2006年09月03日・18日       もくじへ戻る トップページへ戻る 
    歌舞伎座 昼の部   三階B西よりの席・一階後方中央の席

  *菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 車引
    一幕
  *双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 引窓(ひきまど)
    一幕
  *六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり)
    業平小町
    文屋
    長唄囃子連中
    清元連中
  *菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 寺子屋
    一幕


菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 車引(くるまひき)
 梅王丸:松緑
 松王丸:染五郎
 杉王丸:種太郎
 桜丸:亀治郎
 藤原時平公:段四郎

 「車引」のあらすじはこちらでどうぞ。





双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 引窓(ひきまど)
 南与兵衛、後に南方十次兵衛:吉右衛門
 お早:芝雀
 平岡丹平:歌昇
 三原伝造:信二郎
 お幸:吉之丞
 濡髪長五郎:富十郎

 「引窓」のあらすじはこちらでどうぞ。





六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり)
業平小町
 小野小町:雀右衛門
 在原業平:梅玉
文屋
 文屋康秀:染五郎

業平小町
  舞台は宮中 御簾が上がり、十二単の小野小町と衣冠束帯姿の在原業平が現れます。
  業平は小町の手を取り、自らの想いを伝えようと踊り始め 扇尽くしの踊りで今宵こそは想
  いを遂げたいと小町を誘います。
  しかし、小町はそんな業平の誘いをかわす様に踊り 業平をふりきって御簾の中に姿を消
  してしまいます。
  業平は、自らの想いに答えてはくれない小町に しょんぼりと、しかたなくこの場を去るの
  でした。


文屋
  舞台は同じく宮中 歌合せがあるところへ文屋康秀が小町のもとへ忍んできます。
  しかし、ちょうど御殿奥に来たあたりで官女たちに見咎められてしまい 深草少将に見立
  てての軽妙な踊りの後 恋づくしの問答となり、これも上手く応じて踊ると 官女たちを振
  り払って駆け去ります。






菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 寺子屋
 松王丸:幸四郎
 武部源蔵:吉右衛門
 春藤玄蕃:段四郎
 涎くり与太郎:松江
 園生の前(そのうのまえ):福助
 戸浪:魁春
 千代:芝翫

  舞台は京のはずれ芹生(せりょう)の里にある武部源蔵の寺子屋 旧主・菅丞相より筆法
  を伝授されている源蔵は、ここで流罪となった菅丞相の嫡子・菅秀才を匿っています。
  しかし、これが藤原時平に知れ 菅秀才の首を討つよう命じられるのでした。


  思案げに帰宅する源蔵は ちょうど今日、寺入りした小太郎を身代わりにする事にし これ
  を妻・戸浪に話します。


  折りしもここへ 菅秀才の首を受け取りに藤原時平の家臣・春藤玄蕃が 検分役の松王
  丸と共にやって来ます。
  この場にいた寺子を返すと いよいよ、玄蕃と松王丸は菅秀才の首を差し出すように命じ
  源蔵は奥へ行くと身代わりの小太郎の首を討って差し出すのでした。
  差し出された首を前に、首実検をする松王丸は菅秀才をよく知っておりましたが 源蔵が
  差し出した首を菅秀才の首であると証言し 首を討った源蔵を褒めるのでした。


  検分を終えた松王丸は病気のため暇を貰う事を藤原時平から許されていると言い この場
  を去ると 玄蕃一人が首を持ち帰ります。


  源蔵と戸浪が身代わりが上手くいった事にほっとしていると ここへ、小太郎の母・千代が
  小太郎を迎えにやって来ます。
  源蔵は身代わりの計画を隠すため 千代を招き入れ、隙を見て斬りかかりますが 千代
  は、意外にも小太郎の身代わりが役に立ったかと聞くのでした。


