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| 歌舞伎座 夜の部 一階後方中央の席 |
*日向嶋景清(ひにむかうしまのかげきよ) 一幕 *鞍馬山誉鷹(くらまやまほまれのわかたか) 中村鷹之資披露狂言 一幕 *連獅子(れんじし) 長唄囃子連中 *おさん茂兵衛 大経師昔暦(だいきょうじむかしごよみ) 二幕三場 |
日向嶋景清(ひにむかうしまのかげきよ) 松 貫四 作 悪七兵衛景清:吉右衛門 肝煎佐治太夫:歌昇 娘・糸滝:芝雀 日向嶋浜辺の場 舞台は日向のある嶋の浜辺、景清の貧しい庵がございます。 杖を頼りの盲目の景清が 梅の枝と供物を供えて平重盛の供養をしております。 そこへ佐治太夫と糸滝が舟でやって来ます。 糸滝は景清の娘で 父・景清を探しているので教えてほしいと言うのですが 景清は知ら ないと言います。 なおも糸滝は父と娘の証の守り袋を見せ取りすがるのですが 景清は飢えて死んでしま ったと言って庵へ入ってしまうのでした。 父が死んでしまったと聞いた糸滝は悲しみのあまり海へ身を投げようとしますが 佐治太 夫に止められます。 糸滝は佐治太夫の世話で遊女屋に勤めることになっており 遊女屋の主人の許しをもらっ て身売りの金を父・景清に届けに来たのでした。 悲しむ糸滝を連れて里の方へ向かう佐治太夫でございましたが 途中で二人連れの里人 に会います。 佐治太夫が景清の最後の場所を尋ねると 先刻の盲人が景清だと言い糸滝と佐治太夫 を再び庵へ案内するのでした。 ようやく再会した景清は糸滝に今までのいきさつを語り 糸滝の様子を問うのでした。 糸滝は実の母と思っていた乳母が病死する前に 父・景清のことを話、再会するように言 い残したと物語ります。 さらに佐治太夫が糸滝がこれから勤めに出る事は隠し 糸滝は大百姓に嫁ぎ、そこの舅 ・姑が景清のために金をくれたと言うのでした。 しかし これを聞いた景清は、武士の娘が百姓に嫁いだ事を怒り腰の刀に手をかけます。 父・景清の様子に泣き崩れる糸滝でしたが 佐治太夫は折好く戻ってきた里人に金と文 箱を渡し 糸滝を連れて舟に乗ります。 岸を遠ざかる糸滝は父・景清を呼び景清もまた娘・糸滝に声をかけ 先刻、抜いた刀・名 刀を父と思い大切にするよう叫ぶのでした。 叫び崩れる景清に 里人は預かった金と文箱を渡します。 景清に頼まれて里人が文箱の文を読めば 金は糸滝が身を売って作ったものだと書き記 されています。 全てを知った景清は見えぬ目で遥か遠くの舟を追い、娘の名を呼ぶのでした。 この様子を見た二人の里人は 実は隠し目付の天野四郎と土屋郡内であると明かし 景 清が頼朝に従えば糸滝も助かると諭すのでした。 ついに覚悟を決めた景清は頼朝に従うこととし 平重盛の位牌と梅の枝を持ち都へ向けて 旅立ちます。 日向灘海上の場 都へ向かう船に乗る景清は 平重盛の位牌と梅の枝を海へ投げ入れ 手を合わせるので した。 鞍馬山誉鷹(くらまやまほまれのわかたか) 中村鷹之資披露狂言 牛若丸:鷹之資 吉岡喜三太:梅玉 鷹匠諏訪兵衛:富十郎 蓮忍阿闍梨:吉右衛門 薩摩守平忠度:仁左衛門 常盤御前:雀右衛門 鞍馬山で毎夜、怪しい物音が聞こえるとの噂があがります。 舞台は鞍馬寺の門前。 霊鳥とも言われる白い鷹を捕らえようと 平忠度(ただのり)と吉岡喜三太が現れ そこへ 鷹匠の諏訪兵衛もやってまいります。 白い鷹は諏訪兵衛がある人物より預かった鷹でございました。 三人が鷹をめぐって争っておりますと 凛々しい牛若丸がやってきます。 