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| 新橋演舞場 昼の部 三階B上手よりの席 |
*歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ) 大薩摩連中 一幕 *鬼平犯科帳 大川の隠居 四場 *釣女(つりおんな) 常磐津連中 |
歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ) 鳴神上人:染五郎 白雲坊:由次郎 黒雲坊:吉之助 雲の絶間姫:芝雀 鳴神上人は、朝廷が戒壇建立の約束を反故にした事を恨み 世界中の龍神を北山の滝壺へ封じ込め、雨が降らないようにしてしまいました。 舞台は北山 大滝の傍らには鳴神上人の庵があります。 白雲坊、黒雲坊が雨を降らさぬ鳴神上人の事など話すところへ 美しい雲の絶間姫が、日照で水がないゆえ亡き夫の形見の衣を洗いにやって来ます。 絶間姫の声に姿を現した鳴神上人に 絶間姫は事情を話し、さらに亡き夫との馴れ初めを話し始めます。 絶間姫の話に夢中になった鳴神上人は壇上から転げ落ちて気を失ってしまいます。 絶間姫の介抱で気がついた鳴神上人でしたが 自分を堕落させに来たのだろうと、絶間姫を疑います。 しかし 絶間姫が命がけで、夫の菩提を弔うため出家したいというので 鳴神上人は願いを聞き届け 白雲坊、黒雲坊に剃髪の用意をするよう命じます。 白雲坊、黒雲坊が用意のため麓へ出かけると 俄かに絶間姫が癪を起こし 鳴神上人は介抱するため懐に手を入れるのでした。 絶間姫に心奪われた鳴神上人は ついに、破戒し絶間姫に結婚を迫ります。 驚く絶間姫でしたが あっさりと鳴神上人の申し出を受け 夫婦の盃をしようと言います。 絶間姫に無理に勧められ 飲みなれない酒に酔ってしまった鳴神上人は 滝壺に掛かるしめ縄を切ると閉じ込めた龍神が飛び去り雨が降るという 行法の秘密を話してしまいます。 鳴神上人が酔いつぶれて寝てしまうと 絶間姫はしめ縄を切り、龍神を解放すと麓へ駆け去って行くのでした。 雷鳴が轟き、激しく雨が降る中 白雲坊、黒雲坊、弟子の僧たちがやって来ます。 鳴神上人は 絶間姫が勅命を受けて雨を降らせるためにやってきた事を聞かされ 激怒しながら、止める弟子たちを投げ飛ばすと 絶間姫の後を追って行くのでした。 鬼平犯科帳 大川の隠居 長谷川平蔵:吉右衛門 船頭友五郎:歌六 久栄:福助 同心酒井祐助:錦之助 同心木村忠吾:松江 女中およね:歌江 小房の粂八:歌昇 与力佐嶋忠介:段四郎 岸井左馬之助:富十郎 第一場 大川端船着場の場 舞台は大川端の船着場 ここへ芸者を乗せた屋形舟が着きます。 船頭は友五郎という老人で 芸者が旦那を迎えに舟を降りると 煙管で一服した後、舟歌を唄い始めます。 すると、もう一艘 釣り舟がやって来ます。 乗っているのは長谷川平蔵 櫓を漕ぐのは密偵の粂八でした。 舟歌を耳にした平蔵は 友五郎に煙草盆を貸して欲しいと言います。 友五郎は煙草盆を貸すと 平蔵の気さくな様子に、‘大川の隠居‘と呼ばれる大きな鯉の話をしながら 自分も煙管で一服し始めます。 平蔵は、友五郎の煙管に目を留めますが やがてこの場を去るのでした。 平蔵を見送る友五郎に粂八が声をかけます。 友五郎は じつは、浜崎の友蔵という盗人で 粂八に盗みを教えた人物でした。 歳を取って船頭になった友五郎でしたが 先日、長谷川平蔵の役宅へ忍び込み 平蔵の煙管を盗み出したと話します。 これを聞いて心配する粂八でしたが 友五郎は平蔵も大した事はないと言うと 旦那を連れて戻って来た芸者を舟に乗せ川へ漕ぎ出すのでした。 友五郎がこの場を去ると 平蔵が再び姿を現します。 粂八は平蔵に 盗みの掟を守り抜いた友五郎を助けてやって欲しいと頼むのでした。 第二場 役宅の場・書院の場 舞台は平蔵の役宅 妻・久栄が食卓の事など話しているところへ 岸井左馬之助が訪ねて来たと知らせがあります。 書院で、久栄の用意した鍋を囲みながら 平蔵と語り合っていた左馬之助が役宅を後にすると ここへ与力・佐嶋忠介と、同心・酒井祐助が帳簿を持ってやって来ます。 