2006年03月21日            もくじへ戻る トップページへ戻る 
    歌舞伎座 昼の部   一階後方花道よりの席

  *吉例寿曽我(きちれいことぶきそが)
    一幕
  *義経千本桜 吉野山
    竹本連中
    清元連中
  *菅原伝授手習鑑 道明寺
    一幕


吉例寿曽我(きちれいことぶきそが)
 工藤祐経:我當
 近江小藤太:進之介
 八幡三郎:愛之助
 梶原源太:松也
 喜瀬川亀鶴:吉弥
 秦野四郎:亀鶴
 朝比奈三郎:男女蔵
 化粧坂少将:家橘
 曽我十郎:信二郎
 曽我五郎:翫雀
 大磯の虎:芝雀

 第一場 鶴ヶ岡石段の場
  花道から勢いよく現れたのは八幡三郎の奴・色内と近江小藤太の奴・早平の二人です。
  二人は 早平の持っている剱沢弾正からの密書を奪い合っています。
  剱沢弾正は謀叛を企み 近江小藤太はこれに加担していたのです。


  色内と早平の二人が密書を奪い合ってこの場を去ると 舞台は鶴ヶ岡八幡宮の石段前と変
  わります。
  傘をさし夜参りにきた近江と八幡が 石段下ですれ違います。
  近江に気が付いた八幡は 先刻、互いの奴が奪い合っていた密書を近江に見せるのでし
  た。
  剱沢弾正からの大事な密書を奪われた事に気付いた近江は どうにかして取り戻そうとしま
  すが 八幡が渡そうとしないので ついに、斬りあいとなります。


 第二場 大磯曲輪外の場
  舞台は、大磯の曲輪のあたり ここへたくさんの供のものとともに工藤祐経がやって来ま
  す。
  工藤祐経が密書を取り出すところへ、曽我兄弟が駆けつけ対面となります。
  舞台には「対面」に関わりのある人物がそろうのでした。





義経千本桜 吉野山
 佐藤忠信
 実は源九郎狐:幸四郎
 静御前:福助
 逸見藤太:東蔵
  舞台は桜も満開の吉野山 ここに、西国へ向かった義経の後を追って静御前がやって来ま
  す。
  ふと気付けば、供の佐藤忠信の姿が見えません。
  そこで静御前は鼓を打ち始めます。
  忠信は静御前の持つ「初音の鼓」を打つと、どこからともなく現れるのでした。


  鼓の音とともに現れた忠信は しばし、静御前とともに舞い 女雛男雛に見立てます。
  それから忠信は義経より賜った鎧を、義経に見立てると その前で戦物語を語るのでした。


  静御前と忠信が戦物語に以前を偲んでいるところへ 逸見藤太が手勢を連れてやって来ま
  す。
  静御前を捕らえようとする藤太は手勢を差し向けますが 忠信は、これを難なく退けると 急
  ぎ義経のもとへ向かう静御前に従うのでした。






菅原伝授手習鑑 道明寺
 管丞相:仁左衛門
 判官代輝国:富十郎
 宿禰(すくね)太郎:段四郎
 苅屋姫:孝太郎
 土師兵衛(はじのひょうえ):芦燕
 立田の前:秀太郎
 覚寿:芝翫
  醍醐天皇の頃、左大臣・藤原時平は 管丞相の養女・苅屋姫と皇弟・斎世親王の仲を讒言
  して 管丞相は筑紫へ配流となってしまいます。


  (杖折檻)
  舞台は河内国 郡領の後室で管丞相の伯母・覚寿の館です。
  管丞相は筑紫に向かう途中、判官代輝国の好意で覚寿の館に しばし滞在する事となり
  ます。
  また 密会が知れるところとなり、落ちのびてきた苅屋姫は 姉・立田の前がひきとり同じ
  覚寿の館にかくまわれているのでした。


  立田の前が苅屋姫を一目でも管丞相に会わせようとしているところへ覚寿が現れ 管丞相
  の配流の原因を作った苅屋姫と、それをかばう立田の前を強気に打ち据えるのでした。
  しかし、これを止める管丞相の声がするので 覚寿は感謝し苅屋姫を対面させようとします
  が 奥を見れば管丞相の木像があるばかりでした。


