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| 歌舞伎座 昼の部 三階A中央の席・三階B中央の席 | ||||||||||||||||||||||||
*通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら) 大序 :鶴ヶ岡社頭兜改めの場 三段目:足利館門前進物の場 :松の間刃傷の場 四段目:扇ヶ谷塩冶判官切腹の場 :表門城明渡しの場 浄瑠璃:道行旅路の花聟 清元連中 |
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大序 :鶴ヶ岡社頭兜改めの場 三段目:足利館門前進物の場 :松の間刃傷の場 高師直:富十郎 桃井若狭之助:吉右衛門 足利直義:信二郎 鷺坂伴内:錦吾 顔世御前:魁春 塩冶判官:菊五郎 大序 舞台は鎌倉鶴ヶ岡八幡宮 折りしも将軍・足利尊氏の代参として下向した 弟・直義は、先に討死した新田義貞の兜を八幡宮に奉納するよう 執事の者に命じます。 しかし執事の高武蔵守師直(こうのむさしのかみもろのお)は 多くの兜の中から義貞の兜を見つけるのは困難であり、誤れば恥になると 反対します。 これに対し 御馳走役の桃井若狭之助は 新田の残党を降伏させる計略だと言い 師直に意見するのでした。 若狭之助の言い分に怒る師直でしたが 御馳走役・塩冶判官のとりなしにより 直義の判断を仰ぐこととなり 直義の命で呼び出された判官の妻・顔世御前が 鑑定をする事になります。 義貞の兜には蘭奢待(らんじゃたい)の香りがたき込められており これを頼りに顔世御前は 義貞の兜を見つけます。 直義が兜の奉納を命じ 一同がこの場を去ると かねてより顔世御前に横恋慕の師直が恋文を渡し口説こうとします。 上司となる師直に 顔世御前が夫・判官の勤めの事を想い困っているところへ 若狭之助が戻って来て顔世御前を助けるのでした。 顔世御前が館へ戻ってしまったので 師直は若狭之助に怒り悪口を言います。 これに耐えかねた若狭之助が ついに刀に手をかけた時「還御」の声が響くのでした。 三段目 足利館門前進物の場 舞台は足利館門前 高師直が駕籠に乗りやって来ます。 するとここへ 桃井若狭之助の家老・加古川本蔵が 進物を持って来ます。 師直は機嫌良く贈り物を貰うと 駕籠の中から家臣・鷺坂伴内に、加古川本蔵を案内して御殿の様子を見物させるよう命じるのでした。 松の間刃傷の場 舞台は足利館・松の間 折りしも、昨日の遺恨を晴らそうと若狭之助が勢い込んでやって来ます。 しかし、先刻 加古川本蔵より進物を贈られた師直は刀を投げ出し頭を下げて詫びるので 若狭之助は気をそがれ この場から立ち去ります。 難を逃れた師直ですが 面白くない思いが残り ちょうど登城してきた塩冶判官に この不満が向けられます。 さらにここへ、判官の妻・顔世御前から 師直への断りの返歌が届き 師直はますます判官を侮辱し始めます。 あまりの雑言に ついに判官は刀に手をかけ 刃傷に及びますが 館にいた加古川本蔵に抱きとめられ 判官は師直を討ちもらすのでした。 四段目:扇ヶ谷塩冶判官切腹の場 :表門城明渡しの場 塩冶判官:菊五郎 石堂右馬之丞:梅玉 顔世御前:魁春 大星力弥:梅枝 斧九太夫:芦燕 原郷右衛門:東蔵 薬師寺次郎左衛門:左團次 大星由良之助:幸四郎 四段目 塩冶判官切腹の場 舞台は扇ヶ谷の塩冶判官の屋敷 原郷右衛門、斧九太夫が出迎えるところへ 判官に切腹を命じる上使の石堂右馬之丞と薬師寺次郎左衛門がやって来ます。 