2007年08月21日           もくじへ戻る トップページへ戻る 
    歌舞伎座 第一部   三階B中央の席

  *磯異人館(いそいじんかん)
    二幕六場

  *越前一乗谷(えちぜんいちじょうがたに)
    竹本連中
    囃子連中


磯異人館(いそいじんかん)
 岡野精之介:勘太郎
 琉璃:七之助
 五代才助:猿弥
 岡野周三郎:松也
 ハリソン:亀蔵
 折田要蔵:家橘
 松岡十太夫:橋之助

序幕
第一場 異人館の庭
舞台は薩摩の集成館 生麦事件の発端となったイギリス人殺傷の責めを負って切腹した岡野新助の息子・精之介は集成館でガラス方として薩摩切子を創っています。
折りしも 集成館総裁・松岡十太夫の養女で琉球の王女・琉璃が作事奉行・折田要蔵の息子・金吾らに言いがかりをつけられているところへ 集成館の警護役をする精之介の弟・周三郎が駆けつけ琉璃を救おうとして 金吾らと争いになります。
精之介が間に入って止めようと金吾らに詫びているところへ 騒ぎを聞きつけたイギリス人技師長・ハリソンが短銃を手にやって来ます。
これを見た金吾らは、この場を立ち去り 精之介は周三郎を諭しますが、周三郎は話を聞かずこの場を去ってしまうのでした。
これを見ていた琉璃は精之介をなだめ 二人はそれぞれの身の上など話しているうち 精之介は桜島の夜の炎の赤色を薩摩切子に取り入れたいと自らの夢を話します。
これを聞いた琉璃が精之介を励ましているところへ 友人の五代才助がやって来て パリ万博に薩摩藩も参加し、精之介の薩摩切子も出品する事になったと伝えるのでした。


第二場 異人館の一室
舞台は異人館 松岡十太夫と折田要蔵に精之介と才助が呼び出され 先日の周三郎と金吾らの争いについて聞かれています。
これは息子を庇う折田要蔵の訴えによるものでしたが さらに、折田要蔵がハリソンに周三郎は生麦事件の岡野新助の子であると知らせたため 周三郎は警護役を免職になってしまいます。
精之介は弟を思い嘆きますが 才助は、精之介を万博へ同行し留学させて薩摩切子を発展させようという計画がある事を話し 精之介を励まします。
これを聞いて精之介が喜んでいるところへ 琉璃が来て、ハリソンから求婚されたが断ったと言い 精之介への想いを伝えるのでした。
そうして精之介もまた琉璃への想いを明かします。


第三場 ガラス工房
舞台は集成館のガラス工房 免職となった周三郎の代わりに集成館の警護役になった金吾は、松岡十太夫の娘・加代になじられてこの場を後にします。
しばらくすると ここへ周三郎が現れ 精之介は周三郎をなだめますが 周三郎は無念だと言うのでした。
折りしもここへハリソンと才助がやって来て 薩摩藩の藩命として琉璃との結婚が決まったゆえ 精之介に琉璃と逢わないで欲しいと言います。
才助は精之介をなだめますが 精之介は松岡十太夫のもとへ異議を申し立てに行くのでした。
入れ違えに金吾が現れ、周三郎と斬りあいになります。
ガラス工房に戻った精之介が間に入って止めようとしますが 金吾を追う周三郎に突き飛ばされ その拍子に切子細工の薬品が爆発して精之介は怪我をしてしまうのでした。



大詰
第一場 異人館の一室
異人館ではパリ万博へ旅立つ人たちを送る宴が行われています。
舞台は異人館の一室 折田要蔵が才助に、子息・金吾に手傷を負わせ脱藩した周三郎の行方を問いただしますが 才助は知らないと答えるのでした。
折田要蔵が立ち去ると ここへ、琉璃がやって来ます。
才助は 爆発で怪我を負った精之介は、それでも万博へ出品する薩摩切子を作り上げたが その後、琉璃への想いからパリへ行く事も断り何もしない日を過ごしていると話し 琉璃に精之介に逢って励まして欲しいと頼むのでした。
はじめは断る琉璃でしたが 才助の友を想う気持ちに、精之介に逢う事にします。


