2007年08月21日           もくじへ戻る トップページへ戻る 
    歌舞伎座 第二部   三階B中央の席

  *ゆうれい貸屋
    二幕

  *新版 舌切雀 花鳥の森・夏の星
    一幕


ゆうれい貸屋
 桶職弥六:三津五郎
 染次:福助
 家主平作:彌十郎
 お千代:七之助
 お勘:右之助
 魚屋鉄造:秀調
 お兼:孝太郎
 又蔵:勘三郎

第一幕
第一場 桶屋弥六の家の中
舞台は江戸、桶職人・弥六の家 注文の桶を受け取りに来た伊勢屋の番頭に弥六の女房・お兼が謝っています。
弥六は親を亡くして後、すっかり仕事をしなくなり注文の桶も作っていないのでした。
頼んだ桶ができていないので番頭が帰ると 家主・平作が弥六に意見しようと訪ねて来ます。
そこへ 弥六がほろ酔い加減で帰って来るのですが 家主やお兼の意見も聞かず寝てしまいます。
お兼は弥六を立ち直らせるために家を出る決心をして 家主と共に実家へ戻るのでした。


やがて日も暮れ 心配して様子を見に来た隣の女房・お勘が亭主・鉄造と共に立ち去ると 弥六の前に、生前は辰巳芸者であった幽霊の染次が現れます。
染次は男に騙されて死んだので 騙した男や家族をとり殺したが 成仏できずに彷徨っていると言います。
さらには 昼間、弥六が喧嘩の仲裁をしたところを見ていて惚れてしまったので家事もするし、酒や肴も用意するから 女房にして欲しいと頼み 姿を消してしまいます。
驚いている弥六でしたが 家事もしてくれるし酒や肴も用意してくれると言うので 染次のためにと思いたち般若心経を唱え始めます。
しかし、身内に読経されると成仏してしまうので 戻って来た染次がこれを邪魔するのでした。
事情を聞いた弥六は読経を止め 染次が用意した酒を呑み始めます。
染次は再び女房にして欲しいと頼みながら 浮気をしたらとり殺すと言うのでした。


第二場 弥六の家の表
舞台は弥六の家の前 長屋のお勘や家主が弥六の噂話をしていると 弥六が家から出てきます。
家主・平作はお兼が心配していると意見するのですが 弥六が話を聞かないので 怒って、店賃が滞れば追い出すと言ってこの場を去ります。
長屋の人たちが居なくなると 染次が現れ 先刻の家主の話から弥六とお兼の仲が続いていると思い込み弥六に詰寄るのでした。


第三場 元の弥六の家の中
染次と家に戻った弥六は お兼とはきっぱり別れたと言い 染次も、これを聞いて納得します。
しかし、店賃が滞ると追い出されてしまうので 染次は、その支払いのために 恨みを持つ人に幽霊を貸す商売を思いつき 知合いの幽霊を集めるのでした。



第二幕
第一場 炭屋河岸
舞台は炭屋河岸 ゆうれい貸屋は繁盛しており 今も、幽霊の又蔵が依頼人と共に出かけて行きました。
折りしも 様子を見に来た染次に 弥六は商売が繁盛するのは嬉しいが 人のあざとさを知ったと言うのでした。
染次が弥六に店賃のためだと言い、この場を去ると 先刻の又蔵が戻ってきます。
又蔵は自らのこれまでを振り返り 何事も生きていればこそだと言い残すと 姿を消してしまいます。
すると、年老いた幽霊の友八とお時の夫婦が現れ 身内が供養してくれたと嬉しそうに言い残し成仏してしまいます。
一人になった弥六は又蔵が残した 何事も生きていればこそ っと、いう言葉を思い出し急いで家に戻るのでした。


第二場 弥六の家の表
長屋の人が弥六の家の中を窺っています。
ここへ弥六の女房・お兼が心配して様子を見に来ますが 家の前に人がいるので気付かれないように立ち去ります。
するとここへ弥六が戻ってきますが そのまま黙って家に入ってしまいます。


第三場 元の弥六の家の中
弥六が家に入ると浮気性の幽霊・お千代が姿を現し弥六に言い寄ります。
しかしここへ染次が現れ 弥六が浮気をしたと思い込み とり殺そうとしますが 外で様子を窺っていた家主やお兼や長屋の人が鉦を鳴らして弥六と共に般若心経を唱えてくれたので染次たちは成仏します。
弥六はこれから一生懸命に働くとお兼に詫びるのでした。






新版 舌切雀 花鳥の森・夏の星
 玉婆:勘三郎
 すみれ丸・蓮の精:福助
 鷹蔵:彌十郎
 孔雀王:孝太郎
 森彦:勘太郎
 お夏:七之助
 蚊ヨ:扇雀
 小人・与太郎:三津五郎

