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| 歌舞伎座 夜の部 一階後方中央の席 |
*仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら) 五段目 山崎街道鉄砲渡しの場 二つ玉の場 六段目 与市兵衛内勘平腹切の場 一幕三場 *梅雨小袖昔八丈 髪結新三 (つゆこそでむかしはちじょう かみゆいしんざ) 三幕 |
仮名手本忠臣蔵 五段目 早野勘平:仁左衛門 斧定九郎:海老蔵 千崎弥五郎:権十郎 六段目 早野勘平:仁左衛門 お軽:菊之助 千崎弥五郎:権十郎 不破数右衛門:弥十郎 おかや:家橘 一文字屋お才:魁春 五段目 山崎街道鉄砲渡しの場 塩冶判官の近習・早野勘平は主人の大事に腰元・お軽と逢引していて駆けつける事ができず 命を捨てる覚悟をしますが お軽の説得で時節を待つ事にし お軽の実家・京の山崎へ身を寄せ猟師をしています。 舞台は山崎街道 猟に出て雨にあい火縄の火が消えてしまった勘平は 通りかかった侍に火を貸してもらおうとします。 すると侍は塩冶の家臣であった千崎弥五郎で 密かに仇討の計画がある事を聞きます。 もとより仇討の噂を聞き自らも連判に加えて欲しいと思っていた勘平は 仇討のための資金を調達する事を約束し 千崎弥五郎に大星由良之助への執り成しを頼むのでした。 二つ玉の場 舞台は先刻からしばらく経った山崎街道 お軽の父・与市兵衛が勘平のために娘・お軽が祇園町へ身を売った代金の半金・五十両を受け取って通りかかります。 しかし、与市兵衛が一休みしているところを山賊の斧定九郎に襲われ金を奪われ殺されてしまいます。 折りしもここへ、猪が通りかかり 猟をしていて、猪を狙った勘平の鉄砲玉が定九郎に当たってしまいます。 闇の中、撃ち取ったはずの猪を探す勘平は 誤って人を撃ってしまったことに気付きますが 手に触れた財布に大金が入っていることに気付くと、財布を奪ってこの場を後にするのでした。 六段目 与市兵衛内勘平腹切の場 舞台は翌日の与市兵衛の内 一文字屋のお才と源六が、お軽を迎えにやって来ます。 源六は与市兵衛が昨夜、半金を持って帰った事を話しますが おかやとお軽は、与市兵衛はまだ帰宅していないので帰るまで待って欲しいと言います。 しかし、お才と源六は お軽を駕籠に乗せ連れて行こうとするのでした。 折りしもここへ、勘平が猟から戻り 駕籠を押し戻し お軽を家に連れ帰ります。 お軽を連れて家に戻った勘平は ことの仔細を聞き お軽や舅、姑に感謝しますが 金は昨夜、工面できたゆえ、お軽を身売りする事はないと言います。 しかし お才は勘平に身売りの証文を見せ、与市兵衛に半金を渡してあると話すと 与市兵衛に金を入れて渡した財布と同じ縞の財布を見せるのでした。 この縞の財布を見て 勘平は驚きます。 昨夜、誤って撃ち殺し懐から抜き取った財布と同じでありました。 勘平は与市兵衛を殺してしまったと思い動揺し お軽やおかやに昨夜、与市兵衛に会ったと言います。 これを聞いて お軽もおかやも安心し お軽は、お才たちに連れられて祇園町へ向かうのでした。 お軽が祇園町へ行くのと入れ替わって、猟師たちが与市兵衛の遺体を運んできます。 悲しむおかやでしたが 昨夜、勘平が与市兵衛に会ったと言った事を思い出し 勘平を問い詰め 懐にある血の付いた財布を見つけると 勘平が与市兵衛を殺したのだろうと責めるのでした。 ここへ、千崎弥五郎と不破数右衛門が 昨夜、勘平から預かった金子を返しにやって来ます。 そうして、主人の大事に不忠を働いた勘平の金子は使うことはできないと言う大星由良之助の考えを伝えます。 