2006年02月12日            もくじへ戻る トップページへ戻る 
    歌舞伎座 昼の部   一階後方西よりの席

  *春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)
    長唄囃子連中
  *一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)
    陣門・組打
    一幕
  *お染久松 浮塒鴎(うきねのともどり) →「ともどり」:変換できません
    清元連中                         鴎の区が區です
  *極付 幡随長兵衛(ばんずいちょうべえ)
    「公平法問諍(きんぴらほうもんあらそい)」大薩摩連中
    三幕


春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)
 静御前:芝雀
 曽我十郎:橋之助
 曽我五郎:歌昇
  お正月の七草に工藤祐経の館へ十郎と五郎の兄弟がやって来て 七草の籠を手にした
  静御前とともに 父の敵討ちを胸に踊ります。






一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)
陣門・組打

陣門
  舞台は須磨浦の平家の陣屋、ここへ熊谷直実の一子、初陣の小次郎直家が一番乗りで
  やって来ます。
  すると陣屋の中から管弦の音が聞こえ 東武者の小次郎は、戦場であっても管弦を楽し
  む平家の優雅さに心打たれるのでした。
  しかし、そこへ平山武者所季重がやって来ますが 先陣は小次郎に譲ると言うので 小次
  郎は意を決して陣屋へ入って行きます。
  ちょうどそこへ小次郎の父・熊谷直実が駆けつけ 一人で陣屋へ入って行った小次郎を追
  って行くのでした。
  しばらくすると熊谷直実が負傷した小次郎を抱えて現れ 自らの陣屋へと戻って行きま
  す。
  これを追うように現れたのが 白馬に乗った敦盛でありました。
  敦盛は平山と立ち合うのですが 平山は敵わぬと思い逃げてしまいます。


組打
  舞台は変わって須磨の浜辺、ここへ敦盛を探して許婚の玉織姫がやって来ます。
  しかし、敦盛から逃れた平山に出会い 玉織姫は平山の横恋慕から斬られてしまいます。


  源氏に攻められ海へ逃れた平家を追って敦盛が海へ入ると 熊谷直実がこれを追ってや
  って来ます。
  二人は海上で組打となりますが 敦盛は熊谷に組み伏せられてしまうのでした。
  これまでと、敦盛は熊谷に首を討つよう言いますが 熊谷は我が子・小次郎と同年の敦盛
  を討つ事ができません。
  しかし、ここへ現れた平山に「二心あり」と言われ 熊谷は敦盛の首を討つのでした。


  敦盛を討ち「かちどき」と声を上げる熊谷でしたが、平山も去り一人残ると そこへ敦盛を
  討ったとのかちどきの声を聞いて、斬られて弱り果てた玉織姫が現れます。
  もはや目の見えなくなっている玉織姫でしたが 敦盛と対面したいと願うので 熊谷は討
  ち取った敦盛の首と対面させます。
  熊谷は 息絶えた玉織姫と敦盛を水葬礼にした後 敦盛の形見の鎧と太刀を馬に乗せる
  のでした。






お染久松 浮塒鴎(うきねのともどり)   →「ともどり」:変換できません
 女猿曳:芝翫                        鴎の区が區です
 お染:菊之助
 久松:橋之助
  舞台は三囲神社近く、隅田川の土手 ここに心中を覚悟したお染と久松がやって来ます。
  久松はお染に家へ戻るよう言いますが お染は聞かず逆に自分の想いを話します。
  そこへ祝酒で上機嫌の女猿曳がやって来て 二人の様子から噂のお染久松であると察
  します。
  二人の気持ちを引き立てようと 歌祭文や万歳を見せると やがて里の方へ向かうのでし
  た。
  女猿曳を見送ったお染と久松は やはり、死を覚悟して旅立ちます。






極付 幡随長兵衛(ばんずいちょうべえ)
 幡随院長兵衛:吉右衛門
 お時:玉三郎
 近藤登之助:歌六
 坂田公平:團蔵
 出尻清兵衛:歌昇
 唐犬権兵衛:段四郎
 水野十郎左衛門:菊五郎