佐嶋忠介は 最近、粂八が平蔵の元へ頻繁に来ているので 何か、探索している事があるのではないかと気にしているのでした。 二人がこの場を去ると 粂八が現れます。 粂八は平蔵の計画に従い 友五郎に、平蔵の役宅から印籠を盗み出し 代わりに煙管を置いてくるように話して来たのでした。 第三場 役宅塀外の場 舞台は平蔵の役宅塀外 折りしも、同心たちが役宅に賊が忍び込んだと 警戒しています。 するとそこへ 印籠を盗み出し、蕎麦屋に姿を変えた友五郎が通りかかり ゆうゆうと帰って行くのでした。 大詰 今戸橋船宿嶋やの場 舞台は船宿嶋や 折りしもここへ 屋形舟で平蔵と友五郎がやって来ます。 平蔵は友五郎を酒に誘い 飲みながら身の上話など始めるのですが 一服するために平蔵が取り出した煙管を見て 友五郎は驚きます。 驚く友五郎を見て 平蔵は、煙管が父親の形見であること さらに、印籠も形見なので返すよう言うのでした。 平蔵の素性を知った友五郎は それでもなお、亡くなった息子の話をし 平蔵は友五郎の心情を知ります。 これからは もう、船頭の友五郎としてのみ生きていくと言う友五郎の眼下に 息子と共に見た‘大川の隠居‘が姿を見せるのでした。 釣女(つりおんな) 太郎冠者:歌昇 上臈:芝雀 大名某:錦之助 醜女:吉右衛門 舞台は あるところ このあたりの大名が妻を得ようと恵比寿様へ参詣に行く事にします。 供の太郎冠者も独り身なので 主と共に妻を得ようと 喜んで旅立ちます。 神社へたどり着いた二人が さっそく祈願すると 大名が恵比寿様のお告げの夢を見ます。 二人はお告げのとおり 西の門へ出かけ そこで、一本の釣竿を見つけ この釣竿で良い妻を釣り上げる事にします。 大名が釣糸を投げると 被衣を被った美しい上臈が釣れ さっそく、祝言をする事にします。 この様子を見た太郎冠者も妻を釣り上げようと 釣糸を投げます。 すると大名と同じく被衣を被った女が釣れます。 大喜びの太郎冠者でしたが 被衣を取れば、大変な醜女でした。 逃げ出そうとする太郎冠者を醜女は離そうとせず また、大名は 恵比寿様のお告げで授かった妻であるから拒む事はできない と、言うのでした。 なんとか逃げ出そうとする太郎冠者でしたが 醜女は離してくれないのでした。 |
☆「鳴神」は私が始めて生で歌舞伎を見た演目でございまして他の演目にはない思い入れのある舞台で かつ、お話そのものも好きな舞台です。 初演は1742年、「雷神不動北山桜」というお話の四幕目だそうでございます。 筋書きを改めて見まして知りましたが 三幕目が「毛抜」、五幕目が「不動」なのですね。 戦後、S21年に(十一)團十郎が新台本で復活 S22年に(二)左團次の舞台を元に(初)白鸚(当時は染五郎)が復活したそうです。 なので、今回の舞台は(初)白鸚の復活した舞台なのです。 思い返しますと 私は今までに何回か「鳴神」を見てはいるのですが どうも、全て成田屋の「鳴神」であったようで 今回の型(演出)の「鳴神」を見ましたのは初めてでございます。 おおざっぱに申しますと 艶っぽい部分のもう一押しがない っと言う感じです。(^^ゞ あるいは コンパクトに要点がまとまっているという感じでしょうか・・・。 あまり、細かいところは気付かなかったのですが 白雲坊、黒雲坊が舞台で言い争い御簾内の鳴神に‘白雲坊が蛸を食べます‘とか‘黒雲坊は酒を飲みます‘とか訴えるところで御簾が上がりませんし 絶間姫の懐に鳴神が手を入れるところも‘小さい取っ手の様な物が‘の台詞がなく、絶間姫のオモイッキリ艶っぽい見せ場がアッサリ っと、申しますか ございません。 また、酒を飲んで酔った後 絶間姫を連れて簾内に入るところが その場で酔いつぶれてしまいます。 なので、絶間姫の‘酔いつぶれてしまう人があるものかえ‘‘こちょごるぞえ‘の台詞は、そのまま舞台で そこからすぐに、本心を表し鳴神に手を合わせ しめ縄を切りに行きます。 鳴神はこの時 赤い隠し幕で舞台奥に移動します。 他にもいろいろ違いはあったのでしょうが 私の勘違いなどもあるかとは思いますが チョッと‘あれ?‘っと思ったところでございます。 