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| 歌舞伎座 昼の部 一階後方西側の席 |
*君が代松竹梅 長唄囃子連中 *双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき):角力場 一幕 *昇龍哀別瀬戸内(のぼるりゅうわかれのせとうち) 藤戸(ふじと) 長唄囃子連中 *江戸絵両国八景 荒川の佐吉 四幕八場 |
君が代松竹梅 松の君:翫雀 梅の君:愛之助 竹の姫:孝太郎 紅梅、白梅の舞台に 松の君、梅の君、竹の姫が艶やかな平安朝の公達の衣装で現れ ます。 松の君は長寿を祝い 天人が舞ったという駿河舞を舞います。 続いて、竹の姫は 冬の雪にも負けぬ竹から、忍ぶ恋路の想いを踊りクドキとなります。 そうして 梅の君は 梅の花の様に艶やかに華やかに舞います。 長寿、子孫繁栄、春の訪れ それぞれにめでたさを表す三人は 願いを込めて 早間の曲 で舞い納めとなります。 双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき):角力場 濡髪長五郎:幸四郎 放駒長吉・与五郎:染五郎 舞台は大坂堀江の角力小屋 大関・濡髪長五郎と、飛び入りの素人角力・放駒長吉の取 り組みで賑わっています。 ここへ山崎屋の若旦那・与五郎と良い仲の遊女・吾妻がやって来ます。 吾妻は平岡郷左衛門という侍から身請けの話を持ち出され 与五郎に相談に来たのです が 肝心の与五郎は角力見物で会えません。 しかたなく、茶屋で待つことになります。 角力小屋では大関・濡髪長五郎と素人角力・放駒長吉の取り組みがはじまり 素人角 力・放駒長吉が勝ちます。 放駒長吉を贔屓にする平岡郷左衛門は喜び 力のある放駒長吉に吾妻の身請けにも協 力して欲しいと頼むのでした。 放駒長吉が平岡郷左衛門たちと料理屋へ行ってしまうと 後から与五郎と濡髪長五郎が 角力小屋から出てきます。 与五郎は濡髪長五郎が素人角力の放駒長吉に負けたのを悔しがりますが 濡髪長五郎 は心配ないと言い 茶店の亭主に放駒長吉を呼んで来るように頼むと 吾妻の身請けの 話も心得ていると言います。 やがて亭主が戻り、放駒長吉がやって来ることを告げると 濡髪長五郎は、茶店の亭主と 弟子を供に付け 与五郎に吾妻の待つ茶屋に行くように勧めます。 一人残った濡髪長五郎のところへ放駒長吉が駆けつけて来ます。 濡髪長五郎が放駒長吉を呼んだのは 吾妻の身請けの話をするためでした。 吾妻を与五郎に譲るよう、平岡郷左衛門にはあきらめてもらいたいため 先ほどの角力の 取り組みにわざと負けたのだと言います。 しかし、これを聞いた若い放駒長吉は なぜ、真剣勝負をしなかったのかと怒り 濡髪長 五郎の申し出を聞こうとしません。 とうとう、濡髪長五郎は手にした湯のみ茶碗を握りつぶし力を見せつけると 放駒長吉も 茶碗を壊し 互いに遺恨を残しながら後日の勝負を約束するのでした。 昇龍哀別瀬戸内(のぼるりゅうわかれのせとうち) 藤戸(ふじと) 藤波・悪龍:吉右衛門 浜の男磯七:歌昇 浜の女おしほ:福助 佐々木盛綱:梅玉 舞台は備前国藤戸 ここへ平家との合戦で手柄を立て、新しく領主になった盛綱がやって 来ます。 着任したばかりの盛綱は、住民の訴訟を聞くことにします。 すると一人の老婆・藤波がやって来て 盛綱が我が子の命を奪ったと訴え 子供の成長を 楽しみに暮らした日々を語ります。 これを聞いた盛綱は平家軍との合戦を思い出します。 盛綱は平家との合戦の折、児島に立て籠もる平家軍を攻めるために ある漁夫から騎馬 のままで渡れる浅瀬を聞きだしますが 口外を恐れて漁夫を殺してしまいます。 こうして盛綱は教えられた浅瀬を渡り先陣の手柄を立てたのでした。 