 序幕 村山座舞台の場
  舞台は江戸の村山座、「公平法問諍(きんぴらほうもんあらそい)」が上演中です。
  そこへ白柄組を率いる水野十郎左衛門の仲間・市介が外から入ってきて 逃げてきた火
  縄売りを追いかけ花道に上がり出ます。
  これを舞台番・新吉が抑えて芝居が再開しますが 今度は水野の家臣・坂田金左衛門
  が、新吉が市介を抑えた事に怒り 花道に上がると 新吉に馬乗りになって芝居見物を始
  めるのでした。
  場内が騒然とする中 客席から幡随院長兵衛が現れ 金左衛門に花道から降りるよう言
  いますが 金左衛門は意見を聞かず、長兵衛に打ちかかります。
  しかし、逆に長兵衛にさんざん打ち据えられて逃げて行きます。
  この様子を桟敷から見ていた水野十郎左衛門が長兵衛を呼び止めますが 長兵衛は舞
  台の幕を引くように言ってこの場を収めるのでした。


 二幕目 花川戸長兵衛内の場
  舞台は三社祭で賑わう花川戸の長兵衛の家、ここへお時や倅・長松が帰ってきます。
  みなうちそろっていると 水野家から長兵衛を酒宴に招きたいと使いがやって来ます。
  長兵衛はこの招きが先日来の遺恨を晴らすためのものであると気付き 自分が水野に殺
  される事になれば今まで以上の騒ぎになると考えるのですが それでも死を覚悟で水野
  の屋敷へ出かけることにするのでした。
  覚悟の長兵衛に お時はまだ仕付け糸の付いた羽織を出します。
  祝のためにと作ってあった羽織を長兵衛に着せかけ仕付け糸をぬくお時でありました。

  長兵衛が水野の屋敷へ行こうとしているところへ 弟分の唐犬権兵衛がやって来て身代
  わりになると言います。
  唐犬権兵衛ばかりではなく子分たちも長兵衛の代わりに水野の屋敷へ行くと言うのです
  が 長兵衛は他の町奴に顔が立たないと皆を説得し お時や倅・長松に別れを告げると
  水野の屋敷へ出かけて行きます。


 三幕目 第一場 水野邸座敷の場
  舞台は水野の屋敷、ここで長兵衛は水野十郎左衛門と白柄組の近藤登之助とともに杯を
  交わしておりましたが 近藤登之助の所望で剣術の腕を見せる事になり、竹刀での試合
  をし 見事な腕前を見せるのでした。
  再び酒宴が始まりますが 今度は腰元がわざと長兵衛の着物に酒をこぼし 水野は着物
  が乾くまで風呂に入るよう勧めます。


 三幕目 第二場 水野邸湯殿の場
  湯殿に案内された長兵衛に、待ち構えていた水野の家臣たちが掴みかかるのですが 長
  兵衛はこれを打ち据えてしまいます。
  そると今度は槍を持った水野が現れたので長兵衛が応戦していると 背後から近藤に斬
  り付けられ ついに長兵衛は水野の槍に突かれてしまいます。
  ちょうどその時 長兵衛の子分が早桶を持って迎えに来たと知らせがあるのでした。




☆「春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)」は曽我狂言の所作事として1767年に初演された 今ある曽我ものの舞踊では最古の作品なのだそうでございます。
 ま、観ていて 特別に奇をてらったような事があるわけでもなく とても華やかですけれど 落ち着いた感じで舞台が展開いたします。
 静御前と曽我兄弟がともに出会ったという記録はないそうで ですから、舞台の様に仲良く踊ることなどもないわけでございます。
 ただ、同じ時代を生きていたので まあ、お互いに出会っていたらこんな感じだったかな〜といった様子の舞台なのだとイヤホンガイドの市井さんはおっしゃっていらっしゃいました。

 幕開きの舞踊で曽我兄弟と静御前が七草を詠み込んだ唄で踊ります。
 舞台は後ろに大きく満開の梅、上に古風な感じの破風の屋根、で 長唄のひな壇が大きく広がります。
 とても明るく華やいでおめでたい感じの舞台です。
 芝雀さんは七草を摘む装いの衣装で 打掛に腰帯、鬘は埃よけの白い帽子に艶やかで大きな花簪 華やかですが落ち着いた感じもあって素敵です。
 なにより 舞台が落ち着きますね。"^_^"
 じつは、芝雀さん(魁春さんも同様なのですが)の舞台を観ておりますと 歌舞伎の間口の広さ、奥行きの深さ、自力の様なものを感じたりするのでございます。
 で、歌昇さんは元気な五郎です。
 歌昇さんの五郎が前に出てパンっと決まると、カッコイイですね。(笑)
 ドシッと荒事の五郎です。
 橋之助さんは今回は白塗りです。
 どうも最近、荒事の橋之助さんを観ているので チョッと新鮮に感じました。
 五郎を抑える風であるのですが 上品な雰囲気が良くて、‘あ〜橋之助さんって、幅が広いんだ〜‘と思いました。