で、絶間姫のオモイッキリ艶っぽい見せ場がアッサリなのはチョッとガクッときましたが(^^ゞ 鳴神が酒に酔った後、その場で酔いつぶれてしまうのは、見ておりまして‘もう一押し!‘っと思うところもございますが(笑) でも、絶間姫の、本心で騙したのではなく朝廷の命による計略であった事を詫びる気持ちは良く伝わります。 染五郎丈は今回が初役とういことで さらに、まだ3日目ですので 良いところともうチョッとっと思うところが交じった感じです。 どちらかといえば体の線が細い方ですので 豪快なガッチリした鳴神というよりは スッキリ系の鳴神かと思います。 なので ハラが大事かと思うのですが なんとなく‘まだ、若い鳴神‘っと思ってしまいます。(^^ゞ 台詞が大事かと思うのですが 心情が伝わって聞こえる台詞と ススット聞こえてしまう台詞と交じっていて 聞きづらい時もございました。 中ほどの絶間姫と二人のところ 後半の荒事 これは良いと思います。 ‘若い鳴神‘っと思えましたのは はじめのところ、御簾が上がって登場してから白雲坊、黒雲坊が居なくなるところまでです。 ここは 絶間姫の話を鳴神上人として聞くところで 大きな所作があるわけでもなく、スゴイ台詞があるわけでもございません。 なので 役者さんの持つ地力の大きさがそのまま存在感になるところかと思います。 ここが もう一つ重たく篤くなるといいかと思いました。 ですけれど全体的に見れば まだ、3日目ですので これから練れてくると もっと大きな雰囲気を持った鳴神になるのではないかと期待できます。 芝雀丈の絶間姫は可愛いです。 演出でオモイッキリ艶っぽい部分が少なくなっているのですが その分、可愛らしさがよく見えてくるようです。 っと、言うか この方が行動としては自然なのかもしれません。(^^ゞ さらに、常に鳴神を意識している事がわかり なので、深山までやってきた目的がハッキリします。 また 鳴神を騙した後に、酔いつぶれた鳴神に本心を語るところも それまでに目的を常に意識しているので 心情としてとてもよく伝わります。 白雲坊・由次郎丈 黒雲坊・吉之助丈 お二人がとてもいいです。 手馴れた感じで、舞台がしっかりいたします。 見ておりまして 安心していられる感じです。 ☆「鬼平犯科帳 大川の隠居」はとても上手く歌舞伎の世話、人情噺に出来上がっています。 派手な立ち回りがございませんのが、逆にとてもよくて 落ち着いているけれど 味のある良い舞台です。 が、やはりマダ3日目 流れがチョッと良くないです。 とくに、場が変わるごとに定式幕を引くのですが この間が気持ち長くて雰囲気が途切れてしまいます。 日が経てば良くなると思うのですが もう少し何とかなるといいのにっと思いました。 この舞台は 流れが良くなってから できればモット回数を見たい舞台です。 はじまったばかりではございますが ゼヒ、再演をお願いしたいです。 下座の三味線・佃(つくだ)の合方と水音で幕開きで 舞台の浅葱幕を落として、お話が始まります。 舞台中央の藤棚がジャストの季節でうれしいです。 もう、ここで舞台の雰囲気は 原作の持つ雰囲気を漂わせます。 で、本日の昼の部はチョッとしたハプニングがございました。 其の一(って、一つではなかったのです)は 幕開きまじか船頭友五郎・歌六丈の舟の屋根に置いてあった棹が下に落ちまして 歌六丈、とっさに舟から飛び降りてこれを拾ったのですが・・・本来、舟の下は川でございますので(笑) 舞台を含めて場内ウケておりました。(^^ゞ 吉右衛門丈、アドリブでホローなさっていらっしゃいましたが 笑ってましたね〜。 其の二は第二場の幕切れで定式幕が上手で引っかかって閉まらなくなりました。 舞台中央では吉右衛門丈が良い形で決まって幕を待っているわけですが 柝が2回入ってもダメで 結局、緞帳が下りました。 吉右衛門丈、ご苦労様でございます。(^^ゞ でも〜ここ「月が出た・・・」の台詞の後で、スッキリ綺麗に決まったところだったのですけれどね〜。 まあ、この様な事もございましたが それでも、味のある良い舞台だと思います。 吉右衛門丈がやはり長谷川平蔵そのものなのですね。 TVで作り上げてきたイメージがそのまま舞台に移行していて かつ、歌舞伎味がございます。 