  (東天紅)
  皆が奥へ入ると 立田の前の夫・宿禰太郎と、その父親・土師兵衛がやって来ます。
  二人は藤原時平から管丞相の暗殺を頼まれていて 管丞相を判官代輝国が迎えに来る前
  に連れ出す計画を立てています。
  このために迎えの時刻を知らせる鷄に宵鳴きさせる用意をするのでした。
  しかし、この計画を立田の前に知られたので 立田の前を殺害し池に沈めてしまいます。


  (丞相名残)
  土師兵衛は、鷄に迎えの刻限より早く宵鳴きさせ 偽の迎えがやって来ます。
  暗殺の事など知らない覚寿は 名残を惜しみつつ偽迎えの輿に乗る管丞相を見送るの
  でした。


  管丞相が旅立った後 覚寿は立田の前が現れない事を不審に思い行方を捜させ 中間の
  宅内が池の中から立田の前の遺骸を見つけるのでした。
  変わり果てた娘・立田の前の姿に嘆き悲しむ覚寿と苅屋姫でしたが 覚寿は立田の前が口
  に咥えていた布から犯人は夫・宿禰太郎だと気付き 娘の敵を討つのでした。


  しばらくして判官代輝国が管丞相を迎えに来ます。
  しかし覚寿は 迎えはすでに来て管丞相を連れて行ったと言うのでした。
  そこへ 先刻の偽迎えが戻ってきます。
  輿の中は木像であったと言いうのですが 再び中を見れば管丞相でありました。
  怪しく思った偽迎えが館を捜すと 斬られた宿禰太郎が見つかります。
  覚寿は土師兵衛たちの計略も全て知れたと言うのでした。
  覚寿に斬りかかろうとした土師兵衛は判官代輝国に捕らえられ首を打たれます。


  全てが落ち着き 覚寿が輿の中を見れば、そこには木像があるばかりです。
  この木像は三度も作り直し魂が入ったために自らを救ったのであろうと、管丞相は言い残し
  これを形見として残すように頼むのでした。
  いよいよ出立の時、覚寿は伏籠にかけた小袖を餞別に出すのですが 中に苅屋姫がいるこ
  とを知る管丞相は、身柄を覚寿に預けると言います。
  耐え切れず外に出る苅屋姫 顔をあわせられない管丞相。
  泣きながら袖にすがりつく苅屋姫に檜扇を残し 一度きり振り返ると館を後に旅立つのでし
  た。




☆「吉例寿曽我(きちれいことぶきそが)」は曽我もののお話の発端と結末を一幕にして見せる舞台で、1900年に上演された舞台が元になっているそうです。
 私はこの舞台を見るのははじめてだったのですけれど、いいですね!!!
とくべつ、ややこしいストーリーがあるわけでもなく 背景には曽我兄弟のお話がございますけれど 今回の舞台は‘歌舞伎の雰囲気‘で見る舞台かと思うので ‘お〜歌舞伎らしい感じ‘って浸りながら見てしまいました。

