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| 歌舞伎座 昼の部 三階B中央の席 |
*鎌倉三代記 絹川村閑居の場 一幕 *信濃路紅葉鬼揃(しなのじもみじのおにぞろい) 竹本連中 長唄囃子連中 *水天宮利生深川(すいてんぐうめぐみのふかがわ) 筆屋幸兵衛 一幕二場 浄瑠璃「風狂川辺の芽柳」 清元連中 |
鎌倉三代記 絹川村閑居の場 安達藤三郎 実は 佐々木高綱:三津五郎 三浦之助義村:橋之助 おくる:右之助 阿波の局:歌江 讃岐の局:鐵之助 富田六郎:亀蔵 母長門:秀調 時姫:福助 舞台は三浦之助義村の母・長門が病の床に就いている絹川村の閑居 折りしもここへ三浦之助が最後の暇乞いに訪れますが 深手を負って門口で倒れてしまいます。 外の様子に、かねてより長門の看病をしている敵方北條時政の娘・時姫が気付き 様子を見にきます。 時姫は三浦之助に想いを寄せ 北條家を出奔して、この閑居で長門の看病をしているのでした。 時姫の介抱で三浦之助は気が付き 時姫から仔細を聞くと 母・長門に対面しようとするのですが 気丈な長門は会おうとしません。 母の意見を聞いて 三浦之助は再び戦場へ向かおうとするのですが これを時姫が止め、出陣の前に夫婦の固めをしたいと言います。 これを聞いた三浦之助は 戦から帰った折に、と言いますが 三浦之助の覚悟に気付いている時姫は来世での夫婦約束をして欲しいと頼みます。 しかし、時姫が敵の北條時政の娘であるので 三浦之助は返事を拒むのでした。 これを見た時姫は 母・長門は病で間もない命ゆえ、看取ってからでも出陣は遅くないと言い 三浦之助も母の事であるので、時姫の勧めるとおり奥の間へ行くのでした。 しばらく後 阿波の局、讃岐の局、富田六郎が時姫を連れ戻しに閑居に現れます。 するとそこへ 北條時政から時姫を連れ戻すよう命じられた安達藤三郎の女房・おくるが来て富田六郎を裏口へ案内します。 同じ頃、閑居の内では安達藤三郎が時姫を鎌倉方の陣所へ連れ帰ろうとしています。 しかし藤三郎が時姫を陣所へ連れ帰れば、妻にしする事を父・時政が許したと聞き 時姫は無礼な藤三郎に斬りかかります。 驚いた藤三郎は慌てて井戸の中へ逃げるのでした。 一人残った時姫は 父・時政の命を恨むと 三浦之助と添い遂げるために自害しようとします。 しかし 三浦之助がこれを止め 時姫への疑いは晴れたゆえ、夫のために父・時政を討つよう迫ります。 驚く時姫でしたが 想いを寄せる夫・三浦之助のために 父・時政を討つ決心をします。 この様子を見ていたおくるが訴人しようと駆け出すところを三浦之助が捕らえます。 すると、おくるは富田六郎に 時姫の心変わりを告げ、六郎は抜け穴になっている井戸から陣所へ行こうとしますが 突然、井戸の中から槍で突かれてしまいます。 井戸の中から現れたのは 先刻の安達藤三郎、実は佐々木高綱でありました。 高綱は百姓の藤三郎を影武者にしたて 自らは藤三郎になりすまし、時政に近づいたのでした。 百姓藤三郎の女房おくるは 高綱に協力してきましたが 夫が影武者という大役を果たせた事を喜び、夫・藤三郎の後を追って自害します。 三浦之助は時姫を振り払うと戦場へ戻り 高綱は時姫と共に時政を討つべく鎌倉へ向かうのでした。 信濃路紅葉鬼揃(しなのじもみじのおにぞろい) 鬼女:玉三郎 山神:勘太郎 鬼女:門之助 〃 :吉弥 〃 :笑也 〃 :笑三郎 〃 :春猿 太刀持:弘太郎 従者:猿弥 従者:右近 平維茂:海老蔵 >時雨を急ぐ紅葉狩 時雨を急ぐ紅葉狩 >深き山 路を尋ねん 高位の上臈が侍女を供に現れます。 >「これは此あたりに住む 女にて候。」 >下紅葉 夜の間の露や染めつらん 夜の間の露や染めつらん 上臈一行は山深く、錦の紅葉を見渡し 一休みする事にします。 >まづ木の本に立ちよりて 四方の梢をながめて暫く休み給へや >明 けぬとて 野辺より山に入る鹿の >跡吹 き送る風の音に 駒の足並 勇むなり ここへ平維茂が従者を伴ないやって来ます。 >「如何に誰かある」 維茂は ふと見た先に、先刻の上臈一行を見定め 従者を向かわせます。 従者は上臈一行のもとへ出向き 侍女に上臈の名を尋ねて戻ってきます。 >「名をば申さず。只さる御方とばかり申し候。」 戻って来た従者は ”上臈一行は 幕内で屏風を立て酒宴の様子であるので 高位の方と思え、名を尋ねてみましたが ただ、さる御方とおっしゃるだけでした。” っと、伝えます。 これを聞いた維茂は >「あら不思議や。此あたりにてさやうの人は思ひもよらず候。」 っと、不思議に思いますが 酒宴であれば、馬を降りて通り過ぎようと気遣いします。 >馬よりおりて沓をぬぎ 馬よりおりて沓をぬぎ すると 立ち去ろうとする維茂を上臈が呼び止めます。 >「げにや数ならぬ身ほどの山の奥に来て。人は知らじとうちとけて。独り眺む るもみぢ葉の。色見えけるか如何にせん。」 呼び止められた維茂は ”高位の上臈に失礼があってはいけないと思い、忍んでこの場を去るつもりであった” と言います。 これを聞いた上臈は 維茂を酒宴に誘います。 >「便に立ち寄り給へかし。」 >「思ひよらずの御事や。何しに我をばとめ給ふべきと。さらぬやうにて過ぎ行 けば。」 維茂は”これは思いもかけない事であるゆえ” と、断りこの場を去ろうとします。 すると上臈は >「あら情なの御事や。」 と、さらに維茂を引き止めるのでした。 上臈の誘いを断る事もできず 維茂は酒宴に加わります。 >林間に酒を煖めて紅葉を焼くとかや 侍女たちが舞を見せます。 >乱心の花かづら >斯かる姿はまた世にも >たぐひあらしの山桜 >よその見る目も如何ならん 上臈も舞に加わります。 しばらくすると維茂は酒に酔ったのか 眠ってしまいます。 >堪へず紅葉青苔の地 堪へず紅葉青苔の地 >又これ涼風暮れゆく空に 上臈と侍女たちは 眠ってしまった維茂の様子を窺うと この場を去ります。 上臈一行がこの場を去ると 一人残された維茂を起こそうと山神が現れます。 山神は”この山には鬼神が出るゆえ、早く立ち去れ”と告げますが 眠ったままの維茂は、なかなか起きません。 山神は、足を踏み鳴らして起こそうとしますが 維茂が起きないので鬼神を退治するための名刀を置いて姿を消します。 >「まどろむ隙もなき内に。あらたなりける夢の告と。」 目覚めた維茂は山神のお告げを思いかえし、名刀を構えます。 >不思議や今までありつる女 不思議や今までありつる女 するとあたりの様子が一変し 鬼女たちが現れます。 >「維茂すこしも騒がずして。」 維茂は山神から授かった太刀で 襲いかかる鬼女たちに斬りかかり、退治するのでした。 参考:半漁文庫 http://www.kanazawa-bidai.ac.jp/~hangyo/ 水天宮利生深川(すいてんぐうめぐみのふかがわ) 筆屋幸兵衛 船津幸兵衛:勘三郎 車夫三五郎:橋之助 巡査民尾保守:獅童 金貸金兵衛:猿弥 娘・お雪:鶴松 差配人与兵衛:市蔵 代言人茂栗安蔵:彌十郎 萩原妻・おむら:福助 あらすじはこちらでどうぞ |
11日の感想など ☆「鎌倉三代記 絹川村閑居の場」は「近江源氏先陣館」(盛綱陣屋のお話です)の続編に当たるお話だそうで 近松半二作、1781年初演の全十段の人形浄瑠璃の七段目にあたるそうです。 舞台では鎌倉時代のお話になっていますが 大坂夏の陣を置き換えたもので 北條時政は徳川家康、佐々木高綱は真田幸村、三浦之助義村は木村長門守、時姫は千姫を暗示しています。 井戸が空井戸で抜け道になっているといったような設定は真田幸村が実際に掘った抜け穴をもとにしているわけです。 幕が開きますと、上手に竹本の出語りで葵太夫のオキからはじまります。 