  源蔵が驚いているところへ再び松王丸が現れ 小太郎は我が子であり、菅丞相の恩に報
  いるための 覚悟の身代わりであった事を話します。
  さらに松王丸が自ら救い出した園生の前(そのうのまえ)を案内し菅秀才と対面させ 一
  同がそろう中 松王丸と千代は源蔵夫婦と共に 小太郎のために野辺の送りを営むので
  した。




☆「車引」は時代浄瑠璃「菅原伝授手習鑑」の三段目の口にあたり 1746年の初演です。
 それぞれ 梅王丸、松王丸、桜丸の衣装や鬘についてはこちらを参考にどうぞ。
 また、「菅原伝授手習鑑」のあらすじ、全体のお話の流れなどはこちらが参考になります。


○9月3日の感想
 仮花道は出ておりませんので 花道から梅王丸・松緑さん、上手から桜丸・亀治郎さんが出て 舞台で入れ替わって定位置になります。

 笠をかぶっての台詞ですが 亀治郎さんの声は3階Bまでシッカリ届いてきて かつ、内容もシッカリ‘事情‘として‘らしく‘伝わりますので良いと思いました。

 松緑さんの梅王丸は、やっぱり見た目もあるのでしょうか(笑)ドッシリ感があって 荒事に向いているな〜っという感じです。
 決まるところがとっても綺麗でした。
 松王丸が出て 松王が上手より、梅王と桜が下手よりで 互いに1:2で決まって睨み合うところなど 腰をグ〜ット落として松王を下から睨み上げるような感じで スゴク良かったです。

 お3人ともかなり良い感じであると思うのですが 私は染五郎さんが意外に(すみません)良くて驚きました。
 線の細い方ですので荒事の松王丸ってどうよ?っと思っておりましたけれど 良いですね。(^^ゞ
 少し声がかすれる(裏返る?)感じがあるのですけれど 台詞回しがとても良くて 聞いていて‘歌舞伎の荒事ってこんな感じ‘と思えます。
 とても‘歌舞伎っぽい‘のです
 やはり秀山祭だからでしょうか、グングン舞台を引っ張る感じです。
 細い体つきがマッタク気になりませんで とても力強くて綺麗に見えが決まります。

 段四郎さんは貫禄と怪しげな感じがサスガでした。
 30分ほどの舞台ですけれど 大向こうもガンガン声がかかっていましたし いかにも‘歌舞伎‘といった舞台です。


○9月18日の感想
 今回は1階後方の席でしたので 花道が見えます。

 はじめの花道の出のところから 松緑さんの梅王丸はケッコウ大きくていかにも荒事の雰囲気があります。
 とくに桜丸と二人で並んだ時の梅王丸・松緑さんはスゴク大きく見えて、ドッシリ感のある梅王丸で 台詞も良くなっています。

 松緑さんが舞台に出たあたりで 上手から亀治郎さんの桜丸が出ます。
 お二人の位置が入れ替わって 上手に梅王丸、下手に桜丸で笠をつけたままでの台詞になるわけですが ここは、とくに桜丸・亀治郎さんが‘内容のわかる台詞‘でございまして さらに、少ない動きの中に 桜丸の‘やわらかさ‘がとても美しい所作で表現されていたと思います。
 手の使い方、指先の感じなど とても綺麗でした。

 社頭になって松王丸の出ですが 染五郎さん、台詞が前回に見たときよりもスッゴク良くなっています。
 とくに、声の感じが良くなっていて 重さが出てハラがある台詞になっています。

 ここから松・梅・桜の3人の舞台ですが ほんとに‘でっけ〜‘舞台です。
 今回は梅王丸だけが3本立ちでございまして 帯も松王丸と桜丸は‘とんぼ‘の付け帯ですけれど 梅王丸だけが本物の帯をしているのだそうでございます。
 3人並んだところは とてもバランスが良くて 見応えのある舞台になっています。
 ここではバシバシ見えが決まるのですけれど 桜丸・亀治郎さんの見えで決まるところはとっても綺麗で、決まるまでの動きもとても美しく見えます。