鞍馬山での毎夜の怪しい物音は牛若丸の剣術の稽古の音でありました。 牛若丸を清盛のもとへ連れて行こうとする平忠度の手勢が討ちかかりますが 牛若丸は これを退けてしまいます。 そこへ 鞍馬寺の蓮忍阿闍梨と常盤御前が現れ 蓮忍阿闍梨は平忠度に牛若丸が成長 した後、雌雄を決するよう話し 平忠度はこれに従うのでした。 白い鷹は常盤御前が諏訪兵衛に預けた鷹でございました。 吉岡喜三太は牛若丸が成人した後、この白い鷹の羽を矢羽に使うようすすめ 諏訪兵衛 も、この白い鷹を親鳥に子鷹を育てたいと言うのでした。 連獅子(れんじし) 狂言師右近 法華の僧・蓮念:玉太郎 後に親獅子の精:幸四郎 浄土の僧・遍念:信二郎 狂言師左近 後に仔獅子の精:染五郎 舞台は清涼山の石橋のあたり、狂言師・右近と左近が手獅子を携えてやってまいります。 二人は、石橋のいわれや清涼山の風景などを舞い 続いて清涼山に住むと言われる文殊 菩薩の使者である獅子を舞い始めます。 親獅子は仔獅子を谷に突き落とし 駆け登ってきた仔獅子だけを育てると申します。 右近は仔獅子を谷に落として見守る親獅子を見せ 左近は落とされても駆け登る仔獅子 を見せます。 谷に落ちて上がってこない仔獅子を気遣う親獅子、川面に写る親獅子を見て再び駆け登 る仔獅子 勢いのある舞を見せた後 蝶に戯れ姿を消します。 舞台は間狂言で「宗論」になります。 はるばる清涼山へやってまいりました法華の僧・蓮念と浄土の僧・遍念が 道連れができ たと喜ぶのもつかの間 互いの宗派が違うので言い争いになってしまいます。 自分の宗派の方が優れていると言い争ううち とうとうお互いのお題目と念仏を取り違え てしまうのでした。 舞台は後シテ 能装束に隈取で 白の毛の親獅子の精、赤の毛の仔獅子の精が舞い始 めます。 牡丹の花と戯れ 勇ましく‘髪洗い‘‘菖蒲打ち‘‘巴‘などの毛振りを見せ豪快に舞い納め るのでした。 おさん茂兵衛 大経師昔暦(だいきょうじむかしごよみ) 茂兵衛:梅玉 お久:歌江 おさん:時蔵 番頭助右衛門:歌六 お玉:梅枝 大経師以春:段四郎 序幕 大経師宅算用場乃茶座敷 舞台は大経師以春の店です。 女中のお玉に 番頭の助右衛門や、家の主人大経師以春が言い寄っております。 そこへ以春の姑・お久が訪ねて来たので 以春は慌てて姿を隠すのでした。 おさんの母、お久は借りた金が返せず困っているので何とかしてほしいと おさんに頼み に来たのです。 以春に頼みづらいおさんは 信頼できる手代の茂兵衛に金策を頼む事にします。 今日は新暦を売り出す日で ようやく方々へ新暦を配り終えた茂兵衛が祝儀の酒に酔っ て帰って来ておりました。 おさんの頼みを引き受ける茂兵衛でしたが 自分が金を持っているわけでもなく、思案 するのですが 以春の印判を使って金を用立てる事にいたします。 茂兵衛が以春の印判を白紙に押しておりますと それを番頭助右衛門に見つかってしま い 騒ぎになってしまいます。 以春は理由を茂兵衛に問いただしますが おさんの事を考えて茂兵衛は何も言いませ ん。 たまりかねた女中のお玉が 自分が金策を頼んだのだと茂兵衛をかばうのですが お玉 に思いを寄せる以春は、これが面白くなく不機嫌になってしまいます。 おさんや姑のお久が許すように言うので 以春は茂兵衛を隣の空家の二階に閉じ込めて 詮議を終えてしまうのでした。 二幕目 第一場 大経師宅お玉の部屋 舞台は同じ日の夜、お玉の部屋です。 お玉のところへおさんがやって来て 先ほどの茂兵衛の事は自分が頼んだ事だと話し 茂兵衛をかばってくれた事に礼を言うのでした。 