 後半に舞台ですりこ木で七草を叩く振りがございます。
 これにあわせて十郎と五郎が鼓を打って舞い納めとなるのですけれど 七草をすりこ木や包丁で叩く行事が正月六日の夜と七日の暁にあったのだそうです。
 「七草をはやす」と言うそうで 恵方(節分で恵方巻を食べる あの恵方です)の方角に向かって七草を叩くのだそうでございます。
 筋書きに書いてございました。
 知りませんでしたね〜。(^^ゞ
 七草はお粥にして食べるばかりだと思っておりました。(笑)





☆「 一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」は1751年に人形浄瑠璃として初演され翌年に歌舞伎に移されたものだそうです。
 今回の「陣門・組打」は その中の二段目に当たります。
 床本のあらすじがこちらに書いてございますので よろしければご参考になさってくださいませ。 →こちら

 今回の舞台は福助さんがスゴク良かったです。
 「陣門」のはじめ勢い良く花道から出てくる小次郎の元気ぶりも良かったですが(ここの小次郎って 5月人形の桃太郎さんみたいです。"^_^")とくに敦盛が素敵でした。
 「陣門」の後半、白馬に乗って颯爽と しかし、優雅に舞台にいらっしゃる姿は かなり美しいです。
いえ、べつに白馬に乗っているからカッコイイとかいった事ではございません。(笑)
 小次郎の後から錦吾さんの平山が来ますが、玉織姫と対した時も含めて お一人で‘対‘の部分を受け持ってシッカリ支えていらっしゃいました。

 で、熊谷・幸四郎さんでございますが 「陣門・組打」では甲冑姿で鬘も‘菱皮ごごろ癖付の垂れ‘→ という パンチパーマの様にクルクルカールしていて この後の「陣屋」とは趣がマッタク違います。
 骨太のドッシリした感じがいいです。
 (「松田青風 歌舞伎のかつら」を見ながら描いてみました)



 「陣門・組打」のみの上演と言う事であったためでございましょうか 陣内に飛び込んで小次郎を連れ出した熊谷ですが 花道で‘息子のはずの小次郎‘の後ろで膝を付くのですね。
 小次郎の‘はずの‘若武者は一瞬兜を取って顔を見せ 先ほどの小次郎ではない事を客席に教えてしまいます。
 これって どれほどの効果があるのでございましょうね・・・。
 「 一谷嫩軍記」のあらすじをマッタク知らない人には 何を意味しているのかすらわからない様な演出だし あらすじを知っている人にはマッタクの興ざめだと思います。
 もう少し、客席を信じてもいいような気がしますけれど・・・。(^^ゞ

 今回、私は花道の揚幕の近くに座っておりまして 毎回、馬が出たり入ったりするのをかなり近くで見ることができたのですが タッツタッツタッツと花道を来て幕に入る時って 天井が入口付近だけ低くなっているので ケッコウおっかないのですね。(^_^;)
 兜を付けているのでよけいなのですけれど かなり思いっきり頭を横に倒さないとバコッとぶつけそうです。
 一番はじめ 福助さんの敦盛が引っ込む時 ガガガット天井にこすっていたのでビックリしました。(笑)
 あれって馬上で怖くないのですかね・・・。(^^ゞ

 舞台は浜辺に変わって玉織姫が花道から出ます。
 紅一点と言うのはこんな感じでございましょうか。
 お話の流れの中で少し雰囲気が変わるところでございます。
 で、この後 「組打」になって‘遠見‘の演出はございませんが そのぶんテンポよくお話は進みます。
 海に出た敦盛を追って熊谷が花道から舞台へ 上手から舞台奥の海に出て 馬上で太刀を交わすところで浅葱幕が下ります。
 「お〜い」って揚幕の中からと、花道7・3と 敦盛を呼ぶのですが‘らしく‘見えます。
 本来なら熊谷が海に出たところが‘遠見‘の演出になるはずなのですが 今回はそのまま福助さんと幸四郎さんが馬上におりました。
 まぁ、ここは‘遠見‘と思って見ているとスカでございます。
 テンポ良く段取りよく進行するわけでございます。
 が・・・ダシの入っていないお味噌汁みたいなところもございまして(^_^;) 浄瑠璃の狂言ですから・・・テンポよりタップリして欲しいかな〜とも思いました。
 上手の浅葱幕から敦盛の白馬だけが出てきて花道に行きます。
 花道7.3で白馬が後方、海の方を心配げに振り返って 客席から白馬に拍手です。
 この舞台は‘馬‘が活躍いたします。
 なのに、筋書きに‘馬‘を勤めた方の名前は載っていないのですね。
 載せればいいのに・・・。
 浅葱幕が落ちて 熊谷と敦盛はセリで上がってきますが 上がりきって決まったところは絵になります。
 美少年の色気ってこういうものでございましょう。(^^ゞ
 骨太のゴツイ熊谷と じつに対照的です。
 幸四郎さんの熊谷は良かったと思うのですけれど すみません私の視線はほとんど福助さんに向いていたように思います。m(__)m
 もしかすると熊谷って、「陣門・組打」だけでは不完全燃焼なのかもしれません。