橋之助丈・三浦之助義村が花道から出て舞台に上がりますが すっきりとした若武者ぶりで さらに、安定感と申しますか存在感と申しますか 篤みを感じました。 三浦之助義村というのは 結局、時姫が三浦之助義村を想うほど時姫のことを想っているわけではなく まあ、利用するためにこの場に戻ってきているわけで そのあたりのキッパリ割り切ってしまった感じが‘嫌だな‘っと思わない程度に伝わってきます。 このあたりの橋之助丈の加減は上手いな っと、思いました。 福助丈・時姫は舞台中央から行燈を手に姉さん被りの出になりますが とても綺麗です。 舞踊の時も感じだのですが、型の決まった赤姫も同様で 指先の動きがとても綺麗に見えます。 可愛いけれど一途な想いが伝わる時姫です。 立ち去ろうとする三浦之助義村を引き止めてからのクドキも艶っぽくて ”短い夏の一夜さに、忠義の欠くることもあるまい” のところはなんとなくドキッとする感じで良いです。(^^ゞ ですが、声がかすれてしまっておりまして(たぶん、風邪をひかれたのでしょうね)台詞はイマイチでした。 所作が可愛く美しく決まっておりましたので チョッともったいない感じです。 秀調丈の長門は少し柔らかすぎ、あるいは弱々しすぎな感じです。 病ですが、三浦之助義村に対してあれだけキッパリとした事を言うわけですから やはり強さがあるのだと思うので もう少し芯の強さが感じられても良いように思います。 今回は三浦之助義村と時姫が奥に入ると舞台が判廻しになります。 竹本が簾内に代わります。 いつでしたか、以前に見た舞台でも阿波の局と讃岐の局が歌江丈と鐵之助丈であったような気がするのですが ここのお二人は雰囲気がとても良いです。(^^ゞ 亀蔵丈の富田六郎も‘らしい‘感じです。 声質が良いのですね。 また、右之助丈のおくるがキリットして良く この後に実は籐三郎の女房であったと語る場面も、不条理を時代物の舞台として見せる雰囲気があって良いと思います。 再び舞台が半廻しでもとに戻り 竹本が出語りになります。 一人舞台に戻った福助丈・時姫に三津五郎丈の籐三郎が絡みます。 三津五郎丈の籐三郎は、軽いカラッとしたチャメッケがあり これが後の高綱になってからの対比としてとても生きています。 籐三郎がこの場を去った後、時姫一人になるのですが 声がかすれているので、どうにもなりません。 ここから 三浦之助義村に父を討つように言われて決心する ”思ひ切って討ちませう。北條時政討って見せう。父様赦して下さりませ” まで、これは後日もう一度見に行きますので その折を期待したいと思います。 この後、三津五郎丈の高綱が井戸から出てきます。 今回の舞台は芝翫型だそうで ぶっかえっての台詞などがございません。 仁王襷に六文銭柄の赤地の襦袢の衣装で、井戸から出て見得の後 上手に来て物語りまで何も言わずに大きさだけで見せていきます。 三津五郎丈の高綱は、とても大きくて重圧 押しがございます。 さらに 幽霊見得の大きく決まるところからノリ地の台詞になるところの流れのよさはスゴク良いです。 後半、三津五郎丈の高綱が出て時代物の重さが見え舞台が大きくなります。 21日の感想など まだ時姫・福助丈の声がかすれていて苦しそうです。 前回見ました時より良くなっているようなので 楽日あたりに、治るのではないでしょうか。(^^ゞ 前半は福助丈も橋之助丈も悪くはないのですが はやり、少しサッパリしている感じがいたします。 なんと申しましょうか・・・ハラから出てくるようなタメが無いというような感じです。 時姫が独参湯を持って義村のところに行く時なども おこついた後のタメの間が欲しい気がいたしまして 義太夫狂言ですので もっと、たっぷりしてもいいのでは っと、思います。 ですけれど 福助丈の時姫は、義村と父・時政との板ばさみである哀れさの様な雰囲気が感じられとても良いと思います。 