 ほか、段四郎さんの藤原時平公の貫禄 種太郎さんの元気な杉王丸が残りました。





☆「引窓」は全九段の浄瑠璃「双蝶々曲輪日記」の八段目にあたります。
 今回の「引窓」に関係する前のところのお話が「角力場」です。
 「引窓」で与兵衛・十次兵衛と共にやって来る 平岡丹平と三浦伝造は「角力場」の平岡郷左衛門と三原有右衛門の身内です。
 「角力場」で長五郎が恩ある、山崎屋与五郎と遊女・吾妻のために 放駒長吉と遺恨を残して後日の勝負を約束するのですが この恩義のために罪を作って、その後のお話が「引窓」に続きます。

 十次兵衛は初代が晩年の当たり役とし、今ではこの播磨屋型の演出が東京での「引窓」の基準になっているそうでございます。
 9月は秀山祭でございましたので 十次兵衛を当代吉右衛門さんがお勤めになられました。

 引窓、放生会についてはこちらが参考になります。


○9月3日の感想
 この舞台、一番良いと思ったのが濡髪の富十郎さんです。
 とくに後半 南方十次兵衛の恩を受けた後 お幸に‘人としての義理‘を話すあたり 上手いです。
 これで、お幸が今まで自分の子供を助ける事ばかり考えていたところから 義息子へ意識が向かう その変化が理解できます。
 ここの濡髪・富十郎さんの台詞にスゴク説得力があるのです。

 それと、芝雀さんのお早が良い感じでした。
 元は廓にいた感じが‘可愛らしく‘出ていて‘良いお嫁さん‘の感じです。
 幕開きからしばらく吉之丞さんと共に‘優しい家庭‘の雰囲気を作っています。

 吉右衛門さんは南与兵衛より南方十次兵衛の方が合っているのでしょうかね・・・。
 3階だったので花道の出が見えなかったのですが 舞台に上がってからは、侍として振舞う方が合っていた様に見えます。
 手水鉢に映る濡髪を見た後 羽織を肩のところで決まり その後、取り縄を腕に巻いて決まるのですが 後の取り縄を巻いて決まるところが綺麗でした。
 やはり後半が良くて 人相書きをお幸に渡す時や 逃げ道を2階の濡髪にわかる様に話すあたりは その事で後から生じるであろう問題を全て抱え込む‘覚悟‘があっての事だとわかる様な台詞です。

 全体に後半になるほど舞台に篤み・深さが出た様な気がいたしました。
 9月は座組みが良いためでしょうか 「車引」といい「引窓」といい 舞台の役者さんが、どれもガップリですごく熱い舞台です。
 で、客席も熱くて 大向こうも気合が入っていて(笑) 最近ではチョッと体感できなかったようなエネルギーを感じる場内でした。


○9月18日の感想
 前回観た時より また、一段と舞台の雰囲気 4人のハーモニーが良くなっています。
 荒いところがなくなって 細かいところまで行き届いた舞台です。

 幕開きスグのお幸・吉之丞さんとお早・芝雀さんの作る舞台の暖かい雰囲気も最高です。
 長五郎・富十郎さんは、はじめの出のところから2階に上がるまでの‘何かあった‘の感じを伝える上手さが観ていて嬉しくなってしまいます。
 で、ここへ花道からの出で 南方十次兵衛になった南与兵衛・吉右衛門さんが帰って来て
 「只今、帰った〜」
 っと、木戸口で言う台詞の嬉しそうな事と言ったら ほんとうに‘らしくて‘とってもいい感じです。
 「こういう事でございまする。」
 っと経緯を説明するところも 話す方も 聞いている方も嬉しそうで とにかく、この3人家族が仲が良くて幸せなことが とてもよく伝わります。
 この後、南方十次兵衛の初仕事が長五郎を捕らえる事だと知れて 止めるお早に
 「バカ、バカ、バカ・・・。」
 っと突っ込みを入れる吉右衛門さんの南方十次兵衛ですけれど マダ、十次兵衛だけが何も知らないゆえの軽さと お幸やお早の思いの深刻さ とのギャップが お話に奥行きを作っています。
 ここの事情がわからないところから しばらく、吉右衛門さんのカッコイイところが続くわけで 手水鉢に映る長五郎を見てからの見え、取り縄をサッと解いての見え さらに、事の重大さがわかってくる 人相書を売って欲しいと言われた後の
 「母者人、あなたは何故、物をお隠しなされます。」
 で、ここからの三味線の音が最高に良いです。
 グ〜ンっと緊張感が出て ハット、気付く南方十次兵衛なのですね。
 そうして、抜け道を教えるところの「狐川を左へ取り・・・」の台詞が‘たっぷり‘な感じでとっても良いです。
 前回に観た時より 町人・与兵衛が良くなっている様な気がいたしまして そのぶん、与兵衛・十次兵衛の深みが増しているように思いました。

