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| 国立小劇場 C班2:30開演 前方中央の席 |
*今様須磨の写絵(いまようすまのうつしえ) 清元連中 *歌舞伎十八番の内 勧進帳 長唄囃子連中 |
今様須磨の写絵 松風:京妙 村雨:玉郎 在原行平:東志二郎 船頭此兵衛:新七 舞台は須磨の浦の浜 勅勘により、行平が須磨へ流されて三年 松風と村雨の姉妹は行平を恋い慕うようになります。 折りしも 海女の松風と村雨の姉妹が汐汲みをしていると 行平が我が身の境遇を振り返り都を懐かしむので 姉妹は行平を慰め 自らの想いを語るのでした。 共に行平を想う松風と村雨は嫉妬からいさかいになりますが これを行平が収め 二人は庵へ向かいます。 行平は 実は、勅勘が許され都へ戻る事になっていました。 一人になった行平は この事を姉妹には話さず形見の歌、烏帽子、狩衣を松の枝にかけて残すと 別れを告げずに旅立つのでした。 庵で互いに髪を梳きあげながら行平を待つ松風、村雨の姉妹でしたが 松の枝に残された形見の品を見つけ 行平の残した別れの歌を読み全てを察します。 姉妹が行平の後を追おうとするところへ 船頭の此兵衛がやって来て行く手に立ちふさがります。 此兵衛から行平は既に船出したと聞かされ松風は驚いて気を失ってしまい 村雨は一人で行平を追ってこの場を去ります。 残った此兵衛は 日ごろから松風に想いを寄せているので 気を失った松風を介抱して口説こうとするのですが 気付いた松風は行平を想い狂乱して 形見の狩衣を身につけ 怒って斬りかかろうとする此兵衛をあしらい 行平を追って行きます。 そうして此兵衛も松風を追ってこの場を去るのでした。 歌舞伎十八番の内 勧進帳 武蔵坊弁慶:新蔵 源義経:左字郎 富樫左衛門:升一 あらすじはこちらでどうぞ |
この公演は 国立劇場の歌舞伎研修修了生の方たちの「稚魚の会」と、名題下さんを中心といたしました「歌舞伎会」の方たちの合同公演です。 普段なかなかできない大きなお役をお勤めになり これからの舞台に生かしていこうっという事でございます。 ☆「今様須磨の写絵」は 謡曲「松風」を元にした”松風物”の一つです。 在原行平と汐汲みの姉妹 松風、村雨のお話を 清元で、上の巻き下の巻きの二段にした舞踊にしています。 今回は小劇場という事もございまして 定式幕が引かれると浅葱幕で これを振落とすと板附で松風、行平、村雨が居ます。 松風と村雨は汐汲みのための桶を天秤にして これを使っての汐汲みの様子を踊ります。 >辛気辛苦を・・・ で、行平を想ってのクドキになり >あわれいにしえを・・・ ここは行平で、須磨へ流された身を振り返る場面です。 >そのさすらえとやらなればこそ・・・ 行平を慕う風情で、再び松風のクドキになります。 松風の様子を見て、村雨が 行平と松風の間に入り ここから姉妹の嫉妬の恋争いとなり >一夜寝る身を・・・ 三人の手踊りとなります。 ここで、松風と村雨は行平に促されて庵へ向かいます。 行平は勅勘を許され 烏帽子と狩衣を松の枝にかけ、松風と村雨に黙って須磨を去ります。 ここまでが”上の巻き”で 松風と村雨に対する人物は白塗りの行平でした。 で、行平がこの場を去った後からが”下の巻き”になります。 >かくとも知らず姉妹は・・・ で、庵の伊予簾が上がると 松風が村雨の髪を櫛で梳きあげています。 入れ替わっての髪梳きの後、姉妹は行平の烏帽子と狩衣を松の枝に見つけます。 ここで、行平の歌を詠みます。 「立ち別れ 因幡の山の峰に生ふる松とし聞かば今かへりこむ」 松風と村雨は行平が須磨を去った事に気付き、後を追おうとします。 >奴の このこの此兵衛が・・・ 荒くれの此兵衛が二人の前に立ちはだかり行く手を遮ります。 >なんぼそさまが 海女の子じゃとて・・・ 此兵衛は松風を口説こうとしますが 松風は気を失います。 村雨は行平を追うための舟を貸すと此兵衛に言われ 松風をこの場に残して去って行きます。 >呼ばわれてふっと松風は・・・ 此兵衛に呼びかけられて気付く松風。 >笑う山辺に鳴く時鳥・・・ 松風の狂乱になり >恋しき人に淡路島・・・ で、櫓や綱を使った松風と此兵衛の所作ダテになります。 花道に出て 幕外になり 松風は行平を追って、此兵衛は松風を追って、引っ込みとなります。 かなり、シッカリとした上下二段の構成の舞踊で 時間も1時間15分ほどです。 C班は本日が初日ですので まだ、少し硬い感じもいたしましたが 見応え十分の舞台です。 