 幕開き舞台は浅葱幕ですが、花道から気持ちいいくらい元気に(笑)亀三郎さんと亀寿さんの奴が出て スッカリいい雰囲気になりました。
 浅葱幕が落ちて「鶴ヶ岡石段の場」になるのですが舞台中央の大階段(たぶん12段だと思うのですけれど) あれ、上にあがるとケッコウ高くて怖そうです。
 花道から近江の進之介さん、舞台上手から八幡の愛之助さんが共に傘を手に出てきます。
 進之介さんと愛之助さんのお二人ですが お若いのでしかたがないのでしょうけれど もっと、ずっしり感というのか ピシット決まる感じが欲しい気もいたしました。
 愛之助さんの八幡三郎は裃の紋のところに文字で‘八幡‘と入った衣装に、立ち役の‘シッチウ付きの生締‘という鬘です。
 進之介さんの近江小藤太は同じく裃に‘近江‘とあり‘雁金付研ぎ出し燕手‘という鬘です。
 どうも、このお二人の衣装や鬘は決まりのもののようでございまして 衣装は紋のところが、そのまま役柄の名であったり また、鬘も生締(なまじめ)と燕手(えんで)ですが少しずつプラスアルファーの部分があったりいたします。
 場面を変えるのに‘がんどうがえし‘という方法で舞台が変わります。
 大階段が舞台後方にひっくり返るような感じで上がっていくのですけれど 階段には八幡三郎の愛之助さんと近江小藤太の進之介さんが乗ったままです。
 ひっくり返るのにケッコウ時間がかかりまして その間ずっとキマリのポーズで高く動く階段に踏みとどまっているのも大変そうでございました。(^^ゞ
 変わってから上手に大薩摩が出るのですが三味線がいいです。
 で、舞台中央の赤い幕がなくなると セリ上がりで曽我のお話に登場する9人の人物が上がってきます。
 雲がたなびく富士山を背景に9人が絵面の見得で決まっていきます。
 スゴク綺麗で歌舞伎らしい舞台です。
 オペラグラスです〜っと見ておりましたら 化粧坂少将の家橘さんがとても素敵で目に飛び込んでまいりました。"^_^"
 以前は女形をなさっていらっしゃったということですけれど 家橘さんって、お店の主人とか女形でもチョッと年配のお役のイメージがございまして 若い遊女って‘へ〜‘と思いました。(^^ゞ
 この「大磯曲輪外の場」は工藤祐経が供のものを連れて曲輪あたりへやって来たところですので祐経・我當さんの衣装も形としては羽織姿です。
 黒地の着付けに白地の羽織で、どちらも綸子模様です。
 黒綸子金庵木瓜縫着付(くろりんずきんいおりもっこうぬいきつけ)と、白の同羽織です。
 この衣装は「寿曽我対面」での祐経の衣装と同じでございます。
 ほか、曽我十郎・信二郎さんが浅葱色の着付と羽織で千鳥の模様、五郎の翫雀さんが黒地に蝶の模様で こちらも十郎、五郎の模様の衣装です。
 朝比奈・男女蔵さんは力紙に隈取と筋隈の肉襦袢の装いです。
 それぞれ、9人のキャラクターにあわせた衣装や鬘が並びまして とても綺麗です。
 広い舞台に装いも様々な9人が並ぶ美しさってケッコウ贅沢な舞台かもしれませんね〜。
 見ておりましてフィギュアみたい・・・と思ってしまいました。(^^ゞ





☆「義経千本桜 吉野山」は本名題は「道行初音旅」で 文楽・人形浄瑠璃では四段目のはじめの段にあたり、清元と竹本の掛け合いで舞台が展開してまいります。
 「義経千本桜」は1747年初演の全五段からなる人形浄瑠璃で 歌舞伎に移されたのは翌年だそうで 歌舞伎の舞台では 初段の切「堀川御所」からはじまって四段目の「河連法眼館」で終わるのが通常なのだそうです。
 歌舞伎の「義経千本桜」は丸本(床本のことです)歌舞伎三大名作の一つです。

 浄瑠璃と歌舞伎を並べてみました。
 歌舞伎その2は「道行初音旅」の入るところが少し違います。
 「道行初音旅」は道行の所作事ですので その前のケッコウ重たい「渡海屋・大物浦」と またまた重たい「すし屋」の間に入れたのかもしれません。
 なんとなく想像してみれば「渡海屋・大物浦の場」「椎の木」「すし屋」と続くのはかなりヘビーな気もいたします。

浄瑠璃 歌舞伎その1 歌舞伎その2
初段:仙洞御所の段
    北嵯峨の段
    堀川御所の段
堀川館の場 大序
(堀川館の場)
二段目:伏見稲荷の段
     渡海屋・
     大物浦の段
稲荷の森の場
渡海屋・大物浦の場
伏見稲荷鳥居前
渡海屋・大物浦
三段目:椎の木の段
     小金吾討死の段
     すし(鮓)屋の段
椎の木
すし屋(鮓屋)の場
道行初音旅(吉野山)
すし屋(鮓屋)
四段目:道行初音旅
     吉野の里
     吉野蔵王堂
     河連法眼館の段
道行初音旅
河連館・奥庭の場
河連法眼館
(四の切)
五段目:吉野山

