2008年01月20日           もくじへ戻る トップページへ戻る 
    歌舞伎座 夜の部   三階B中央の席

  *鶴寿千歳(かくじゅせんざい)
    筝曲連中
    囃子連中

  *連獅子
    長唄囃子連中

  *歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
    一幕
    河東節十寸見会御連中


鶴寿千歳
 姥:芝翫
 尉:富十郎

 松:歌昇
 竹:錦之助
 梅:孝太郎

>松山の松の一葉を千代づつに・・・
初春のおめでたい舞台に 松、竹、梅の三人が現れ 新年を祝い踊ります。
それぞれに松、竹、梅の枝を持ち 華やかに舞い納めます。


三人が舞台を去ると 姥と尉が現れ 代のめでたさを寿ぎ、長寿を祝い舞い始めます。
>ありがたや 道昭らけく
>人はみな 和らぐ御世に生まれ会いて・・・


>春は双び舞う落花の庭・・・
二人は、春秋の楽しい様子を踊り


>嬉しの 嬉しの 面白の 限りなき・・・
めでたく萬歳楽を踊って舞い納めます。






連獅子
 狂言師右近 後に 親獅子の精:幸四郎
 狂言師左近 後に 仔獅子の精:染五郎
 僧遍念:高麗蔵
 僧蓮念:松江


  あらすじはこちらでどうぞ





歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
 花川戸助六:團十郎
 白酒売新兵衛:梅玉
 三浦屋揚巻:福助
 三浦屋白玉:孝太郎
 福山のかつぎ:錦之助
 朝顔仙平:歌昇
 口上・くわんぺら門兵衛:段四郎
 通人:東蔵
 髭の意休:左團次
 曽我満江:芝翫

舞台は新吉原 三浦屋の格子先 茶屋廻りの金棒引きが通り過ぎたところへ 三浦屋の傾城たちが見世先に出てきます。
するとここへ 三浦屋傾城・揚巻が若い者や新造を連れて、ほろ酔い加減で戻ってきます。
三浦屋の見世先に落ち着いた揚巻は 番新・白菊から、助六の母・満江の手紙を受け取ります。
揚巻が手紙を読んでいると 妹分の傾城白玉と大尽客の髭の意休がやって来ます。


意休は揚巻と助六の仲を快く思っていないので 揚巻を前に助六の悪口を言います。
これを聞いた揚巻は、間夫の助六を立てて意休に悪態をつくと 刀に手をかける意休に斬れるものなら斬ってくれと言ます。
意休が思い止まり、助六のもとへ行けと言うのを聞いて 揚巻はこの場を去ろうとしますが 白玉に自分の顔を立てて戻って欲しいと頼まれ、三浦屋に戻ります。


揚巻と白玉が意休を格子先に残したまま見世の中に入ってしまうと 助六がやって来ます。
傾城たちが喜んで吸い付け煙草を助六に渡すのを見た意休は、自分にも吸い付け煙草をくれと言うのですが 全て助六に渡してしまったので煙管がないと断られてしまいます。
これを聞いた助六は、足に挟んだ煙管を意休の前に差し出し さらに、意休に悪態をつき怒らせようと挑発します。


折からここへ くわんぺら門兵衛が無理な事を言い、遣手・お辰を困らせながら出てきて 通りかかった福山のかつぎとぶつかってしまいます。
福山のかつぎはすぐに詫びますが くわんぺら門兵衛は許そうとしません。
これを見ていた助六が間に入りますが くわんぺら門兵衛が、なおも許そうとしないので、助六は福山のかつぎからうどんを買い取り くわんぺら門兵衛の頭にあびせるのでした。
福山のかつぎがこの場を去ると 三浦屋の中から、くわんぺら門兵衛の弟分の朝顔仙平が出てきます。
朝顔仙平は くわんぺら門兵衛の代わりと、助六に喧嘩を売りますが 助六は簡単にやり過ごし 逆に盛大にたんかをきるのでした。


