
理屈を言わなければ スゴク面白いです。(^^ゞ

時蔵丈・おすずが、可愛いですし ちょうどの落着きもあり 良いと思いました。
小山三丈の遣手が、笑いを取ろうとするのではなくて 何となくほのぼの面白い感じで良いです。
芝のぶ丈が、何気に綺麗です。(^。^)

2ヶ所 引くところがございました。
一つは おすずが男声でべらんめえ口調で話す台詞。
すごく面白くて場内爆笑なのですが これは、女形さんにはやって欲しくないです。
絶対に笑いが取れるのに決まっていますけれど、興醒めします。
もう一つは幕切れ前「澤瀉屋さん」の台詞。
これ、もちろん台詞どおりの意味なのでしょうけれど 客席の反応は‘笑い‘ですから、台詞の意図する方向では無いように思えるのですね。
まあ、この2点は 私の好みという事ですので、適当に流してくださいませ。(^^ゞ

どちらにいたしましても 私が見ましたのは まだ、はじまって間がない時でしたので これからだと思います。
夜の部も後半にもう一度見にまいりますので その時が楽しみです。



○20日の感想
今回はツベコベ理屈を言わずに楽しんでしまいました。
ですが、やはり前回に見ました時より 流れも、それぞれのキャラクターの想い入れも良くなっていたと思います。
全体には面白くて笑える舞台なのですが 今回は、さらに一生懸命の楽しさが伝わるように感じました。
自分で能動的に何かをやろうとする時の‘とりあえず何でもやってみようか!‘の勢いと楽しさが見えるようでした。
お仕着せではなくて 自分で考えて行動した時は、結果がイマイチでも それなりに楽しいわけで 今回は元気を貰って来ました。(^。^)






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