判官はすでに覚悟を決めて上使の前に現れますが 師直に止めを刺すことができなかったことのみが無念だと言うのでした。 家臣の者が最期の対面を申し出ますが 判官は大星由良之助が来るまでは他の家臣には会わないと言います。 切腹の用意は整いますが由良之助は未だ到着せず 判官はついに刀を突き立てるのでした。 しかし、ここへようやく由良之助が到着します。 判官は切腹のための九寸五分を形見に由良之助に渡し 由良之助は形見の刀と共に判官の無念の想いを受け取るのでした。 判官の死を見届け石堂右馬之丞は報告のため館を去り 薬師寺次郎左衛門は城明渡しに立ち会うべく奥の間へ入って行きます。 後に残った由良之助は判官の葬儀を行い、遺骸を菩提寺へ送り出すと 公儀に対し籠城し討死すると言う諸士を押さえ 館を明渡し、御用金を頭割りで与える所存を伝えます。 なおも斧九太夫の嘘を信じて討死しようとする諸士に 由良之助は、恨むべきは師直のみであり、仇討をする決意であると話すのでした。 表門城明渡しの場 舞台は館の表門 先刻、判官の遺骸を菩提寺まで送り届けた諸士たちが戻ってきます。 諸士たちは血気にはやって館に踏み込もうとしますが 由良之助に説得されこの場を去ります。 ひとり残った由良之助は仇討の決意を心に秘め館を後にするのでした。 浄瑠璃:道行旅路の花聟 早野勘平:梅玉 鷺坂伴内:翫雀 お軽:時蔵 舞台は東海道戸塚 ここへ塩冶判官の家臣・早野勘平と腰元・お軽がやって来ます。 足利館での主・判官の刃傷の折り 勘平は城外でお軽と逢っていたために主の大事に駆けつけることができませんでした。 勘平は切腹して詫びようとするのですが お軽がこれを止め、お軽の実家・京の山崎へ落ち延びる事になります。 しかし、ここへ鷺坂伴内が二人を捕らえにやって来ます。 勘平は伴内の捕手を追い払うと お軽と共に山崎へ向かうのでした。 |
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今月の「仮名手本忠臣蔵」の通し上演は 通しですが、多少はぶかれたところもございます。 以下に床本と並べてみました。
二段目 歌舞伎では、ここで大星由良之助の一子・力弥と加古川本蔵の一子・小浪が許婚であることが分かります。 一方、八幡宮での師直に遺恨を持つ若狭之助が 殿中にて師直を斬ると本蔵に打ち明けます。 打ち明けられた本蔵は若狭之助の気性を考え その場は賛成しますが 師直の機嫌をうかがうため賄賂の進物を用意します。 三段目:文使い 本蔵が‘進物場‘で師直の機嫌をとり殿中へ案内された後のお話で 判官が勘平を供に登城して来ます。 ここへ、後の‘喧嘩場‘で師直の不機嫌をさらに加速してしまう 顔世御前からの文を腰元・お軽が持ってきます。 お軽は勘平に会いたくて 本来ならば後日に届けても差し支えない文を急ぎで届けます。 判官が師直に斬りかかった時 二人は場外で逢っていたのでした。 四段目:花献上 顔世御前が桜を生けて判官をなぐさめようとするところです。 後半は、桜の解釈を間に家臣の者が判官の処分について言い争う様子になり 不安な雰囲気が伝わります。 今月は「仮名手本忠臣蔵」の通し狂言でございます。 で、昼夜通して今月のイチオシは「大序」「三段目」の富十郎丈だと思いました。 もともと玉三郎丈が大好きなワタクシでございますけれど・・・なので もちろん、夜の部の「六段目」「七段目」は良いと思いますが・・・それでも、富十郎丈の師直は良いです。 ☆「大序:鶴ヶ岡社頭兜改めの場」は、幕開きから歌舞伎でも珍しいほど様式的で ですけれど、けして堅苦しいわけではなく ワクワクするような感じです。 