花道七三での粂八・歌昇丈とのやり取りから‘すでにそこに居る‘存在感のスゴサ。 煙管を見た後 この場を去る時の粂八に目配せする後姿の一瞬の厳しさ。 長谷川平蔵というキャやクターの持つ大きさとか鋭さとか そういった事が舞台の吉右衛門丈に等身大で見えるのです。 これ以上‘らしい‘役者さんはいないのですね。(^^ゞ っと、申しますか これまでの積み重ねの上に成り立つ舞台なのだと思います。 舞台の流れもあるかと思うのですが 私は、この第一場の平蔵が一番‘らしい‘様に思えました。 第二場は役宅ですけれど 何というのか 久栄・福助丈とのバランスがしっくり見えないような感じがするのです。 何がとハッキリしないのですが イマヒトツ夫婦に見えないのですね。 後半になると落ち着くのでしょうか・・・。 で、大詰 歌六丈との舞台ですが ここはチョッと間延びしてしまうように思います。 っと、申しますより 友五郎の倅の話が唐突に感じてしまうのです。 なので一度終わりかけたお話が また、続く様な感じです。 まだ、全体の流れが出来上がっていないからなのでしょうね・・・。 倅を思い出すと言われて さて、平蔵はどう思ったのか 伝わりません。 ですがこの場の吉右衛門丈の平蔵はさりげないポーズがカッコイイです。(^^ゞ 窓辺に腰掛ける時も 少し左肩を落とすように斜めに腰掛けて友五郎を見たりするのですが・・・カッコよすぎますって〜。 友五郎・歌六丈、良いですね。 もともと、私は歌六丈は‘硬‘を感じるお役が好きなので 世話でも頑固な感じの友五郎は良いと思いました。 友五郎・歌六丈も 私は、第一場が良かったです。 船頭の粋が出ていて 歌舞伎の世話の雰囲気がございます。 また、棹を使う様子など とても細かく扱っているのがわかります。 クックックッ・・・っと笑う まるちゃんのクラスにいる野口さんの様な笑いも なんとも良いです。(笑) で、やはり大詰は とくに、倅の話の後が イマヒトツ心情が深く入れなくて 大川の隠居への思い入れに無理を感じてしまいます。 ここは台詞と心情でお話が進むのだと思うのですが 流れ、テンポが良くなるとゼッタイ篤みが出るのだと思います。 今回だって 私はウルウル泣けましもの。(^^ゞ 粂八・歌昇丈は一番きっちり出来上がっていたようで 3日目を感じさせない舞台です。 久栄・福助丈は良いと思うのですが・・・なぜか、平蔵と夫婦に見えないのですよ・・・どうしてでしょう? 段四郎丈、富十郎丈、はチョッともったいないな〜っと思いました。 ☆「釣女(つりおんな)」は狂言の「釣針」が元になった舞台です。 ですので舞台は松羽目の舞台でございます。 片しゃぎりを打ち上げて 幕が開き、上手に常磐津連中が並んでいます。 以前、茂山家の狂言で「釣針」を見た事がございまして その折‘妻を釣る‘という発想が どうも、あまりにもムチャクチャで それがかえって突き抜けて面白かったのを覚えております。 狂言では釣られて出てくる女性が妻と腰元で人数が多く 前フリで美しい女性がたくさん出てきて 最後にオチで醜女が出てきて太郎冠者が逃げていくのですが 歌舞伎では醜女が舞台に出てからがケッコウ長く、後半は太郎冠者よりも醜女が前面に出る感じです。 まず、良いなっと思いましたのが 錦之助丈でございます。 この「釣女」の大名は どちらかといえば‘まともな‘大名でございまして(っと、言いましても 妻を釣ろうとするわけですから まあ、ヘンなのですけれどね・・・) 錦之助丈の品のあるスッとした感じがとてもよく合っています。 どうも・・・なんと申しましょうか・・・先月の舞台より華があり、スッキリしていらっしゃいますが存在感があり、良かったです。(^^ゞ 芝雀丈と並んで、とても素敵でございます。 歌昇丈、キッチリした気持ちのいい所作で楽しい舞台です。 でも〜スッゴク嫌そうなのが笑えますね〜。(^^ゞ 後見が種太郎丈でした。 吉右衛門丈はデカイわ〜。(爆) でも、赤いホッペが 結構、可愛かったりしませんか・・・アハハッ。 途中 「待ってました! 錦ちゃん!!!」 って 声がかかったので 誰だ〜!? っと思いましたら 吉右衛門丈でしたね。 かなり高い声でしたので ビックリいたしました。 |