話を聞き 嘆き悲しむ漁夫の老母・藤波を見て 盛綱は藤波をともない漁夫の遺骸を隠し た浮州の見える場所へやって来ます。 波が隔てて浮州の我が子のもとへ行く事のできない藤波は 悲しみの中、我が子を返し て欲しいと盛綱に訴えるのでした。 盛綱は、戦のこととはいえ漁夫を手にかけたことを詫びると 藤波を不憫に思い暮らし向き の面倒をみる事にします。 そうして藤波が立ち去ると 折から聞こえてきた鐘の音に、近くにある寺へ漁夫の供養をし に行くのでした。 盛綱一行が寺へ漁夫の供養に行き、この場に人がいなくなると ちょうどそこへ、このあた りの住人の磯七とおしほがやって来ます。 二人は盛綱と漁夫の噂話などしておりましたが 漁夫の供養にと念仏踊りをはじめます。 しばらく踊ると にわかにあたりの様子が荒れ始め 磯七とおしほは慌ててこの場を立ち 去るのでした。 荒れてきた天候の中 数珠を手に寺で供養をしている盛綱のもとに 殺された怨念のため に悪龍となった漁夫の霊が現れます。 悪龍は盛綱に襲いかかろうとし 盛綱の郎党たちは太刀を抜きますが 盛綱は郎党たちを 抑え ひたすら、数珠を手に祈り続けます。 そうして盛綱の祈りによって ついに、悪龍は成仏するのでした。 江戸絵両国八景 荒川の佐吉 佐吉:仁左衛門 お新:時蔵 お八重:孝太郎 辰五郎:染五郎 清五郎:愛之助 鍾馗の仁兵衛:芦燕 成川郷右衛門:段四郎 相模屋政五郎:菊五郎 序幕 第一場 両国橋付近の出茶屋の前 舞台は両国橋近くの茶屋 多くの人で賑わう中、ならず者のあごの権六が田舎者の親子 連れにからんでいます。 ここへ佐吉が通りかかり権六を止めますが 逆に押さえられてしまいます。 権六は佐吉が、どこの身内の者か問い詰めますが 佐吉は答えません。 傍にいた佐吉の友達・大工の辰五郎が‘鍾馗の身内‘だと答えるのですが これを聞いた 権六は慌てて逃げ出すのでした。 先ほどからの様子を茶屋で見ていた浪人・成川郷右衛門が 佐吉を褒めているところに 子分を連れた鍾馗の仁兵衛が通りかかり 佐吉は仁兵衛の子分・徳兵衛に今の騒ぎを叱 られてしまいます。 鍾馗の仁兵衛は佐吉と一緒に居た成川郷右衛門を 佐吉に剣術を教えている侍だと勘違 いして 一言嫌味な事を言って通り過ぎるのでした。 騒ぎがすんで落ち着くと 辰五郎は佐吉に大工に戻るよう言うのですが 佐吉は‘強いも のが勝ち、弱いものは負ける この世界が自分にはあっている‘と言います。 これを傍らで聞いていた成川郷右衛門でしたが さらに、佐吉が‘勝った者が強い‘と言う のを聞き この場を立ち去ります。 しばらく話していた佐吉と辰五郎ですが 佐吉が、仁兵衛の娘で大店・丸総の若旦那に囲 われているお新に子ができたので祝儀を届ける使いを思い出し 二人で妾宅へ出かけて 行きました。 佐吉と辰五郎が茶屋を後にしたところへ 行きかう人たちが逃げるように走ってきます。 鍾馗の仁兵衛が喧嘩の末に 成川郷右衛門に腕を斬りおとされたのでした。 先ほどの茶屋まで戻ってきた成川郷右衛門は 仁兵衛の子分たちに名乗ると この場を 後に立ち去るのでした。 序幕 第二場 鍾馗の仁兵衛の家 舞台は向う両国、仁兵衛の家 先刻の喧嘩騒ぎで取り込む中 一人、子分の清五郎は なにやら考え事をしている様子。 ここへ仁兵衛の娘・お八重がやって来て 清五郎に父・仁兵衛の様子を話すと 呼ばれて 再び奥に戻ります。 するとそこへ 見舞いを手にした成川郷右衛門が現れ 縄張りを手に入れるために仁兵衛 を斬ったと言うのでした。 騒然となるところ 清五郎が一人飛び出し成川郷右衛門に斬りかかりますが 逆に斬られ てしまいます。 第二幕 第一場 本所・仁兵衛の家 舞台は秋の雨の夜 縄張りも成川郷右衛門に全て奪われ、すっかり名を落としてしまった 仁兵衛の家です。 