第二場 元のガラス工房
舞台は集成館のガラス工房 精之介に逢いに来た琉璃は、自らの想いを伝え 辛いのは自分も同じだが 精之介が留学し今以上の薩摩切子を創る事を思えば これからイギリスへ嫁ぐ事になっても生きていけると言うのでした。
これを聞いて琉璃の気持ちを知った精之介はパリへ向かう事を決心します。
折りしもここへ 才助の手配で薩摩に戻って来ていた周三郎が 才助と共に来て兄弟の対面となります。
しかし、折田親子が現れ 周三郎に斬りかかり 周三郎を助けようとした精之介が金吾を、精之介を助けようとした周三郎が要蔵を斬ってしまいます。
手傷を負った精之介は才助に 自分の代わりに周三郎を船に乗せパリへ逃がしてくれるよう頼み 薩摩切子の簪を琉璃に渡すと一行を見送ります。


第三場 集成館の表
周三郎の罪を被った精之介はパリへ向かう船の汽笛を聞き腹を切るのでした。





越前一乗谷(えちぜんいちじょうがたに)
 小少将:福助
 朝倉義景:橋之助
 羽柴藤吉郎:勘太郎
 式部大輔景鏡:亀蔵
 郎党:七之助
 郎党:彌十郎
 郎党:三津五郎
 郎党:勘三郎

舞台では、尼姿の朝倉義景の妻・小少将が越前一乗谷での日々を思い出しています。

ここは桜の盛りの一乗谷 美しい桜の宴のさなかに織田信長の軍が攻めてきた事が告げられます。
義景は郎党を引き連れ織田の軍勢を迎え撃ちます。
いよいよ合戦が始まり互いの軍勢は激しく争いますが 朝倉方は総崩れとなり退却する事になるのでした。


朝倉方の式部大輔景鏡の進言で義景たちは大野へ落ち延びます。
ここで義景主従と小少将は平泉寺に身を寄せるのですが 折りしも、別れの宴のさなかに平泉寺や式部大輔景鏡が織田方へ寝返った事が知らされます。
義景は、これまでと悟り 小少将と子息・愛王丸に切腹を命じますが 小少将は朝倉の血を絶やさぬために愛王丸は落ち延びさせて欲しいと頼み 自ら一人が自害しようとします。
これを聞いて義景は愛王丸を落ち延びさせ また、小少将にも必ず生きよと命じます。
そうして 義景は小少将と愛王丸を落ち延びさせ 切腹すると自らの血潮で辞世の詠を残し最後を遂げるのでした。


時は過ぎ 小少将は羽柴藤吉郎のもとに居ます。
悲しみの中で日々を送る小少将に藤吉郎は愛王丸は既に信長の命で殺された事を話します。
これを聞いた小少将は自害しようとするのですが 義景の‘必ず生きよ‘という言葉を思い出し 髪を切ってしまいます。
そうして、尼となった小少将は 義景、愛王丸の菩提を弔うのでした。




今月は、小学生のための歌舞伎体験教室がございまして 10日から16日まで、一人で出かけることができませんでしたので 歌舞伎座の観劇が少し遅れましたが 第一部と第二部を見てまいりました。
こちらでは まず、第一部の感想など書きますけれど 第一部も第二部も、どうもアッサリlightな感じでございまして 午前中の11時から夕方の5時半頃まで舞台を見おりましたのに どうも、もの足りなさを感じました。





☆「磯異人館(いそいじんかん)」というお話は 1968年(S43)に募集された、明治百年記念懸賞演劇脚本当選作の一つで 初演は1987年(S62)で当代勘三郎丈と橋之助丈での上演だったそうです。 
ですので新作の歌舞伎なわけですけれど 時代的な流れもあるのでしょう、今の感覚よりもよほど‘新作ぜんとしている‘感じです。
歌舞伎座での上演というより演舞場の方がしっくりくるような舞台なのですね。
ですけれど、雰囲気が‘新作ぜんとしている‘ということであって 舞台そのものは若手の舞台らしく、悲劇であるのに どことなく‘これも青春‘っと言った様な雰囲気のある、良い舞台だと思います。
コテコテの歌舞伎味はございませんけれど 見応えのある舞台です。