 後半の長五郎・富十郎さんは、たたみかけるような台詞がサスガで。
 南方十次兵衛に黒子を取ってもらった後にお幸に言う台詞
 「未来の十次兵衛殿に義理が立ちますまいな!!!」
 って、鳥肌ものでございます。
 ここの台詞がお幸の気持ちを180度変えるわけですから その、説得力という‘力‘のスゴサを感じます。

 芝雀さんのお早は 以前は廓勤めであった艶っぽさと、今は南方十次兵衛の女房だという可愛らしさと、お幸と長五郎、十次兵衛の間に入って一生懸命に嫁としての勤めをするけなげさが とても良い感じで伝わりました。

 吉之丞さんのお幸は 3日に拝見いたしました時より かなりスムースな感じでした。

 全体的に4人で作りだす舞台の雰囲気がとても良くて 自力のある役者さんの舞台だな〜っと改めて思いました。(^^ゞ





☆「六歌仙容彩」は1831年に初演の五変化舞踊、‘遍照(へんじょう)‘‘文屋‘‘業平‘‘喜撰‘‘黒主‘の事でございまして 今回はこの中の‘文屋‘と‘業平‘が舞台になりました。
 もともとは「六歌仙容彩」という舞踊にストーリーがございまして 今回の様に、それぞれ独立した感じの舞台で役者さんが変わることもございますけれど ‘遍照(へんじょう)‘‘文屋‘‘業平‘‘喜撰‘‘黒主‘と一人の立ち役が早がわりし 小町も一人の女形がそれぞれにあわせて風情を変える舞台もございます。

 「業平小町」は長唄の舞踊でございまして 業平が束帯姿、小野小町が十二単という衣装ですので 見た目にも華やかな舞台です。
 業平は弓を持って矢の入った靫を背にしておりますけれど衣装は文官の束帯の様でございます。
 上手の御簾が上がって長唄囃子のひな壇が出て 中央の御簾が上がって業平と桜の枝を手にした小町が舞台に出ます。

 「文屋」は清元の舞台です。
 今回は、「業平小町」の後 上手の御簾が下がり替わって下手の御簾が上がり清元になります。
 全体に軽妙で面白い感じの舞踊で 立ち役演じるところの官女とのやり取りも楽しい舞台です。


○9月3日の感想
「業平小町」
 雀右衛門さん 衣装が平安朝でかなり動きづらいこともあって あまり大きく動いていらっしゃらないので ‘大丈夫かしら?‘などと心配してしまいました。(笑)
 業平の梅玉さんがさりげなく寄り添う感じが良かったです。(^^ゞ
 こういうスマートな感じの優しい雰囲気って梅玉さん上手いです。
 梅之さんの後見もご苦労様でございました。

「文屋」
 で、文屋の染五郎さん 軽妙な踊りで楽しいし 周りの官女もツワモノ揃い(笑)で雰囲気良かったのですけれど いつの間にやら意識が遠のいておりました。(^_^;)


