2007年01月04日           もくじへ戻る トップページへ戻る 
    国立大劇場 12:00開演   三階上手よりの席

  *通し狂言 梅初春五十三驛(うめのはるごじゅうさんつぎ)
    五幕十三場


梅初春五十三驛
 百姓次郎吉実は鼠小僧次郎吉実は清水冠者義高
 猫石の精霊、神主多中、小夜衣お七            菊五郎
 大姫、三浦屋小紫                       時蔵
 根の井小弥太、所化弁長                  三津五郎
 大江因幡之助、百姓杢作、狩野之助宗茂          松緑
 白井権八、久須見吉三郎                   菊之助
 石塚玄蕃、池鯉鮒の市蔵                   権十郎
 蒲冠者範頼、大日和尚                     團蔵
 頼豪阿闍梨の霊、海老名軍蔵                彦三郎
 庄屋太左衛門                         田之助


序幕
京都:大内紫宸殿の場
頼朝の弟・範頼は義経が大江家に預けた宝剣・天叢雲(あめのむらくも)を盗み出し 大江家嫡子・因幡之助(いなばのすけ)は宝剣詮議のため関東へ下る事になります。
同じ頃、やはり義経が取り戻した宝鏡を鼠小僧次郎吉が盗み出し 大姫とともにこの場を去ります。


大津:三井寺の場
大姫を入れた葛篭を背にした鼠小僧次郎吉は怪しい力に引きつけられるうち 頼豪阿闍梨(らいごうあじゃり)によって、自らが木曽義仲の一子・義高である事を知り 鼠の妖術を授かると天下を取るべく関東を目指します。
頼豪阿闍梨が消えるとここは闇の三井寺山中。
宝剣詮議の因幡之助、範頼より宝剣略奪の命を受けた本庄助八、大江家家臣で宝剣を盗まれ助八を追う白井権八、木曽の旧臣・根の井小弥太、大姫、義高 それぞれ関東を目指す六人が闇の中で探りあいとなり 義高は木曽の家系図を、根の井小弥太は宝鏡を、本庄助八は大姫の十二単を、手に入れ 義高は鼠の術を使い立ち去り 大姫は根の井小弥太とともに旅することとなります。



二幕目
池鯉鮒(ちりゅう):街道立場茶屋の場
街道筋にある茶屋に根の井小弥太と大姫が立ち寄り 茶屋の娘・おくらの自宅に案内される事となります。

岡崎:八ツ橋村無量寺の場
おくらの自宅は遠く大姫は足が痛み困っていると、折りしも目の前に古寺が現れます。
不審に思うおくらでしたが 大姫のために宿を借ります。
古寺にいたのは亡くなったはずのおくらの母・おさんでありましたが 実は怪猫でおくらを食い殺し、木曽義仲に殺された主人の恨みを晴らすために根の井小弥太と大姫を襲います。
しかし、根の井小弥太の持つ宝鏡によって猫石となり 根の井小弥太は白銀の猫の香炉を手に入れます。



三幕目
白須賀:吉祥院本堂の場  裏庭の場
吉祥院では村芝居が行われ ここに、旅役者に姿を変えた白井権八がやって来ます。
吉祥院の大日和尚から宝剣を取り返した白井権八でしたが、チョッとした隙に所化・弁長に盗まれてしまいます。


新居:関所の場
浜名湖の関所で 狩野之助宗茂(かののすけむねもち)により根の井小弥太と大姫は関を通る事ができ 白井権八は囚われの身となりますが狩野之助宗茂の計らいで関東へ送られることとなります。


四幕目
由比:入早山(いるさやま)の場
このあたりで評判の女郎・小夜衣お七は弁長から宝剣を奪います。

吉原:富士ヶ根屋の場
お七は、巡礼をしながら幼い時に別れた姉と忠義のために主人を捜す吉三郎を宿に泊まらせる事にします。
折りしも、ここへ白井権八を乗せた網駕籠がやって来ます。
お七は元は白井家で奉公しており また、吉三郎が捜す姉でありました。
主従の恩からお七は吉三郎を身代わりにして白井権八を逃がすべく 木戸口を開けるための櫓の太鼓を叩きます。



大詰
大磯:三浦屋寮の場
白井権八は馴染みの傾城・小紫に会いに来ますが ここで敵の本庄助八と出会ってしまいます。

品川:鈴ヶ森の場  御殿山の場
三浦屋寮のくだりは、鈴ヶ森でお七の見た夢で 白井権八はすでに処刑されています。
ここへ小紫が弔いのため権八の首を抱えて現れるのですが これを止めたお七は、実は首は吉三郎のもので権八は生きていると言います。
吉三郎に手を合わせに来た権八は本庄助八を討つと宝剣を因幡之助に届けに行きます。
しかし、御殿山で追っ手と争ううち 宝剣は怪雲に吸い寄せられ奪われてしまいます。


江戸:日本橋の場
宝剣を奪ったのは義高で、父・義仲の敵を鼠の妖術によって討とうとするのですが 根の井小弥太の持つ白銀の猫の香炉の力で妖術はなくなります。
大姫が父・頼朝は義仲の最後を嘆き寺を建てた事を話すと 義高も思い止まり、時節を待つこととし宝剣を返し再会を誓うのでした。