半回しで 歌江丈、鐵之助丈が舞台に出ますと 歩いているだけでたっぷり見えるのですね。(^^ゞ また、今回も右之助丈のおくるがキッパリしていて良かったです。 後半になりまして舞台全体が大きくなります。 藤三郎での三津五郎丈は軽妙な感じが良く 高綱は、やはり大きさがございます。(ふっと・・・三津五郎丈で師直を見てみたいと思いました・・・なぜかな?) 今回はさらに、高綱を井戸のところで呼ぶ時の橋之助丈の義村が良いと思いました。 井戸に足をかけて呼ぶ姿が とても大きくたっぷりしています。 11日の感想など ☆「信濃路紅葉鬼揃」は能の「紅葉狩」の小書きによる‘鬼揃‘の演出をもとに 今までの歌舞伎での「鬼揃紅葉狩」から、さらに玉三郎丈が新たに演出した舞台です。 従来の歌舞伎での「鬼揃紅葉狩」と比べて もとの能がかりな部分が前面に出た感じの舞台ですが 竹本と長唄囃子の掛け合いや毛振りなど歌舞伎として充実した舞台であると思います。 片しゃぎりで幕開きになるのですが 私の見た日だけだったのかもしれませんが、この演奏がいつもより長かったような気がします。 場内がかなりザワザワしているうちから始まりまして しっかり落ち着くまで、かなり長く続いて なかなか幕が開かなかった様な気がするのですが・・・。 幕が開きますと 舞台は上部に破風の屋根、セピアな感じの松羽目で(船辨慶の時と同じ感じです) 上手に竹本、舞台正面に長唄囃子で鳴り物一声となります。 長唄の方は黒小袖にグレーの肩衣、囃子の方は黒小袖にグレーの肩衣と長袴、竹本の方は黒小袖に茶の肩衣 さらに全ての肩衣に玉三郎丈の‘のし菱‘紋が入っています。 舞台面がシックな感じで 和色で落ち着いた雰囲気なのですが とてもオシャレ〜な感じがいたします。 舞台そのものが玉三郎丈の舞台だな〜 っと、いう感じです。 従来の歌舞伎の「鬼揃紅葉狩」(「紅葉狩」も同様ですが)では 先に舞台に平維茂らの一行が居て、そこに赤姫姿の更科の前(更科姫)がやってくるのですが 今回の舞台では、お話の流れに沿った舞台展開で 先に上臈(シテの玉三郎丈は‘このあたりの女‘っと名のっていて‘更科‘という名は出てきません)の一行が舞台に出た後に維茂一行が出ます。 ですので鳴り物一声の後は、花道から前シテの玉三郎丈とシテツレの5人の出になります。 かづら帯、紅葉柄の唐織の衣装、朱の大口袴で、能がかりな拵えですが 花道七三で客席の方を向いたところなどはスゴク綺麗です。 紅葉柄の唐織の衣装がとても美しくて また、朱の大口袴も柔らかな色合いの朱で裾の方に模様が入っています。 どことなく、能の大口袴より柔らかな感じがいたします。 3階からですと玉三郎丈の胸から上しか見えないのですが ホントニ!実年齢を忘れさせる美しさがございます。(^^ゞ 玉三郎丈を含めてシテとシテツレの6人が舞台に上がるのですが ここからは、3階から見ておりますと 全体の動きが見渡せますので、とても面白いです。 長唄囃子のテンポも良く 舞台全体に動きが出ます。 上臈6人の動きは能がかりでゆっくりなのですが 長唄囃子のテンポが良いので 全体を見ますと動きのある舞台が見えてきます。 玉三郎丈の「船辨慶」の折にも感じましたが 今回の「信濃路紅葉鬼揃」もポイントで見る部分と全体で動きを感じ取る部分があるのだと思います。 歌舞伎は、どちらかといえば それぞれの見せ場を繋ぐようにして舞台を展開するので 舞台全体の均等なアンサンブルを高水準で見せていくような展開は「船辨慶」、あるいは「アマテラス」の様に玉三郎丈ならではの作り方の様に思います。 玉三郎丈が舞台上手で鬘桶に座ってから 長唄から竹本に代わります。 ここで、花道から海老蔵丈の出になります。 竹本の三味線がいつもより低音の感じがしたのですが・・・気のせいでしょうか? ベンベンという太い感じの音が 音で上臈と平維茂を聞き分けさせる効果があって、とても良いと思ったのですが。 