○9月18日の感想
「業平小町」
 この月の雀右衛門さんのHPに
 >私の足がもうひとつ本調子ではありませんので
 っと書いてございましたのでチョッと心配であったのですけれど 3日に拝見した時より雀右衛門さんの調子は良い様に見えました。
 やっぱり‘可愛らしい小野小町‘です。m(__)m
 どうも、後になってわかった事なのですけれど 梅玉さんの業平と並んで、雀右衛門さんの小町が 業平を‘圧倒‘しない、あくまでも業平を思う心が内側から見えてくるところに 女形の雀右衛門さんのスゴサがあるようなのでございます。

 梅玉さんが優しく気遣っている感じは、これが業平と重なって なかなか良い雰囲気です。
 梅玉さんの業平はピッタリな感じで ふっとした横顔とかとっても素敵な表情をなさるのですね。(^。^)
 引っ込みは花道からですが 前回は3階でしたので見えませんでしたが 7・3で右の袖を巻くようにしてチョッと体を後方に倒すようにして舞台を振り返って決まるのです。
 道明寺の菅丞相よりはよほど艶っぽいですが 形としては最後の菅丞相の花道7・3のところと同じ感じです。

「文屋」
 今回はとりあえず、意識がなくなることもなく 最後まで拝見できました。(^^ゞ
 ですけれど こういう・・・なんと申しましょうか オモイッキリの舞踊というのは やはり、よくわかりませんね〜。(笑)
 女形の舞踊は、それでも「綺麗」で見切ってしまいますけれど 今回の様なとくべつストーリーがあるわけでもない立ち役の舞踊は まあ、踊りのみですから ケッコウつらいです。(^_^;)
 はじめの官女とのからみはチョッと面白く見ていられるのですが やはり、見所となると清元にのってのひとりでの踊りになるのでございましょうね。
 舞踊そのものは よくわかりませんけれど ただ、舞台を見ておりますとスゴイ身体能力だわっと思ってしまいます。
 バランスとかスゴイな〜っと思いつつ 体がよく動くな〜っと感心するばかりでございます。





☆「寺子屋」は時代浄瑠璃「菅原伝授手習鑑」の四段目の切りにあたり 
1746年の初演です。
 上記↑「車引」が三段目の口で同じく三段目に「賀の祝」があり その後が四段目「天拝山・北嵯峨」、「寺子屋」になります。
 おおまかなお話の流れはこちらで確認できます。

 また、舞台の幕切れ前の‘いろは送り‘の一節
 「いろは書く子をあへなくも、散りぬる命、是非もなや。・・・」
 はこちらが参考になります。
 (TOP:http://homepage2.nifty.com/hachisuke/index.htm)

 今回の舞台は 小太郎が母・千代と源蔵のところへやって来る‘寺入り‘の部分がございませんで 幕開きからすぐに‘寺子屋‘の上演で、花道から源蔵・吉右衛門さんの出になっておりました。


○9月3日の感想
 昼の部、いえいえ今月の演目で一番注目の舞台です。
 期待以上の「寺子屋」です。
 今回は‘寺入り‘はなくて その後の、源蔵が戻って来るところからの舞台です。
 なのでかなり速い展開でテンションが上がってきて 緊張感がスゴイです。
 なにせ、戸浪に事情を話してスグに松王丸がやって来るわけですから 息をつく間も無く さらには、ここからの吉右衛門さんと幸四郎さんの舞台の密度の高いこと!!!
 舞台に松王丸が出て源蔵と対するところから 吉右衛門さんのテンションがさらに上がる感じで 舞台の温度が上がる気がします。
 上手から源蔵が下手に、下手から松王丸が上手に移動して 途中でハタッとぶつかって体を返してにらみ合うところなどは、バシバシバシっと火花が散っていました。
 首実検のところなど こちらも息ができないくらいの緊張で ハッキリ言って疲れました。(笑)
 3階席で見ていてこの緊張感ですから かなりスゴイ舞台だと思います。
 幸四郎さんの松王丸は 前半の重さのある敵役から後半のモドリまで 吉右衛門さんの源蔵とバランスよく進んでいたと思います。
 魁春さんは‘熱い‘源蔵を相手にシッカリ戸浪をお勤めでございましたし 千代の芝翫さんも文箱を間に源蔵と対していらっしゃいましたけれど お二人とも、今回は少し引いた感じに見えました。
 っと・・・言うより吉右衛門さんと幸四郎さんが熱すぎるのでしょうね・・・。(^^ゞ