☆今回の「梅初春五十三驛(うめのはるごじゅうさんつぎ)」は国立劇場にある1841年の再演時の手書きの台本を起こして復活上演したのだそうでございます。
「五十三驛もの」でございますが江戸からスタートではなく京から江戸に下る順路でお話が進みます。
舞台転換が多いのですが まだ2日目であるにもかかわらず さほどお話が途切れる事もなく かなり良いテンポであったと思います。
各場面で歌舞伎のパロディーが織り込まれていたりしますが あまり、そういう事を気にしなくても単純に楽しめると思います。


序幕はお話のスタートという事で、大内紫宸殿あたりはケッコウ説明っぽいです。
御所は次郎吉と大姫の再会ですが チョッと桜姫っぽい感じかもしれません。
三井寺はだんまりが長いのですが 家系図や鏡や十二単が誰に渡ったかっというところで 小道具がこれから先のお話に繋がります。
見ておりまして、このあたりまでは とくべつしどころとか‘これ‘っと言うような見どころとかと申しますより これから先のためのお話の様に感じました。

二幕目になりまして ストーリーとして面白くなってきたように思います。
ここは怪猫のお話ですが ドッカ〜ンっと面白いです。(^^ゞ
菊五郎さんの重さが舞台を浮いた感じにしないので 面白いですけれど、ケッコウ‘怪‘でもございます。
それで梅枝さんが良いです。
スッキリ、キッパリした感じですが娘らしい雰囲気があって ただ、可愛らしいばかりでない感じの娘であると思いました。
なんだか、最後に怪猫に食べられちゃって‘あんまりだわ!‘っと思ってしまいます。(^^ゞ
それにいたしましても ここの、怪猫に操られるおくら 迫力ありました。
途中で吹き替えになるのでしょうね・・・たぶん・・・上手の障子に飛び込んだ後でしょうか。
(追記:やはりここは吹き替えでございまして尾上辰巳丈がお勤めでございました。この吹き替えで国立の「優秀賞」を受賞なさっています。こちらでブログを書いていらっしゃいます。)

三幕目は劇中劇?ですか???(笑)
ここは花道の菊之助さんがとっても綺麗! と 三津右衛門さんの三味線(掛け声?)が素敵! でした。
で、思ったこと・・・松緑さんの梅王、あのいでたちで一瞬でもマジに決まってくれたらドッカ〜ンだったのに。
ところで、菊五郎さんが花道から出てくるときに子どもが騒いでいたのは何だったのでございましょうか?
幕切れ前の花道からの弁長・三津五郎さんの引っ込み、初日よりノリが良かったです。
これから後半マスマス楽しみかと思われます。
関所では三津五郎さんも松緑さんも菊之助さんも‘まあこうでしょう‘っといった感じでした。
松緑さん、なんか全体的にカッコイイお役ではあるのでしょうけれど(吉祥院は別ですが)イマイチ存在感薄くてチョッともったいない感じでした。(^^ゞ

四幕目は二幕目に続いて見ていて面白いと思ったところでございます。
お話になっているというのか 一幕として成り立っているというのか そういう舞台でございます。
この幕の菊五郎さんのお七、三津五郎さんの弁長、菊之助さんの吉三郎、この三役が全体を通しても良かったと思いました。
三津五郎さんの弁長は根の井小弥太との対比で、より面白みが増して見えます。
入早山でのお七とのやり取りも軽妙で楽しいです。
こういう場面は、役に1本芯が通っていないと 見ていてただ軽いだけの馬鹿馬鹿しい舞台になってしまうのですが お七の艶っぽさと弁長のおかしみがピッタリ合っていて良い感じでありました。
で、菊五郎さんのお七は最高です とっても艶っぽくって良いです。
悪婆うまいですね〜。(^^ゞ
それに、とにかくカッコイイ!!!
菊之助さんの吉三郎は 私、権八より好きでした。(笑)
可愛いんですもの・・・ど〜せ私はオバサンですから!!!
お七とか吉三郎とか宝剣とか櫓の太鼓とか、この幕は八百屋お七のパロディーですけれど そんなことはゼンゼン知らなくっても楽しめる舞台です。

大詰はここまで引っ張ってきたお話をまずはなんとか収めましょうっといった感じでございます。
「浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなずま)」のパロディーでお話が進みますが まあ、これも元を知らなくてもちゃんと楽しめると思います。
が、菊五郎さんのお七はやはり長兵衛とダブります。(^^ゞ
御殿山の場では立ち回りが見られるのですが 琴、胡弓など普段の太鼓や三味線だけの立ち回りとはチョッと雰囲気の変わった舞台になっています。
舞台一面に桜で、下座が琴、胡弓など柔らかい音色なので 立ち回りも、どちらかといえばソフトな感じになっているように見えました。
お正月の雰囲気をなんとなく感じさせるようで良いと思いました。
ラスト、上がりは日本橋で片しゃぎりに絵面で幕になります。


お話はチョッと雑然とした感じでしたが とりあえずは 宝剣を追いかけて 悪い人(範頼、石塚玄蕃、本庄助八、など) 良い人(因幡之助、白井権八、)が関東を目指し コレに絡んで義高、根の井小弥太、大姫も関東へ行く この道中のお話でございます。
で、各宿場で それぞれのキャラクター(怪猫、おくら、お七、吉三郎、小紫、など)がお話を作っていく感じです。

全体には各場面場面を楽しむ舞台だと思いましたが 二幕目と四幕目のウエイトが大きく見どころもあるように感じました。
この二幕目と四幕目は菊五郎さんが良くて 舞台にグッと篤みが出るのですね。
また、五十三驛ものという事もあってか 舞台の背景などが美しくて三幕目の浜名湖や四幕目の入早山が良かったです。






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