ここへ甲州へ使いに行き 行った先で病になり ようやく戻ってきた佐吉が訪ねて来ます。 お八重に今までの様子を聞き 自分が仁兵衛とお八重の面倒を見ると言う佐吉ですが 清五郎に心を寄せていたお八重は快く思いません。 話をしているところへ仁兵衛が 丸総に囲われている姉娘・お新の産んだ赤ん坊を連れて 帰ってきます。 子供は生まれついて目が不自由なため 仁兵衛は金を貰い子供を引き取ってきたのでし た。 仁兵衛は佐吉を見て お八重と夫婦になり赤ん坊を育てて欲しいと言い出しますが 金欲 しさに赤ん坊を連れ帰った仁兵衛を見て、お八重は怒って家を出てしまいます。 そうして、仁兵衛は赤ん坊を佐吉に預けると 佐吉が止めるのも聞かずに、いかさま賽を 持って博打へ出かけます。 佐吉は一人残って 泣く赤ん坊をあやすのでした。 第二幕 第二場 法恩寺橋畔 舞台は夜の法恩寺橋畔 佐吉が泣き止まない赤ん坊・卯之吉をあやしていると 今は成 川郷右衛門の子分になっている徳兵衛がやって来て、仁兵衛はいかさまがばれたため命 を取られたと言います。 驚く佐吉でしたが、自分が仁兵衛の遺骸を引き取ると言うのでした。 第三幕 第一場 大工辰五郎の家 舞台は七年後の大工・辰五郎の家 佐吉と目の不自由な卯之吉が世話になっています。 卯之吉が一人で留守番をしているところへ辰五郎が仕事から戻ります。 大きくなったら検校の位を買ってやるからと卯之吉に話していると 卯之吉は近いうちに 辰五郎の家を出なくてはいけないと言い出します。 折から帰ってきた佐吉に辰五郎が なぜ、ここを出るのか尋ねます。 すると佐吉は 卯之吉の産みの親・お新は丸総に妻として迎えられたが、子供ができない ので 卯之吉を取り返そうとしていると話します。 しかし佐吉は 返すつもりがないので、面倒な事になっていて このままでは辰五郎に迷 惑になると言うのでした。 話をしていると丸総から使いがやって来ます。 土佐藩の部屋頭・白熊の忠助が百両を持って来るのですが 佐吉はきっぱり断ります。 忠助は力ずくで卯之吉を奪おうとしますが 佐吉がこれを阻み、争ううちに手にした斧で 忠助を刺してしまいます。 自分のした事に驚く佐吉でしたが、捨て身になれば何事もできるのだと言い 今まで心に 秘めていた仁兵衛の敵を討ちに駆け出していくのでした。 第三幕 第二場 秋葉権現の辺 成川郷右衛門の帰りを待ちうけ 佐吉は敵を討つために斬りかかります。 成川郷右衛門の子分たちと斬りあううち 隙をみて成川郷右衛門が佐吉の背後から斬り かかろうとします。 しかしこれを通りかかった口入れ稼業の相模屋政五郎が止めます。 そうして佐吉は政五郎の立ち合いのもと成川郷右衛門を討ち果たすのでした。 第四幕 第一場 両国橋、佐吉の家 舞台は、仁兵衛の縄張りを受け継いでいる佐吉の家 ここに政五郎がお新を連れてやっ て来ます。 政五郎は佐吉に お八重と一緒になり仁兵衛の二代目を継いで 卯之吉は丸総に返すよ うに言うのですが 佐吉はこれを断ります。 お新は自らの卯之吉への行いに何度も死を考え、卯之吉への仕打ちを悔いていました。 政五郎はその様なお新の様子に 丸総なら検校の位を買うこともできると言い、卯之吉の 将来を思えば潔く返したほうが良いと言うのでした。 これを聞いた佐吉は卯之吉の将来のために 丸総に返すことを決心します。 そうして 自分のような育ての親がいたのでは卯之吉のためにはならないと言い 旅立つ 事を決めます。 政五郎は佐吉が旅に出るのは惜しいと言いますが 佐吉の申し出を聞き入れ、翌朝早く 佐吉を見送る約束をするのでした。 第四幕 第二場 長命寺前の堤 舞台は長命寺前の堤にある茶屋 ここへ朝早く旅支度の佐吉が政五郎との約束どおりに やって来ます。 すると茶屋の奥からお八重が茶を持って現れます。 驚く佐吉に、お八重は以前の事を詫びるのでした。 佐吉が何も気にしてはいないと笑いながら話すところへ 政五郎がやって来ます。 そうして別れの杯を交わすと 餞別に山内容堂公から拝領した刀を渡します。 ちょうどそこへ卯之吉を連れた辰五郎が見送りに来ます。 佐吉は旅先でも鍾馗の事は忘れないと言い 満開の桜の咲く中を皆に見送られながら 旅立って行くのでした。 |
