2007年03月04日           もくじへ戻る トップページへ戻る 
    歌舞伎座 夜の部   三階B中央の席

  *通し狂言 義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)

   四幕目  :木の実
          小金吾討死

   五幕目  :すし屋

   大詰    :川連法眼館
           奥庭


四幕目:木の実
     小金吾討死

五幕目:すし屋

 いがみの権太:仁左衛門
 弥左衛門:左團次
 弥助 実は 維盛:時蔵
 小金吾:扇雀
 お里:孝太郎
 お米:竹三郎
 若葉の内侍:東蔵
 小せん:秀太郎
 梶原景時:我當

木の実
舞台は大和、下市村の茶屋 ここへ維盛を尋ねて主馬の小金吾武里に伴われ御台・若葉の内侍と若君・六代が、北嵯峨から落ち延びてきます。
長旅の途中、具合の良くない六代のため 茶屋で休む事にします。
若葉の内侍は六代のために 茶屋のおかみ・小せんに薬を頼むと 気晴らしに木の実を拾う事にします。
折りしもここへ、小せんの亭主・いがみの権太がやって来て 親切そうに近づくと わざと小金吾の荷物を取り違え、因縁をつけて金を強請り取るのでした。
先を急ぐ小金吾一行はしかたなく金を権太に渡すとこの場を去ります。
薬を買いに出かけていた小せんが戻って来て、この様子を見ており 女房、子どもに意見された権太は久しぶりに我が家へ帰るのでした。


小金吾討死
茶屋をあとにした小金吾一行でしたが追手が迫り 若葉の内侍と六代は逃れますが 小金吾は討死してしまいます。
折りしもここへ 権太の父親の鮓屋・弥左衛門が通りかかり 匿う平維盛の身代わりにするべく 小金吾の首を持ち帰ります。


すし屋
舞台は鮓屋・弥左衛門の内 弥左衛門は平重盛への恩から子息・維盛を奉公人の弥助として匿っているのですが 弥助の素性を知らない娘・お里は弥助に想いを寄せ婚礼を楽しみにしていました。
折りしもここへ弥左衛門の留守を見計らって息子・権太が母親・お米から金を騙し取りに来ます。
うまく金を手にした権太でしたが 弥左衛門が帰宅したので、急いで金を傍らにあった空の鮓桶に入れると奥へ姿を隠します。
弥左衛門は先刻の小金吾の首を鮓桶に入れると 維盛にこの場から逃げ延びるよう言うのでした。
その晩、追手からから逃れた若葉の内侍と六代が偶然にも鮓屋を訪れ維盛と再会 真実を知ったお里は悲しみの中、三人を逃がします。
権太が維盛一行を追いかけて行くと 鎌倉方の梶原景時がやって来ます。
戻って来た権太は 景時に維盛の首と縄に縛った若葉の内侍と六代をさしだすのでした。
景時が維盛の首実検をして若葉の内侍と六代を連れてこの場を立ち去ると 弥左衛門が息子・権太の裏切りに怒り、権太を刀で刺します。
しかし、権太が差し出した首は かねてから弥左衛門が鮓桶に入れてあった小金吾の首で 若葉の内侍と六代と見えたのは、権太の女房・小せんと息子でした。
維盛親子が合図の笛で姿を現し 維盛は権太が褒美に授かった陣羽織を頼朝に見立て突き刺せば 陣羽織の中には数珠と袈裟が入っており 頼朝がはじめから維盛を助けるつもりであった事がわかります。
皆が集まり見守る中、改心した権太は息を引き取るのでした。






大詰:川連法眼館
    奥庭

 佐藤忠信
 佐藤忠信 実は 源九郎狐:菊五郎
 源義経:梅玉
 静御前:福助
 川連法眼:彦三郎
 飛鳥:田之助
 横川禅司覚範 実は 能登守教経:幸四郎

川連法眼館

  あらすじはこちらでどうぞ

奥庭
義経より初音の鼓を賜り 喜ぶ源九郎狐は荒法師の夜襲を知らせ これを退治しますが 義経は荒法師を扇動していた横川禅司覚範が実は平教経である事を見抜き 本性を現した教経と後日戦場での再会を約束し別れるのでした。



4日に見ました舞台の夜の部の感想を書きます。

☆「木の実」「小金吾討死」は まずは「木の実」から。
 「木の実」は「すし屋」とともに今月一番楽しみにしていて 期待以上の舞台でした。
 やっぱり仁左衛門丈のいがみの権太は良いですね。

 幕開きすぐは 東蔵丈の若葉の内侍と秀太郎丈の小せんが雰囲気があってとても良いです。
 東蔵丈の若葉の内侍は品がございますし 秀太郎丈の小せんは‘お客と対する事に慣れた感じ‘がございます。
 どちらも舞台の雰囲気をサッと変える上手さがあるのですね。