助六の勢いにくわんぺら門兵衛と朝顔仙平がこの場を去ると 今度は助六が意休に喧嘩を売って挑発します。
しかし意休は助六を相手にせず この場をやり過ごすと傾城たちと共に三浦屋の中に入ってしまいます。
格子先に残った意休の手下が助六に討ちかかりますが 助六はものともせず、手下を蹴散らしてしまいます。


意休の手下が居なくなると 近くで助六を呼び止める者がいます。
助六は喧嘩腰で誰かと見れば 白酒売りの新兵衛、兄の曽我十郎でした。
実は助六は親の敵を捜している、曽我五郎でした。


兄・新兵衛は喧嘩ばかりしている助六に意見しますが 助六は、喧嘩を売るのは紛失した重宝・友切丸の詮議のためと話します。
これを聞いた新兵衛は 敵討ちのための喧嘩と知り、自分も喧嘩をして友切丸の詮議をすることにします。
そこで、さっそく二人は 通りかかった国侍や供の奴、通人に喧嘩を売り股潜りをさせるのでした。


折りしもここへ揚巻が客を送って見世先に現れます。
助六と新兵衛は客に喧嘩を売ろうとしますが 客は兄弟の母・満江で、二人の喧嘩の様子に嘆きます。
しかし、助六が 喧嘩は友切丸詮議のためと言うので 満江は怪我の無いようにと、乱暴にすると切れてしまう紙衣を助六に与え 新兵衛と共にこの場を去ります。


二人がこの場を去ると 再び見世先に意休が現れます。
助六は急いで揚巻の裲襠の中に隠れますが 意休は助六に気付き助六を挑発します。
堪りかねて助六が飛び出すと 意休は助六が曽我五郎だと見顕し、廓に通い喧嘩ばかりしていては敵討ちなどできないと意見します。
そうして 兄弟の心が揃わなければ、この様になってしまうと言い 傍らにあった香炉台を斬って倒します。
ところが 助六はこの時、すかさず意休の刀が友切丸であることを見きわめます。
意休は急いで刀を鞘に納め三浦屋の中に入ります。
助六は、すぐさま友切丸を奪いに行こうとしますが 揚巻がこれを止め、意休の帰りを待ち伏せする事にします。




☆「鶴寿千歳」の舞台は 前回、2006年1月歌舞伎座で 雄鶴・梅玉丈、雌鶴・時蔵丈で拝見しているのですが 今回の舞台は尉と姥で、ほのぼのとした演出になっております。
この舞台は1928年(S3)昭和天皇の御大礼記念所作事として上演された舞台だそうですが おめでたい舞台であると共に、筝曲での舞台ですので 今回の上演を含めまして、お正月の寿ぎの舞台としては3回ほど上演されております。

下手・囃子連中、上手・筝曲連中が並びまして幕開きになります。
箏の音がございますので なんともお正月な風情がいたします。
舞台は淡い色合いで柔らかな感じの松の舞台です。

下手から 松・歌昇丈、竹・錦之助丈、梅・孝太郎丈のお三人が出て前半を踊ります。
歌昇丈を芯にしてとても上品で綺麗な所作です。

後半になって、松の背景が上がり 背景が松の先頭と富士山に変わりますと 尉・富十郎丈と姥・芝翫丈がセリで上がってきます。
ここの出は雄鶴雌鶴の時と同じ様でございました。
で、ここで気付いたのですが これはたぶん、老雄鶴老雌鶴なのですね。(^^ゞ
私は単純に老夫婦だと思っておりましたので 何で松の木のテッペンなんだ?っと、一瞬考えてしまいました。(笑)
舞台はやはり淡いふんわりとした色合いで統一されておりまして お二人のほのぼのとした雰囲気にピッタリです。
また、芝翫丈の衣装の緋色がとても良く映えて美しいです。
芝翫丈・姥が優しい感じで 富十郎丈・尉の気遣いのある様子が暖かです。
品があって、ほのぼのとした優しい雰囲気の舞台です。
何がどうしたというわけではないのですが やはり、大きさのある舞台だと思いました。