舞台全体に‘これも青春‘と言った様な ある意味‘さわやかさ‘を感じるのは 勘太郎丈の精之介の持つ 優しさとか一途さとか一生懸命さとかが舞台に活きているからではないかと思います。
勘太郎丈は上手いですね。
っと、申しますか 勘太郎丈って‘悪‘を感じさせないキャラクターをお持ちです。
これが、今回の舞台ではとても活きているように感じます。
結末はぜんぜんHappyではございませんけれど キッパリとした前向きな想いが伝わるので、けして後味の悪さは残りません。
精之介って 周りにいる人たちの不幸を一人で背負っちゃった様な感じなのですけれどね。
そこが、大きさとして立派に見えるのです。
コテコテでない分 ともするとサラサラっと展開してしまいそうな舞台ですけれど 気を詰めた勘太郎丈の精之介はインパクトがあり立派です。

七之助丈の琉璃も落ち着いた雰囲気があり 背景にある大きな問題を背負っている風情がございます。
一国の王女としてのハラがあるように感じました。
また、勘太郎丈との息もピッタリです。

今回の、この舞台は 周りが良いです。
さほど長い時間ではございませんが、橋之助丈が舞台に重さを出しておりますし 松也丈、芝のぶ丈の若い雰囲気が活きています。
また、亀蔵丈がきわどいところで踏みとどまっていて良いと思います。
こういうお役は ちょっと方向がズレると、ただただ妙な軽さばかりが前面に出て浮いてしまうのですが 気持ち的に気を外していないので、しっかり踏みとどまって‘らしさ‘が出ていると思います。
で、猿弥丈がとても良いです。
脇をガッチリ抑えていて 舞台全体に篤みが出ます。
猿弥丈で もっと、コテコテの時代物の重圧なお役を見てみたいです。(^^ゞ





☆「越前一乗谷(えちぜんいちじょうがたに)」は水上勉作の竹本での舞踊劇で 1973年(S48)に舞踊会で初演されました。
新作の舞踊劇です。
幕が開きますと上手に竹本で太夫四人、三味線四挺、お囃子、のひな壇が出ます。
シンプルな感じの舞台で 幕開きは、舞台中央奥に傾斜のある台があり、ここから尼・小少将の出となり 今までの経緯の回想で舞台が展開ます。
で、盆が回り舞台展開するわけです。
かなりクルクル回って めまぐるしい感じもするのですけれど・・・。
見た目は舞台がシンプルで かつ、舞踊劇で あっさり感がございますが 進行が竹本ですので、耳には聞き応えがございます。
この舞台、竹本が良いと思いました。(^^ゞ

橋之助丈の義景はスッキリとした感じで 舞踊の所作が美しくて綺麗でした。
小少将・福助丈も地になる事がなく、抑えたところが良かったと思いますが 少し号泣し過ぎるところもあったかな〜っと感じました。
鶴松丈もチョッとだけいらっしゃいました。(^。^)
義景が敵に囲まれて 小少将が手を引いて逃げようとする時に、踏みとどまるのですが 結構、力が入っているように見えました。
マジで踏みとどまってない? っと言う感じです。(笑)

で、おっ!っと思いましたのは 勘三郎丈と三津五郎丈が信長側と朝倉側の郎党に分かれて一騎打ちするところです。
舞台から勘三郎丈、花道から三津五郎丈の出で 舞台で一騎打ちになるのですが 舞扇を使った所作がダイナミックで かつ、面白い振りでした。

1時間ほどの、ケッコウ長い舞踊劇だったと思うのですが 見どころと申しますか、盛り上がるところが イマヒトツございませんで 橋之助丈の踊りは素敵なのですが もの足りなさを感じます。
たくさんの人が舞台に出るわりに しどころがなくて、もったいない様な気がいたしました。

後半に藤吉郎で勘太郎丈が舞台に出ますが 襖が開いてスグの時 一瞬、勘三郎丈かと思ってしまいました。
声とか間の取り方とかが お父様にソックリですね〜。(^^ゞ






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