 で、木の実を拾っているところに上手から舞台にいがみの権太・仁左衛門丈が出ていらっしゃいます。
 人の良さそうな感じで良いのですよ。(笑)
 でも〜今の時代も同じ様な感じですが ゼンゼン知らない人にイキナリ話しかける人って ケッコウ危なかったりしませんか?(~_~;)
 ここの権太って まさに、そんな感じなのですね。
 で、石を投げて木の実を落としたりするのですが ‘あれ、石投げの見得かい?‘っという感じで、背筋がピット伸びていて ただ、石を投げるだけなのにカッコ良かったりするのです。
 わざと荷物を取り違えて強請りになるところも‘面倒なヤツ‘という雰囲気で‘凄み‘とか‘怖い‘とかではないのです。
 仁左衛門丈のいがみの権太は東京風ではございませんので 粋な江戸っ子風のカッコ良さではないのですが かと申しまして、上方風に田舎のあんちゃん風でもないのです。
 もともと仁左衛門丈は姿が美しく決まりますので それだけで十分すっきりカッコ良いのですが ここに‘どことなく可愛い男‘の雰囲気が混じるのです。
 ‘いがみ‘ですのでへそ曲がりなのでしょうが(笑) それが‘だだっ子‘に思える感じなのです。
 金を強請る権太に小金吾が怒って大きな声を出したりすると「お〜こわっ」とか顔色をうかがいながら でも、したたかに言うので 嫌なヤツなのですが、突き放せないものを感じさせます。
 小金吾や若葉の内侍がこの場を後にして 入れ替わって小せんが子供を連れて戻って来るのですが ここの親子3人の場面がなんとも暖かくて幸せそうなのです。
 なんとなく子煩悩な感じの権太なのです。
 今の権太は悪いヤツなのですが 芯から悪いのではなくて身を持ち崩しての‘悪い‘なので ほんとは、優しいのだろうなっと思わせます。
 子どもの顔を両手で包むようにするところも 小せんの後ろからチョッカイするところも この暖かさ優しさが仁左衛門丈独特なのだと思います。
 で、後半の小せん・秀太郎丈の所帯じみているけれど でも、とっても艶っぽくて可愛い感じがとても良いです。
 あ〜 実は、仲の良い夫婦なんだな〜っと思うのですね。


 「小金吾討死」は もう、とにかく扇雀さんご苦労様です。
 ここは立ち回りを見る感じの舞台でございますので あまり、考えずに立ち回りを見ておりました。
 いつもながらのことですが 綱を使った立ち回りはみごとです。
 3階から見ておりますと綱が綺麗に放射しているのがよく分かるのですね。





☆「すし屋」は、やはり私の今月期待の舞台です。(^^ゞ
 「木の実」に引き続いて仁左衛門丈のいがみの権太が良いです。
 母親のお米・竹三郎丈から金を騙し取る権太ですけれど ‘チョロイ‘感じに、やはり突き放せない‘人の良さ‘を感じます。
 ひねくれ風なチョイ悪が ここでも‘可愛い男‘に見えるのです。
 とても‘悪人‘には見えなくて でも、それが仁左衛門丈の権太は良いのです。
 たぶん 他の権太では、この様には見えませんね。(笑)
 で、思うところあって鮓桶を持って出るところから後半の小せんと子どもが連れて行かれるのを見送るあたりまで この後の展開を知っているので、決意と絶望と悲しみが 優しさ暖かさを感じる仁左衛門丈の権太なので、なおさら強く伝わります。
 それを 花道で母子と梶原景時を見送って 吹っ切るような空元気にも感じる様子で家に戻って 弥左衛門にいきなり刺された後、‘コレ親父殿‘からの権太の辛さというか痛さというか ‘体も痛いけれど心も痛い‘みたいな感じがヒシヒシと伝わるのです。
 勘平の時もそうでしたけれど 痛そうなんですよね・・・。(^^ゞ
 仁左衛門丈のいがみの権太・・・何回でも見たい権太です。

 さて、この他に良いなっと思いましたのは 孝太郎丈のお里、時蔵丈の維盛です。
 孝太郎丈のお里、とっても可愛いです。
 可愛くて一途な里の娘の感じで、とても良いです。
 時蔵丈の維盛は柔らかですが ナヨナヨした感じがなくて品があり、これなら維盛だわっと思えます。

 左團次丈の弥左衛門はピッタリ、お米・竹三郎丈は上方の方ですので仁左衛門丈の権太と柔らかな雰囲気がとてもシックリと合っています。
 やはり我當丈の景時も白塗りで武将の立ち役ですが 柔らかさを感じます。
 全体に優しさのある「すし屋」で 上方風の柔らかさと東京風のスッキリ感、どちらも感じる舞台です。





☆「川連法眼館」「奥庭」は、まず「川連法眼館」から。
 「川連法眼館」菊五郎丈の忠信は とにかく、前半の本物の忠信が良いです。
 花道の出のところから颯爽とした武将で篤みがあります。
 一つひとつの決まりも綺麗で風格があり 前半が、シッカリしているので 後半の狐忠信との違いがハッキリ見えるのです.
 後半の狐忠信は ケレンになりますとチョッとしんどいのかなっと思うのですが でも、舞台全体の篤さは変わりません。
 ケレンも歌舞伎ですが ハラで舞台を篤く見せる事ができるのだと改めて思います。
 好みでしょうけれど 私は菊五郎丈の「四の切」が一番好きです。(笑)

 他 梅玉丈の義経が品格があり当代の義経 彦三郎丈の川連法眼と田之助丈の飛鳥が幕開きスグに舞台の格を作ります。
 義太夫狂言の雰囲気タップリです。


 「奥庭」は今回の様な通し狂言ですと 最期が盛り上がるので良いです。(^^ゞ
 大薩摩で始まって幸四郎丈・教経の立ち回りから最後は三段に上がって絵面で幕です。






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