 参考:カブキ101物語
    :イヤホンガイドHP(http://www.eg-gm.jp/eg/e_index.htm)内
    「歌舞伎ひとくちメモ:三大名作コーナー 義経千本桜」
    :ようこそ文楽へ
    (http://homepage2.nifty.com/hachisuke/temp004.html)内
    「義経千本桜」
    (http://homepage2.nifty.com/hachisuke/yukahon/yositune.html)


 歌舞伎での「義経千本桜」のあらすじ
 「堀川館の場」
 義経は後白河法皇より‘初音の鼓‘を賜ります。
 また、義経の妻・卿の君は平時忠の娘です。
 さらに、義経が討ち取った知盛、維盛、教経の首は偽物でした。
 義経はこれらの事から頼朝に疑われる事となり都を落ちのびることとなります。

 「稲荷の森の場」「伏見稲荷鳥居前」
 義経を追って来た静御前でしたが‘初音の鼓‘を託され 後に残されてしまいます。
 そこへ逸見藤太が来て静御前を連れて行こうとしますが どこからともなく現れた佐藤忠信に助けられます。

 「渡海屋・大物浦の場」
 義経は九州へ渡るために渡海屋で船出の日和を待っています。
 実は渡海屋の主人・銀平は平知盛で 平家復興のため手始めに義経を打つ計画を立てていたのですが 義経に見抜かれ、大碇をその身に縛りつけ海中へ沈むのでした。

 「椎の木」
 次の「すし屋(鮓屋)」の前のお話です。
 若葉の内侍と若君六代は小金吾武里に伴われて落ちのびて来ましたが いがみの権太に金を取られてしまいます。
 さらには追っ手が現れ 小金吾武里は討死してしまうのでした。
 ここへ平維盛をかくまう弥左衛門が通りかかり 身代わりにするために小金吾武里の首を持って行くのでした。

 「すし屋(鮓屋)の場」
 すし屋の弥左衛門は平維盛をかくまっていましたが、この場を逃がします。
 しかし弥左衛門の息子・権太は 鎌倉方の梶原の元へ平維盛の首と御台、若君を引き連れて行くのでした。
 これを知り、弥左衛門は戻った権太を刺すのでしたが 実は、権太が持って行った首は先刻の小金吾武里の首であり御台と若君は権太の妻子でした。
 全ては権太が平維盛を助けるためにした事でした。

 「道行初音旅」
 頼朝を慕い旅する静御前と その供をする佐藤忠信の道行の舞踊劇です。
 (上記あらすじ参考)

 「河連館・奥庭の場」
 義経は吉野の河連法眼の館にかくまわれておりますが ここへ、佐藤忠信が訪ねて来ます。
 ところが忠信は一人でやって来たと言い 静御前の事も知らないと言います。
 不審に思っているところへ 静御前と供に再び佐藤忠信が来たと知らせが入ります。
 義経の命で静御前が詮議すると 供の忠信は‘初音の鼓‘の皮となった狐の子でありました。
 狐の子が親を慕って孝行のために‘初音の鼓‘と同行していたことを知った義経は‘初音の鼓‘を狐忠信に与えます。
 喜ぶ狐忠信は 義経を狙った夜討ちの計略を教え 襲ってきた悪法師たちを打ち倒すのでした。

 参考:カブキ101物語
    :イヤホンガイドHP(http://www.eg-gm.jp/eg/e_index.htm)内
    「歌舞伎ひとくちメモ:三大名作コーナー 義経千本桜」