しかし、お玉は自分が茂兵衛をかばったのは 以前より茂兵衛に好意を寄せているからだ と話します。 事情を知ったおさんでしたが 今度はなぜ以春が不機嫌になったのかといぶかしく思うの でした。 すると お玉が、自分が茂兵衛をかばったので以春が嫉妬したと言い 前から以春がお玉 の部屋へ忍んで来ていたことを話します。 すべてを察したおさんは今夜も忍んで来るであろう以春に恥をかかせてやろうと お玉と部 屋を取り替えることを思いつきます。 しばらくして 先ほどの礼を言おうと空家から抜け出してきた茂兵衛が お玉の部屋へやっ て来ます。 茂兵衛はお玉の思いに気付いており その好意に応えようとやって来たのでした。 そこへ番頭助右衛門が やはり忍んで来るのですが「旦那のおかえり」という声が聞こえ 驚いて立ち去ります。 二幕目 第二場 大経師宅裏手 この声に驚いたのは番頭助右衛門だけではなく お玉の部屋に共にいたおさんと茂兵衛 も驚いて飛び出して来ます。 お互いに顔を見て 茂兵衛は共に寝間にいたのがお玉ではなくおさんであった事に驚き、 おさんは相手が以春ではなく茂兵衛であった事に驚くのでした。 お互いにそうとは知らずに姦通してしまったことに驚く二人でありました。 共に死を覚悟して逃げていく二人でしたが 塀に写る影にも怯え嘆くのでした。 |
☆日向嶋景清(ひにむかうしまのかげきよ)は松 貫四━吉右衛門さんが書かれ、今年(2005年4月)こんぴら歌舞伎で初演した舞台でございます。 元は浄瑠璃「嬢景清八嶋日記」の三段目でございますけれど この浄瑠璃の元は能の「景清」であります。 で、能の「景清」までさかのぼりますと このお話の要点がとてもよくわかるのでございます。 ただ一点、‘親と子の互いを思う、その思い━親子の心‘なのでございます。 以下に文楽、能の 床本、あらすじの参考になりますサイト様のURLを記しますので よろしければ参考になさってくださいませ。 文楽・「嬢景清八嶋日記」の床本 花菱屋の段・日向嶋の段 http://homepage2.nifty.com/hachisuke/yukahon/musumekagekiyo.html (トップページ:http://homepage2.nifty.com/hachisuke/index.htm) 能・「景清」のあらすじ http://www.asahi-net.or.jp/~xf6t-hrd/kage1.htm (トップページ:http://www.asahi-net.or.jp/~xf6t-hrd/index.html) で、今回の歌舞伎の舞台でございますけれど こちらは文楽の「嬢景清八嶋日記」が元になっております。 能では文楽の「花菱屋の段」にあたるところはございません。 「花菱屋の段」は娘・糸滝が身売りをして その金を父・景清に届けたいというところまでのお話でございます。 今回の歌舞伎の舞台では糸滝が佐治太夫と金子を持って来ることで ここのお話がわかる様に書かれております。 舞台の幕が開きますと浅葱幕で郎党たちの経緯の説明的な会話があり 幕を落として浜辺になります。 ここを見てマズ思うのは‘俊寛‘でございまして 見た目とてもよく似ております。 ですけれど 上手から景清が出てまいりますと この時点でハッキリ違いがわかるのでございます。 能で書かれております景清には‘たとえ落ちぶれたと言えども武将の誇り‘があるのでございます。 これは景清の心情の奥底にズット蓄えられていなければならないところでございましょうし それゆえ歌舞伎の舞台においても後の心情の変化が面白いのでございます。 