海老蔵丈が上手に座ってからの上臈の舞が3階から見ますとマスゲームのようで面白いです。 これって、1階から見ると見上げるようになるので 舞台をアチコチ動いている様にしか見えないのかしら? 舞台上の役者さんは自分の位置が見えないのに あの歌舞伎座の広い舞台を整然と移動しているのですね。(^^ゞ 途中、6人が客席に向かって縦に並んで中啓を使うところは北千住観音みたいです。(笑) この後、玉三郎丈のお一人での舞いになります。 竹本と長唄の掛け合いの後に >堪へず紅葉青苔の地 から、中之舞になります。 ここは はじめのうちは、すり足でゆっくりな舞で それほど変化のない感じなのですが 維茂が酒に酔って寝入ってしまってからの緊迫感がスゴイのです。 舞台前面中央で上手の維茂の様子をジィーット窺うところなど 何も無いから余計に怖いっと、いう感じです。 ここで、ピーンと張り詰めた緊張(私は、怖かったですけれど)から 急之舞になって竹本と長唄の連れ引きになります。 中之舞の‘静‘の緊張から急之舞の‘動‘になるスイッチが見事で 玉三郎丈がすごくカッコイイっと思いました。(^^ゞ この後、シテツレが下手に入って シテの玉三郎丈はセリで入り 代わって花道スッポンから山神・勘太郎丈の出になります。 勘太郎丈の踊りは動きがあって見ごたえ十分、スゴク良いです。 とにかく、元気で足の親指をピンっと立てて勇ましくて軽快です。 勘太郎丈の山神が出て舞台の雰囲気がガラット変わるのですが 私はここでホッといたしました。 自分ではっきり気付いていなかったのですが前シテの緊張感がすごくて 舞台に気持ちが引っ張られていたようで 山神が出て雰囲気が変わったことで息が抜けた感じです。 間狂言にあたる山神の踊が良いので 前シテの緊張感がより生きるように思います。 海老蔵丈は上手で寝たままなのですね。(^^ゞ 勘太郎丈が花道から(3階からははっきり見えなかったのですが、スッポンからの引っ込みだったようです)引っ込むと上手の竹本も引っ込みます。 ここからが後シテになります。 シテツレの5人は下手から、シテの玉三郎丈はセリからの出です。 シテ玉三郎丈は黒頭に藍隈、長袴 シテツレ5人は赤頭に藍隈 共に、頭の後ろに垂らした髪を白紙で束ねています。 鬼でも鬼女だからなのでしょうけれど チョッと可愛い感じです。(笑) 後シテになりましても玉三郎丈の鬼女と維茂との立ち回りは能がかりな形で決まっていきます。 歌舞伎の立ち回りの派手さは無いかもしれません。 ですがシテツレと維茂との立ち回りになりましてからが 結構、迫力がございます。 5人での毛振りはなかなか面白いと思います。 海老蔵丈・維茂の周りを5人で回りながらの毛振りは迫力もございました。 が・・・やはり、女形さん(門之助丈は立役もなさいますが) どことなく柔らかな毛振りでございます。 ここは、もう少し勢い良く かつ、振りが揃うと最高に面白いと思います。 維茂が山神から貰った神刀で5人の鬼女を退治すると 玉三郎丈の鬼女と再び立ち回りとなります。 玉三郎丈の立ち回りなどは あまり、見る事がございませんので(笑) 私はとっても嬉しい感じで楽しんでしまいました。(^^ゞ カッコよかったですよ〜。 ちなみに・・・「紅葉狩」で維茂が鬼女を退治するのを見て‘あ〜!鬼女が斬られちゃった!かわいそ〜!‘っと思いましたのは今回が初めてです。(笑) 全体に 前シテ・玉三郎丈の‘静‘の緊張感のスゴサ 山神・勘太郎丈の踊りの‘動‘の上手さ軽快さ 後のシテツレの毛振りの面白さ さらに、長唄と竹本の掛け合いも迫力があり 衣装やセピアな感じの舞台面の和色の美しさ また、個々でなくアンサンブルで舞台を見るような展開 などなど 私には見どころイッパイの舞台でございます。 