2007年05月06日           もくじへ戻る トップページへ戻る 
    歌舞伎座 昼の部   三階B上手よりの席

  *泥棒と若殿
    一幕六場

  *歌舞伎十八番の内  勧進帳
    長唄囃子連中

  *与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
    木更津海岸見染の場
    源氏店の場
     二幕

  *女伊達
    長唄囃子連中


泥棒と若殿
 松平成信:三津五郎
 伝九郎:松緑

舞台は荒れ果てた御殿 ここに大聖寺の領主松平大炊頭の次男・松平成信が幽閉されています。
領主松平大炊頭は病にあり これをいいことに、城代家老が思慮の未熟な長男に跡目を継がせ実権を握ろうとして 成信を幽閉したのでした。
はじめの頃は 幾人かいた使用人も今はいなくなり 食べるものさえ届けられない状態の中 成信は刺客に命を狙われながら暮らしていました。


この様なありさまの破れ御殿に泥棒が忍び込みます。
泥棒は伝九郎といい これまで真面目に暮らしてきた者でしたが 不運が度重なり、江戸にいられなくなり ここまでたどりついたのでした。
空腹で、泥棒に入ったのが 成信の暮らす破れ御殿でした。
中に忍び込んでみれば 床は抜ける、誰も居ない、何もない、 どうしたものかと思うところ 成信の寝所へたどりつきます。
刺客に命を狙われているので、刀を持ったままで床の中にいた成信を見つけ 伝九郎は、いろいろ脅してみるのですが 成信は、自分以外は誰もいないし食べるものさえないと言うのでした。


成信の言う事が真実だと知った伝九郎は 成信が気の毒になり、人足仕事をはじめて稼いでくると 成信の食事や身の回りの世話をするようになります。
人足の仕事も順調で稼ぎもよくなった伝九郎は 今までの不運の話などするのでした。
幾日かが過ぎ 成信と伝九郎には心通うものが生まれます。


ところが、ある夜 伝九郎が仕事に出かけている間に 成信の家臣の者が破れ御殿に来て 領主松平大炊頭が亡くなり これにともない、家老が謹慎を命じられ 成信が家督を継ぐことになったと伝えます。
さらに 成信を狙った刺客は 敵の目をくらますためのものであった事も知らされます。
これを聞いた成信は 刺客のために気の休まることさえなく、権力に振り回されるのは嫌になったと言うのでした。
しかし成信は領主として、やらねばならぬ事があると決意します。


翌朝、成信は初めて伝九郎のために食事の支度をします。
何も知らない伝九郎でしたが 成信の様子から 成信がこの破れ御殿を出て行く事に気付くのでした。
伝九郎は 玄関先で別れを告げる成信を 悲しみをこらえて見送るのでした。






歌舞伎十八番の内  勧進帳
 武蔵坊弁慶:團十郎
 源義経:梅玉
 亀井六郎:友右衛門
 片岡八郎:家橘
 駿河次郎:右之助
 常陸坊海尊:團蔵
 富樫左衛門:菊五郎


   あらすじはこちらでどうぞ





与話情浮名横櫛
 与三郎:海老蔵
 お富:菊之助
 蝙蝠安:市蔵
 鳶頭金五郎:権十郎
 和泉屋多左衛門:左團次


   あらすじはこちらでどうぞ





女伊達
 木崎のお駒:芝翫
 中之嶋鳴平:門之助
 淀川の千蔵:翫雀

舞台は吉原 気っ風のいい江戸の女伊達・木崎のお駒が 大阪の男伊達、中之嶋鳴平と淀川の千蔵の二人を相手に 意気のよさを見せます。



☆「泥棒と若殿」は原作が山本周五郎ですので新作の歌舞伎でございます。
なので台詞なども聞きやすく見ていても疲れません。(笑)
で、大まかなストーリーはわかっていて それでも泣ける舞台です。
私が拝見いたしました6日は 成信を襲った刺客が舞台で滑ってコケておりましたが・・・これは、チョッとしたハプニングで まさか、ウケ狙いではないのでしょうね・・・。(^^ゞ

まず、三津五郎丈が若殿・成信にピッタリです。
初役という事ですが 合ったお役なのだと思います。
品があり、領主の家に育った格があり、この場の境遇がもたらす愁いがあり、とてもいいです。

松緑丈の伝九郎は江戸の雰囲気イッパイで元気です。(^^ゞ
とくに、前半のチャキチャキした感じがいいので 後半が生きてくるのだと思います。
私・・・はじめ‘しもの‘って何だ〜?って思ったのですが これ‘干物‘なのですね・・・我が家のジジと同じだ!っと思ってしまいました。(笑)
で、こんなにチャキチャキと生きがいいのに それでも人の内にある寂しさを上手く見せていると思います。
誰にも、どこかにある寂しさの様なものを さりげなく見せているので 見ていて無理なく共感できるところが多いです。
一人はやっぱり寂しいです・・・伝九郎はこの後どうするのでしょう・・・。
松緑丈、昨年の‘江戸の夕映‘も良かったですが 今回もとても良い舞台です。


   





☆今回の團菊祭での「勧進帳」は‘天覧歌舞伎百二十年記念‘という事で上演されております。
なんでも、明治二十年に行われた‘天覧歌舞伎‘を記念しての事だそうでございます。
で、今回の上演に先立ち 4月に国際文化会館で「勧進帳」の上演が 政財界関係者、各国大使らを招待し上演されたわけでございます。
が・・・この時と 今回の團菊祭での配役はチョッと違っております。