第一場 花鳥の森
舞台は夏の森 百年に一度の花鳥の祭で孔雀王と妻・鶴姫のもとに家臣たちが集まり鳥たちの踊を見ています。
折から 孔雀王が、すみれ丸がいない事に気付き皆に尋ねるところへ すみれ丸が舌を切られて人間界から逃げてきます。
事の次第を聞こうにもすみれ丸は舌を切られて話す事ができません。
これを見た鷹蔵が 森の賢者の小人にすみれ丸の心を読み取らせる事を思いつきます。
さっそく小人が姿を現しますが 小人は疲れていてすみれ丸の心を読み取らずに寝てしまいます。
しかし すみれ丸は小雀たちに介抱され元気になります。



第二場 村・森彦の家
舞台はある村の森彦の家 森彦とお夏は仲の良い夫婦でしたが 森彦の母親・玉婆はとても欲張りでした。
森彦が命を救った雀・すみれ丸に餌を与えているところへ玉婆がやって来て家にあるものを持ち出し、夫婦の食事まで食べてしまいます。
これを見たすみれ丸が夫婦への恩返しにご馳走を出します。
森彦とお夏は 村の人にも分けてあげようと村長や村の人を呼びますが 玉婆は面白くありません。
そうして 玉婆を窘めるすみれ丸の舌を切ってしまうのでした。
舌を切られたすみれ丸は お夏の実家の家宝である箪笥の中に逃げ込みます。
村人たちが箪笥の中を見れば 箪笥の中には不思議な世界がありました。
しかし、玉婆には何も見えないのでした。


玉婆が森彦の家を出ようとするところへ 与太郎が長者に用事を頼まれたと言って財布を懐にやって来ます。
これを見た玉婆は 与太郎の頭を打って記憶を失くすと 与太郎を言い包め自分の住居へ連れて行ってしまいます。


残った森彦が箪笥の中に居るすみれ丸を心配して引き出しに手を入れると そのまま箪笥の中へ引き込まれてしまうのでした。


第三場 村・玉婆の家
舞台は玉婆の家 連れてこられた与太郎は飛んできた蚊を頭で潰そうとして箪笥にぶつかり気を失ってしまいます。
この隙に玉婆が与太郎の懐から財布を抜き取ると 先刻の蚊が現れます。
この蚊は玉婆の妹分、蚊ヨでした。
折りしも 森彦の家が賑やかになります。



第四場 村・森彦の家
こっそり様子を見に来た玉婆は森彦の家にたくさんの宝物があるので驚きます。
森彦は先ほど すみれ丸を心配して箪笥に引き込まれ その折、孔雀王に会いすみれ丸への情けのお礼にと葛籠を貰った事を話します。
しかし玉婆は なぜ、大きな葛籠を貰わなかったのかと怒ると 蚊ヨと共に箪笥の中の森へ向かうのでした。



第五場 森
舞台は箪笥の中の森 鳥たちが孔雀王の前で踊っているところへ 玉婆が葛籠をくれとやって来ます。
しばらく雀の踊を見ていた玉婆でしたが 小人に面白くないと思っている心を読まれてしまいます。
小人に自分の心を見抜かれた玉婆は自ら踊りだし 小人と踊比べとなります。
しかし、時期に玉婆がすみれ丸の舌を切った事が知れ 雀たちに攻撃されてしまいます。
玉婆は蚊ヨに助けを求めますが 蚊ヨも倒されてしまうのでした。



第六場 湖畔の森
舞台は同じく箪笥の中の森 梟の局から大きな葛籠のありかを聞き出した玉婆は大きな葛籠を担いで人間界に戻ろうとします。
折りしも ここへ蓮の精が現れ 玉婆にすみれ丸のその後について話しますが 玉婆は話を聞こうともしません。
すると蓮の精は人間界では森彦夫婦が死んだ事を話し 玉婆は一人になってしまったと言います。
しかし玉婆は 玉婆の事を慕う与太郎にも冷たくし 欲張りな考えばかり言い 大きな葛籠を開けてみます。
しかし中には宝物はなく 孔雀王は玉婆に、これまでの悪事を償うため 今まで森の賢者として小人にされていた殿様の替わりに 森の賢者となって、絶えず言葉にならない人の心を読み続けるよう言うのでした。




前回に引き続きまして21日に観劇いたしました第二部の感想などを書かせていただきます。



☆「ゆうれい貸屋」は山本周五郎原作の舞台で新作の歌舞伎です。
今年の5月に歌舞伎座で上演された「泥棒と若殿」で松平成信をお勤めでございました三津五郎丈が弥六をお勤めです。
成信は武士でしたが、弥六は桶職人 くだけた感じがとても楽しい舞台です。

三津五郎丈の弥六は怠け者なのですが 見ておりますと‘小気味好さ‘がございます。
粋を感じるのですね。
ですので 舞台全体に軽快感があり、テンポも良く 笑いもカラカラとした支障のない笑いです。

対する福助丈は 面白いのですが やはり、少しはじけすぎな感じもいたします。
台詞に緩急があると申しますより 地を出し過ぎ、凄み過ぎな感じで いかにも‘その様にしている‘と感じてしまいます。
ですけれど 辰巳芸者のキッパリとした雰囲気はございまして 三津五郎丈の弥六とガッチリ組む染次の大きさはあると思いました。
もう少し普通にしていて良い様に思うのですけれど・・・。