玉三郎丈はもちろんなのですが(^^ゞ 勘太郎丈、笑三郎丈、吉弥丈が良いと思いました。 21日の感想など 前回は「筆屋幸兵衛」が良いかな〜 っと、思ったのですが 本日は、「筆屋幸兵衛」も良かったですが 「信濃路紅葉鬼揃」がとても良かったです。 で、やはり 片しゃぎりは長く演奏しているみたいです。 今回も幕開きよりかなり前から聞こえておりました。 マズはダントツに場内が盛り上がりました。 花道七三に玉三郎丈が出ますと 花道中から拍手 ぐるりと回って花道外を見ますと 今度は、花道外の客席から拍手 ‘わ〜‘っとジワが上がって3階席は皆様、前のめり。(^_^;) 出だしが良かったので 後のノリが良かったのかもしれません。 前回に見ました時は かなりピリピリした緊迫感が舞台にあったのですが 今回は、緊迫感もさることながら前シテの時に歌舞伎の艶を感じました。 ですので 今回の方が、より前シテが良く感じられ その分、さらにおもしろく また、歌舞伎らしくなっていると思いました。 海老蔵丈が花道から舞台に上がって、舞台中央で上手に居た玉三郎丈とすれ違う時や 玉三郎丈の鬼女が帰りかける海老蔵丈・維茂の袖を引いて引き止める時など 所作としては、形を用いた動きなのですが お二人の雰囲気がとても艶っぽく感じます。 ですが、やはり中之舞から急之舞になるところ 笛と鳴物で玉三郎丈・鬼女が海老蔵丈・維茂の様子を窺う時は怖いくらいの緊張感です。 この怖い感じは 玉三郎丈だからの怖さかと思います。 衣装が美しいのでオペラグラスで追いかけて見ておりましたが 吉弥丈と門之助丈、笑三郎丈と春猿丈が それぞれ色違いの対の様に見えまして 紅葉模様なのですが 笑也丈の衣装は、チョッと雰囲気が異なるのですね。 後半の迫力も動きも良いと思いましたが やはり、毛振りは動きが柔らかでイマヒトツ切れがございません。 これは、しかたがないですかね。(^^ゞ ですけれど この毛振りがモット切れが良くて力強いと 舞台の最後がさらに盛り上がると思うのですが・・・女形さんですからね。(^^ゞ 11日の感想など ☆「水天宮利生深川(すいてんぐうめぐみのふかがわ) 筆屋幸兵衛」は1885年(M18)に初演された 河竹黙阿弥の作です。 明治維新の‘散切もの‘ですが 幸兵衛の貧しさとの対比に隣家の祝い事の清元を余所事浄瑠璃として聞かせるような歌舞伎らしい舞台でもございます。 今までに見たことのある「筆屋幸兵衛」の舞台は どうもイマヒトツな感触で 私の中では中途な印象しか残りませんでした。 ですので 今回は、マズお話の展開をしっかり見て 舞台の雰囲気をつかみたいと思っておりました。 で、今回は この舞台がおもしろいと思いました。 笑えるとか、その様なことではございませんで それこそ、今の時代にも共通するような あるいは、今の時代だから身につまされる思いになるような そのような奥行のあるお話なのだと思いました。 幕開き、お霜の子役の子がとても可愛くて ここで‘そうか、鶴松丈がお雪をお勤めなので この姉妹は少し小さい姉妹なのね‘っと気付きました。 ですが、お二人とも とっても上手いのです。 鶴松丈・お雪は 幸兵衛とのやり取りや 自分の境遇の申しわけなさなど、一人で舞台を進めるような台詞があるのですが しっかりとした口跡で流れや調子も良く、なにより‘わざとらしさ‘を感じないのがとても良いと思います。 ともすると お雪の台詞は一本調子になってしまって面白味を感じない事があるのですが 鶴松丈の台詞は‘らしさ‘がございました。 でも・・・もしかすると、声変わりでしょうか・・・。(^^ゞ また、幕開きすぐから舞台に出ていらっしゃいます歌女之丞丈と芝喜松丈に雰囲気があり このお二人で幸兵衛の暮らしている長屋の雰囲気が伝わります。 勘三郎丈・幸兵衛は乳飲み子の幸太郎を抱いて花道からの出になります。 