○9月18日の感想
 やっぱり、スゴク良い舞台です。
 3日に拝見した時は客席のテンションが異常に高くて 場内の温度が2,3度上がったのではないかと思われるほどでしたが 今回はかなり落ち着いていましたし また、舞台もガンガン押しまくる感じではなくなっていて 細かいところに心情がいきとどいている舞台になっていたと思います。
 ですけれど舞台全体のテンションはけして下がってはおりませんで かえって、篤み深さのある舞台になっていたと思います。
 とにかく、一つひとつ‘これ、これ‘という感じではなくて 生で劇場で見て、体感としてスゴイと感じます。
 で、これは吉右衛門さんの源蔵が はじめから、ズットいいレベルでテンションが高くて‘ここが‘というのではなく ずっと篤みがあったからだと思います。
 さらには 幸四郎さんの松王丸をガッチリ受け止めておりました。

 魁春さんの戸浪は‘こってり‘した感じが良くて いかにも義太夫狂言だわっという感じです。
 とくに、前半の源蔵と二人で話をしているところなど 台詞もタップリした感じでした。
 もしかしたら 一番、義太夫狂言を演じていらっしゃったかもしれません。(^^ゞ

 幸四郎さんの松王丸は まあ、範囲内の解釈で演じられたのでしょうね・・・たぶん・・・。
 ケッコウ感情的な松王丸でございましたけれど でも、ガシット決まると客席はドット拍手でした。
 幸四郎さんの大きさが生きた舞台だったと思います。
 首実検をして我が子の首を見た後
 「でかした源蔵よく討った」
 っと言いつつ蓋(?)を閉めて手を桶の上に置くのですが まあ、チョッと悲鳴に近い(?)台詞なので 見ていて‘大丈夫?‘と思ってしまいました。
 玄蕃に見つかるんじゃないかしら より ここで、松王丸は泣き出しちゃうんじゃないかしら っと思ってしまいました。(^_^;)
 そのくらい、表に感情が見えていたと思います。
 
 まあ、いろいろな場面で そこまでしなくても見ていて舞台の状況は分かるのにっと思いましたが でも、幸四郎さんらしい大きな松王丸なので ‘まっ、いいか‘っと納得してしまいました。(^^ゞ

 芝翫さんは18日はズイブンあっさりした感じでございました。
 どう申しましょうか・・・イマイチのっていない感じで 何かあったのかしら?っと思ってしまうような舞台でした。
 後半になって松王丸と並んで上手に座る時も小太郎のために用意した品をホッと下に投げるように置いていらっしゃいまして いろいろご事情はございましょうけれど この場ではチョッと興醒めの感じがいたしました。
 また、座っている間も ズット口元を気になさっていらっしゃって・・・どうかなさったのでしょうか???

 段四郎さんの玄蕃は‘嫌なやつ‘ばかりではなくて ケッコウ貫禄もあって やはりこういうところが舞台を篤くするのだろうなと思いました。
 他、松江さんの涎くりも 妙に(無理に)子供子供する感じではなくて‘らしい‘キャラクターになっていました。
 ワタクシ、「お江戸みやげ」の角兵衛獅子のイメージが残っておりましたので ‘どうかしら?‘と思っておりましたけれど 今回の涎くりはかなり良かったと思います。(^^ゞ

 まあ、以上チョッと気になるところもございましたけれど 総じて、かなり見応えのあるスゴイ舞台だと思いました。






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