 狐・忠信のお話ですけれど 静御前と狐・忠信の道行の舞踊劇(所作事)です。
 ヤッパリ幸四郎さんの踊りは上手い!!!
 ズシット、キッチリ、篤いです。
 子狐にしては骨太の武将風ですけれど(笑) でも、子狐と言ってもただの子狐ではありませんから ただものでない子狐が、それでも親を想うという筋にはあっていると思いました。
 静御前が舞台に出て鼓を打ってから 花道のすっぽんからの出になります。
 清元で静御前と女雛男雛の踊りなどを踊るのですが 鎧を義経に見立てての戦物語から竹本と清元の掛け合いとなります。
 舞台は清元と竹本で進みまして はじめは清元、戦物語から竹本が掛け合いとなります。
 清元は緑色の裃で上手に、竹本が桜の裃で上手の上部の御簾を上げて出ます。
 ここで狐・忠信の幸四郎さん、肌脱ぎになるのですが赤地に源氏車の模様の衣装です。
 この戦物語の場面は腰が低い感じでバシッと決まって良かったと思います。
 福助さんの静御前も美しくて やはり踊りも良かったです。
 花四天は8人、桜の花の付いた杖を持っています。
 所作事の立ち回りなので わりとやさしめに感じました。
 逸見藤太の東蔵さん、みごとに幸四郎さんの投げた笠をキャッチしました。
 で、最後の花道の引っ込みですが ワタクシこれって狐六法で入るのだと思っておりましたが この入り方って澤瀉屋の型なのですね・・・きっと・・・。
 今回、幸四郎さんは 鳥屋口で鼓が鳴るとチョッとだけ狐になるのですが 2、3回狐の仕草をして普通に幕内へ入って行かれました。
 今回もマタマタ 一階後方花道よりの席でございまして 鼓の音がスグ横でポンポンって鳴るのですね。
 べつに、どうということもございませんけれど 鼓の音ってケッコウ大きいのね〜なんてあらためて感心してしまいました。(^^ゞ
 今まで、何回か「吉野山」を見ているのですが いつも狐六法で勇ましく花道を入っていたような気がするので たぶん澤瀉屋の舞台ばかり見ていたのだと気付いたりいたしました。(^_^;)





☆「菅原伝授手習鑑 道明寺」は「菅原伝授手習鑑」の二段目にあたるお話です。
 下の表を見ていただいてもおわかりかと思いますけれど 歌舞伎の舞台は‘杖折檻‘‘東天紅‘‘丞相名残‘の三つの場面で展開いたします。
 「菅原伝授手習鑑」は歌舞伎の三大名作の一つでございまして もとは、1746年初演の時代浄瑠璃でございます。
 全五段からなる大作ですけれど 歌舞伎では「車引」「寺子屋」「賀の祝」の上演が多く 今回の「道明寺」は2時間ほどの大曲であることや、管丞相の難しさなどから、あまり上演機会がなかったそうです。
 で、今回の舞台は「十三世片岡仁左衛門十三回忌追善狂言」ということでございす。
 これは、1981年(昭和56年)の国立劇場での管丞相がすばらしく 後に当たり役となったことによります。

 下記に、浄瑠璃での各段と歌舞伎での各段、歌舞伎上演でのあらすじを書いてみました。

浄瑠璃での各段 歌舞伎に移した時
初段 大序 大内の段
加茂堤の段
筆法伝授の段
築地の段
初段 大序
加茂堤
筆法伝授(筆法伝授+築地)
二段目 道行詞甘替
安井汐待の段
杖折檻の段
東天紅の段
丞相名残の段
二段目 道行・安井汐待
道明寺(杖折檻+東天紅+丞相名残)
三段目 車曳の段
茶筅酒の段
喧嘩の段
桜丸切腹の段
三段目 車引(車曳)
賀の祝(茶筅酒+喧嘩+桜丸切腹)
四段目 天拝山の段
北嵯峨の段
寺入りの段
寺子屋の段
四段目 天拝山・北嵯峨
寺子屋(寺入り+寺子屋)
五段目 大内天変の段 五段目 大内天変

 参考:カブキ101物語
    :ようこそ文楽へ
    (http://homepage2.nifty.com/hachisuke/temp004.html)内
    「菅原伝授手習鑑」
    (http://homepage2.nifty.com/hachisuke/yukahon/sugawara.html)


 「大序」
 唐人を前に勝手な振る舞いをする藤原時平に意見し、斎世親王を立てる管丞相は 「筆の道」を伝授せよと勅命を受けるのでした。

 「加茂堤」
 斎世親王と管丞相の娘・苅屋姫は 斎世親王の舎人・桜丸の手引きで密会するのですが 時平の代参に来た三好清行に見つかり 斎世親王と苅屋姫は落ちのびるのでした。