竹本は簾内で 清太夫です。 「雪の明日の上天気」 苦しい暮らしの中で少し良い事があり ほんのチョッピリの暖かさを感じます。 こういう‘まあるい雰囲気‘を出すのは 勘三郎丈はとても上手いと思います。 舞台に上がって長屋の人や娘達とのやり取りに 慎ましやかな嬉しさがあるので、この後の展開が生きてきます ‘チョッピリ‘とか‘慎ましやかな‘とか はっきりドンっと見えるわけではない心情を丁寧に見せていく感じです。 上手いな〜 っと、思います。 金貸金兵衛・猿弥丈と代言人茂栗安蔵・彌十郎丈が来てから 先ほどまでの‘チョッピリの暖かさ‘‘慎ましやかな嬉しさ‘が消し飛びます。 見ておりまして なんとなく‘あ〜あ〜・・・‘っと、言う感じで暗くなりかけるのですが ここが、勘三郎丈‘らしい‘ところで 真に迫った感じや、暗く重たくなりかけると スッとそれをかわすように台詞や所作で息を抜くのですね。 歌舞伎を見に来て暗くなりたくはございませんので 私には良かったです。 また、市蔵丈の差配人与兵衛が 客席まで届く幸兵衛の悔しい思いを救ってくれます。 見ておりまして 味方してくれる与兵衛が現れてホッとしましたもの。(^^ゞ 煮詰まってしまうところをかわしてくれる感じが 市蔵丈、良いと思います。 舞台は親子だけになって、隣家の清元が聞こえてきて また、寂しい感じになります。 市蔵丈にメリハリがあるので なおさら、寂しい感じになります。 竹本と清元の切り替わりが絶妙です。 ここから、幸兵衛の思考が内側に向かって思いつめていくのですが 勘三郎丈は 水盃の沈痛な雰囲気から幸太郎を見てのせめぎあい 一気に心が砕ける瞬間のスイッチ 切り替わりがとても上手くて‘わざとらしさ‘が微塵もございません。 さらに、狂気の表情が上手いです。 目がラリってますもの・・・筆を投げるのも かなり本気で投げつけてるでしょ? っと、いう感じで マジ怖いです。 また 唐突に‘船弁慶‘なのですが これも、違和感を感じません。 幸兵衛が幸太郎を抱えて長屋を飛び出し 車夫三五郎・橋之助丈が後を追います。 ここの橋之助丈はきっぷのいい感じです。 が・・・3階からですと花道の引っ込みが見えません。(^_^;) 舞台が変わりまして 河岸に居る幸兵衛になります。 ここ、勘三郎丈も橋之助丈も座っている場所を濡らしてありましたね。 よく確認できなかったのですが 衣装はどうなのかしら? 幸兵衛と幸太郎は三五郎に助けられたわけですが 幸兵衛の日ごろの真面目さや、おむらの旧縁から助かったのだという事にウエイトが置かれていて だた‘水天宮様のご利益‘っと、いうことばかりを前面に出すのでは無いので 結末に納得できました。 勘三郎丈、橋之助丈に世話物の雰囲気があってとても良い幕切れだと思います。 他 福助丈のおむらは、この舞台では声のかすれが気になりませんでした。 全体に 今回の舞台を見まして 今まではイマイチっと思っておりましたが 「筆屋幸兵衛」という舞台は、かなり面白いっと思えました。(^。^) 21日の感想など 「筆屋幸兵衛」は、前回の方が新鮮な感じがいたしまして インパクトが強かったためもあり 今回はそれほど‘これ!‘っと思う事はございませんでした。 ですが 今回のお霜は、11日の子役さんより さらに小さい子で タドタドしくて、これもまた可愛かったです。(^。^) 幸兵衛が箒を持って暴れるところで 箒でお雪とお霜を払い除けるようにする場面があるのですが 今日のお霜ちゃんは小さいので、勢いあまって飛ばされておりました。(^_^;) 狂気になった幸兵衛・勘三郎丈はスゴイと思います。 福助丈のおむらですが 前回は‘幸兵衛が旧師の子息である事が分かった‘っという台詞があったのですが 今回はありませんでした。 あ、そうだ 第二場の河岸の場面は 勘三郎丈も橋之助丈も衣装まで濡れていました。 |