マズは大太鼓の入りません下座‘かたしゃぎり‘を打ち上げましてから マダ幕の引かれません舞台中央に‘口上人形‘が出てまいります。 後ろに黒子さんがおりまして お一人で使われているようですが ケッコウ大き目のお人形でございます。 海老茶の裃を着けましたユーモラスなお人形です。 で、このお人形が 昼夜通しで役者さんのお名前と役名を言い上げます。 この時に‘エヘン‘っと咳払いをするのですが・・・って、お人形の声を担当している幕内の役者さんがですよ・・・これは、大幹部さん幹部さんなど大きな役者さんの紹介の前に必ず付くのですね。 これから大きな役者さんの名前と役名を言いますから皆さん注目して聞いてねっと言った感じで まあ、ラインマーカーの様なものでしょうか。(笑) 同じ‘エヘン‘でも大幹部さんの時は回数が多くて 名前も2回呼ぶのですね。 これもやり方があるようですが今回の舞台では東京型で人形の声を担当なさっている役者さんはお2人でございます。(すみません、お名前が?です) 口上が済みましてから定式幕が引かれるわけですが これが、とってもユックリでございまして ‘天王立下り端(てんのうだちさがりは)‘という下座と 合間に入ります柝(き)で 引かれます。 ‘天王立‘は歌舞伎の下座音楽の種類で能管、太鼓、大鼓、小鼓によるお囃子で時代物の御殿の幕開きなどに使われるそうです。 (梅之丈のブログでは‘天王建‘となっておりましたのでチョッと調べてみましたら どうも、これは大道具の事で‘とても立派な建物‘の舞台の始まりの‘下り端‘っという意味らしいです。) ‘下り端‘は笛(今回は天王立ですので能管だと思いますがチョッと?)が主となり太鼓、大鼓、小鼓が囃す幕開きのユックリとした感じの曲なのだそうです。 柝(き)は忠臣蔵ですので47回打つ心得だそうですが梅之丈のブログでは80回ほど打っているそうでございます。 思いますに・・・上方では大序の幕開きは中央から幕を開けるようですので これでしたら40回前後で開ける事ができそうです。(^^ゞ ようやく幕が開きますと 舞台では皆さん下を向いて黙ってジットしております。 これも「仮名手本忠臣蔵」の「大序」ならではの演出ですけれど もともとが、人形浄瑠璃からきたという事で‘人形身‘での幕開きなのでございます。 でも、だま舞台は始まりませんで(笑) 七五三で‘置鼓‘(たて鼓の方が打ちます)が打たれ 七五三で‘東西声‘が舞台裏からかかります。 この間に上手の御簾内で義太夫が始まりまして いよいよお話の語りとなります。 で、竹本の語りで名前が呼ばれると 舞台上の‘人形身‘の役者さんが一人ずつ顔を上げて動き出すのです。 ここまでがケッコウ長いのですけれど チットモ飽きません。 心地良い緊張感です。 これは おそらく TVでは理解できないでしょうね・・・。 いよいよ各役者さんが動き出しまして 舞台が始まります。 一番はじめに動き出すのが 足利直義・信二郎丈でございます。 動き出しましてスグ感じましたのが‘立派だな〜‘でございます。 襲名を発表したからでございましょうか 今までにない立派さなのです。 一つも二つも大きくなった感じで ビックリいたしました。 なにせ、同じ舞台に 富十郎丈、吉右衛門丈、菊五郎丈がいらっしゃっるわけで その中で足利直義の品と格を見せるわけですから。 二枚目の感じでただスッキリ美しいだけでは軽くなってしまうと思います。 信二郎丈の足利直義、十分に品と格を感じさせ さらにスッキリとして 今月の大きな舞台の一番はじめにふさわしい篤さがあると思います。 この次に竹本が名を呼ぶのが高師直・富十郎丈です。 先にも書きましたが 今月の私のイチオシは高師直・富十郎丈です。 