☆今回上演されました「君が代松竹梅」は1965年(S40)に二代目藤間勘祖が振り付けした舞台だそうで 衣装が平安の公達風で艶やかな感じの舞台になっておりました。 松竹梅とございますように 長唄の祝儀曲です。 ほんの10分ほどの短い舞踊でございまして そのわりにお3人の方の衣装は王朝風でございますし 舞台も白梅紅梅に長唄囃子のひな壇と、とても豪華な出だしでございます。 特別に何かストーリーがあるという舞踊ではなくて「松竹梅」のおめでたい感じが伝わるという様な舞台でございます。 これから歌舞伎を見る雰囲気作りなのかな、などと思いつつ観ておりました。 ☆「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」は1749年初演の全九段からなる人形浄瑠璃でございまして これが歌舞伎に移され九段からなる世話物として上演されるようになったそうでございます。 今回の「角力場」は、そのうちの二段目にあたり 歌舞伎では「角力場」と八段目の「引窓」が多く上演されます。 「角力場」は、後の「引窓」に続くお話になっています。 で‘双蝶々‘の蝶々と言うのは 濡髪長五郎の‘長‘と放駒長吉の‘長‘なのだそうです。 昔から日本人はゴロ合わせが好きだったのでございますね。(笑) 舞台は大坂でございます。 私は‘相撲‘と申しますと‘両国‘を思い浮かべてしまうのですけれど どうも昔は相撲は上方が本場であったようなのでございます。 で、舞台が上方・大坂でありますので 山崎屋の若旦那・与五郎は和事の‘つっころばし‘でございまして 今回は染五郎さんが放駒長吉と二役でお勤めになられました。 元が浄瑠璃でございますから、舞台は竹本に乗って進み 歌舞伎らしい舞台でございます。 こういう舞台って好きなのです。"^_^" 幸四郎さんの濡髪長五郎の大きい事、カッコイイです。 染五郎さんの放駒長吉の若い感じと 幸四郎さんの大きくて大人の感じの濡髪長五郎の対比がとても良いです。 染五郎さんの放駒長吉は いかにも‘若者‘っといった感じで爽快に見えました。 染五郎さんは‘つっころばし‘の与五郎も二役でお勤めでございますけれど 同じ若者でも 硬派な放駒長吉と、軟派な与五郎の切り替えがとても良かったと思います。 後半の幸四郎さんの濡髪長五郎と染五郎さんの放駒長吉がにらみ合って上と下で見合って決まる見えや、客席に向かって決まってツケが入ってバシッと決まる見えとか ‘歌舞伎の綺麗‘の見本の様な舞台でございます。 幸四郎さんのドッシリ感と、染五郎さんの頑張りが良かった舞台でした。 ☆「昇龍哀別瀬戸内:藤戸」は松貫四・吉右衛門さん構成の舞台で 1998年(H10)厳島神社の“宮島歌舞伎”で初演された舞踊劇で 歌舞伎座では初の上演となり松羽目ものの舞台です。 後に続く松貫四の歌舞伎、「巴御前」「日向嶋景清」の第一作目でございます。 元は「平家物語」の巻第十・第百句「藤戸」 これが能の「藤戸」に用いられ さらに今回の歌舞伎の「藤戸」に繋がります。 「平家物語」で語られているのは ちょうど歌舞伎の舞台で盛綱が回顧する形で語った‘藤戸の合戦‘の場面でございます。 能は「平家物語」で語られたお話の後日談の様になっておりまして お話の展開は今回の歌舞伎の舞台の大枠になっています。 能の「藤戸」では 盛綱(ワキ)ははじめ老婆(シテ)の訴えを知らないと言うのですが 歌舞伎の「藤戸」ではスグに思い出して盛綱の回顧と言う形で当時の様子が語られます。 