☆「連獅子」は黙阿弥作の1872年(M5)に初演された 能の「石橋」を元にした松羽目の舞台です。
幸四郎丈と染五郎丈の「連獅子」について 2005年11月・歌舞伎座公演での観劇記録をUPておりまして その折は、どうもイマヒトツと思ったのですが 今回はとても良い舞台だと思いました。
私が見た中では一番‘親子の情‘を感じる舞台でした。

片しゃぎりで幕開きで松羽目の舞台です。
舞台正面は長唄囃子の雛壇で 四ツ花菱の紋が入った肩衣です。

>それ牡丹は百花の王にして・・・
大薩摩から下手お幕より前シテの出になります。
手獅子を持っての出になりますが 衣装が2005年11月の舞台の時とは違っておりまして 袴は同じ黒地に牡丹なのですが小袖(っと、いうのでしょうか)が、前回はたまご色の地色に扇でしたのが 今回はたまご色と青の地色に扇です。
少し古風な感じなのですが とてもすっきりと締まった感じがして良いです。

>そもそもこれは尊くも・・・
>峨々たる巌に渡せるは・・・
幸四郎丈の仕抜は大きくて安定感がございますし 染五郎丈は柔らかで軽快な感じです。
親子それぞれの雰囲気があって良いと思いました。

>かかる険阻の巌頭より・・・
ここから親獅子が子獅子を千尋の谷に落とすという故事をもとにした踊りになるのですが 幸四郎丈の踊りには始終‘情‘を感じました。
舞踊なのですがドラマが見える様で ガンガン見せる踊りというより、心情の深さを見せる感じです。
とくに、子獅子を落とすところは 親ゆえの心情がございますし 落として後の気遣う様子に親の懐の暖かさを感じます。
染五郎丈は、さほど腰の高さを感じることもなく 子獅子の軽快さ柔らかさが出ていて親獅子とのメリハリが見えて良いです。

>胡蝶に心和(やわら)ぎて・・・
子獅子が戻り 蝶と戯れた親子が手獅子を持って花道から引っ込みますと 間狂言の「宗論」になります。
今回は高麗蔵丈と松江丈ですが 品よく軽い感じで、気を変えるには丁度良い加減であると思います。

高麗蔵丈と松江丈が下手のお幕に入り 山おろしを打ち上げると、一声の笛の後 再び大薩摩になります。
>それ清涼山の石橋は・・・
ここから ‘トントン‘っという露の鳴物になって、花道から後シテの出になります。

>獅子団乱旋(とらでん)の舞楽のみぎん・・・
今回は最後の毛振り 髪洗いの後あたりから、チョッと感動してしまいました。(^^ゞ
この年齢の親子だかかこそ出せる‘情‘がある舞台だと思いました。
幸四郎丈の毛振りはゆったりと大きく 落ち着いた貫禄を感じました。
けして速さがあるわけではございませんが とにかく、とても大きくて綺麗な毛振りに見えました。
でも、実は年齢も感じました。
巴もはじめはお二人がピッタリ合わせてゆったり大きく回し 幕切れ前に染五郎丈がスパートして早回しになります。
幸四郎丈を横に見ながら はじめは大きくゆっくり巴を合わせていた染五郎丈が 最後にスパートするのを見まして この年齢の親子のバランスを見るようでした。
親への気遣いと、次の担い手としての勢いを垣間見た感じです。

幸四郎丈の親の心情、あるいは願いの様なものと 染五郎丈の子としての想い、あるいは気遣いが とてもよく伝わりまして 幕切れ前の毛振りを見て泣けてきました。
親を気遣う事ができるようになった子獅子 そこまで子供を育てた親獅子 この関係は、やはり この年齢にならないと出ないと思いました。
「連獅子」を見て泣けたのは初めてです。
ガンガン押してくる舞台ではございませんけれど しっかりと親子の情を見せる舞台だと思いました。