で、上の巻きの東志二郎丈は白塗りの行平ですが ”はんなり”した雰囲気がございまして良い感じです。 対する下の巻きの新七丈の此兵衛 赤っ面なのですがチョッとおかし味もございまして 何より、大きくて良いです。 荒事風な大きさが感じられます。 ですので 上の巻きと下の巻きの対比がクッキリと見え 舞台に変化があり、時間的には長いのですが それほど長さを感じません。 全体としては 客席もダレてくる後半、新七丈の此兵衛が おかし味のある軽妙さと荒事風な大きさで 再び意識を舞台に引きつけている様に感じました。 玉郎丈の村雨は可愛い感じで ”初々しい”っという表現がピッタリかと思いました。 そういたしまして 京妙丈の松風が素敵です。 田舎の浜の汐汲みの娘風な可愛らしさもさることながら 姉妹の姉としての艶っぽさがあるのですね。 上の巻きの行平に対する艶っぽさと 下の巻きの此兵衛に対する、あくまでも行平を追う一途な感じ これがシッカリ見えていました。 また、上の巻きから下の巻きに移る時の庵での村雨との所作もとても良くて 先刻は行平を争っていても、妹思いである雰囲気に暖か味がございます。 幕開きからたくさん声がかかっておりました。 ☆「勧進帳」は あの、歌舞伎十八番の「勧進帳」でございまして 合同公演では初上演なのだそうです。 とても大事な大きな舞台でございますので 皆様、とても思い入れがあり その緊張感が伝わる舞台でした。 ホントニ!舞台からの気迫と申しましょうか、緊張感がスゴイのです。 これだけ一生懸命が伝わると 客席で見ておりまして嬉しくなってしまいます。 あ〜、良い舞台を見せてもらっているな〜 っと、思えるのですね。 舞台って‘生物‘ですからね 最後には性根が伝わるじゃないですか。(^^ゞ とにかく 全編、見どころの気迫の舞台です。 片砂切を打ち上げて、幕が開きますと 舞台は長唄囃子のひな壇で始まります。 下手の揚幕から富樫の出となります。 この舞台の富樫は升一丈ですが お若いですけれど、重心の低いシッカリした富樫です。 台詞の一つひとつ、所作の一つひとつが 少しも上擦ることなく、想いを含んで見えてきます。 揚幕から出て 少し下手よりでの台詞もシッカリしていて これからの舞台の導入に十分です。 また、勧進帳を覗き見るところのグーット息を詰めた様な緊迫感 義経と知って関を通す事を決め上手に入る時の思い入れ 形だけでなくその場その場の‘情‘が伝わります。 義経は左字郎丈がお勤めです。 長唄の後に花道からの出になりますけれど 何と申しましょうか、左字郎丈って‘華‘のある方ですね〜。(^^ゞ いえいえ・・・いつもは3階席ですのに、今日は1階の前の方で花道も近く役者さんが大きく見えた とか 単純に好みであった とか そういう事ではございませんよ。 花道七三で客席を向きますけれど すっきりと品があって、落着きがあって、目を引くのです。 ”判官御手を取り給い ”のところも 愁いのある感じで良かったです。 引っ込みは舞台から花道を一気に鳥屋に入ります。 ただ一つ、やはり”天地人の見得”で義経の存在感を出すのは難しいのでしょうね。 弁慶をお勤めなのが新蔵丈です。 渾身の力を込めた舞台・・・こういう感じです。 あの、もちろんいろいろあるのでしょうけれど そういう事はとりあえず横に置いておいて とにかく、一生懸命を感じる舞台です。 で、新蔵丈の弁慶は‘温情‘を感じる弁慶です。 今まで、何人かの弁慶を見ましたけれど 重圧であったり深みを感じたり強さがあったり などなど、いたしましたが これほど‘温か味‘とか‘情‘を感じる弁慶はおりませんでした。 ですけれど それが、義経のためにここまで頑張る弁慶の動機付けになっているのですね。 この‘温情‘は納得できます。 一番はじめの花道の出から 一生懸命なエネルギーがヒシヒシと伝わりまして それが、舞台上での窮地脱出のための一生懸命と重なりまして とてもスリリングな感じです。 幕外で天を仰いで一礼するところも ホッとした感じが、舞台のストーリーともうスグおしまいが重なります。(笑) とにかく 気合が入っておりまして 鳥屋に入って倒れてしまうのではないかしらっと思うほどの熱演です。 本日が初日でしたから まだ、これからで さらに、大きさが増すといいのかなっと思いました。 他 四天王、番卒の方も含めまして 今回の「勧進帳」の舞台は 皆様、しっかり教わった通りになさっていらっしゃるのだろうなっと感じます。 本当に真摯な舞台で とても好感の持てるすばらしい舞台です。 |