 「筆法伝授」
 管丞相が筆法を伝授する事に決めた弟子は武部源蔵でした。
 武部源蔵は腰元戸浪(となみ)との不義により勘当されています。
 みごと伝授の一巻を授かるのですが勘当は許されませんでした。
 折りしも、斎世親王と苅屋姫が落ちのび行方がわからなくなったことによる 藤原時平の讒言で 管丞相は流罪となってしまいます。
 武部源蔵はお家のために若君・菅秀才(かんしゅうさい)を連れ 妻・戸浪と京の山里へ逃れ ここで寺子屋をはじめるのでした。

 「道行・安井汐待」
 二人で落ちのびる斎世親王と苅屋姫でしたが 後を追って来た桜丸が追いつきます。
 桜丸は二人をかくまうと 管丞相の伯母、苅屋姫の実母、覚寿の館をめざすのでした。
 管丞相が判官代輝国の計らいにより 覚寿の館に立ち寄る事になったので苅屋姫は姉・立田の前と共に覚寿の館に向かいます。

 「道明寺」
 立田の前は一目、苅屋姫を管丞相にあわせようとしますが 夫・宿禰太郎と義父・土師兵衛の陰謀に気付いたため殺されてしまいます。
 宿禰太郎と土師兵衛の差し向けた偽の輿が管丞相を迎えに来ますが 連れて行ったのは木像でした。
 二人の企みは知れるところとなり、宿禰太郎と土師兵衛は裁かれ 管丞相は判官代輝国とともに筑紫へ向かうのでした。

 「車引」
 管丞相に仕える梅王丸、斎世親王に仕える桜丸はともに主の不運に嘆きます。
 ちょうどその折、藤原時平が吉田神社へ参詣するのに出会い 意趣返しに時平の車につかみかかるのですが 時平に仕える松王丸が現れ、兄弟三人が争う事になります。

 「賀の祝」
 今日は 梅王丸、松王丸、桜丸の三兄弟の父・四郎九郎(白太夫)の賀の祝いで 兄弟とその妻たちが祝いにやって来ます。
 四郎九郎(白太夫)は、管丞相のいる筑紫へ行きたいと願う梅王丸には若君を捜すよう命じ 松王丸の勘当の願いは聞き入れ 二人を帰します。
 いつまで待っても祝の席に現れない桜丸を気遣う八重でしたが 桜丸はすでに到着しており、管丞相の流罪の原因を作ってしまった事の責任で切腹するのでした。
 桜丸を見取った四郎九郎(白太夫)は筑紫へと旅立ちます。

 「天拝山・北嵯峨」
 管丞相と白太夫は筑紫の安楽寺で飛梅の吉兆に会います。
 藤原時平の陰謀を知った管丞相は雷神となって都の空へ飛び去るのでした。
 管丞相の御台所は春と八重にかくまわれていましたが 追っ手によって八重は討死し、御台所は松王丸に連れ去られます。

 「寺子屋」
 京の山里で寺子屋をしながら管秀才をかくまう武部源蔵は 管秀才の首を討つよう命じられ その日、寺入りした小太郎の首を身代わりに討ちます。
 小太郎は検分役の松王丸の子で 母・千代とともに覚悟の身代わりでありました。
 松王丸は御台所と管秀才を引き合わせ 小太郎の野辺の送りをするのでした。

 「五段目・大内天変」
 内裏では天変が続き 時平の家臣たちは雷に打たれ 時平自身も、管丞相や桜丸夫婦の亡霊に悩まされ ついに、管秀才と苅屋姫に討たれます。
 後、管秀才は家督を継ぎ 管丞相は天満天神として祀られるのでした。

 参考:カブキ101物語
    :ようこそ文楽へ
    (http://homepage2.nifty.com/hachisuke/temp004.html)内
    「菅原伝授手習鑑」
    (http://homepage2.nifty.com/hachisuke/yukahon/sugawara.html)
    :イヤホンガイドHP(http://www.eg-gm.jp/eg/e_index.htm)内
    「歌舞伎ひとくちメモ:三大名作コーナー 菅原伝授手習鑑 」