「大序」と「三段目」だけでもいいんじゃないか(笑)っと思ってしまうほど いい舞台で、とりわけ富十郎丈の師直は完成度が高いです。 まずは「大序」は ハラが太いと申しましょうか 篤みと申しましょうか 重みと申しましょうか 存在感がスゴイです。 で、よく映画とかTVとかでは やたらと意地悪くて嫌な感じばかりが目に付く師直(上野介)ですけれど 富十郎丈の師直はそんなチッチャクないんですね。 ハラの中からグ〜っと迫るような感じで圧巻です。 「還御だぞ」の若狭之助を抑える台詞の太いこと・・・。 吉右衛門丈の若狭之助と菊五郎丈の判官をハラからグッと抑える威圧感は 見ていてとても嬉しくなります。(笑) 他にこれほどの師直ができる人っていないんじゃないでしょうか・・・。 この様な圧巻の師直・富十郎丈を相手に「大序」でガップリ受けるのが 若狭之助・吉右衛門丈でございます。 若々しくてキッパリした熱血漢、しかし品格のある若狭之助です。 ただ、一途にキンキンならないのは やはり吉右衛門丈だからでございましょう。 富十郎丈の師直とのやり取りは見ていてとてもおもしろいです。 菊五郎丈の判官は「大序」では若狭之助を抑える役です。 品良くオットリしてやわらかい感じの判官ですが 師直、若狭之助の間に入って少しも引くところがありません。 台詞もそれほど多くはございませんし 師直と若狭之助がやりあっているので どうしても視線がこちらの2人に向くのですが その中で真に鮮やかで立派な判官に見えるのです。 これはやはり菊五郎丈の自力のなせることかと思います。 舞台を見ておりまして「大序」の判官はキット難しいだろうな〜っと思いました。 じつは昼の部は「大序」「三段目」まで女形の役者さんって顔世御前の魁春丈しかいらっしゃらないのですね。(たぶん・・・) この後、四段目もはじめのうちは立ち役ばかりだし 「道行」まで艶っぽいところがないのです。(^^ゞ 「大序」の魁春丈・顔世御前は やんわりと品良く、それでいて師直の文をソット袖を上げて受け取る様なそつのない回転の良さと色気があり 若狭之助に助けられてホッとするところの可愛い感じなど これから先のお話の発端になる雰囲気が十分にあると思います。 ○25日に追記 本日は楽日でありまして場内もとても良い雰囲気でございました。 で、舞台はと申しますと やはり前回よりさらに流れが良くなっておりましたし より見応えのある舞台になっていたと思います。 大序の富十郎丈、吉右衛門丈、菊五郎丈のお3人の大きさが際立ちます。 富十郎丈の台詞のすばらしい事、押しの強い事 吉右衛門丈の真っ直ぐな若狭之助の若々しい事 菊五郎丈の判官の品の良いゆったり感 どれもすばらしいものでした。 師直と若狭之助のやり取りが見ていてとてもおもしろい緊張感でありまして 富十郎丈と吉右衛門丈のお二人のガップリ組合う舞台をもっといろいろ見てみたいと思いました。 ☆「三段目:足利館門前進物の場」の 鷺坂伴内・錦吾丈、加古川本蔵・幸太郎丈、中間・四郎五郎丈他が なかなかいい感じで「大序」の緊張感にフット息を付く感じです。 とくに、伴内と中間のやり取りは 行き過ぎず、でもノリが良く 見ていて楽しい舞台です。 こういうところで フット息が抜けるけれど、お話が途切れる事がない っというのは 舞台全体の篤みを増すような気がいたします。 ○25日に追記 錦吾丈の伴内の適度なコミカルさがやはり舞台に生きています。 こういう場面で、気分が変えられて しかし、流れは変わらない 加減のいるところかと思います。 