☆「お染久松 浮塒鴎(うきねのともどり)」は1825年初演の清元舞踊で 本名題は「道行浮塒鴎」というのだそうです。
 お話は、ちょうどお染と久松が心中しようと二人で三囲神社近くの隅田川の土手まで逃げてきたところでございます。
 ここのところは所作事なのですけれど この後のストーリーというのがございまして 二人は心中しそこねて久松は鬼門の喜兵衛のところで雪駄直しになり お染はお六の娘であったとわかり さらにお染と久松は兄妹であったと知れ 二人は自害し その時の血汐によって病の頼朝が救われるといった事になるのだそうでございます。(2月筋書き参考)
 このお染久松を使ったお話はいろいろ書かれたそうで 今回の舞台もその一つだそうです。

 舞台には三囲神社の鳥居が見えていて そこにお染と久松がやって来るのですけれど 菊之助さんのお染が可愛いのですね。
 黒地に赤を基調とした菊模様の衣装に花簪も赤いお花でございます。
 いかにも大きな御店の娘さんといった感じです。
 菊之助さんのお染の情愛は 短い時間の中での台詞や踊りですが よく客席に伝わっていたと思います。
 久松の橋之助さんは「春調娘七種」に続いてマタマタ白塗りので前髪立ちです。
 柔らかな線が出ていてよかったと思います。
 このお二人とてもいい雰囲気でございました。
 で、ここで女猿曳の芝翫さんが花道から出て‘四つ竹‘という 竹の小さい板?をカチカチなり合わせながら踊ります。
 肩に掴まったお猿さんが可愛くて 芝翫さんが花道に出てくると客席から‘かわい〜‘なんて聞こえたりいたします。
(これって、お猿さんに‘かわい〜‘だと思ったのですけれど・・・芝翫さんにではないと思います・・・よね。(・・? )
 軽やかな踊りで お染久松は心中しようとしていて それを気づかってのことではあるのですけれど 踊りじたいは楽しい踊りでございます。
 (注:鴎「ともどり」が変換できません。鴎の区が區です)





☆じつは!今月、一番観たかった演目が「極付 幡随長兵衛(ばんずいちょうべえ)」でございます。
 ええ、もちろん玉三郎さん大好きなワタクシでございますから 夜の部の「京鹿子娘二人道成寺」も見たかったのでございますけれど それよりほんのチョッピリこちらの方が期待していたのでございます。(^^ゞ

 「極付 幡随長兵衛」は1881年初演の河竹黙阿弥の舞台でございます。
 元々、幡随院長兵衛が登場する舞台はもっと古くからあったのですが この「極付 幡随長兵衛」は実説に近い感じで作られた舞台なのだそうです。
 劇中劇の「公平法問諍(きんぴらほうもんあらそい)」が加わり 今の舞台の様に三幕になったのは さらに後、1891年ということです。

 私が吉右衛門さん玉三郎さんで「極付 幡随長兵衛」を観るのは2回目でございます。
 以前観た時は 玉三郎さんのお時を観に歌舞伎座に行ったのですけれど 吉右衛門さんの長兵衛を観て帰ってきたのでございます。(爆)
 それほどインパクトの強い、超カッコイイ長兵衛なのです。
 で、オモイッキリ期待して観に行って 期待以上の舞台でございました。