さらに前半で‘藤戸の合戦‘の様子が盛綱によって語られるので 後半の悪龍(後シテ)が舞台で漁夫が殺された時の様子を再現する事はありません。 前シテの老婆の戦いで子を失う母としての悲しみ、後シテの悪龍となった漁夫の霊が力ではなく祈りによって昇天していくとうい 争い事の悲惨さや虚しさといったテーマがより前面に押し出されています。 五色の揚幕が上手と下手にあるチョッと変わった舞台でございました。 吉右衛門さんの老婆というのはスゴク珍しいです。 でも、老婆に見えます。(^^ゞ いつもの大きな吉右衛門さんではなくて 小柄な老婆に見えます。 だいたい、これだけでも見ていて新鮮です。(笑) 花道から杖をついて出て 7・3で訴訟に来た事、息子の事を訴え さらに舞台にいる盛綱・梅玉さんの前まできて 息子の死について訴えるのですけれど ここは、もう老婆の悲哀がド〜ット客席に伝わるところでございまして 何をどうしたって亡くなってしまった子供は戻らない悲しさなのです。 これが、けして強い調子ではないのですが 強く伝わってくるのは やはり吉右衛門さんの力かと思います。 舞踊ですから 踊りで表現されるわけですけれど いつもの吉右衛門さんの様な大きくて力強い舞ではありませんで 老婆ですから女形のやわらかい感じの舞になります。 これが、とっても良いのです。 梅玉さんの盛綱は、安心して観ていて大丈夫っと言った感じです。 ワタクシ こういう感じの梅玉さん大好きなのです。"^_^" 衣装は松羽目ものですので能風な大口袴です。 老婆の訴訟を聞いて 戦のためとは言え自ら手にかけて殺した老婆の息子のために 供養をしようと立ち去る間際に、花道を引込む老婆・吉右衛門さんの後ろ姿を振り返って クット下を向いてそれから天をスッと見るところ なんとなく富樫のようでしたがカッコイイです。(^^ゞ 間狂言が歌昇さんと福助さんの踊りです。 老婆の息子を手にかけたのは盛綱だったと噂話などして 供養のための念仏踊りを踊ります。 長唄の歌詞に陀羅尼がもじってあるようで チョッと軽快な感じの踊りです。 これから少し長唄の大薩摩の合の手が入って 後シテになります。 合の手の三味線が良かったです。 場内から拍手がありましたもの、もちろん私もパチパチしました。 後シテは漁夫の霊が悪龍になって盛綱を襲います。 花道のスッポンから出て水の上を歩く「流れ足」の形で舞台に上がります。 海藻の絡んだ鉄杖(打杖)を手にして 黒頭の頭には龍が付いています。 で、この龍 5月のお節句の兜に付いている龍みたいでした。(^^ゞ 鍬形ではダメだったのでございましょうか??? まあ、この後の展開なども なんとなく「船弁慶」を思わせるところもございますから オリジナルな感じを出したかったのかな〜。 盛綱は襲いかかる悪龍に経文を唱える事で応戦?いたします。 ここの吉右衛門さんと梅玉さんガップリ組んで迫力あります。 吉右衛門さんは後シテがいつもの吉右衛門さんでございますから 本領発揮といったところで大きくてカッコイイです。 で、どちらかと言うといつもはやさしい感じの物静かなイメージの梅玉さんが数珠を手に力強いのですね。 ここの梅玉さんは「船弁慶」の弁慶みたいですし 郎党4人を押さえてのところは、「勧進帳」の弁慶みたいです。(笑) 筋書きの梅玉さんのコメントに「盛綱は御大将だからじっとしているところが多いのでしょうか」っと書いてあるのですけれど 吉右衛門さん、じっとさせてはくれませんでしたね。(笑) 吉右衛門さんが斜め後方で片足を上げて、梅玉さんが前で膝をついて ふたりで決まるところがあるのですが ガッシリ絵になります。 っと思いましたら、筋書きの舞台写真に入っておりました。(^^ゞ 定式幕が引かれて幕外になります。 太鼓、笛、鼓が出て 花道の引っ込みです。 