舞台の景清は盲目になり年老いてヨロヨロと、とても武将の面影は見えません。 けれど、吉右衛門さんの赤い梅の枝を襟元にさした景清には どん底の悲愴さがございません。 それは俊寛が受動的にその境遇になったのに対して 景清は自らの信念でこの境遇にいるからなのだと思います。 で、食べる事に困るほどであっても平家の武将としての強い思いが 娘・糸滝の親を思う心に動くのでございます。 これが このお話の芯なのだと思います。 ここからが能と文楽・歌舞伎が少し表現の異なってくるところでもございます。 粗末な景清の庵とボロボロの衣装の景清しかいない舞台は 色の気配がなくて全体に‘どどめいろ‘でございます。(笑) なのでここに糸滝がまいりますと なんと言うのでございましょうか・・・イキナリ‘華舞伎‘になるのでございます。 お話を作りましたのが吉右衛門さんでございますから 舞台全体はやはり吉右衛門さんの景清が引っ張っているのでございますけれど やはり舞台は一人ではございませんで 糸滝の芝雀さん、十分に景清に向き合っていたと思います。 とにかく、今までどんなに頼朝が説得しようが、かたくなに拒み続けてきた景清がほとんど一瞬にして その心を変える起爆剤が糸滝なのです。 糸滝の‘父ゆえ‘の強い思いがないとお話がスベッテしまうのだと思うのです。 父は誇り高い武将の景清で 糸滝はその娘でございますから たとえ身を売ってはるばる父を訪ねて来るほどの一途な内なる思いを持っていたとしても 出し方が難しいのではないかと思います。 ですけれど芝雀さんの糸滝は 実に娘であり また ‘父ゆえ‘の思いも内にある糸滝でございました。 この娘ゆえに父・景清は 一度は‘景清を知らない‘と偽りながらや、はり糸滝と親子の対面をする事になるわけでございますし 手にした金子が娘の身売りの金と知った時、あれほど激しく叫んで盲目の目で後を追おうとするのでございましょう。 訪ねて来た糸滝に はじめ‘景清を知らない‘と偽って庵に入ってしまう景清が 里人の呼びかけに再び庵から出てくる時 能の謡風な感じで出てまいります。 はじめに書きました 能の「景清」に読み取れる‘親と子の互いを思う、その思い━親子の心‘と 能そのものの武の芸としての‘たとえ落ちぶれたと言えども武将の誇り‘と その両面を吉右衛門さんは見せてくれます。 そうして全ての事情が知れた時の「その娘(こ)は売るまじ」の絶叫はスゴイものがありました。 場内が息を呑む瞬間なのでございます。 ワタクシ、ここでただただ吉右衛門さんのエネルギーのすごさに見入ってしまいました。 この後、二人の里人・実は頼朝が差し向けた隠し目付に諭されて景清は都へ向かうのでございますけれど もちろんこれは‘諭された‘からではありませんで ‘娘ゆえ‘なのでございます。 戦いに敗れて頼朝を憎んで この世を見限って 自ら世間を閉ざすために目を潰して 恨みばかりの世捨て人の様な景清が ここまできて 娘を思うその父としての思いゆえに娘の境遇を救うために さらに自分の頼朝への憎しみ、ここまで通してきた生き様をなげうって 頼朝に降伏するわけで 娘からみれば実は最高の父親である気がいたします。 大切に供養してきた小松内府の位牌を海に投げ入れるのですが つまりは 娘と平家を天秤したら 今は娘が大事ってキッパリ決めたわけなのでしょうね。 今の時代、どう見ても景清は‘ヘンクツなオヤジ‘でございましょう。 ですけれど このキャラクターをある意味‘粋‘さえ見えるほど 内面カッコよく見せてくれたのが吉右衛門さんでございます。 ☆鞍馬山誉鷹(くらまやまほまれのわかたか)は富十郎さんのご長男が鷹之資さんに改名される披露のために書かれました新作のお話でございます。 おめでたい舞台でございますから それはもう華やかでございました。 四天の衣装も新しく 紅葉のもみじに映えるよう白地に緑の楓でございまして この楓四天の大勢での立ち回りはとても見事でございます。 まあ、でも 改名のための舞台でございますので 今後この舞台が再演されるかは大いに?でございます。(笑) で、舞台にはお父さんの富十郎さんはもちろん 仁左衛門さん、梅玉さん、吉右衛門さん、雀右衛門さん、と そうそうたる顔ぶれでございまして それだけでも‘おいしい‘舞台なのでした。"^_^" 鷹之資さんは今年6歳なのだそうで ワタクシの次男と同じ歳でございます。 で、舞台を観ておりましたら 大きいんですね。(笑) 我が家の次男はヒョロッポ、チビッポ、なのでよけい大きく見えるのでしょうけれど キット幼稚園で並ぶ時には後ろの方なんだろうな〜などと思ってしまいました。(^^ゞ 今回、この舞台で鷹之資さんの後見をなさったのが信二郎さんでございましたけれど 楓四天との立ち回りの時など 鷹之資さんをかなり高い位置まで持ち上げていらっしゃいまして 見ていて‘わ〜腕が筋肉痛になりそう‘っと思ってしまいました。(爆) ☆今回の連獅子(れんじし)は幸四郎・染五郎親子の舞台でございまして もともとのお話が‘親子‘のお話でございますから やはり舞台全体に雰囲気といった感じのものがございました。 河竹黙阿弥の作で1872年の初演でございますが 後に新しく振り付けされ「宗論」が入ったものが今の舞台になっているのだそうでございます。 幸四郎さんはサスガのうまさでございまして とても美しくすっきりした舞台でございます。 これはやはり踊りがうまいからなのだろうな〜っと納得してしまうのでした。(^^ゞ 前半の手獅子での舞いでは 親獅子の風情がとてもよくて 舞踊ではございますけれど表情が豊かです。 対して、仔獅子の染五郎さんは勢いがあります。 親獅子と仔獅子の違いが実にハマっているのです。 ヤッパリ親子ですから。"^_^" 間狂言は狂言の「宗論」でございます。 ワタクシは このお話、茂山家の舞台が好きでございまして かなり(っと言うか超)笑えるお話なのですけれど 今回の歌舞伎の舞台は、どうも狂言の舞台よりかなりおとなしい感じでございまして 味のうすいカルピスみたいでありました。 チョッと真面目すぎなのかしら・・・。 後半の獅子の精は豪快な毛振りが見ものです。 で、ここはやはり年齢的なこともあるのでしょうか 幸四郎さんの毛振りはケッコウ緩やかでございます。 ですけれど けして見ていて違和感がないのは 振りが大きくおおらかで、それがかえってダイナミックに見えるからではないかしらっと思いました。 やはりキッチリ・すっきり、美しいのでございます。 染五郎さんは仔獅子の精でございますので やはり毛振りにも勢いがございます。 が、体勢がかなりナナメになってしまってイマイチしっかり客席に向かって決まってくれません。 とにかくブンブン毛振りでイッパイイッパイっといった感じがいたしました。 全体としては ほんとうに、すっきりした美しい まさに舞踊といった雰囲気の舞台なのでございますけれど ひねくれもののワタクシはモット‘歌舞いて‘ほしかったな〜っと思ってしまいます。 だって、‘ホ〜すごい!‘ってニット笑えるところがないんですもの。(^^ゞ ☆おさん茂兵衛は近松門左衛門の作でもとは世話物の浄瑠璃でございます。 