様子を聞いていたおかやが 勘平の金は与市兵衛を殺して奪ったものだと訴え これを聞いた千崎弥五郎と不破数右衛門は勘平を非難しますが 勘平は言い訳に 昨夜の事を話すと腹を切るのでした。 勘平の話を聞いた千崎弥五郎が与市兵衛の遺体を検めれば致命傷は刀傷であり 不破数右衛門が鉄砲で撃たれた斧定九郎を見ていたことから 与市兵衛を殺したのは斧定九郎で 勘平は敵を討ったも同然とわかります。 勘平は疑いが晴れた事を喜び 不破数右衛門に勧められた連判状に血判を押すと息絶えるのでした。 梅雨小袖昔八丈 髪結新三 髪結新三:幸四郎 家主長兵衛:弥十郎 忠七:門之助 下剃勝奴:市蔵 お熊:高麗蔵 弥太五郎源七:段四郎 あらすじはこちらでどうぞ |
☆「仮名手本忠臣蔵」の「五段目」、「六段目」を初めて見たのは高校生の時だったのですが どうも、なんか 猪しか覚えておりませんで とっても暗い救いようのないお話っというイメージが残りました。 このお話って 互いの心情を客席で慮る事ができないと 見ていて面白くないのかもしれません。 仁左衛門さんの勘平は音羽屋の型に上方風をミックスしたもので やわらかくてしっとりした感じがあるのに 華やか、粋な感じもいたします。 五段目 山崎街道鉄砲渡しの場 幕開きから仁左衛門さんの勘平は舞台で 蓑と笠の姿がスッキリ良い感じです。 ここは、勘平と千崎弥五郎の仇討についての話のみなのですが これからのお話の動機付けになります。 仁左衛門さんの勘平が さりげなく一つひとつ決まる形はとても美しくて素敵です。 で、ここでの権十郎さんの千崎弥五郎が‘真っ直ぐな人‘なので 六段目の勘平を叱責する台詞が納得できます。 二つ玉の場 この場はやはり定九郎です。 海老蔵さんの定九郎、底の見えない感じのゾクッとする様な雰囲気が なんとも色っぽいのですね。 怖い色気って言うのでしょうか。 与市兵衛を殺して奪った金を確かめる場面、ズット忍び三重が下座から聞こえていまして 場内はシーンと固唾を呑んで静で 舞台はゾクッとする様な海老蔵さんの定九郎で この下座って 最高に効果的です。 これが、歌舞伎だわ〜って思ってしまうのでした。(笑) それにしても 死に際がけっこうリアルで不気味でした・・・。(^_^;) 今回の二つ玉は一度だけで 花道7・3では火縄の火を見る形です。 ここも段取りとして、火縄を回すとか目印になるように木の傍へ鉄砲を置くとか火縄の火が消えないように藁の上に鉄砲を置くとか いろいろ細かいところがあるようですけれど とりあえずは舞台の仁左衛門さんの勘平のボロッチイ姿にも係わらずスッキリ決まる姿を見ながら ここで慌てずモットしっかり確認すれば腹を切らずにすんだのにね〜 などと思いつつ見ておりました。 六段目 与市兵衛内勘平腹切の場 幕開きスグの魁春さんが雰囲気がとっても良かったです。 なんと申しましょうか 暗くって陰湿な感じの中で 賑やかさを感じます。 仁左衛門さんはここは花道からの出ですが 唯一、颯爽とした晴れやかな勘平です。 勘平のここまでの衣装は当て布に‘松嶋格子‘を使っていました。 で、これを浅葱の紋服に着替えるのですが 周りが地味な色合いなのでとっても映えて見えます。 着替えた時の颯爽とした姿が ダンダン肩を落として小さくなっていくのが なんとも切ない感じです。 勘平という人は、自分でも何度も「情けなや」って言っていますけれど ホントニそのとおりで(笑) 運の悪い人の見本みたいです。 舞台の仁左衛門さんの勘平は お話が進むに連れてドンドン小さくなっていきます。 肩を落として背中を小さくして頭を下げて・・・それが、目に鮮やかな浅葱色の衣装なので よけい‘情けなさ‘が前面に出てきます。 