幽霊の又蔵を勘三郎丈がお勤めです。
控えめな幽霊で(笑) おずおずとしたところに可笑しみがあるのですが キーポイントになる幽霊でもございます。
幽霊の存在感っと申しますのもなんですが やはり、舞台にいらっしゃいますと目を引く‘華‘がございます。(^^ゞ

孝太郎丈のお兼が、いかにも長屋の世話女房という感じで雰囲気があります。
また 秀調丈と右之助丈の魚屋夫婦や 後半に舞台を上手から花道へ通るだけですが蕎麦屋などに江戸の雰囲気を感じる事ができます。
って・・・江戸の事は知らないわけですけれど・・・たぶん、こんなふうだったのだろうな〜 っと、思えるわけです。(笑)
ちなみに お蕎麦屋さん(だと思うのですが)「そば〜い、しっぽく〜、はなまき〜」っと言っておりまして ‘そば〜い‘は‘蕎麦〜い‘だと思うのですが ‘しっぽく‘と‘はなまき‘が分かりませんで 調べてしまいました。(^^ゞ
‘しっぽく‘は”関西や信州で、そば・うどんにキノコ・かまぼこ・野菜などを入れて煮る料理。しっぽくうどん。”だそうです。
江戸なのに関西のうどんを商っているのですね。
で、‘はなまき‘は‘花巻蕎麦‘のことらしいです。
このお蕎麦は”かけそばに焼き海苔を乗せ 薬味はおろし山葵でネギは付けず かけ汁の湯気で海苔の香りを引き出す”のだそうです。
どうも、お蕎麦と海苔の香りを楽しむようです。
‘花まき‘というのは浅草海苔の事らしいです。
で・・・フット 思ったのですが 幽霊が出るくらいですから夏だと思うのですが お蕎麦もおうどんも温かいのですよね。(^^ゞ
え〜っと、横道してしまいましたが この他には権一丈の幽霊が、なんとも風情がございまして ピッタリと申しましょうか(^^ゞ その様な感じでございました。





☆「舌切雀」は渡辺えり子作・演出の新作の舞台です。
渡辺えり子氏と申しますと2004年の「今昔桃太郎」がございまして この時にも感想に書きましたが やはり今回もメッセージ性が強いです。
どうも、小劇場から演出なさる方は どなたも舞台上に何かメッセージを取り込みたいとお考えになられるようで 非現実を期待して場内に入るワタクシといたしましては 現実に引き戻される感じがいたします。(^^ゞ
このあたりは 好みにもよるのでしょう。

ですけれど、今回は 「今昔桃太郎」の様にストレートにお話が進みませんで どことなくファンタジーな感じでボヤットした展開でお話が進みますので  何やらいろいろとメッセージはあるようなのですけれど ‘それで、どうしたいのだろう‘が 私にはハッキリ見えてきません。(単純に私がニブイっという事もございますけれど・・・)
蓮の精の言葉に、お玉婆さんが「何を言いたいのかわからない」っと言っていましたが まあ、ホントニその様な感じでございます。(笑)

さらに、しどころ見どころがないので 笑える事は笑えてとても楽しいのですが 舞台としての充実感がございません。
ここが、もの足りなさを感じた原因だと思います。
チョッとくらいストーリーのつじつまが合わなくても 特別に訴えかける様な何かがなくても ガッシリとした しどころ、見どころがあれば 十分に楽しめるのですけれどね。
見ておりまして なんとなく 役者さんは、これを11日から29日まで続けるわけで それも、なかなかスゴイ事だ・・・っと、思ってしまいました。
笑いの種類も お饅頭をほおばる様な食べ物ネタや増血剤ネタなどがあり ワタクシ的には引いてしまうところがございます。
どうも手放しでカラカラと笑える種類の笑いではないのですね。

ですけれど、ここは!っと思えるところもございました。
ほんの少しでしたが 勘三郎丈と三津五郎丈のお二人で踊るところです。
ここは イッキに舞台のテンションが上がって緊張感と申しましょうか 勢いが感じられる場面でございました。
そう!せっかく お二人で舞台にいらっしゃるのですから もっと、この様な しどころ、見どころのある舞台を見たかったです。
この時、お二人は‘悪玉‘‘善玉‘のお面を持っていらっしゃった様に見えました。

他・・・
竹本の清太夫のオウムが・・・・ご苦労様でございます。
白鳥の湖・・・鶴松丈がなかなかクッキリとしたお顔つきで凛々しく見えました。
あっ それから 孝太郎丈が長袴でひな壇を一気に駆け下りる場面がございまして 場内からは笑いが起こっておりましたけれど 見ておりましてチョッと怖い感じがいたしました。
転ばないでくださいね〜。






もくじへ戻る     トップページへ戻る     五十音順へ戻る