中間の四郎五郎丈がいらっしゃいませんでしたがどうなさったのでございましょうね? ☆「三段目:松の間刃傷の場」になりますと 「大序」の時代がかった感じから少しくだけた感じになります。 ここでの師直・富十郎丈は「大序」よりくだけた感じで かなりチャッカリ、シッカリ、ズルイ感じなのですが それでもチッチャクは見えなのです。 我がままには見えるのですが 意地悪には見えないのですね。 ほんの少しの違いなのかもしれませんが この違いに品を感じたりするのです。 もともと、師直は位のある人ですから ただの意地悪が +品を感じる事で 我がままに見える っというのは たぶん、富十郎丈の技ありではないかと思います。 なので 片思いの顔世御前に対する時の師直の表情など こんなに‘悪‘であるにもかかわらず 憎めないほど‘ホンワカ‘しているし 刀に手をかけた判官にビビリながら、なお挑発する‘いたずらっ子‘の様な感じが ‘なるほど‘っと納得できてしまいます。 「三段目:松の間刃傷の場」では若狭之助・吉右衛門丈は 花道から舞台の師直を見つけると一気に刀に手を掛けて攻め寄るのですが 師直に気をそがれて上手に入ります。 花道から舞台を窺う時の鋭い感じ、斬りかかろうとするところを師直が上手く言い逃れるので困った感じ(なんとなく、人の良さを感じるところが なんとも、上手いと思いました)、上手に入る時のキットした風情、どれもシッカリ決まって良いと思います。 菊五郎丈・判官は「大序」で若狭之助を抑える側でありましたので 展開としては青天の霹靂っと言った感じです。 オットリ優しい判官が師直の言葉にダンダン怒ってくる感じが なんとも、お気の毒に思えます。 だいたい、判官は何にも知らない事が原因なのですもの・・・。 ですけれど 菊五郎丈の判官は あくまでも‘やわらかい‘感じがございます。 刀に手をかけ 最期には刀を抜くのですが それでも、ガンガンした荒々しさは感じませんで やはりソフトな感覚なのです。 性格がキッチリと分かれた師直、若狭之助、判官ですので こういう、緊迫した場面で‘判官らしさ‘を見せるのはサスガだと思います。 全体にここまでの舞台は 富十郎丈、吉右衛門丈、菊五郎丈のお3人のバランスがとても良いと思いました。 今回の舞台は「三段目」が‘進物の場‘と‘刃傷の場‘のみで この間の‘文使いの場‘はございません。 ここは舞台で勘平が顔世御前からの文を届けに来たという台詞のみになっています。 この上演されなかった‘文使いの場‘が原因で 後の「道行」「五、六段目」に繋がるのですね。 ○25日に追記 前半の師直と若狭之助 後半の師直と判官 この対比がとてもクッキリ見える舞台です。 時として軽くコミカル風になる師直・富十郎丈の ハズサナイ軽さと申しましょうか、品格の中にあるコミカルと申しましょうか このあたりのバランスが絶妙です。 さらに やはり押しがスゴイです。 判官に対して言い放つ「鮒だ」の ハラの中から憎々しげな感じが良いです。 ☆「四段目」の今回の舞台は前の「三段目」の後 定式幕は引かれますが幕間になるわけではございませんで 三味線(つなぎ三重)の演奏で再び定式幕が開き‘切腹の場‘になります。 なので、「三段目」から「四段目」が終わるまで約2時間半・・・長いですよ〜。 お話が重いですからよけいに長くて 「四段目」が終わる頃には もう、クタクタでありました。(^^ゞ 顔世御前が判官のために花を生ける「花献上」はございませんで 上使を迎えるところから舞台は始まります。 前の「三段目」の緊張が引き続いておりますので ケッコウ始まったところから緊張感がございます。 ここはまず、東蔵丈の原郷右衛門が良いです。 とくべつな事はございませんが やはり、脇がシッカリしていると舞台にズット重みが出ます。 