 道明寺は今回、生の舞台を見るのは初めてで 以前、映像(TVです)で一度見た事がございました。
 やはり前回見たときにも思ったのですが 覚寿・芝翫さんご苦労様でございます。m(__)m
 2時間にもなる舞台で かなりの間、舞台上にいらっしゃるわけで 実際に舞台を押し進めているのは覚寿・芝翫さんでございます。
 覚寿というのは 土師の里の郡領の後室で、女手一つで家を守っている人です。
 その気丈な老女覚寿・芝翫さんが ‘杖折檻‘では娘・苅屋姫への母親としての思いと管丞相への申しわけなさの入りまじったつらさをハッキリ見せてくれます。
 この「道明寺」という舞台は、もちろん管丞相の別れの舞台ではあるのですけれど そこへ至るまでのかなり長い時間が覚寿を名探偵にした推理仕立てで展開していきます。
 テーマがかなり重いので 覚寿が引っ張る推理仕立の舞台展開は長丁場を乗り切るのにはとても助かります。(^^ゞ
 ‘丞相名残‘までの間 芝翫さんの覚寿の頑張りは大きいと思いました。

 それにいたしましても この舞台、これだけの役者さんがそろっていて面白くないわけがないのです。
2時間が短く感じました。
‘杖折檻‘‘東天紅‘の秀太郎さんはいいですね。
ズット篤さがございます。
 ‘杖折檻‘での覚寿、苅屋姫、管丞相 それぞれへの気遣いと思いやりの篤さ また、‘東天紅‘での夫・宿禰(すくね)太郎への思い このあたりがシッカリと見えてきます。
 で、じつは孝太郎さんはどうなのかな〜なんて思って見ていたのですが 綺麗ですね。
 それに美しい姫に、また管丞相の娘に見えます。
 他 富十郎さん、段四郎さん、芦燕さん、歌六さん、みんな大きな役者さんばかりでございますから いけないわけがないのです。
 いつもながらの富十郎さんの台詞は口跡のよさが光ります。

 それで仁左衛門さんの菅丞相は香り立つような品格があるのですね。
 にじみ出ると言う感じではなくて 場内に拡散する様な感じなのです。
 とくに思いましたのは、木像で動くところ。
 ここはほんのチョッとの違いで‘笑い‘になりかねないところかと思うのですけれど(事実、映像でみた「道明寺」では ここで場内から笑い声が聞こえておりました)今回は笑うなんてとんでもない感じでございました。
 動き自体は機械的な動きですし表情もございませんから やはり内側から場内に拡散される品格のなせることなのだと思います。
 思いの篤さ深さ強さ こういったことなのだと思います。
 ‘丞相名残‘での後半 苅屋姫に檜扇を渡すところ 三味線の音が、やはりいいですね。
 ここ、好きな場面です。
 なので苅屋姫にはもう少しゆっくり(たっぷり)倒れて欲しいです。(^_^;)
 花道で グッと思いを飲み込んで、クット顔を引いて、サッと舞台の苅屋姫を振り返る あの瞬間・・・一気に今までの思いが場内に飛び散る感じです。
 鳥肌が立ちました。
 この感覚はマッタク‘人‘ゆえの思いだと感じます。
 品格と神格は違うものではないかと思うのです。
 人ゆえの深い感情の舞台が「道明寺」であるのかなと思うので 拡散するほどの気品・品格を感じても 神をそれほど意識しすぎる事はないように思います。
 花道での仁左衛門さんの菅丞相に鳥肌が立つほどの凄さを感じたのは 人ゆえの強い思いを受けとめたからだと思います。
 今回の座席は一階後方花道よりの席でございました。
 後方ではございますが花道のスグ近くでございまして かなり近いところを仁左衛門さんの菅丞相が通りました。
 花道7・3にいらっしゃるあたりから もうオペラグラスが使えないほどの風格、品格がございまして 横を通った時はチョッと後ろにさがってしまいました。(笑)
 いつもの仁左衛門さんであれば、たいていどのようなお役であってもカッコイイと思うのですが 今回は突き抜けてしまっていてつかみどころがございません。
 スゴイと思います。(^^ゞ






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