2007年06月03日           もくじへ戻る トップページへ戻る 
    歌舞伎座 夜の部   三階B中央の席

  *元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿
    二幕

  *盲長屋梅加賀鳶
    本郷木戸前勢揃い から 赤門捕物まで
    四幕六場

  *新歌舞伎十八番の内 船弁慶
    長唄囃子連中


元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿
 徳川綱豊卿:仁左衛門
 富森助右衛門:染五郎
 中臈お喜世:芝雀
 上臈浦尾:萬次郎
 新井勘解由:歌六
 御祐筆江島:秀太郎


 あらすじはこちらでどうぞ





盲長屋梅加賀鳶(めくらながやうめかがとび)
 竹垣道玄・天神町梅吉:幸四郎
 女按摩お兼:秀太郎
 お朝:宗之助
 おせつ:鐵之助
 伊勢屋与兵衛:家橘
 日蔭町松蔵:吉右衛門

序幕
本郷木戸前の場
縁日で賑わう湯島天神の境内で加賀鳶の巳之助が町火消の若い者と喧嘩になり この喧嘩が元で加賀鳶と町火消の対立となってしまい ただならぬ事態になりかけます。
これを 加賀鳶の頭分・梅吉が、町火消側に一人で出向き 掛け合った末に、この場は事無く納めてきます。


舞台は本郷通町の木戸前  一人で掛け合いに行った梅吉を心配して 兄弟分の松蔵ほか鳶の者たちが 町火消との喧嘩のために本郷通町の木戸前まで繰出してきますが 折りしも、事を納めてきた梅吉が来合わせ 皆を説得して引揚させるのでした。


二幕目
お茶ノ水土手際の場
舞台は夜のお茶ノ水土手際 ここへ百姓の太次右衛門が定宿へ向かうため通りかかります。
しかし、折からの寒さに持病が出て休んでいると 按摩の道玄がやって来ます。
太次右衛門は道玄が按摩と聞いて介抱を頼みますが 道玄は介抱するうち、太次右衛門の懐に大金がある事に気がつき これを奪おうとします。
突然、目明きの正体を現した道玄は 脇差を抜いて抵抗する太次右衛門を逆に斬り殺し金を奪います。
闇にまぎれて道玄がこの場を去ろうとすると ここへ加賀鳶の松蔵がやって来ます。
道玄は素知らぬ顔で松蔵とすれ違いこの場を去りますが 松蔵は倒れた太次右衛門に気がつき 道玄が落とした煙草入れを拾います。



三幕目
盲長屋の場
舞台は本郷菊坂の長屋 この長屋に暮らす女按摩のおせつは 先ごろ、兄・太次右衛門を何者かに殺され気落ちしているところへ 同じ女按摩のお兼に勧められ道玄と所帯を持ちました。
おせつは、兄・太次右衛門を殺したのが道玄である事を知らず所帯を持ったのですが 道玄の道楽のために着物まで失ってしまいました。


一人、おせつが身の上を後悔しているところへ 太次右衛門の娘・お朝が訪ねて来ます。
お朝は奉公先の伊勢屋の主人・与兵衛から、苦労しているおせつに渡すよう言われ五両を持ってきたのでした。
この金は お朝から、おせつと道玄の事を聞いた与兵衛が おせつをきのどくに思い用立てたものでしたが おせつは、金額が多いので 事情を聞きに伊勢屋に出かけて行きます。


おせつとお朝の話を外で立ち聞きしていた道玄は おせつが伊勢屋に行ってしまうと お朝と伊勢屋主人・与兵衛のあらぬ仲を言い立て 否定するお朝を折檻します。
折りしもここへ来合わせた、お兼と共にお朝の身売りの話を進め さらに、偽の詫状を作って 伊勢屋を強請りに出かけるのでした。


竹町伊勢屋見世先の場
伊勢屋にやって来た道玄とお兼は 伊勢屋主人・与兵衛は手をつけたお朝を放り出すつもりだろうと、お朝が書いたと言って用意してきた偽の詫状を出し 金を強請り取ろうとします。
身に覚えのない与兵衛でしたが 見世先で騒がれては困ると思った番頭が金を渡そうとするところへ 丁稚が鳶頭・松蔵を連れて来ます。
松蔵は、以前お茶ノ水土手際で拾った煙草入れを見せ 中にあった質屋の書付に道玄の名があると言います。
さんざん言い逃れをしていた道玄でしたが これには言葉も無く煙草入れを持って引きあげようとします。
しかし、松蔵は後々の面倒を考え 偽の詫状を十両で買い取るのでした。



大詰
菊坂長屋の場
伊勢屋での強請りにしくじった道玄が長屋に戻り、おせつを縛ってお兼と酒盛りをしていると 道玄の家の縁の下から犬が血のついた布子を見つけ出した事から悪事が露見して捕手がやって来ます。

赤門捕物の場
本郷の加賀候赤門まで逃げてきた道玄でしたが ついに追手に捕まるのでした。





新歌舞伎十八番の内 船弁慶
 静御前・知盛の霊:染五郎
 源義経:芝雀
 舟長三保太夫:東蔵
 武蔵坊弁慶:幸四郎


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☆「御浜御殿綱豊卿」は真山青果作「元禄忠臣蔵」全十篇の真中、五編目にあたる新作歌舞伎です。
江戸城での事件の後、内蔵助を中心に書かれたお話の中で 「御浜御殿綱豊卿」は徳川綱豊卿を中心にお話が進みます。
この場面は、他の場面よりも舞台面が華やかで お話の展開も幕切れにきちんと終結し 内容もすばらしい対話劇になっていて 今回の様に独立して上演されることが多い舞台です。