また梅玉丈・石堂右馬之丞と左團次丈・薬師寺次郎左衛門 このお2人がニンでございまして 間がとてもよく、静かな(暗い)感じの舞台に歌舞伎のリズムが生まれるようです。 さらに(^^ゞ どうしても忘れてはいけませんのが 梅枝丈ですね〜。 判官の支度のために三方を持ってまいりますが 菊五郎丈・判官の前に座って見上げるようにジット顔を見て小さく首を振りますけれど この時、梅枝丈・力弥は客席からは後ろ向きなのですね。 でも、チョッと傾き加減の細い肩が なんとも、悲しそうで頼りなさそうで も〜スゴクいい感じなのです。 この後も 判官の‘力弥、由良之助はまだか‘の問いに 花道付けからズ〜ット先の方を見つめて‘いまだ参上 つかまつりませぬ‘って言うのですが もう、切ないくらい悲痛な感じで、心細いような雰囲気があって 少年の心情が見ていてとてもよく伝わります。 菊五郎丈の判官は 舞台中央からの出なのですが、襖がスッと開いて黒地の衣装の素敵なこと。 大きな歌舞伎座の舞台にド〜ンっと大きく見えます。 とても重圧なのですね。 ですけれど やはり判官‘らしさ‘がございまして 平素な中に潔さとか無念とかを持ち続けている感じです。 どこまでいっても‘ソフト‘な感じがございます。 で、最期の最期まで由良之助を待つ心情が 緊迫した空気と供に伝わります。 三度(だったとおもうのですが)、力弥に由良之助の到着を尋ね このたびに‘まだか、まだか‘の思いが 見ている側に湧き起こってきます。 けして、菊五郎丈の判官は声高に問うわけではありません。 が、 静ゆえに よりいっそう思いが強く伝わるようなのです。 ‘もはや刻限‘で ついに切腹となった時 花道から聞こえるドドドドッという足音に どれほど‘間にあってよかった!‘っと 客席で思うことか。(笑) お話を知っていても この、劇場の空気の中ではホッとするのですね。 ここでフット思ったこと・・・そうか、気付かないうちにスッカリ舞台の雰囲気にのまれていたのねっ。(^^ゞ ここで幸四郎丈・由良之助がようやく登場いたします。 待っていたのですね。 花道七三から舞台を見る感じがグッと決まって大きさを感じます。 やはり、こういうドッシリと大きなお役は幸四郎丈上手いです。 舞台に上がって 判官から切腹に使った九寸五分の短刀を受け取るわけで ここは菊五郎丈と幸四郎丈お2人のガッチリした舞台を見る事ができます。 判官の思いが この、間際の短い時間にシッカリと由良之助に伝わる事がわかる場面です。 息遣いとか視線とか口調とか 実に、繊細なやり取りが自然にあって 由良之助の決意になるところです。 切腹の場は下座音楽がございませんで 全て、竹本の三味線のみです。 とにかく静なのですね・・・し〜んっとした感じでドキドキする様な緊張があって 三味線と語りでお話が進みます。 なので 義太夫狂言なのですけれど どうも、菊五郎丈・判官が切腹して倒れてしまいますと 突然、実録風になってしまうのですね。 あ・・・あれっ? 舞台の空気がチョッと変わったのと違う? っと言った感じなのです。(~_~;) ここから城のあけ渡しまでが 突然‘仮名手本‘から‘元禄‘になってしまったようで 一つだけ、魁春丈の顔世御前の姿が悲壮であった他は どうも、ここまでの雰囲気とは違ってしまったようでした。 ○25日に追記 やはり切腹の後 判官を乗せた駕籠が花道から引っ込んだ後あたりから 意識が途切れがちになりました。(^^ゞ ですが今回は何とか頑張りまして シッカリ見てまいりました。(笑) で、つらつらしていた意識が「ご料簡が若い、若い」あたりでハッキリしてきました。 