ケッコウ長い引っ込みで 幕近くでクルクル回りながら入るのですけれど これって、3階から見えるのかしら??? 全体にまとまった感じで なおかつ見ごたえのある舞台でした。 今から言うのも気が早いですけれど(笑) 再演して欲しいと思う舞台です。 ☆「江戸絵両国八景:荒川の佐吉」は1932年(S7)初演の真山青果の作で 十五世市村羽左衛門の依頼で書かれた舞台なのだそうです。 この時、十五世市村羽左衛門は「最初は見すぼらしくて哀れで、最後に桜の花の咲くような男の芝居がしたい」っと言ったのだそうで なので、佐吉と言うのは そういうキャラクターなのでございます。 「荒川の佐吉」は歌舞伎座での初演と同時に新國劇でも上演されていたのだそうで この時の佐吉が島田正吾さんでございました。 以来、島田正吾さんはお一人になられても 佐吉を演じていらっしゃったということなのでございます。 で、舞台を観ておりまして感じますのは 台詞がとても素敵なのでございます。 一つひとつが思い当たる様な 刻まれる様な そんな台詞なのです。 昭和の歌舞伎ですから 歌舞伎と申しましても、時代浄瑠璃の様にカッシリっとした様式でお話が進むのではなくて やはり、リアルな感じの舞台です。 さらに、わかりやすいお話で骨格がシッカリしている舞台でございます。 マズ一番はじめに原作の良さが舞台にストレートに出ている気がいたします。 舞台は仁左衛門さんの佐吉がグングン引っ張ります。 お話がわかっていても 最後は泣けます。 それに舞台上での夜泣きやら発熱やらで大変であった事などが 現実の自分の子育てと重なってしまいまして そりゃ〜大変だったよねって思うのでございます。 でも そこはやはり自分も3人の子供の親なのでございますね 結局最後には自分より子供の事を考えないと・・・って思いつくわけです。 なので、卯之吉を返そうと決めるまでと決めた後の心境が 子を持つ親として何とも切なく伝わるのでございます。 親って誰でもみんな佐吉かもしれません。 逆に、佐吉の様な人を親と言うのかもしれません。 仁左衛門さんの佐吉はいい人だし こういうふうに生きられたらいいかもしれないと思ったりもいたします。 幕開きから幕切れまで 舞台上の仁左衛門さんの佐吉は 見た目の姿は、三下奴から親分の風格まで年月を感じますけれど いつでも、どこかに見え隠れする颯爽とした心意気みたいなものを感じたりいたします。 途中、観ていて泣けてきても 幕切れ前、花道を旅立って行く仁左衛門さんの佐吉は笑顔なのですよ。 見終わってから‘良い気分‘が残る感じです。 染五郎さんが頑張っていました。 今月、3演目に出ていらっしゃいますけれど どれもみな良い舞台でございます。 その中でも辰五郎はピカイチっと思いました。 仁左衛門さとは年齢的に‘友だち‘にはお若いのですけれど それをあまり感じさせません。 仁左衛門さんの佐吉に対して 引き過ぎる事もなく、出過ぎる事もなく ちょうどの背丈で‘友だち‘でありました。 何気ない辰五郎だからこそ 後半、泣けてくるところがあるのでございましょう。 菊五郎さんの政五郎は貫禄十分でピッタリですし、世話物の親分という感じがサスガだな〜っと思いました。 筋書きの中で「自分がもし佐吉をやるんだったらと相政をやりながら勉強するのに楽しみですね。」っとおっしゃっていらっしゃいますけれど さて、菊五郎さんの佐吉を見ることはできるのでございましょうか。(^^ゞ お新の時蔵さん、仁兵衛の芦燕さんはスッカリ手に入ったお役でございましょう。 それと、確か前回は清五郎をお勤めでいらっしゃった権十郎さんが今回は極楽徳兵衛でございましたが スゴク良い感じの徳兵衛でございました。 ともすると‘嫌なやつ‘ばかりが前面に出てしまうのですけれど そうではなくて‘これがたぶん普通の行動‘っと思えるのでございます。 |