ですけれど この鮮やかな色合いが仁左衛門さんによくお似合いでカッコイイのです。 さらに これだけ運が悪い勘平に しっとり柔らかな雰囲気があるのは上方の仁左衛門さんだからでしょう。 仁左衛門さんの勘平は舞台の中央に居ますけれど 顔もほとんど見えなくて こんなに小さくなっているのに スゴイ存在感なのですね。(^^ゞ 勘平の‘運の悪さ‘が 舞台の上に‘居る‘のが分かるような感じです。 ここでの菊之助さんのお軽と家橘さんのおかやは マッタク勘平の事情を知らないわけなので このお互いのチグハグをストレートに出していたと思います。 客席は もちろん、これまでの勘平の事情を知っていますので お軽やおかや、また後の千崎弥五郎や不破数右衛門の行動に‘不人情‘とか思ったりもするのですけれど 舞台の人は何も知らないのですから、‘不人情‘であっても当然で そう、客席に思わせる舞台でもあるので そういうところでは大成功であったと思います。 この場の後半、いよいよ勘平が腹を切ってからですが よ〜く考えれば‘モット早く無実に気づけよな!!!‘ってお話で(笑) このあたりがいかにも歌舞伎でございます。 血判を押すのに切った腹の臓物を掴んで押すって言うのもかなりグロイ話ではあります。 なのに、舞台を見ていると 勘平の無実が分かって それまでの緊張がフット消えるのですね。 チットモ良く無いのに 良かったと思うのです。 勘平の笑顔の最後を見て‘疑いが晴れて良かったね‘とか思うわけです。 思わせる仁左衛門さんに技ありなのですが でも、良いわきゃ無いんですよ。(^^ゞ ☆今回の「髪結新三」で‘おっ‘っと思いましたのは 門之助さんでございます。 今月の昼の部の保名でも‘良いな‘っと思ったのですが この舞台もケッコウ良かったと思いました。 永代橋のところも台詞に歌舞伎味があって良かったです。 舞台での品の良さとか、しっとりした感じとか、それでいて一本ピシット芯のある感じ 時代物も世話もシッカリこなして もっと中央に出ても良いんじゃないのかしら・・・。 で、幸四郎さんの新三は・・・駆け出しの小悪党じゃないですね〜。(笑) 大親分。 たしかに、勝奴と一緒にコケテ見せる様なノリの軽さは小悪党の感じですけれど でも、はじめの出だしのところの感じとか台詞とか どう見たって大親分です 傘尽くしのところの台詞も 黙阿弥の世話の七五調の感じではなくって 時代物みたいで‘唸った‘感じの台詞なんですもの。 腹が太すぎです。(^^ゞ なので、源七の段四郎さんとのやり取りも 家主の弥十郎さんとのやり取りも どちらも、新三の方が勝ってしまいます。 源七も家主も世話ですが 幸四郎さんの新三は時代物の雰囲気が消えません。 武士の感じがあるのです。 歌舞伎にはニンなどというものがございますけれど ‘確かにね‘っと思ったりいたしました。(^_^;) 鐵之助さん、吉之丞さん お2人はピッタリです。 こういうところで舞台が篤くなるのでしょうね。 弥十郎さんの家主長兵衛は大健闘だと思います。 とりあえずは 幸四郎さんの新三を相手にやり込めていましたから。(笑) ですけれど、ギャグのノリではなくって 家主ゆえの優位が‘おかしみ‘になって見えると最高だと思います。 が・・・幸四郎さんの新三ですから なんか、いきなりバッサリ斬られてもおかしくないな などと思ってしまいました。(^^ゞ 市蔵さん、高麗蔵さん ご苦労様でした。 (とくに、高麗蔵さん・・・) で、段四郎さん。 幸四郎さんの新三を相手に こちらがホントの大親分源七なわけで これって、大変じゃないかしらと思ってしまいました。 段四郎さんの源七、どっしりしているし年齢的な悲哀も感じるし とっても良い源七だと思いました。 |