ここから幸四郎丈の舞台ですね。 切腹から後 しばらく実録風なのですが このあたりから義太夫狂言に戻る雰囲気です。(^_^;) 前回と同じで ここはやはり幸四郎丈の大きさがぴったりな舞台で時代物の雰囲気がございます。 諸士に対する時の決然とした様子など やはり幸四郎丈ならではかと思いました。 城門前で一人になっての大泣きは 泣き過ぎの感じもございますが でも、舞台の雰囲気がとてつもなく重いので かえって、この大泣きが見ている側の気持ちを発散してくれるようにも思いました。 気持ちが内側に向かっていかないので 見ていてラクなのです。 それと、今回も東蔵丈の原郷右衛門が良かったです。 上手く書けないのですけれど いらっしゃる事で見ていて舞台に安心感が出るのですね。 ☆「道行旅路の花聟」は判官が師直に斬りつけて騒ぎになった時に 城外で会っていた勘平とお軽が城外に取り残されてしまい 切腹しようとする勘平をお軽が止めて お軽の実家・山崎へ向かう途中を舞踊にしたものです。 もともとは「三段目:刃傷の場」の後のお話だった部分を舞踊にして見せるようになりました。 ここは‘落人‘っと申しますところでございますので お軽と勘平は仕事の最中にデートをしていて仕事をしくじってしまったので 職場を逃げ出したわけなのですね。 なので、衣装も仕事着(勘平は‘丸に違い鷹の羽‘の紋服 お軽は‘白縮緬に紫の矢絣の振袖着付‘で‘矢の字結び‘の帯です)のままなのです。 でも〜・・・そのわりには この2人、なんとなくホンワカしております。(笑) >色で逢いしも 昨日今日 堅い屋敷の御奉公 あの奥様のお使いが 二人が塩冶の御家来で その悪縁か ここは、お家の事を思うところなのですけれど >泊まり泊まりの旅籠屋で ほんの旅寝の仮枕 嬉しい仲じゃないかいな このあたりは、ハネムーン気分なのでございます。(笑) この後、お軽のクドキが続きまして いよいよ出かけようかっと言うところへ 伴内が来て所作立てになります。 ですけれど さらに以下の様に続き >塒(ねぐら)を離れ 泣く烏 可愛い ゝ の夫婦連れ 先は急げど心はあとへ お家の安否いかがぞと 案じ行くこそ道理なれ ゝ っと締めくくられます。 忠義と恋と板挟みの感じで これゆえに、五段目、六段目があるのだな〜っと思います。 舞台は桜が満開の明るい舞台ですが お話は‘夜‘です。 ‘落人‘ですので昼は隠れていて 夜に旅を続けているわけなのですが このあたりも なんとなく艶っぽい感じのするところだったりいたします。 で、この幕なのですが 先の2時間半の舞台でドット疲れてしまいまして かなり意識が遠のいておりました。 ほんとに、ところどころしか覚えていなくて フット気付きましたら 伴内・翫雀丈が定式幕を下手から引いているところでありました。 次回(もう一度、見に行きますので)は シッカリ、梅玉丈、時蔵丈を拝見してまいります。(^^ゞ ○25日に追記 今回は何とか頑張って見る事ができました。 それでも、遠のく意識を必死で呼び戻しておりました。 今月の昼の部は疲れます!!! で、梅玉丈が なんとも柔らかな感じの艶っぽさがあっていいです。 頼りない情けない感じというより 線の細い良い男の風情で、踊りが柔らかで 色気があります。 この幕全体に感じる品の良さは 梅玉丈の引っ張るところかなっと思いました。 時蔵丈のお軽は わりと、アッサリした感じで真面目です。 こんなに真面目そうなのに なんで、こんな事になったのかな〜っと・・・思ってしまいます。(^^ゞ 翫雀丈はご苦労様でございました。 やはり舞台の品を外さないコミカルさがあって良かったと思います。 |