で、じつは・・・まあ、どうでもいいと言えば そうなのですけれど(笑)・・・チョッとラッキーな気分になったりするのです。
だって・・・今回の團菊祭での「勧進帳」で一番良いと思ったのが梅玉丈の義経なのですもの。(^^ゞ

松羽目物の舞台で 片しゃぎりに柝なしの幕開きで 安宅の関です。
今回の太刀持ちは男寅くん、頑張ってます。
で、長唄は八挺八枚 たて三味線が巳太郎さんです。

舞台の雰囲気は全体に余分がない感じです。
あっさり、でも すっきり、でも なくて 余分がない、洗練された感じの舞台です。
なので とても綺麗に見えます。
うまく書けないのですが 所作にムダがないと申しましょうか クセがないと申しましょうか その様な感じなのです。(よくわからなくて、すみません。)
弁慶・團十郎丈 富樫・菊五郎丈 義経・梅玉丈のバランスがとても良いです。
天地人の見得などは チョッと鳥肌ものです。

團十郎丈は台詞がとても聞いていて楽しいです。
耳に心地良いというのでしょうか 抑揚が独特な感じで 好みなのでしょうが、私は声質に合っているように思えるので好きだったりいたします。

菊五郎丈はやはり團十郎丈の弁慶とガップリな感じで 大きさを感じる富樫です。
ですが 特別にコッテリしているわけではなく 感じとしては、わりと柔らかでサッパリした富樫です。
でも それが ムダのない洗練された感じに見えるのだと思います。

で!今回 一番、嬉しかったのが梅玉丈の義経です。
ど〜して 梅玉丈は義経がこんなに似合うのでございましょうね〜。(^^ゞ
「千本桜」の義経も、「一谷嫩軍記」の義経も、とても好きなのですが 「勧進帳」の義経はモット良いですね。
私は「勧進帳」で梅玉丈の義経を見るのは今回が初めてなのですが かなり感激してしまいました。
今年の1月に富樫を拝見いたしましたが 富樫より義経の方が好きです。
とにかく、舞台上での存在感がすごいです。
この義経なら 今、展開している舞台のお話が成立するだろうなっと思わせる格がございます。
舞台では、ずっと下手で決まったままですが 姿の美しいこと・・・。
天地人の見得の時 ほんの少し手が動いて笠に手をかけますけれど もちろん顔は見えません。
でも、品格を感じるのです。
この義経のために 弁慶も富樫も命がけなのね〜っと、思うわけで スゴイ存在感です。
もともと梅玉丈は立ち役ですから そのためなのでしょうか、御大将のキッパリした強さがあります。
義経の見どころ‘判官御手‘のところも 弁慶に対しての優しさもさることながら 御大将の篤み、大きさ、強さを感じます。
こんなに美しくスッキリ決まるのに 力強さがあるのです。
私には これは、チョッと記憶に残る義経かもしれません。





☆今回の「与話情浮名横櫛」は‘見染の場‘と‘源氏店‘の二幕です。
‘見染の場‘は 幕開きまじかにチョッとだけ梅丸くんが登場でした。(笑)
で、以前から気になっておりまして ずっとわからなかったのですが お富の衣装の柄が‘菊の花の小紋‘だとわかりまして チョッとすっきりいたしました。
ですが・・・‘菊の花‘なのは 今回のお富が菊之助丈だからでしょうか・・・?
以前、見た衣装と同じ柄の様なのですけれどね。

‘見染の場‘の菊之助丈・お富ですが とても綺麗なお富なのですが 愛妾の艶っぽさはイマイチかもしれません。
キッパリした感じがあって 江戸から来た雰囲気はあると思います。
ですが‘源氏店‘は良いと思いました。
‘そ〜なんですよ〜‘が なんともいい感じでございまして 艶っぽいと言いましょうか きっと、この頃の源氏店あたりに暮らす愛妾というのは こんな感じなのだろうな〜っと思わせます。
ちなみに・・・白粉は資生堂だそうでございます。(爆)

左團次丈の多左衛門で舞台がドッシリ落ち着きます。

市蔵丈の蝙蝠安は小悪党の雰囲気です。
チョイ悪の感じですが 多左衛門には頭の上がらない小ささもあり ‘らしい‘感じがいたします。

で・・・海老蔵丈の与三郎ですが どの様に書きましたらいいものやら・・・。
‘見染の場‘は羽織を気にしすぎで 客席で見ておりましても、ハッキリ気にしているのがわかってしまいまして 客席から笑いが起きていました。(^_^;)
他は許容範囲かと思うのですが 大店の若旦那の雰囲気なのでしょうけれど 声や所作を作り過ぎているようにも見えてしまいます。
‘源氏店‘は 姿はとてもスッキリ美しくて素敵です。
ですが 台詞が・・・どうも・・・。
素に戻る様なところや、妙に軽くギャグっぽくなったり、大きな抑揚が付いたり、荒事の様に唸ったり、台詞の雰囲気に一貫性がなくて 世話物の台詞に聞こえないのです。
‘源氏店‘の与三郎の台詞って 聞き惚れるものだと思うのですが スミマセン、とても聞きづらくて辛かったです。(^_^;)
まあ・・・私が見ましたのは6日で まだ、初日近くですから 後半は良くなってくるのだろうと思います。





☆昼の部の最後が「女伊達」です。
華やかな舞台ですので 楽しく拝見してお家に帰れます。(^。^)
女伊達・芝翫丈にカラム男伊達の門之助丈が雰囲気がございまして、良いです。
チョッと古風な感じで歌舞伎味があるのですね。






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