全体のお話は上中下の三巻で、今回の舞台はそのうちの上にあたります。 お話そのものは実際にあった事件だったそうで 不義のおさんと茂兵衛は磔、仲を取り持ったお玉は獄門になったのだそうでございます。 で、この事件を元に近松が書いたのが浄瑠璃として残っているわけでございます。 で、浄瑠璃の方のお話は上の巻きは上記の様なストーリーなのですけれど、この後のお話は次の様な感じでございます。 「お玉は伯父の元へ預けられるのですが、そこへ都を逃れたおさんと茂兵衛がやって来て たまたま来合わせたおさんの両親と出会います。互いに死罪になる身の上を嘆きますが、おさんと茂兵衛はさらに丹波の山奥に逃げます。しかし、密告によって捕えられ お玉の伯父がお玉を犠牲にして二人を助けようとするのですが それも叶わず死罪になろうとする時、東岸和尚の願いで命は助けられるのでした。」 参考 1996年の近松座の公演 http://www.city.nagato.yamaguchi.jp/kanko/history/tikamatsu/tika96.htm 今月のおさん茂兵衛は九月の植木屋で梅玉さんの別な一面を見まして(笑)ケッコウ期待しておりました。 茂兵衛は四回目だそうでございますので 梅玉茂兵衛がシッカリ出来上がっておりました。 で、時蔵さんが初役と言うことでございましたけれど 大きな家のおっとりした感じの奥様風がよかったかな〜と思います。 このあたりは 茂兵衛の梅玉さんも、おさんの時蔵さんも 真面目な雰囲気がプラスに働いたのでございましょうね。(^^ゞ 段四郎さん、歌六さん、はサスガうまいな〜っといった感じでありましたが お玉の梅枝さんが頑張りましたね! まだ十八歳ほどだと思うのですけれど歌舞伎座の舞台でこれだけできたらすごい事の様な気がいたします。"^_^" また、今回の舞台は後半のお玉の部屋になってからの浄瑠璃がキイテおりました。 お話的には‘なんでおさんと茂兵衛は互いに気付かなかったかしら?‘っと思ってしまうわけなのですけれど そこを浄瑠璃が古風な感じでカバーしております。 チョッと考えると‘ヘン?‘っと思うところを そのように思わせずにお話として進めていくのです。 前半の会話で進む舞台がストレートに、ある意味リアルに入ってくるのに対して 後半の浄瑠璃で進む舞台は様式化した感じが強くなるので チョッとくらい‘ヘン‘な感じでもゼンゼン違和感を持たないのでございます。 参考:http://www6.ocn.ne.jp/~aoidayu/tadaima/200511daikyouji.htm (竹本葵太夫さんのHPトップ: http://www6.ocn.ne.jp/~aoidayu/index.htm) もうひとつ、‘大経師‘ですけれど これは経師屋━書画、屏風、襖などの表装をする表具師の事で ‘大‘なのでその表具師の長と言うことなのだそうでございます。 とくに大経師は朝廷御用の経巻、仏画などを表装した職人の長で 大経師暦という暦を発行する権利をあたえられておりました。 茂兵衛が新暦を配っておりましたのは この暦でございます。 と、言う事は以春はたいしたお金持ちの大旦那なのでございます。 女中を追っかけてていいのかな〜。(笑) 今回の席は思ったよりゼンゼンよかったです。"^_^" ケッコウ後方でしたし、もう少し下手よりかと思っておりましたがど真ん中でありました。 やはり私は後方の柱の後ろが好きでございます。 でも・・・もうじきこの席はなくなるんでしょうね。 改装して柱が残るはずありませんから。(^_^;) |