☆「助六由縁江戸桜」は歌舞伎十八番の一つで1713年初演の舞台です。
で、今回上演されます「助六由縁江戸桜」の外題と河東節を用いた舞台は團十郎家のみの舞台です。
ですので 助六の河東節での舞台は、それほど多く見る事ができるわけではございませんが 河東節は助六にピッタリでございますし なにより、舞台ももちろんですが客席が盛り上がるのですね。
場内ロビーに河東節で舞台に出られる方のお名前札がかけられて 客席の雰囲気もいつもとチョッと違う感じです。(^^ゞ

大太鼓で幕開き 舞台は上手下手にCMの‘新吉原・竹村伊勢‘で、三浦屋見世先 ”と〜ざい、とざい、と〜ざ〜い”の声の後に段四郎丈の口上で それから河東節が始まります。
良いですね〜。
別に、なんということでも無いのですが 雰囲気がね、歌舞伎でしょ。(^^ゞ
最初に舞台に出るのは、並び傾城ですが 京妙丈、芝のぶ丈、京紫丈、とっても綺麗。(^。^)

まず、團十郎丈・助六ですが 花道の河東節の出端が上半身しか見えませ〜ん。(^_^;)
歌舞伎座を建て直す折には‘必ず‘3階から花道が見える様にしてもらいたいものです。(それを思えば国立は良いですね)
ですが けして時間的に長いと感じなかったのは(TVなどで見ると、ここがスゴク長く感じるので)生の舞台だからでしょうか。
舞台に上がって、ようやくすっきりと見えるのですが(笑) 團十郎丈の助六は、突き抜けた様なおおらかさがあって 細々していないところが良いです。
また、くわんぺら門兵衛や朝顔仙平に聞かせる「いかさまな〜」からの勢いのあるツラネの台詞の聞き心地がとても良いです。
たっぷりとしていて、トントントンっと勢いがあって 大きな助六です。
で、「こりゃまた、な〜のこったい」っと言う時の顔つきが、すごくオチャメです。(笑)

福助丈・揚巻は 神妙な感じの揚巻に見えました。
この‘神妙‘は‘ 態度がおとなしく、すなおなこと‘ っと、言う意味です。
とても綺麗で可愛い揚巻で、決まり決まりもキッチリしていて、余計な事もなく良いのですけれど 揚巻の他を圧倒するような大きさ、格がイマヒトツ感じられません。
これって‘技‘では見せることのできない部分なのかもしれません。
揚巻の衣装(舞台の後半で満江と一緒に出る時の衣装です)が2階のロビーに展示してありまして 開演前にロビーで見た時には、とてもアッサリした感じに見えまして‘どおよ?‘っと思ったのですが 舞台で拝見いたしますと、周りの紅色に映えてとてもすっきりとして綺麗でした。

左團次丈の意休は もう、手の内なのでしょうね。
少しあっさりな感じもあるのですが 大きな意休だと思います。
これも衣装なのですが(^^ゞ やはり後半、揚巻と並んで座っている時の赤茶色の様な地色の衣装がとても素敵で 白地の揚巻の衣装と相俟って良い絵になります。

梅玉丈・白酒売新兵衛はピッタリです。
妙に崩れる事が無いのに そのままで雰囲気が可笑しいのです。
助六のおおらかさに対になる様な新兵衛の真面目さが、品のあるおもしろさになっていると思います。

孝太郎丈・白玉は揚巻を立てて控えめな感じが良く 段四郎丈・くわんぺら門兵衛はあざとい感じがなくおかしみがあるのが良く 歌昇丈・朝顔仙平は歯切れが良く 錦之助丈・福山のかつぎはキッパリとした感じが良く 歌江丈・番頭新造は雰囲気があって良いです。
また、東蔵丈の通人は やり過ぎがなく、ほど良く品のある通人です。

芝翫丈・曽我満江の出て 舞台がグッと大きく重たくなります。
それと芝翫丈の台詞にある暖かい感じが、なんとも優しく思えて とかく、この場の満江には 武家の厳しさを感じる事が多いのですが 芝翫丈の満江は‘兄弟の母親‘の感じが伝わります。

全体に今回の助六は、暖かなほのぼの感が残る舞台でした。






もくじへ戻る     トップページへ戻る     五十音順へ戻る