 吉右衛門さんの長兵衛は内側からカッコいいです。
 今の世の中では ある意味‘おせっかい‘なのかもしれない長兵衛というキャラクターが超カッコ良く見えます。
 台詞の上手さ、口跡の良さ、そうして何より‘大きい‘し‘思い入れが深い‘です。
 腹が決まっているというのか 覚悟があるというのか そんな感じがあって だから、いつでも命がけみたいな感じで それが観ていてスカッとするのでした。
 序幕、客席通路をユックリ歩きながら上手から舞台に上がって花道へ向かう途中の なんともいえない堂々とした貫禄・・・まさに‘おやぶん!‘って感じなのですね。
 観ていてドキドキしてきます。
 そんなカッコイイ長兵衛が二幕目で水野からの酒宴の誘いに一人思案するところ 重たいのですね、ドッシリしていて背負うものの大きさ、残るものへの想いの深さが伝わります。
 命がけで責任を果たすって感じでしょうか。
 逃げないものの強さ、潔さ、つらさ、そうしてカッコよさがございます。
 TVなどで「申しわけございません」とか「覚えておりません」とかいい訳ばかりのオジサンたちが情けなく思える幕でございます。(笑)
 で、ここから腹を決めて水野の屋敷へ行くのですけれど 腹が決まっているから何があっても水野の申し出を受けるのですね。
 ここでもうすでに 長兵衛は水野を超えてしまっている気がいたします。

  玉三郎さんのお時は 長兵衛の女房ですから地味な装いですけれど 吉右衛門さんの長兵衛とピッタリの息で 長兵衛を気遣い、長松を思う感じが伝わります。
 紋付に着替えるところなど 流れる様な、でもピシッと決まりながら 最高のタイミングで進んで行きます。
 何にも特別な事があるわけでもないのですけれど 一つひとつのやり取りがお互いの心情を伝えているようです。
 出かけようとする長兵衛の太刀をおさえてしまうお時の心情が 太刀を挟んで長兵衛とお時の間で揺れる様なのでございます。
 こういう舞台を観ておりますとカッコイイな〜って思ってしまうのですね。(^^ゞ
 一番はじめの出は花道からなのですけれど 長兵衛・侠客の女房でございますから衣装もけして派手ではございません。
 ですけれどパ〜ット華やぐのですね。
 粋な感じがいいのです。
 で、それでいてキチット長兵衛の女房でいらっしゃる。
 筋書きにも書いてございましたけれど‘出しゃばらず、かといって引っ込まずに‘って マッタクそのとおりでございます。

  対する、水野十郎左衛門の菊五郎さんは 凄みがあるというのでしょか、チョッと怖くて ゾクゾクする感じがあります。
 覚悟の決まった長兵衛と ゾクゾクするほどの怖さ凄みのある水野の対比が とくに後半の水野の屋敷で際立ちます。
 水野十郎左衛門というのは旗本で、旗本奴の白柄組の頭領で、お屋敷も立派なのですね。
 これほどの人物が どうしても長兵衛への遺恨を捨てきれなかったわけで ケッコウ根が深いものがあったりするのですね。
 これだけの‘物‘があるのに どうしても長兵衛に負けてしまう部分があって それがゼッタイ嫌だったって感じでございましょうか。
 菊五郎さんの水野は低いトーンで、なんとなく恨みの炎を背負っていて 怖いんです。
 でも、やぱり最後まで長兵衛が一歩先んじてしまうのでした。

 それと幕開きの「公平法問諍(きんぴらほうもんあらそい)」ですが この舞台、ちゃんと観てみたいですね。(笑)
 團蔵さんの坂田公平、良かったですもの。
 で、せっかくいいところなのに 度々邪魔が入って中断してしまうので ‘もしもし〜最後まで見せてくださいよ〜‘なんて思ってしまいます。(爆)
 それから、舞台番の吉之助さん 頑張っていましたし花道での最初のやり取りなど カッコよかったです。"^_^"
逃げてきた時は 私の前にしゃがんでました。(笑)
 ほか 段四郎さん、歌昇さん、歌六さん、が固いです。
 このお芝居、アチコチから役者さんが登場いたしますし(笑) 劇中劇の面白さもございまして そこから後半の展開まで、見応え十分かと思います。
 まあ、とにかく カッコイイ吉右衛門さんの長兵衛は最高でございます。





 今回の座席は花道の揚幕に近いところで はじめはあまり期待していなかったのですけれど ケッコウ‘おいしい席‘なのだということがわかりました。(笑)
 まあ、演目にもよるのでしょうけれど 「一谷嫩軍記」で白馬に乗る福助さんが目の前でございましたし 「幡随長兵衛」では、お時の玉三郎さんがスグ横を歩いて行かれましたし 舞台番の吉之助さんがしばらくの間ワタクシの前でしゃがんでいらっしゃいましたし グリコのおまけがイッパイでございました。\(^o^)/






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