仁左衛門丈の綱豊は 新作歌舞伎とは思えないくらい、台詞に歌舞伎味があります。
ですけれどコッテリした感じは少なくて、はやり爽やかに見ていられます。
きつさがなく、優しい感じですので 助右衛門に対しても 力を背景にした強さとか、強さから出る怖さとか あるいは赤穂浪士の心に踏込むような、上から目線とか こういったことを感じさせません。
行動の根拠が‘侍心‘というところにのみあるように思えるのです。
キッチリとした台詞の使い方や、柔らかな台詞の使い方が とても良くて、自在です。
とくに、仁左衛門丈は柔らかな感じの台詞を違和感なくお使いになるので 対比として、キッチリとした台詞が強さを感じることなく 耳に心地良い感じで聞いていられます。
さらに 立ち振る舞いがスッキリして立派、緩急があって見惚れる感じです。
それにいたしましても 青果の舞台も歌舞伎なんだ〜 っと、今さらながらに思える 歌舞伎の舞台でございます。(笑)

対する染五郎丈の助右衛門は 仁左衛門丈とガップリで、台詞の応酬もとても良いです。
内蔵助の放蕩を綱豊に言われ、綱豊自身の放蕩を突くところの反発心のあるやり取りなどは 勢いもさることながら懸命さがとてもよく伝わります。
また、綱豊に浅野家再興を願い出ないで欲しいと心情のみで訴えるところは 初役の2日目とは思えないくらい良かったです。
ですが 一つだけ・・・声がかすれてしまっていて、聞いていてとても聞きづらい・・・。
勢いがあって 台詞もしっかりしているし すごく良い助右衛門なので チョッともったいない感じなのです。

芝雀丈のお喜世は可愛いばかりではなく、シッカリしていて芯のある感じです。
秀太郎丈の江島は これもまた、優しい江島です。
やはり上方の柔らかさなのでしょうね。
萬次郎丈の浦尾もよくて 江島とやりあうところも良い感じでした。





☆「盲長屋梅加賀鳶」(めくらながやうめかがとび)は黙阿弥の舞台で、かなりお話がゴチャゴチャしているのですが 今回の(っと、申しますか近年では)舞台は 鳶の梅吉の話は一番はじめのところのみで、道玄のお話が中心に進みます。

今回は幸四郎丈が梅吉と道玄の二役をお勤めです。
梅吉の方は序幕のみですが ここは、キッパリして大きく 加賀鳶の頭分という感じがございます。
で、道玄ですが 世話の感じ、世話の悪党の雰囲気を出そうとなさっていらっしゃるのは伝わるのですけれど やはりニンにない感じで、大きすぎると申しましょうか すごんだところなどマジに怖かったりいたします。(^^ゞ
盲長屋でもお兼を相手に盗賊のお頭の様に見えてしまうのですね。
伊勢屋での強請りも ‘頑張っている‘のがわかってしまうので 見ていて、この場の雰囲気に浸る事ができません。
最近は世話物の舞台を多くお勤めですので 私も幸四郎丈の世話物を見慣れてきた感じもございますが(笑) 世話の感じ、世話の悪党の雰囲気を出そうとしているのが見えなくなると良いのかな〜 っと、思います。

吉右衛門丈の松蔵は大きくて立派、キッパリしていて良いと思います。
前半の木戸から引揚げる時の牽引力のある感じ 土手際で煙草入れを拾うところの‘これから何かありそう‘な感じ など、お話の展開にプラスαな部分があり、良いと思います。
また、伊勢屋ではカッコイイ松蔵でございまして(笑) 道玄とのやり取りも‘やったね‘っと、思えるようで良かったです。

秀太郎丈のお兼は ‘いろいろありげな女按摩‘の感じがあり ですけれど、うらぶれているわけではなく ケッコウしたたかで、それを楽しんでいるように見えます。
なにより、秀太郎丈の持つ柔らかな感じに じゃらついた艶っぽさがあるのがいいのだと思います。

この他、鐵之助丈のおせつに雰囲気があって良かったです。





☆夜の部二演目で染五郎丈が「船弁慶」前シテ・静御前と、後シテ・知盛をお勤めです。
前シテの静御前、姿はとても美しいです。
線が細くて、イマドキの若い人の体型ですので(笑) 見た目にとても可愛らしい感じに見えるのですが とりあえずまとまっていたと思います。
ただ、やはりここでの情を出すまでには至っておらず これからを期待したいと思います。
後シテの知盛は動きがとても良いです。
見ていて気持ちがいいくらいキッパリ決まっています。
ですが、やはり知盛の持つ凄みが出るまでには至っておりません。
全体に静御前も知盛も 見た目に心情が追いついていないように感じました。

幸四郎丈の弁慶はサスガに大きくて立派です。
また、芝雀丈は品格を感じる義経です。
じつは、はじめ芝雀丈の義経ってどうなの? っと、思っていたのですが 品、格ともにとても良いです。
思い出せば最近では昨年11月に「勧進帳」でも義経をお勤めなのですよね。
どうも、可愛らしい真女形というイメージがございまして(^^ゞ ピントきませんでした。






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